予備校の学費が払えないなら教育ローンの検討を! おすすめはどれ?

第一希望の大学に合格するため、少しでも合格する確率を上げようと、予備校への通学を検討している人もいることでしょう。大学受験のプロに教えてもらえる予備校、万全を期するためにはぜひ利用したいところですが、いざ利用を検討し始めたときに気になってくるのが予備校に通う費用です。

予備校に通う場合、年間で数十万円前後、場合によっては100万円以上の費用がかかることもあります。しかし、ご家庭の事情によっては、そんなに多くの費用を払えない場合もあるのではないでしょうか。

そんな時に利用したいのが、教育ローン(学費ローン)です。今回の記事では、教育ローンを利用するメリットや、おすすめの教育ローンをご紹介します。

予備校に通うには100万円以上かかることは珍しくない!

予備校に通うためには一般的に、年間40万円程度、多ければ100万円以上がかかります。

費用の内訳は、3万円前後の入学金、40万~70万円前後の通常授業料に加え、夏期講習や冬期講習といった特別講習の費用などです。

予備校の費用は、志望大学や学部のほか、志望校が国公立か私立かによっても上下します。例えば、私大文系を志望する場合は英・国・社の3教科で受験できますが、国公立を志望する場合は英・国・数・理・社の5教科を学ばなければなりません。授業数が増えれば学費は上がっていきます。

さらに、予備校に通うのが早ければ早いほど通学する期間が長くなるため、費用がかさみます。できるだけ早く予備校での勉強を始めた方が受験には有利なので、高校1〜2年次から予備校に通う人もいるわけですが、当然のことながら、高校3年次から通う人よりも多くのお金を支払うことになります。

特待生などの割引制度を利用する方法もあり

そこで活用したいのが、各予備校の制度です。予備校ごとに差はありますが、特待生制度や奨学金制度、入塾金の割引制度を設けているところもあります。教育ローンとは別物になりますが、このような制度があるかどうかを基準に予備校を選んでもよいでしょう。

例えば河合塾は、時期や地区によっては奨学生を募集することがあります。河合塾が実施した模試成績が優秀な場合、特別奨学生選考試験による認定を受けた場合など、学費の一部を割引してもらえます。

Z会は経済的援助を必要とする成績優秀者に対して、指定の大学に合格し入学した時点で一定金額を給付する「Z会奨学金」という制度を設けています。対象となる生徒は毎年数名と難易度は高いですが、チャレンジしてみて損はないでしょう。

予備校の学費は教育ローンで工面する方法も

とはいえ、予備校が設ける特待生制度や奨学金制度は一部の人しか利用できないものです。そのような制度を利用できない人は、予備校に通う多額の費用を工面するために一体どうすればいいのでしょうか。

答えは教育ローンです。教育ローンについて、学校の学費にしか使えないと思っている人もいらっしゃることでしょう。しかし、教育ローンは予備校への支払いにも使うことができるのです。受験にかかる費用(受験料や交通費など)や、学業に必要なパソコンの購入費などにも利用可能です。

自分に合ったおすすめの教育ローンはどれ? 5種類のローンを比較!

一口に教育ローンと言っても、公的機関が提供するものから、民間が提供するものまで、さまざまな種類があります。そのため、どれを利用すればよいのか迷ってしまうかもしれません。

数十万円~100万円以上ものお金を借りるのですから、失敗しないようにしなければなりません。そこでここからは、どんな教育ローンがあるかを説明しつつ、おすすめの教育ローンもご紹介していきます。

予備校費用に利用できる教育ローンの種類にはどんなものがある?

まずはそれぞれの教育ローンの特徴を確認してみましょう。

国の教育ローン(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫による教育一般貸付は、「国の教育ローン」と呼ばれています。そのメリットは、何と言っても金利が低いことです。年1.95%の固定金利は、各種ローンの中で最も低い利率です。加えて、以下に該当する場合は、さらに金利が−0.4%(年1.55%)となります。

・交通遺児家庭
・母子家庭、父子家庭
・世帯年収200万円(所得132万円)以内の人
・子ども3人以上で世帯年収500万円(所得356万円)以内の人

国の教育ローンは、子ども1人につき350万円まで借り入れが可能です。しかし、以下の要件に該当する場合は上限が450万円まで増えます。

(1)自宅外通学
(2)修業年限5年以上の大学(昼間部)
(3)大学院
(4)海外留学(修業年限3ヵ月以上の外国教育施設に留学する場合)
上記いずれかの資金として利用する人

また国の教育ローンは、子どもの人数によって、下表のように世帯年収(所得)の上限額が決まっています。これを超える年収の世帯では、国の教育ローンは利用できません。

子どもの人数世帯年収(所得)の上限額
1人790万円(600万円)
→要件を満たせば990万円(790万円)まで緩和される
2人890万円(690万円)
→要件を満たせば990万円(790万円)まで緩和される
3人990万円(790万円)
4人1,090万円(890万円)
5人1,190万円(990万円)

子どもが2人以内の場合、一定の要件を満たせば、世帯年収(所得)の上限額が990万円(790万円)まで緩和されます。詳しくは日本政策金融公庫のホームページをご覧ください。

また、大学入学以降に、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金と併用することも可能です。JASSOは、学生の修学環境を整備するために、奨学金事業や学生生活支援事業を行っている機関です。JASSOの奨学金には大きく分けて「給付奨学金(返済不要)・貸与奨学金(返済必要)」の2種類があります。返済不要の給付奨学金を受けるためには、JASSOが定めた基準以上の学力が必要で、家計(収入・資産)基準も満たしていなければなりません。

国の教育ローンとJASSOの奨学金を併用する場合、奨学金が「給付奨学金」であればさほど問題はありませんが、「貸与奨学金」の場合は返済額が大きくなります。併用する際は慎重に検討しましょう。

自治体のローン・利子補給制度

各自治体で独自の教育支援を実施していることもあります。例えば、東京都は「受験生チャレンジ支援貸付事業」として、予備校の学費や受験料に使える費用を無利子で貸し付けています。高校・大学等に入学した場合、返済が免除される点も特徴的です。

また、前述の国の教育ローンや他の教育ローンを借り入れている場合、返済を補助してくれる制度を設けている自治体もあります。国の教育ローンの利子だけでなく、民間ローンの利子でも補助してくれる自治体は多くあります。

例えば、茨城県神栖市では、公的金融機関(日本政策金融公庫 )だけでなく、民間金融機関(茨城県神栖市内に本店・支店のある金融機関)の教育ローンを利用した人に対し、対象融資限度額300万円に対して、正規の修学年数の利子を100%補給しています。

補助の条件や割合は自治体によって異なりますが、2023年時点では、北海道名寄市、青森県つがる市、宮城県仙台市、山形県酒田市、福島南相馬市、茨城県神栖市、埼玉県深谷市、埼玉県富士見市、埼玉県吉川市、千葉県成田市、千葉県市原市、千葉県白井市、神奈川県箱根町、岐阜県山県市、岐阜県郡上市、長野県東御市、静岡県下田市、鳥取県、香川県高松市などで、大学生の教育ローンの補助が受けられます。

内容としては、利子の負担を軽減するという自治体がほとんどです。例えば千葉県成田市では、国の教育ローンの利子の半額を最長7年間補給してくれます。お住まいの自治体にどのような制度があるか、一度調べてみることをおすすめします。

民間金融機関の教育ローン

銀行や信用金庫などの民間金融機関が、教育ローンを提供していることも少なくありません。国の教育ローンとの大きな違いは、国の教育ローンは世帯年収(所得)の「上限」があるのに対し、民間の教育ローンは年収の「下限」が決められていることです。

民間の教育ローンは、銀行などが提供するさまざまなローン商品の中の1つです。そのため、他のローンと同じく「前年度の税込年収200万円以上」などの融資条件があります。また、「両親または本人が申込時に満20歳以上、満65歳以下」などの年齢要件がある点も、国の教育ローンと異なります。

民間の教育ローンの借入限度額は500万~1000万円、金利は実質年率3~5%程度のものが多いですが、機関によってばらつきがあります。また、有担保型・無担保型、変動金利・固定金利があるため、申し込みの際に詳細をよく確認しましょう。

民間金融機関の教育ローンは借入限度額が大きいものの、金利は国や自治体のローンよりも高くなります。そのため、国の教育ローンや自治体のローンに比べると、利用の優先順位は落ちます。

予備校が指定する信販会社のローン

大手予備校では、信販会社などと提携し、特定のローンを案内する場合があります。学費を分割払いしたい場合などは、指定されたローンを利用しなくてはなりません。特に、オリエントコーポレーション(オリコ)の「学費サポートプラン」を指定する予備校が多いようです。

しかし、金利は実質年率3~4%程度と、民間金融機関のローンと同じくらいです。また、提携しているからといって審査に通りやすいわけでもありません。金融機関で直接ローンを組んだほうがお得になるケースも十分あり得ます。予備校に指定のローンがあるかどうかは、特に重視しなくても良いでしょう。

カードローン・キャッシング

最終手段として、銀行や消費者金融、信販会社が提供しているカードローンやキャッシングを利用する方法もあります。借りたお金の用途は自由とされているものが多いので、予備校費用に充てても問題ありません。

しかし、ここまでご紹介したような教育ローンと比べて、カードローンやキャッシングの金利はかなり高いと言わざるを得ません。金利は3~18%のように幅を持たせて記載してありますが、100万円未満の少額を借りる場合、通常は最高金利に近い年率が適用されます。つまり、チェックしなければならないのは最高金利の数値ということです。

最高金利(実質年率)を比べると、銀行系カードローンは14%程度、消費者金融系カードローン・クレジットカードのキャッシングは18%程度であることが多いです。国の教育ローンは1.95%、民間金融機関の教育ローンでも3~5%程度であることを考えると、その差は歴然でしょう。

国や自治体の教育ローンがおすすめ!

このようにそれぞれのローンを比較すると、国や自治体といった公的機関が提供している教育ローンが最もおすすめと言えます。まずは国の教育ローンや無利子で利用できる自治体のローンに申し込み、審査に通らなかった場合にのみ、銀行や信用金庫など、民間の金融機関の教育ローンを検討するのがよいでしょう。

さらに詳しく知りたい人は、以下の、塾・予備校の平均的な費用の記事や、塾・予備校の費用の抑え方の記事もご覧ください。

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