大学受験生に感謝される保護者のサポートとは。受験生の62%、保護者の行動・発言が受験の合否に「良い意味で影響 した」

~受験生から特に感謝されたのは「塾・予備校や通信教育の費用を出してくれた」「願書の提出など、受験の手続きをしてくれた」「励ましの言葉など、精神的に支えてくれた」~

サマリー

  • 大学受験生の3人に2人、保護者のおかげで合否に「良い影響」があった
  • 大学受験の際、保護者から「どこの大学を受験するか、口出し/アドバイスがあった」(38.4%)
  • 受験生が特に感謝したのは「塾・予備校や通信教育の費用を出してくれた」「願書の提出など、受験の手続きをしてくれた」「励ましの言葉など、精神的に支えてくれた」
  • 「うっとうしいとも思ったが、段々とサポートをうれしく感じるように」。大学受験経験者が語る保護者への感謝

調査概要

子どもが大学受験を迎えたのなら、あれこれとサポートしてあげたくなるのが親心というものでしょう。

ただ、「○○大学を受験しろ」「自宅から通える範囲の大学がいいぞ」といった進学先のアドバイス、「塾・予備校に通って受験勉強しろ」「この問題集を全部やれ」といった勉強法の指示など、大学受験について保護者が口出ししてくることを嫌がる受験生もいます。

果たして、保護者は受験生に対してどんなことを「やるべき」で、どんなことを「やってはいけない」のでしょうか。大学・大学院を卒業したか卒業見込みの20代男女1170人を対象に、大学受験の際、保護者にしてもらって感謝していることを調査してみました。

調査結果

大学受験生の3人に2人、保護者のおかげで合否に「良い影響」があった

比較的最近、大学受験を経験した20代の男女は、受験勉強中に保護者からしてもらったことに対して、どう感じているのでしょうか。

「大学受験の合否に、保護者の行動・発言は良い意味で影響したと思うか」と質問したところ、23.6%が「非常に影響したと思う」、38.6%が「ある程度、影響したと思う」と回答。合わせて62.2%の大学受験経験者が、保護者の行動・発言が受験の合否に良い意味で影響したと考えていることが分かりました。

Q1-あなたの大学受験の合否に、保護者の行動・発言は良い意味で影響したと思いますか?(n=1170)

大学受験の際、保護者から「どこの大学を受験するか、口出し/アドバイスがあった」(38.4%)

続いて、保護者の行動・発言とは具体的にどのようなものであったのか、大学受験経験者に教えてもらいました。その結果が次のグラフです。

Q2-あなたの保護者は、大学受験に向けて、あなたのためにどんな行動・発言をしましたか?(n=1018)

最も多かったのは、「どこの大学を受験するか、口出し/アドバイスがあった」(38.4%)でした。次いで「願書の提出や受験料の振り込みなど、受験の手続きをしてくれた」(37.6%)、「いつもと変わらぬ態度で、静かに見守ってくれた」(31.3%)、「受験する大学について情報収集して教えてくれた」(26.8%)、「塾・予備校や通信教育の費用を、快く出してくれた」(25.0%)といった項目が上位に並びました。

受験生が特に感謝したのは「塾・予備校や通信教育の費用を出してくれた」「願書の提出など、受験の手続きをしてくれた」「励ましの言葉など、精神的に支えてくれた」

それでは、こうした保護者の行動・発言について、大学受験経験者はどのように感じていたのでしょうか。それぞれの項目について、感謝しているか、迷惑だと感じているか、と尋ねた結果、次のような回答が集まりました。

「どこの大学を受験するか、口出し/アドバイスがあった」「どんな塾・予備校や通信教育を活用すべきか、口出し/アドバイスがあった」といった項目については、「とても感謝している」「感謝している」の割合が若干低めになりましたが、どの項目についても保護者に感謝している大学受験経験者が多いことが分かりました。

中でも、「塾・予備校や通信教育の費用を、快く出してくれた」(78.0%)、「願書の提出や受験料の振り込みなど、受験の手続きをしてくれた」(70.5%)「励ましの言葉を言ってくれるなど、精神的に支えてくれた」(68.8%)などの項目は、「とても感謝している」の比率が高くなりました。

「うっとうしいとも思ったが、段々とサポートをうれしく感じるように」。大学受験経験者が語る保護者への感謝

大学受験経験者は、保護者のどんな行動・発言に感謝しているのか、あるいは迷惑に感じたのか、詳しく聞いてみました。回答者から寄せられた内容は次のとおりです。

[受験大学について、口出し/アドバイスがあった]

・勉強がとにかく大嫌いで試験を受けなくてはならないのなら大学にさえも行くこともやめようとしていたわたしに、親は学科試験のないAO入試を勧めました。結果として全く勉強しなくとも実技と面接のみで大学に入学することができました。親は大学探しと学費の支払い、手続きを全てやってくれました。社会人となり大学を出たことが就職先の幅を大きくしてくれたため今ではとても感謝しています(27歳・女性)

・どこの大学に行こうか迷っていて、偏差値がどうこう言ってたら、親が偏差値なんて関係ない 自分のしたいことをしろと言ってくれて、偏差値はそこまでではないですが自分の行きたい医療系に行くことができました。 偏差値重視で行きたくない分野に行く可能性もあったのでよかったです(27歳・男性)

・基本的には口出さずに見守ってくれていたが、唯一、センター試験の結果から志望校を2つのどちらで行くか悩んでいる時に『どちらの道を選んでも正解。大学に入学してからが大切やから、自分が頑張れる方を選びなさい。』と助言をしてくれた。肩の荷がスッと降りて頑張れた(29歳・男性)

[静かに見守ってくれた]

・すべてを任せてくれた(29歳・男性)

・いい意味で何もしなかった。この大学受けたいと言ったらなんの詰問もせずに了承してくれた。それが妙ながらも自己肯定感に繋がった。後から聞くと父は私の志望校にどうせ受からないと思ってたらしい。受かってホントに良かった(26歳・男性)

・母はずっと私のことを応援してくれました。勉強の方法や進路に口を出したりするのではなく、悩んだ時に案を出してくれるというスタンスでした。また、私の決定に対して私以上に調べてくれたので参考になりました(29歳・女性)

[情報収集して教えてくれた]

・さりげなく受験の情報を教えてくれたりした。なんとなく、気を遣ってくれているのがわかった。あまり口煩く言われたくないので精神的に楽だった(23歳・女性)

[塾・予備校や通信教育の費用を出してくれた]

・予備校に通わせてくれて、勉強についてはほとんど口を出さず自分を信頼してくれていた(27歳・女性)

・予備校に1年間半通わせてくれ、送迎もしてくれた。保護者会などには必ず参加し、教材費や合宿費なども嫌な顔一つせずに出してくれた。後悔のないように受験を終わらせたいと思い、自分は恵まれていて当たり前ではないと思った(21歳・女性)

・勉強する環境について一緒に考えてくれたり、その上で塾等に金銭的援助をしてくれた。また、家でのサポート(助言、励まし等)もしてくれた。最初は受験生という立場に慣れずイライラもして嫌だなぁ、うっとうしいなぁとも思ってしまったが、段々と有り難みが分かるようになり、一つ一つのサポートがとても嬉しく感じるようになった(23歳・女性)

・予備校の受講費やすべり止めの受験費など、相談したら嫌な顔をせずに出してくれた。安い値段ではなかったため、とても有難いと感じた。また、その分頑張らなくてはいけないと感じた。勉強については口出ししなかったが、朝起こしてくれたり縁起物のお菓子を買ってくれたりしてくれ、自分のペースで勉強を進められたしそれを見守ってもらっている感じがあった(28歳・女性)

[精神的に支えてくれた]

・お金の事を考えずに好きな学校へ行きなさいと言われた。ありがたいと思いました(27歳・女性)

・あなたらしい、あなたのまんまでええよといってくれて、心の負担が軽くなった(26歳・女性)

・メジャーな大学ではなかったものの、自分で決めたことならそれが正解だとエールを送ってもらえた。お陰で自信を持って安心して受験に臨むことが出来た(29歳・男性)

・勉強をしやすいように、勉強時間中はキッチンなどでの作業を控えて静かにしてくれたり、『頑張って!』ではなく『やれることをやればいいんだからね』と励ましてくれた事が嬉しかったです(28歳・男性)

[受験のために、宿・交通機関を手配してくれた]

・まず、自分のしたいように、行きたいようにしたらよいと言われ、気持ちが楽になった。私は推薦入試で面接があったのだが、母がホテルを手配してくれたり、ホテルでリラックスさせるために話をしてくれたり、面接当日に頭が痛くなってしまった自分に、大丈夫と手を握ってくれたりした。おかげで本番はしっかりと挑むことができた。そのときは自分のことでいっぱいいっぱいだったが、今思うと本当によくしてくれたと思う(20歳・女性)

[勉強する環境を整えてくれた]

・健康の面に関しては、食事や家事など身の回りのあらゆることに対してサポートをしてもらった。また、受験勉強疲れでストレスがたまっている時に、温泉や買い物などいろいろな気分転換を提案、実行してくれストレスの緩和を行なってくれたりもした。(29歳・男性)

・学校の図書館で勉強して夜遅くに帰ってきても、嫌な顔ひとつせずに「お疲れ様」と夕食を作ってくれたこと。追い詰められることもなく、ストレスなく勉強に集中できたので、ありがたかった(28歳・男性)

・兄弟と同部屋だったが、受験勉強に集中できるように部屋を分けてくれた。塾や模試のときは昼食や夜食のお弁当を作ってくれた。塾や冬季講習に通わせてくれた。普段は自転車通学だったが、通学時間にも勉強できるように、また怪我等をしないようにと受験期はバスの定期券を買ってくれた(23歳・女性)

[学校や塾・予備校などへ送迎してくれた]

・塾の送迎をしてくれたり、私の進路について応援するような言葉をくれた。あと、お金のことは心配しなくてもいいと私用の貯金額を教えてくれた。すごく感謝している(22歳・女性)

こうした感謝のメッセージが寄せられた一方で、次のような回答も見受けられました。保護者の行動・発言によって大学受験のモチベーションを削がれるなど、足を引っ張られた大学受験経験者もいたようです。

・親からもっと良い大学に行くために勉強しろといわれたものの自分としては分かりきっていることなので無視した(28歳・男性)

・志望校を指定された。国公立のみ受験が許された(22歳・女性)

・勉強しろしろと言われた。むしろやりたくなくなった(24歳・男性)

・親から所定の大学を受けろとしつこく言われたが興味のない大学だったため勉強のモチベーションが上がらなかった(28歳・女性)

・希望大学について、自由にしなさいと言われた。もう少し興味を持って欲しかった(22歳・女性)

・いきたい大学よりも偏差値を比較して、どの大学に進むべきかを諭してきたこと。自分は行きたい大学へ行くという強い意志を貫くことができなかった(25歳・男性)

調査手法

  • 調査期間:2020年4月1日~4月4日
  • 調査対象:大学に在学中か、卒業した20歳から29歳の男女
  • 調査方法:インターネット調査

まとめ

大学受験に向けて、子どものためにどんなことができるのだろうか――。こうお悩みの保護者の方にとって、今回のアンケート調査結果が、多少なりともお役に立てる内容になっていたら幸いです。

また逆に、大学受験生の皆さんは、こちらの調査結果について保護者の方と「△△を感謝している人がこれだけいる」と話題にすることで、やってほしいこと、やってほしくないことを間接的に伝えてみてはいかがでしょうか。

今回の調査で寄せられた回答を見る限り、例えば、同じ「受験大学に関する口出し/アドバイス」であっても、本当に子どものことを思って発した言葉であるかどうかで、子どもの受け止め方は違ってくるように感じます。保護者本位でなく、子どものことを真に考えてサポートできているか。そこさえ外さなければ、どんな小さな行動・発言であっても、あるいは普段とまったく変わらない行動・発言であっても、受験生にとってはありがたいサポートになるのではないでしょうか。