怒りを抑えるには「書いて捨てる」が効果的 名古屋大が実証

名古屋大学は2024年4月10日、怒りの内容を紙に書いて捨てれば、怒りの感情を抑えられることを、科学的な実験で実証したと発表した。この方法を使えば、感情をコントロールする訓練を受けなくても、簡単に怒りが抑えられるという。研究成果は同日、オンライン総合科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

名古屋大学の研究グループは、実験参加者が書いた文章に対して低い評価を与えることで怒りを生じさせた後、怒りを感じたときの状況を客観的に紙に書かせた。そのうえで、その紙を丸めてゴミ箱に捨てた場合と、書いた紙を捨てずに保持した場合で、怒りの感情に変化があるかどうかを調べた。

その結果、紙を丸めてゴミ箱に捨てた場合は、侮辱される前と同程度まで怒りの感情が低下し、保持した場合はそれほど下がらなかった。また、ゴミ箱に捨てる代わりにシュレッダーで裁断した場合も怒りは低下したが、箱に入れただけでは低下しなかった。

上手に怒りと付き合うための心理トレーニングとして、「アンガーマネジメント」という手法が知られているが、これは実験や客観的事実に基づいた手法ではない。また、「再評価」や「自己距離化」という手法は、怒りを抑制することが証明されているが、怒っている最中に行うのは難しく、誰でも簡単にでき、効果的な怒りの抑制手法はこれまでなかった。

今回の手法を使えば、メモを取るようにして怒りを書き出して捨てることで、その場の怒りを抑えられるため、ビジネスシーンでも活用できる。研究グループは今後、紙だけでなく、電子メールや電子ファイルのようなデジタルの媒体でも同様の効果が得られるのかを検証していく必要があるとしている。

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