旺文社は2020年12月1日、私立大学の入学者の動向について調査した結果を発表した。それによると、定員管理の厳格化が実施されたことなどが要因となり、都市圏にある大・中規模大学への入学が難化し、地方の大学を含む小規模大学への入学者が増加しているという。
2006年度以降、私立大学全体の約4割に相当する200超の大学で入学定員割れの状態が続き、逆に大都市圏や大・中規模の大学で入学定員超過の現象が見られた。特に2014年度は、全国約4万5000人の入学定員超過のうち、約3万6000人が3大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)に集中。しかも約3万1000人が、収容定員4000人以上の大・中規模大学に偏っていた。3大都市圏における2015年度の入学定員充足率は、大規模大学で109.6%、中規模大学で111.4%にも上っている。
このような大都市圏や大・中規模大学への学生の集中が政府により問題視されたことで、2016年度からは定員管理の厳格化が実施されることになった。その結果、入学定員割れの私立大学は2017年度になると減少に転じ、2020年度に私立大学全体の31%に当たる184校に縮小した。
3大都市圏の大規模大学の入学定員充足率は、2019年度に100%を割った。中規模大学の入学定員充足率も、2019年度に104.5%に下落している。その一方で、小規模大学の入学定員充足率は右肩上がりとなり、2017年度に3大都市圏で、2019年度にはその他の地域でも100%超に到達した。
旺文社によると、2016年度以降、特に3大都市圏の大・中規模大学で実質倍率の上昇、つまり入試の難化が見て取れるという。同社は、「都市部の大規模校で合格者が絞り込まれたことで、従来であれば合格していたと考えられる学力の受験生が弾き出され、玉突きのように併願校に流れていくという動きとなった」としている。
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