Institution for a Global Society株式会社(IGS)は2022年11月2日、生徒の潜在的な文系・理系傾向などのバイアスを明らかにする診断ツール「Ai GROW(アイ・グロー) 傾向チェックテスト」のデータをもとに、中学3年生から高校3年生までの文理傾向のバイアスの変化を男女別に分析した結果を発表した。それによると、中学3年生の時点では男女ともに理系傾向であったにもかかわらず、高校1~2年生にかけて、女子生徒は男子生徒よりも文系のバイアスが急激に強まっていることがわかったという。
同社は2021年10月から2022年8月にかけて、中学3年生55人(男子45人・女子10人)、高校1年生1210人(男子667人・女子543人)、高校2年生1027人(男子675人・女子352人)、高校3年生1033人(男子687人・女子346人)の計3325人を対象として、「Ai GROW」の文理傾向バイアス診断機能での生徒の文系・理系に関するバイアス測定を実施した。
同調査によると、中学3年生の時点では男女ともにバイアスは理系傾向に強く出ており、男女差にも統計的に有意差がなかった。しかし高校1年生以降は、男女ともに文系の傾向が強まった。男女差に関しては、高校1年生以降で統計的に有意差が出ており、女子生徒は男子生徒よりも文系バイアスが急激に強まっていた。
同社は、アメリカの社会心理学者クロード・スティールが「周りの人に偏見をもって接されると、学業やスポーツ、仕事などで実際にパフォーマンスが落ちてしまう可能性」を指摘していることを根拠とし、高校1~2年生の時期に「女子は文系」というバイアスが、先生や保護者からの声掛けなどの環境が要因で大きくなり、高校3年生の時点で、数学の点数に男女差が出ている可能性があると分析している。
一般的に文理選択をする高1~2でバイアスが急激に強まることが判明したが、バイアスに惑わされずに学業を進めるためにも、予備校の選び方も読んで、自身に合う指導が受けられる環境を作ってほしい。
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女子の文系バイアスは高1から強まる。バイアス形成後、数学点数に影響か。IGSが、中3~高3の文理傾向のバイアスの変化を男女別に調査|IGS株式会社のプレスリリース