2023年1月14日と15日の2日間行われた大学入学共通テストについて、河合塾は15日の試験終了後、問題の傾向や難易度について総合コメントを発表した。3年目を迎えた共通テストは、過去2年の結果を踏まえて出題内容も定着し、全体的に難易度も調整されているという。
河合塾によると、主題傾向は前年から大きな変化はなく、大学入試センターが示している「思考力、判断力、表現力」を問うとの基本的な考え方に概ね沿った内容。どの教科も理解の質を問う問題が中心で、基本的な知識や解法、公式の使い方などを十分に理解したうえで、文章や図表、資料などの複数テクストの内容を正しく把握し、情報を整理する力が求められた。同塾は「解を導く力やさまざまな場面で実践的に活用できる力を問う出題となった」としている。
また、前年同様、資料などを含む問題の分量が多く、問題の構成も複雑で、限られた時間の中ですべて解答するのは厳しい教科が多かった。
新学習指導要領の「総合的な探究の時間」を意識してか、身近なテーマにおける探究学習や実験・考察に関する問題が複数の科目で出題されたのも特徴。物理基礎では風力発電、現代社会で子供の貧困、化学でしょうゆに含まれる塩化ナトリウム量といった問題が出された。このほか、時事的なトピックとして、政治・経済で少年法改正、SDGsが取り上げられた。
河合塾では「身近な出来事や世の中で起こっていることから課題を発見し解決方法を構想する場面、資料やデータを基に考察する場面など、学習の過程を意識した問題が出される傾向は今後も継続すると想定される」として、受験対策の中で日常生活や社会の出来事にも目を向けておく必要があるとしている。