大学学費の平均額、私立授業料が上昇傾向 旺文社まとめ

旺文社教育情報センターは2024年8月6日、同センターが集計した「2024年度大学の学費平均額」を公表した。国公立大学は横ばいで推移しているが、私立大学の授業料にはやや上昇傾向がみられる。

今回のデータは、旺文社の「螢雪時代」が全国の大学を対象に毎年行っているアンケートをもとに集計した。大学別の学費は、「螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号」に掲載されている。

国立大学の入学金と授業料は、文部科学省が定める標準額(入学金28万2000円、授業料53万5800円)の20%増を上限に各大学で決められる。現在、ほとんどの学校が標準額に合わせていて学費の平均額もほとんど変動がない。標準額と異なる額を設定しているのは、入学金では東京藝術大学の33万8400円。授業料では、東京工業大学が63万5400円、東京藝術大学と千葉大学、東京医科歯科大学、一橋大学、東京農工大学の5大学が64万2960円としている。

公立大学は、入学者や保護者の居住地によって入学金が異なることが多く、入学金の平均額は、地域内は22万1399円、地域外が38万2423円となっている。授業料は、国立大学と同水準となっている。

一方、私立大学の入学金の平均額は25万8434円と国公立と比べて大きな差はないが、授業料の平均額は98万5236万円と、国公立の2倍弱となっている。医学部や歯学部など授業料が高額な学部の影響を受けにくい中央値で見ても、私立大学の授業料は88万円で、国公立の1.6倍程度になる。

昨年に比べて授業料が上昇した私立大の学部は、医学部が5万5000円増で、芸術学部が3万5000円増、法学部が1万7000円増、理学部が1万5000円増などだった。経済・経営・商学部も1万3000円増えた。ただし学費の内訳を見ると、前年は授業料・教育充実費・施設設備費・実験実習費などに分けていた大学が、本年はすべて含めて授業料とした例があり、単純には比較できない。

一方、私大の学部で授業料が下がったのは歯学部で、初年度納入金の平均額が21万円下がった。明海大学歯学部と朝日大学歯学部が初年度の授業料を190万円から95万円へ減額したことと、日本歯科大学新潟生命歯学部が授業料、施設維持費、教育充実費を計173万円減額した影響による。

授業料の横ばいが続く国公立大学だが、物価上昇により財務状況が悪化しており、24年6月には国立大学協会が危機的な財務状況の改善に向けて国民の理解と協力を求める声明を出した。東京大学も値上げを検討しており、値上げされた場合、追随する大学が現れることも予想される。

同社は「大学進学に際しては、各大学独自の奨学金や国による修学支援新制度などの利用を視野に入れ、条件や額を事前に確認しておきたい」とアドバイスしている。

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