国連児童基金(ユニセフ)や国連教育科学文化機関(ユネスコ)、世界銀行は2021年12月6日、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大による学校閉鎖の結果、現在の児童・生徒たちが失う生涯年収の総額が現在の価値で17兆米ドルに上る可能性があるとする報告書を公表した。この額は世界全体のGDP(国内総生産)の約14%に相当。ユニセフなどは各国に教育費予算の増額やデジタル学習を受けられる環境の整備を求めている。
公表された報告書「世界的な教育危機 回復への道のり」によると、低・中所得国で「教育の貧困」状態にある児童・生徒の割合は、感染症拡大の前も53%に達していたが、感染症対策で学校閉鎖などが行われた結果、70%にまで上昇した可能性がある。特に、低所得世帯の子供や障害児、女子は同世代の子供と比較して、遠隔学習へのアクセス機会が少ない傾向にあり、影響を受けやすい状況に置かれている。
このため、ユニセフなどは「学習損失を食い止め、回復するため、学校の再開は緊急かつ最優先事項だ」と指摘。この世代の生徒たちがこれまでの世代と同等の能力を身に付けられるよう「学習回復プログラム」を導入すべきだと各国に提言している。
具体的には、生徒にデジタル学習の機会を提供するための環境整備や政府の教育予算の増額、教師の指導力向上のための支援のほか、子供の学習における親や家族、コミュニティの役割強化が必要だとした。
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