旺文社教育情報センターは2022年8月22日、独自に調査した「2022年度大学の学費平均額」を公開した。同調査の結果、全般的に大学の学費は上昇しており、特に私立大学の授業料は上昇傾向が顕著だった。
同社では、全国の大学を対象に学費を定期的に調査。同調査では、学費を「入学金」「授業料」「初年度納入金」の3つの観点から分析している。なお初年度納入金とは、入学金や授業料、施設設備費、諸会費など1年次に支払う学費総額を指す。
国立大学では入学金と授業料を、文部科学省が定める標準額の20%増を限度に各大学で決められるようになっている。2022年度、入学金が標準額と異なったのは東京藝術大学のみで、33万8400円。また、授業料が標準額と異なるのは5大学で、東京工業大学が63万5400円、千葉大学と東京医科歯科大学、東京藝術大学、一橋大学が64万2960円となっている。
公立大学は、入学者や保護者らの居住地によって入学金が異なる大学が多く、その差は1.25倍~3.0倍と大学によってさまざまである。授業料は地域もよる差はなく、授業の中央値は国立大学の標準額と同程度となった。
一方私立大学は、理系と文系で授業料の額に大きな差がある。初年度納入金が最も高い医学部系統と最も低い法学部系統では、約600万円の差があった。実習や実験、少人数指導の有無が、金額に反映されていると考えられる。
同センターによると、「2016年度以降、私立大学の医学部や薬学部の一部で入学金や授業料を値下げする動きもあるが、多くの学部系統で上昇が見られる」とのこと。このため、同センターは「進学先の検討にあたっては、国や自治体などの奨学金制度を早い時期から理解し、活用を検討するとともに、大学独自の奨学金制度や特待生制度にも着目を」とアドバイスしている。
また、「学費の額だけではなく、設備の充実度や授業内容も確認することが大切だ」としている。
大学の学費は上昇傾向にあるため、受験費用は可能な限り安く抑えたいところ。予備校にかかる平均的な費用や学費を安く抑える方法を紹介した記事も読んで、予備校選びの参考にしていただきたい。