塾・予備校の比較・選び方|最初に読むべきチェックポイント15点

高校へ進学したものの、すぐに大学受験がやってくる。全国テストを受けたが、第一志望の大学の合格判定は良くなかった。このまま受験本番を迎えても、大丈夫なのだろうか――。

こういった悩みを抱えて、塾・予備校に通い始めようか、新しく通信教育の教材を申し込もうか、検討し始めている人もいるかと思います。

ただ、大切な高校生活はわずか3年間。受験本番までに残された時間は、決して多くはありません。塾・予備校に通い始めたとしても、必ずしも学力UPにつながるわけではありません。あなたに合ったところを選ばないと、「この塾・予備校は、教え方が分かりづらいな……」と気が付いたときには、残された時間がさらに少なくなってしまいます。

そこでこちらの記事では、塾・予備校を比較して検討するときにどんな視点を持って探せば外さないのか、塾・予備校の選び方をご紹介していきたいと思います。

まず記事の前半では塾・予備校を比較するときのチェックポイントを、後半ではさまざまなケース別に比較・検討する際の選び方を取り上げていきます。おすすめの予備校を取り上げた詳しい別記事もあわせてご紹介していきますので、大学受験に向けた塾・予備校選びの参考にしてください。

塾・予備校を比較するとき、おさえておきたいチェックポイント 15点

Check:講師・カリキュラムは、質・量に加えて”マッチング度”を見よう

塾・予備校に通う最大のメリットの1つは、高校の先生とは別の先生、大学受験に詳しい講師から勉強を教えてもらえるところでしょう。高校の授業が分かりづらくても、塾・予備校の先生に教えてもらったらすんなり分かった――なんてこともあると思います。

ただ、塾・予備校の講師のレベルは本当に千差万別です。筆者自身の経験として、大学時代に塾講師のアルバイトに応募して「塾講師として素人なのに、トレーニングなどをろくに受けないまま、いきなり生徒に教えることになった」と驚いていた友人がいました。小規模~中堅クラスの塾・予備校を選んだ場合、良い講師と出会えればいいのですが、どんな講師に教わることになるか分からないというリスクがあることも覚えておきましょう。

そういった講師の質などを含めて、塾・予備校を比較するときにチェックしてほしいポイントは次のようになります。

[Check Point]

● 講師の授業・教え方は”自分にとって”分かりやすいか
● 授業・カリキュラムのレベル・難易度は、自分の学力に合っているか
● テコ入れ/強化したい教科・学習分野の授業が受けられるか
● 志望大学別の対策が充実しているか
● 難関校などへの合格実績はどうか。特に自分の志望する大学の合格実績が優れているか

Check:その塾・予備校へ、無理なく通い続けられるか

あなたが現役高校生なら、高校の授業が終わってから塾・予備校へ通うことになるでしょう。高校・自宅から通いやすい場所にある塾・予備校か、放課後に受講しやすい時間割になっているか――こうした点をチェックして、高校生活と両立できる塾・予備校を選ぶ必要があります。

また、塾・予備校へ通いたくなるか、続けたいと思えるか、といった視点も欠かせません。受験勉強でつまずいたときにサポートしてくれる仕組みがあるか、同学年のライバルと競い合える環境か、勉強するモチベーションを高く保てそうな塾・予備校を探しましょう。

次のような点をチェックしておけば、塾・予備校に無理なく通い続けられるのではないでしょうか。

[Check Point]

● 自宅・高校から通いやすい場所にあるか
● 放課後に通いやすいスケジュールで時間割が組まれているか
● 学習面の相談に乗ってくれてサポートしてくれる指導員はいるか
● 同学年のライバルと交流したり、模試などで競い合えたりする環境があるか

Check:自習室や進路アドバイスなどは充実しているか

塾・予備校で学んだ先輩たちの中には、「集中して勉強できる自習室を利用できたのが一番のメリットだった」と語っている人もいます。実際、塾・予備校比較ナビで調査したところ、「塾・予備校へ通うことのメリット」として「自習室を利用できる」ことをあげた人が72.0%もいました(複数回答可)。

他にも、入学試験や志望大学に関連する最新情報の提供、適切な志望校のアドバイスといった進路指導も、塾・予備校に期待できることの1つです。

特に2021年度から、大学入試センター試験が廃止されて大学入学共通テストが実施されるようになりました。大学入学共通テストの出題傾向や配点などを分析して、より精度の高い対策をしてくれる塾・予備校を見つけたいものです。

そうした+αの価値を提供してくれる塾・予備校かどうかも、事前にチェックしておくべきです。

[Check Point]

● 自習室はあるか。使いやすいか
● 志望大学に関する最新情報を持っているか
● 入学試験、特に大学入学共通テストに関する詳しい情報を知っているか
● 進路指導・アドバイスは信頼できそうか

Check:入学金・授業料はどうなっているか

最後に、通学先の候補として考えている塾・予備校の入学金・授業料を確認しておきましょう。

家計の事情から、あまり高額な塾・予備校には通えない方もいらっしゃるかと思います。けれど、「安かろう悪かろう」とも言います。塾・予備校に通ってみたものの役に立たず、移動時間がかかっている分だけ、図書館などで参考書を片手に自習していた方がマシだった――なんてことにならないように気を付けてください。

塾・予備校の中には、成績優秀者の授業料などを優遇する特待生制度を設けているところもあります。入学金・授業料で厳しい制限があるようでしたら、そうした塾・予備校を探してみてはどうでしょうか。

あるいは、授業料が講座ごとに設定されている料金システムなら、全教科を受講せず、弱点にしている教科や入試で必要な教科だけを学び、授業料を安めに抑えるのもいいでしょう。夏期講習だけ利用するなど、利用する期間を絞るのも選択肢の1つかもしれません。

最初に入学金・授業料だけを見て選択肢を狭めてしまうのではなく、あなたにとって本当に必要な学習指導やサポートをしてくれる塾・予備校かどうか、しっかり見極めて選ぶようにしてください。

[Check Point]

● 料金システムはどうなっているか。入学金・授業料はいくらか
● 特待生制度はあるか。 費用を予算内に抑えられるように手を打てるか

ケース別に考えよう。あなたにあった塾・予備校の選び方は?

さて、ここからは後半戦です。ここまでに取り上げてきたチェックポイントを頭の片隅にとどめておきつつ、ケース別にどのように塾・予備校を選んでいけばいいか、考えていきましょう。

より詳しい解説やおすすめの塾・予備校は、それぞれリンク先の詳細記事でご紹介しています。

Case 1:現役高校生か浪人生か、あなたの状況に合った塾・予備校は?

塾・予備校を比較して選ぶときに、あなたが現役の高校生なら「放課後に通いやすいスケジュールで時間割が組まれているか」という点は重要です。しかし、浪人中なら重視する必要はありません。

逆に、あなたが現役の高校生で学校に図書室などの集中して学べる場所があるのなら「自習室はあるか。使いやすいか」といった点は考慮する必要は あまりないでしょうけれど、浪人生なら自習室の有無は大切なポイントになってきます。

このように、あなたが今、現役か浪人中かで塾・予備校を比較するときのポイントが変わってきます。東進ハイスクールのように現役生中心の予備校もありますので、現役なら現役生向きの、浪人中なら浪人生向きの塾・予備校を探した方がいいでしょう。

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Case 2:文系か理系か、志望大学・学部の入試科目に合わせて対策できる塾・予備校を

もう1つ、塾・予備校を探すときに大きく影響してくる要因があります。それは あなたの志望する大学の学部が、文系か理系か、という点です。

大学受験は、文系か理系かで入試に使う教科・科目や、教科・科目別の配点が異なってきます。あなたが理系なら、理系科目を教えてくれる講師の評判や、理系の大学に関する合格実績などをチェックしておくべきでしょう。

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Case 3:強化したい科目は分かってる。単科で受講できる予備校はどこ?

ほとんどの科目では十分に点数を取れているものの、一部の苦手な科目が足を引っ張っている――。そんな状況なら、科目や学習分野を選んで必要な授業だけを受講できる「単科」がある予備校を選ぶと良いでしょう。

強化したい科目に絞って単科で受講すれば、複数の教科・科目がセットになっているコースで受講する場合よりも料金を安く抑えられます。また、強化したい科目の勉強に集中できるため、より効率的に学習を進められます。

単科がある主な予備校としては、次の2校が挙げられます。

・東進ハイスクール/東進衛星予備校
・代々木ゼミナール

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Case 4:総合型選抜(旧AO入試)に挑戦したい。入念な対策ができる予備校は?

大学とのマッチ度が重視され、学業成績のみならず、高校時代の活動や所持している資格などを多面的・総合的に評価される総合型選抜に挑戦したいのであれば、総合型選抜の合格実績に優れ、入念な対策ができる総合型選抜専門の予備校を選ぶのもいいでしょう。

総合型選抜に特化した予備校では、総合型選抜に挑戦する上で欠かせない定期テストや資格・検定、提出書類、小論文や口頭試問などの二次選考、大学入学共通テストの対策を一貫してできます。また、万が一総合型選抜に落ちた場合に備え、一般選抜対策にも力を入れている予備校もあります。

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Case 5:予備校に求めるのは環境のみ。自習室を使いやすい予備校を探そう

勉強の仕方は分かっているものの、家や学校では勉強が捗らずに困っている人もいるでしょう。「快適な学習環境だけを求めて予備校に通いたい」と考えているのであれば、自習室を使いやすい予備校を探すことをおすすめします。

自習室が充実している予備校なら、勉強に集中できる個別ブースに加えて、音読の練習ができる音読室、大学の情報を閲覧したりパソコンでインターネットを利用したりできる情報コーナー、学生同士で学びを深めたり飲食したりできる多目的スペースなど、さまざまな設備があります。

また、日曜や祝日も自習室を開放しており、授業がある日以外も利用できる予備校も多いです。休日も集中して勉強できるか、しっかり確認しておきましょう。

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Case 6:いろいろ迷って決めきれないときは、口コミで決めよう。みんなの選ぶNo.1予備校は?

いろいろな予備校のWebサイトやパンフレットを見比べてみたものの、どの予備校も魅力的に映り、1つに絞ることができないという人は、口コミをチェックしてみてはいかがでしょうか。

実際に塾に通った人の本音が反映された口コミを見れば、予備校の実態を知ることができるため、自分に適した予備校かどうかを見極めることができます。

なお、塾・予備校比較ナビが2020年に実施した調査では、「東進ハイスクール」が全予備校の中で最も高い評価を得ていました。

授業や教材の質、授業の種類・レベル、志望校対策、クラス、学習環境、校舎の立地、講師、スタッフ、学習サポート体制、進路相談、学費・料金など、さまざまな評価をチェックし、自分にピッタリな予備校を選びましょう。

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インターネットで検索すれば、おすすめの塾・予備校を紹介してくれる比較記事を簡単に見つけられると思います。けれど、あなたの状況によって、ベストの塾・予備校は違ってきます。本当にあなたにとってベストの塾・予備校と出会えるように、こちらの記事でご紹介した点をおさえて塾・予備校の比較・検討を進めていってください。