世界規模のゲノム解析で身長の遺伝的背景を解明――大阪大学などの研究グループ

大阪大学は2022年10月13日、同大学大学院医学系研究科や理化学研究所の研究グループが、世界最大規模のゲノムワイド関連解析によって、身長の個人差における遺伝的背景を明らかにしたと発表した。

同グループは、 国際共同研究グループを通じて、世界中の540万人のゲノム(遺伝情報)を解析。その結果、身長の個人差に関連する約1万2000カ所の感受性遺伝子領域を同定できた。異なる人種集団間で比較しても、身長の遺伝的背景が人種集団間で共有されていることがわかった。

さらに感受性遺伝子領域を組み合わせて解析したところ、身長の個人差の40%程度を説明できることが判明。研究グループでは、これによって「遺伝による身長の差をほとんど説明できる」としている。

ただ、540万人分のサンプルのうち、欧米人を祖先に持つ人が約76%を占めており、アフリカ系やアジア系のサンプルでは説明可能な割合が10%~20%にとどまった。また、サンプル数が300万を超えたあたりから、説明できる身長の遺伝的背景の割合の増加幅が小さくなり、一定数を超えると、サンプル数を増やす効果が失われることも分かった。

研究グループでは、「ゲノム情報に基づく身長の予測など、個別化医療の実現に向けた有用な研究結果だ」とする一方、ヨーロッパ系以外の集団についてもサンプル数を増やした研究が求められるとしている。

研究成果は、英国科学誌Natureでも公開された。

ゲノム解析の研究結果を紹介したが、このような研究をしたいと考えている人は、理系に強い予備校の選び方を解説した記事も読んで、予備校選びの参考にしていただきたい。

[関連リンク]

大阪大学
世界最大規模のゲノム解析で身長の遺伝的背景を解明

[関連記事]