関西大学・芝浦工業大学、スパコンで人流の可視化に成功――内閣官房のプロジェクトでも採用

関西大学は2023年2月10日、同大学総合情報学部の村田忠彦教授と芝浦工業大学システム理工学部の原田拓弥助教らの研究グループが、居住地と勤務地を結んだ模擬個票で実際に起こり得る人流の可視化に成功したことを発表した。

今回開発されたのは、日本の1741の市区町村の模擬個票の就業者の従業地を割り当てる技術。従来の模擬個票データでは国際調査に基づいて世帯単位の家族構成と場所の属性の割り当てを行い、いわゆる夜間人口分布の推計を行っていた。しかし今回、国勢調査と経済センサスのデータを用いて従業者の従業地の割り当てを行うことで、模擬個票から集計できる就業者に関する統計値と実統計値との誤差をゼロにすることができた。

村田教授らが開発した模擬個票データは、個人情報を一切使用せず、公開されている統計のみから作成されており、個人情報を侵害せずにサイバー空間に模擬的な実社会を構築するデジタルツインの実現に必要不可欠だという。

感染症蔓延時の外出規制、テレワーク、観光対策、ワクチン接種計画や災害時の被災者の救出・救援、救急対応、帰宅支援などの非常時だけでなく、救急医療・地域医療・予防医療などの医療基盤の構築、交通制御や都市設計など平常時の政策アセスメントにも活用できる。

さらに、既知の条件を用いた「ありえる未来像」である現状からのシミュレーションに加えて、従来の政策では到達できない「ありたい未来像」に必要な諸条件をみつけだすバックキャストを実現する「リアルスケール社会シミュレーション」のためにも必須の基礎技術となる。

本研究の成果は、内閣官房COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクトやJST未来社会創造事業で活用される。

関西大学は、関西を中心に人気のある有名私立大学だ。関西大学を志望する人は、入試制度や出題傾向、対策方法を紹介した記事も参考に、受験対策を進めていただきたい。

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■総合情報学部・村田忠彦研究室×芝浦工業大学・システム理工学部・原田拓弥研究室■ リアルスケール社会シミュレーションを実現する模擬個票を開発~居住地と勤務地を結ぶ技術。内閣官房プロジェクトやJST未来社会創造事業で活用~