岡山大学は2023年10月25日、LGBTの子どもや若者を孤独から救うため、メタバースでの交流システムを構築することを発表した。
近年、LGBTの子どもや若者が学校や家庭での悩みを打ち明けることが難しいという実態がわかってきた。2022年のLGBTの子どもや若者に関する調査によると、91.6%が保護者にカミングアウトできておらず、自分の感情や悩みを秘密にしている。さらに、48%が自殺を考えたことがあるとの報告があった。事態は深刻で、緊急の対応が求められるが、カミングアウトできない多くの子どもや若者を直接支援するのは物理的な制約もあり、難しいのが現状だ。
そこで、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)医療情報化診療支援技術開発講座の長谷井嬢准教授(整形外科)は、メタバースを活用してLGBTユースの支援ができないかと考案し、取り組んできた。そして、一般社団法人にじーずとの協力のもと、メタバースを利用したLGBTの子どもや若者同士の交流プロジェクトが始動した。
すでにトライアルを2回行っており、意見をまとめて最終的な空間調整を10月中に実施。安全面への配慮のために初回参加者はZOOMで年齢確認を行うなど、対策方法を十分に検討し、2024年1月には第1回の交流会を開催する予定となっている。日頃はLGBTであることをなかなかオープンにして話せない子どもや若者が安心して自分の悩みや日常で起きていることについて話せる場を提供し、誰一人として取り残されることなく、新しい形の支援を受けられる環境づくりを目指している。
同プロジェクトは、こども家庭庁が主催する「令和5年度NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業」に採択された。国庫補助事業として重要な課題であると認められ、孤立している子どもや若者にとっての新たな支援の選択肢として期待されている。
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LGBTの子ども・若者達を孤独から救う!~メタバースを用いた新しい交流システムの構築~ – 国立大学法人 岡山大学