2026年現在、学習の現場では「生成AI」が大きな変化をもたらしています。さまざまな学習シーンで「生成AI」が活用されており、一部の大学では生成AIに関する利用ガイドラインを策定する動きも見られます。
本記事では、日常的に生成AIを活用している学生や受験生388名を対象に、「塾・予備校比較ナビ(株式会社ジェイディーネット)」が「学習における生成AI利用アンケート」を実施いたしました。
学生や受験生がどのように生成AIを使い、何に期待しているのかを見ていきましょう。
| 調査概要 調査概要:学習における生成AI利用アンケート 調査期間:2025年12月24日 ~ 2026年01月13日 調査方法:インターネット調査 回答数:388人 注意事項:本アンケートは複数回答となっており、回答数の合計は調査数を超えることがあるため、回答割合の合計は100%を超えることがあります。 |
- 1 Q1.学習や受験勉強において「生成AI(ChatGPT、Gemini、Copilotなど)」を利用していますか?もしくは過去利用していましたか?
- 2 Q2.生成AIを具体的にどのような学習場面で使っていますか?(複数回答)
- 3 Q3.生成AIの回答をどの程度信頼していますか?
- 4 Q4.「わからない問題」に直面した際、最初に頼るのは誰(何)ですか?
- 5 Q5.生成AIを活用することで、勉強効率は上がったと感じますか?
- 6 Q6.生成AIを学習に役立てるために、どのようなガイドや機能があれば良いと思いますか?
- 7 Q7.生成AIに課金をして追加の機能などを利用したいと思いますか?
- 8 Q8.生成AIの進化を見て、大学での「専攻(学部学科)」選びに変化はありましたか?
- 9 まとめ
Q1.学習や受験勉強において「生成AI(ChatGPT、Gemini、Copilotなど)」を利用していますか?もしくは過去利用していましたか?

まずは、学習における生成AIの利用状況を見てみましょう。
アンケートの結果、生成AIを「日常的に利用している(週3回以上)」「たまに利用している(週1〜2回程度)」と回答した人は、全体の51%に達しました。これは、電子辞書や参考書と同じ感覚で、生成AIが学習ツールとして定着し始めていることを示しています。
一方、注目すべきは「学校や家庭で禁止されている(20%)」という回答です。教育現場では、生成AIによる「思考力の低下」や「著作権侵害・不正利用」への懸念も指摘されており、便利な一方で、さまざまな課題が残されていることがわかります。
また、「使ったことはあるが現在は使っていない(11%)」という層も見逃せません。この層は、期待した回答が得られなかった、あるいは使いこなせなかった可能性があり、今後は生成AIを活用できる人とできない人の間で、学習効率に差が生まれるリスクも考えられます。
Q2.生成AIを具体的にどのような学習場面で使っていますか?(複数回答)

学習場面において、生成AIが最も多く使われているのは「わからない用語や概念の解説(26%)」でした。これは、生成AIが従来の検索エンジン(Google等)に代わるツールとして定着しつつあることを表しています。
実際、Googleでも検索結果の上部に表示されるAIO(AIによる概要)や、Geminiなどの生成AI機能が強化されており、検索行動そのものが変化し始めています。
また注目したいのが、2位の「英作文の添削・翻訳(18%)」、3位の「小論文・志望理由書のアイデア出し・構成案(16%)」といった、正解が一つではない「記述型」の学習に生成AIが活用されている点です。
これらは、今まで塾講師や家庭教師が個別に対応してきた分野であり、生成AIがその「代わり」としての役割を持ち始めたことがうかがえます。
さらに、「話し相手(14%)」と回答している人も一定数存在しました。受験勉強は孤独になりやすく、ストレスも溜まりがちです。家族や友人には言いにくい不安や悩みを、生成AIに相談している受験生の姿も見えてきます。
Q3.生成AIの回答をどの程度信頼していますか?

生成AIには、ハルシネーション(もっともらしい嘘)の問題が常に付きまといます。アンケート結果からもその傾向が見て取れ、「基本的には信頼しているが、教科書などで裏取りをする」という回答が47%と半数近くを占めています。
一方で、「全面的に信頼(20%)」と回答した層も一定数存在します。便利な反面、誤った情報をそのまま覚えてしまうと、本番の入試で思わぬ失点につながる可能性もあります。
そのため現代の学習では、生成AIを単に使うのではなく、正誤を判断しながら活用する「生成AIを使うためのスキル(AIリテラシー)」が求められます。受験生にとっても、生成AIを補助ツールとして使いこなせるかが、学習効率を左右するといえるでしょう。
Q4.「わからない問題」に直面した際、最初に頼るのは誰(何)ですか?

1位は「Google検索・YouTube解説動画(31%)」、2位は「生成AI(23%)」でした。いずれも、人に質問するのではなく「自分で調べて解決する」手段であり、この2つを合わせると54%と過半数を占めています。
一方で、「学校の先生(12%)」や「塾・予備校の講師・チューター(6%)」といった「人に聞く」選択肢は、相対的に少数派となりました。
学校や塾で質問する場合、時間やタイミングに制約がありますが、生成AIや動画であれば、スマートフォン1つで24時間いつでも疑問を解消できます。
こうした背景から、塾・予備校の役割も変化しつつあります。単に質問に答える場ではなく、良質な授業の提供や学習管理、モチベーション維持などの学習全体を支える存在へと、より付加価値の高い領域が求められているのかもしれません。
Q5.生成AIを活用することで、勉強効率は上がったと感じますか?

「勉強の効率が上がった」と感じている受験生は、計41%(劇的に上がった13%、やや上がった28%)でした。この結果から、生成AIを活用するメリットとして「時間効率の向上」が挙げられます。
受験生にとって、時間は合格に直結する重要な資源です。生成AIをうまく活用できれば、調べ物や理解にかかる時間を短縮でき、結果として勉強時間を増やすのと同等の効果が期待できます。
一方で、「変わらない(18%)」や「下がった(7%)」と感じている層にも注目が必要です。効率が下がった理由としては、生成AIの回答が誤りで修正に時間がかかった
り、チャット自体が楽しくなってしまったり、といったケースが考えられます。
生成AIは便利なツールである一方、それを使いこなす技術を身に付けていないと、逆に学習効率を下げてしまう可能性があるといえます。
Q6.生成AIを学習に役立てるために、どのようなガイドや機能があれば良いと思いますか?

この設問からは、受験生が生成AIに求めているのが「単なる答え」ではなく、「教育的な指導」であることが明確になりました。
1位は「具体的に添削してくれるガイド(34%)」、3位は「ヒントを出して導いてくれる機能(24%)」でした。これらの結果は、生成AIをカンニングツールではなく、「自学自習を助けるコーチ」のような存在として期待していることを示しています。
受験勉強では、すぐに正解を知るだけでは考える力が身に付きません。一方で、適切なヒントや改善点を示されながら自力で答えにたどり着くプロセスは、思考力や応用力の向上につながります。
また、2位の「効果的な学習用プロンプトの事例集(26%)」という回答からは、多くの学生が生成AIへの指示の出し方に難しさを感じている現状も読み取れます。
総じて受験生は、生成AIをそのまま使うのではなく、より高度な自己学習を実現するための「カスタマイズ可能な学習ツール」として活用したいと考えていることがわかります。
Q7.生成AIに課金をして追加の機能などを利用したいと思いますか?

現時点でAIへの課金意向は低く、「無料版で十分」と「価値を感じない」を合わせて82%という結果でした。
これは、学生にとって月額3,000円前後のサブスクリプション料金が負担になりやすいことや、無料版でも日常的な学習には一定の成果が得られている点があると考えられます。
一方で、15%が「塾代が浮くなら課金したい」と回答している点は注目に値します。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果」によると、高校生が1年間に支払っている補助学習費は約20万円~25万円です。これを月額に換算すると2万円前後になります。
もし生成AIが、Q6で挙げられたような「高度な添削」や「対話型コーチング」を十分に担えるようになれば、「高い塾代よりも、生成AIに課金する方が合理的」と判断する受験生や保護者が増える可能性もあります。
将来的に、生成AIへの課金が「デジタル参考書代」として、教育費のなかの標準項目に組み込まれる可能性も考えられるでしょう。
Q8.生成AIの進化を見て、大学での「専攻(学部学科)」選びに変化はありましたか?

大学での専攻選び(進路決定)に関しては、現時点では「特に影響はない(68%)」とする層が多数を占めています。これは、多くの受験生が生成AIの進化よりも、自身の適性や興味関心、将来就きたい職業を軸に進路を考えていることを示しています。
一方で、残りの約3割(32%)には何らかの影響や迷いが生じています。これは、約3人に1人の受験生が生成AIの進化によって「将来なくなる仕事」や「新たに求められるスキル」を意識し始めていることを意味します。
まとめ
今回の調査から、現代の受験生が「質の高い授業や学習環境は塾に求め、日々の疑問解消やスピード感は生成AIに任せる」という、合理的な使い分けをしていることがわかりました。
塾・予備校選びでは「講師の質」や「進路指導の内容」を重視しつつ、家庭学習では生成AIを活用して学習効率を最大化する。このハイブリッド学習こそが、2026年以降の受験のポイントになっていくのかもしれません。
実際、大手予備校の「東進」では、英作文学習や添削指導への生成AI活用を明言しています。今後はほかの塾や予備校でも、生成AIを組み込んだ指導体制が広がっていく可能性があります。
これから塾や予備校を選ぶ際は、「どのような講師がいるのか」だけでなく「生成AIをどう活用しているのか」という点も重要な判断基準の一つになるでしょう。