北里大学は、世界的な細菌学者である北里柴三郎を学祖とする大学です。柴三郎が創立した北里研究所の50周年を記念し、1962年に開学しました。東京都港区に本部を置き、神奈川県、青森県などに7つのキャンパスがあります。
医学部・薬学部・獣医学部・海洋生命科学部・看護学部・理学部・医療衛生学部・未来工学部の8学部16学科に加え、2024年4月には「健康科学部(仮称)」が新設。2024年度は健康科学部における初の入試ということになります。
北里大学は、医学部などは2000人近くが志願する人気大学です。合格するためにはしっかり対策をする必要があります。
この記事では、北里大学の入試制度や難易度といった基本情報から、出題傾向と対策法、おすすめ塾・予備校まで徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
北里大学の入試制度や難易度は?
まずは北里大学の入試の仕組みや、偏差値・難易度について見ていきましょう。
北里大学の入試制度
北里大学の一般選抜には「一般選抜・共通テストプラス選抜・共通テスト利用選抜」という3種類があります。それぞれの概要は、以下の通りです。
一般選抜試験 | ・学部ごとの試験日・試験問題で実施される。 ・異なる試験日に実施される学部・ 学科専攻間は併願が可能。 ・同日に実施される試験は併願できない。 ・学部によっては前期・中期・後期日程が実施される。 |
共通テストプラス選抜試験 | ・実施学科は獣医学部 生物環境科学科のみ ・一般選抜試験(理科)の成績と共通テストの成績を併用する。 |
共通テスト利用選抜試験 | ・実施学部は未来工学部、理学部、獣医学部、 海洋生命科学部 ・共通テストの成績を使用して選抜する。 ・学部によっては前期・後期日程がある。 後期は前期の合否結果を確認してから出願可能。 ・共通テスト利用選抜試験のうち、学部学科間、 教科方式間の併願が可能。 |
このうち、最も募集人数が多いのは「一般選抜試験(前期)」です。また、「共通テスト利用選抜試験(前期)」も全体で約1300人(2023年度)が合格しており、力を入れている方式のようです。北里大学を受ける人は、この2つのどちらかで合格を目指しましょう。
どちらの方式も、実施科目は「英語・数学・理科」の3教科である学部が目立ちます。また、看護学部・健康科学部 看護学科(2024年度新設)は小論文、医学部は面接と論文があります。小論文と面接の講座がある予備校などでしっかり対策しましょう。
一般選抜のほか、北里大学では総合型選抜、学校推薦型選抜などの入試を行っています。さまざまな試験方式があるので、チャレンジできるものがないか確認してみてください。
北里大学の難易度はどれくらい?
大手予備校グループである東進のデータを参照すると、北里大学の偏差値は最高で68(医学部 医学科)です。全国の医学部 医学科の中でもトップレベルの難易度と言えるでしょう。ちなみに東進のデータでは、東京大学 理科三類も同じ偏差値68となっています。
医学部 医学科の次は63(薬学部 生命創薬科学科)、62(看護学部 看護学科)と続きますが、医学部 医学科が頭一つ抜けていることが分かります。ただし偏差値50未満の学科も複数あり、学部学科間の差が大きいです。
また、北里大学が公表しているデータによると、倍率も学部学科ごとに差が開いています。2023年度一般選抜前期の実質倍率は、医学部 医学科で約13.7倍、看護学部 看護学科は約4.1倍、薬学部 薬学科は約4.2倍、獣医学部 獣医学科は約4.8倍でした。一方で2倍を切る学部も多くあります。
北里大学の出題傾向とその対策法とは?
ここでは、北里大学の過去問を参考に、出題傾向や対策法をお伝えします。学部学科ごとに問題が異なるので、全体の傾向として参考にしてください。
英語:基礎ができていれば高得点を狙える
北里大学の英語はマーク式、大問4~7問で構成されています。長文読解、会話文問題、文法・語法に関する空欄補充、英作文などが出題されます。
基本的に難易度は共通テストレベルで、単語や文法などの土台をしっかり固めておけば高得点を狙えるでしょう。しかし、中には難しめの大問も含まれます。長文読解は文量が多く、速読力が求められます。
また、語句整序問題は選択肢が10個以上という場合もあり、正確に並べ替えなければなりません。同義語選択問題も、難度の高い単語が含まれるため、応用レベルの単語まで対策しましょう。
数学:出題にややクセあり。難関レベルまで対策を
数学は大問2~7問で構成され、学部によって記述式・マーク式に分かれます。出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・A・Bで、医学部では数学Ⅲも含まれます。
頻出単元は微分積分、2次曲線、三角関数、数列、確率、ベクトルなどです。中には、応用問題や計算量の多い問題も含まれています。また、条件設定にややクセがあり、解き方を丸暗記しただけでは対応できない問題も出されます。
そのためマーク式であっても、共通テストレベルの対策では不十分です。標準~難関レベルの問題集を解いたり、北里大学に特化した講座を受けたりして対策しましょう。
理科:理論から理解することが重要
多くの学部では「物理基礎、物理」「化学基礎、化学」「生物基礎、生物」から1科目または2科目を選択します。出願時に選択する学部が多いですが、理学部では試験時に選択する形式です。また、薬学部は「化学基礎、化学」のみとなります。
例年マーク式の出題で、大問3~7問の構成です。ほとんどの学部で大問6~7まであり、ボリュームが大きいためスピードが求められます。
物理は力学、電磁気学、波動、熱力学から出題され、「原子」からは出題されません。化学は理論、無機、有機からそれぞれ出題されます。融合問題も出題されることがあるため、どの分野もしっかりカバーしましょう。
生物は暗記だけでは解けない問題が多く、かなり高レベルです。高校生物では習わない単語や資料が出され、考察を求められます。難関大学の医学部向けの対策講座を受け、重点的に対策しましょう。
北里大学を目指せるおすすめの塾・予備校3選
ここでは、北里大学合格を目指す人におすすめの塾・予備校を3つ厳選しました。ぜひ予備校選びの参考にしてください。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は現役合格に強い予備校です。2023年度は北里大学の医学部 医学科に23人が合格しました(現役生のみ、講習生含まず)。
東進では実力派講師による映像授業によって、自分のペースで学習を進めることができるほか、多彩な講座が用意されています。「志望校別単元ジャンル演習講座」ではAIを活用し、自身の学力と北里大学のレベルに合わせた演習問題を出してくれます。過去問を解き、その解答をプロに採点してもらえる「過去問演習講座」もおすすめです。対応学部は薬学部のみですが、薬学部志望者はぜひ活用しましょう。
また、東進は模試も充実しています。医学部志望なら「医学部82大学判定テスト」、それ以外の学部志望なら「早慶上理・難関国公立大模試」(難関レベル)または「全国有名国公私大模試」(標準レベル)にチャレンジしてみましょう。
駿台予備学校
駿台予備学校(以下、駿台)は「理系に強い」と言われている予備校です。2023年度は北里大学に407人、特に医学部 医学科には51人が合格しています(駿台グループ関連法人の在籍者および講習受講生の集計)。
北里大学の入試は暗記だけでは対応できず、原理を理解し応用することが重要です。駿台では、質の高いテキストと確かな実績の講師陣によって、各分野の原理・原則からしっかり理解できます。
駿台の講座はレベルごとに「基礎、標準、難関、選抜」という4段階に分かれており、自分にぴったりの講座を見つけられます。選抜レベルには医系向け講座が含まれ、「高3選抜・医系数学」や「高3選抜・医系化学/医系生物/医系物理」などの講座がおすすめです。
メデュカパス
メデュカパスは私立医学部専門の予備校で、北里大学をはじめとした私大医学部に特化した対策がしたい人におすすめです。在籍人数は20人以下と少ないですが、例年、北里大学に合格者を出しています。
「医学部受験コース(DXコース)」では、1つのテーマを3週間かけて学習する「3WayFeedback方式」と、学んだ内容を別の生徒に教える「Input-Output方式」で、確実に定着させていきます。この独自のメソッドにより、最短10ヶ月で医学部合格を目指すことも可能です。
「DXコース」のほか、3WayFeedback方式のみの「スタンダードコース」、授業後は自習と質問を中心に行う「セルフラーニングコース」、授業後は自習を行う「Liteコース」があり、自分に合ったコースを選べます。