大学の学部は、大きく分けて文系と理系の二つの系統があります。文系は文学部、法学部、経済学部、商学部など、理系は理学部、工学部、農学部、医学部などの学部が代表的です。
文系と理系では、大学入試の試験科目や配点が大きく異なります。また、他系統の科目(文系なら理系科目、理系なら文系科目)が課されるとしても、試験問題の難易度は比較的低く設定されることが多いです。
ですので、文系の学部を志望する場合、そもそも理系科目の試験が課されないこともありますし、仮に課されたとしても理系学部を目指す人ほどには勉強する必要はありません。基本的には、文系科目を重点的に勉強していくことで合格に近付くことができます。
とはいえ、一口に「文系」と言っても、国公立大学と私立大学、あるいは受験する学部などによって、どの教科を勉強すべきか、またどの程度まで勉強すべきかということは異なってきます。それに応じて、どんな予備校で勉強すればいいかということも変わってくるのです。
そこで今回は、文系の学部に進みたい学生は何をどの程度勉強すべきか、どのような予備校を選ぶべきかについて、さまざまなケースを想定して説明します。さらに、文系志望の学生におすすめの予備校も紹介しますので、あわせてご覧ください。
文系で必要な科目は何か。どの科目を集中して勉強する?
文系に進む場合、基本的に、国語・英語・社会の3科目は必須です。慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部のように、数学か英語、それに小論文のみで受験できて社会が必要ないというレアケースもありますが、私立大学であったとしても3科目受験のところが多いです。
文系の大学を受験するなら、国語はたいていの大学・学部で現代文・古文が出題されます。大学入学共通テストや国公立大学の2次試験のみならず、私立大学でも出題されるところがほとんどです。ただ、慶應義塾大学などのように、国語に代わって小論文の試験が課される大学もあります。そうした大学の場合、古文・漢文の試験もないので、どうしても古文・漢文が苦手な人は小論文での受験を検討してみるのもいいでしょう。また、小論文で受験する場合でも、読解力は求められるので、現代文は必ず勉強するようにしましょう。
社会は地理、歴史(日本史・世界史)、公民(倫理・政治経済)から1科目か2科目選択するのが一般的です。科目間の難易度の差はそれほど大きくないようになっていますので、基本的には自分の好きな科目を選んで問題ありません。社会は基本的には暗記科目なので、努力さえすれば高得点が期待できます。学習に時間のかかる英語や国語に比べれば学習の優先度は下がりますが、大変重要な科目です。
英語は、以前はリーディングとライティング(日本語訳・英語訳)ができればそれだけでよかったのですが、いまやリスニングの試験も課されるようになりました。英語外部検定利用入試を利用する人の場合、スピーキングの能力も求められます。とはいえ、今でもリーディングとライティングの配点を高めにしている大学もあるので、リーディングやライティングの学習もおろそかにはできません。また、英語で最も大事なのは単語と文法の学習です。4技能全ての基礎となるので、徹底的に基礎固めすることをおすすめします。
これら3科目については、文系の大学・学部に進むならほぼ必ず押さえなければなりません。ただし、3科目が同じ程度に重要かと言うと、必ずしもそうではありません。例えば、慶應義塾大学の文系学部では、英語の配点は200点です。他の科目が100点なので、2倍あります。慶應義塾大学に限りませんが、私立大学の文系学部は英語の配点が他の科目の配点よりも高いところが少なくないようです。そういった事情も踏まえると、文系の場合、科目別の優先度は英語 > 現代文・小論文 > 社会 > 古文・漢文の順で重要だと言えるのではないでしょうか。

文系でも数学は重要! 国公立だけじゃなく私立大受験生も
それでは文系の大学・学部を志望するのなら、数学や理科といった理系科目の勉強は不要かというと、必ずしもそうと言えるわけではありません。文系志望の学生であっても、志望校に合格するために理系科目も勉強しなければならないケースは少なくないのです。
国公立大学を受験する場合、少なくとも大学入学共通テストで数学と理科の試験を受ける必要があります。2次試験でも数学の試験が課せられる場合があります。北海道大学や大阪大学などの文系学部には数学の試験の受験が必ずしも求められないところもありますが、多くの場合は東京大学のように文系でも数学の試験が必須となっています。
私立大学の文系学部を受験するとしても、絶対に数学の試験がないわけではありません。例えば、慶應義塾大学の経済学部のように、学問上数学の教養が求められる分野の学部では、数学の試験が必須となります。また、慶應義塾大学の総合政策学部のように、小論文と数学のみで受験することも可能な学部もあります。
このように、国公立大学を受験する学生は大学入学共通テストで数学と理科の試験が課されますし、私立大学でも数学で受験しなければならないところもあります。文系には数学を苦手に感じる学生が多いからこそ点数の差が開くことが多く、文系受験において数学は意外と重要になり得る科目なのです。
文系受験生が塾・予備校を選ぶときの三つのポイントとは?
ここまでは、文系志望の学生が勉強すべき科目とそれらの重要度・優先度について説明しました。それを踏まえて、ここからは文系の学生が予備校を選ぶ際のポイントをケースごとに紹介します。

私立文系のみ受験する場合、試験科目以外の勉強は避けよう
marchや早慶上智など私立大学の文系学部を専願する場合、勉強すべき科目は国語か小論文、英語、社会に限られます。数学を勉強しなければならないのは例外的なケースです。
よって、単科ではなくコースで受講する場合、私立専願の人向けのコースがある予備校がおすすめです。専願なのであれば、5科目全てを勉強していては時間の無駄です。もしそういったコースがないのなら、単科で自分に必要な講座だけを受講するとよいでしょう。
あえて数学を選んで受験を有利に進めるのもあり
先述したように、私立大学の文系学部の受験でも、大学・学部によっては数学を選択することが可能です。その場合、数学1A2Bまでの範囲から出題されることがほとんどです。しかも、解法を見抜く発想力は要求されますが、計算力はあまり求められません。私立大学の文系入試の数学は、特に早慶上智といった難関大学以外では、難易度が低く抑えられているのです。
そのため、私立大学の文系学部を受験するときは、あえて数学を選択して得意科目にしておくのも戦略としては正しいと言えるのではないでしょうか。ただし、早慶上智以外の大学を目指す場合、特に経済学部のような数学が必須の学部を目指すわけではないのなら、難しいコース・講座を取る必要はないでしょう。もし私立文系数学の講座があれば、それを受講しておくのがベストです。
難関国立を目指す場合、その大学対策講座のある予備校を
東京大学や京都大学などの難関国立大学を目指す場合、理数系についても高いレベルにまで自分の実力を上げる必要があります。とはいえ、大学によって求められる水準は違うので、自分の志望校に向けた数学対策講座を提供している予備校を選びましょう。
文系受験生におすすめの塾・予備校は?

東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校は、現役東大合格者数No.1という圧倒的な「合格力」を誇る予備校です。
あらゆる科目で、難関私立大学・難関国公立大学を目指すための講座が提供されています。特に東大に強く、東大に関しては全ての科目で試験対策講座が用意されているのが特徴です。
また、文系数学の講座があるのもポイント。「東大対策文系数学」「京大対策文系数学」「一橋大対策数学」といった難関国立大学の文系向け試験対策講座のほか、難関私大・難関国公立大合格を目指す講座も用意されています。
河合塾
「文系の河合、理系の駿台」と言われるほど、河合塾は文系の大学・学部に強い予備校です。
「ハイレベル国公立大文系コース」「早・慶・上智大文系アドバンスコース」「ハイレベル私立大文系コース」など、文系志望の学生向けのコースを多数提供しています。
特筆すべきは、試験対策講座を用意している大学の多さです。旧帝一工早慶上智に限らず、東京外国語大学、筑波大学、お茶の水大学、東京都立大学、千葉大学といった国公立大学の試験対策講座(文系)も展開しています。
増田塾
増田塾は、難関私立大学文系専門の予備校です。
「私大文系受験は努力をすれば必ず合格できる」という理念のもと、カリキュラムは完全に難関私立大学文系に特化。早慶上智や他の難関大学の問題に対応したライブ授業や強制自習制度により、1年間で難関私立大学の合格を目指します。
早慶上智や他の難関私立大学に合格できなかった場合、授業料を全額返金してくれるとのこと。自信のほどがうかがえます。
ここで挙げた塾・予備校以外にも、文系受験をサポートしてくれる塾・予備校はあります。文系受験のみなさんは、塾・予備校の選び方と塾・予備校を比較する際のチェックポイントの記事も読んで、塾・予備校選びの参考にしてください。