塾・予備校に通うメリットは? 「志望校合格の可能性を最大限高められる」「友人・仲間ができる」ばかりか、“将来の年収”も上がる!?

~塾・予備校通いが年収増にも好影響!? 「塾・予備校(映像授業型)」や「オンライン学習」の利用者は、社会に出てからの年収や仕事満足度も高かった~

サマリー

  • 大学受験の勉強法、最多は「学校の授業・教材」。“映像授業型”や“個別指導型”の「塾・予備校」も徐々に浸透
  • 塾・予備校を利用するメリットはやはり、「合格の可能性を高められる」(79.3%)こと。2人に1人は「友人・仲間ができた」
  • 予備校経験者の口コミ、「合格に必要なことが明確になる」「学校の授業だけでは絶対に大学受験は成功しない」
  • 予備校やオンライン学習で受験勉強すると、将来の年収や仕事満足度にも好影響!?
  • 予備校で学んだことで、社会に出てからも「何が必要なのか見定めることができるように」「様々な視点から考えるようになった」

調査概要

皆さんは、「塾・予備校」に対してどんな印象を持っているでしょうか。

「受験生が黙々と勉強するために通っている」「模試が受験の役に立つ」「自習室にこもっていた」「『いつやるか? 今でしょ』で有名な林先生の講座を受けられる」など、人によってさまざまなイメージが思い浮かぶかもしれません。

筆者が「塾・予備校」と聞いて思い出すのは、中学校でお世話になった担任の先生の体験談です。「予備校へ通っていて、一番良かったのは勉強面のことではなく、これまでに会ったことがないような人たちと出会えたこと。『世の中には、こんなにいろんなタイプの人がいるんだ』と驚かされた」のだとか。それまで予備校と言えば「大学受験のためだけに勉強するところ」という印象だったのが引っ繰り返り、「塾・予備校に通うことには、そんなメリットもあるのか」と気付かされました。

そうした「塾・予備校に通うメリット」には、どんなものがあるのでしょうか。もちろん、学力向上などの影響があるでしょうし、学校外の友人が増えるかもしれません。大学受験で塾・予備校を利用している人の割合なども含めて、25~44歳で学歴が大卒以上の社会人1266人から回答を集め、「塾・予備校に通うメリット」について調査してみました。

調査結果

大学受験の勉強法、最多は「学校の授業・教材」。“映像授業型”や“個別指導型”の「塾・予備校」も徐々に浸透

まずは大学受験の勉強をするとき、利用していた勉強法を尋ねてみたところ、最も多かったのは「学校の授業・教材」(60.3%)となりました。※ 複数回答可

Q1-あなたが大学受験の勉強をしていたときに、利用した勉強法は何ですか。(n=1266)

さらに、年代別に集計すると、次のグラフのようになりました。塾・予備校については、「集団授業型」の利用率が徐々に低下している(40~44歳:34.4%、25~29歳:22.5%)のに対して、「映像授業型」(40~44歳:3.4%、25~29歳:11.5%)や「個別指導型」(40~44歳:3.8%、25~29歳:11.2%)の利用率が伸びてきています。

塾・予備校を利用するメリットはやはり、「合格の可能性を高められる」(79.3%)こと。2人に1人は「友人・仲間ができた」

塾・予備校に通って大学合格を果たした人は、塾・予備校を利用したことでどのようなメリットがあったと評価しているのでしょうか。

塾・予備校へ通うことのメリットだと感じる人が最も多かったのは、「志望校合格の可能性を最大限高められる」ことで79.3%(「非常に当てはまる」(25.3%)と「ある程度は当てはまる」(54.0%)の合計)。次いで「自分の得意/苦手分野を伸ばすことができる」(78.0%)、「志望校対策の勉強を効率的にできる」(76.3%)、「勉強する習慣/生活リズムを身に付けられる」(76.0%)、「本質的な学力向上につながる」(75.0%)、「勉強するモチベーションを維持できる」(74.3%)などが上位に入りました。

また、筆者の中学時代の担任と同じように、「同レベルの大学を志望する友人・仲間ができる」(56.3%)、「学校の外部にも友人・仲間ができる」(53.7%)ところにメリットを感じた人も半数以上いました。

Q2-大学受験をする上で「塾・予備校へ通う」ことにはどのようなメリットがあると思いますか。(n=300)

予備校経験者の口コミ、「合格に必要なことが明確になる」「学校の授業だけでは絶対に大学受験は成功しない」

塾・予備校に通うことのメリットについて、より詳しく答えてもらいました。回答の一部を原文のまま記載していきますので、経験者の口コミとして参考にしてみてください。

【志望校合格の可能性を最大限高められる】

・客観的に自分の学力を見つめ直せる。自分の志望校への可能性を最大限高められる(20代・女性)

・志望校、希望の学部に合格する為に必要なことが明確になることが第一に挙げられると思います。一つ一つ、自分に足りないものを見つけ出し、クリアして、その繰り返しにより大きな目標へ繋がると思います。(30代・女性)

【自分の得意/苦手分野を伸ばすことができる】

・弱点を克服できるチャンスがある(30代・男性)

・自分が苦手な分野を重点的に勉強できる。自分の学力に合わせた授業を受けることができる(30代・女性)

・テストにより、自分の現在のレベルがわかり、苦手な部分を強化したりできる(40代・女性)

【志望校対策の勉強を効率的にできる】【志望校の受験に関する最新情報が手に入る】

・学校の授業だけでは絶対に大学受験は成功しない。大学受験に出やすい箇所を教えてくれるのが塾(20代・女性)

・よく出題される問題などの受験に特化した勉強方法を学べる。自分の志望校に合わせた授業をとることができ、効率的な勉強ができる(20代・男性)

・過去問や問題集がたくさんあるので、買わなくても問題演習ができる。また、志望校に応じた対策ができるのもメリットだと思います(20代・女性)

・志望校別の傾向と対策の情報を得ることができる(40代・女性)

・自力ではなかなか会得できない、志望校の情報、入試の対策の情報を仕入れることができた(40代・男性)

【勉強するモチベーションを維持できる】

・定期的に学力チェックの機会があり、モチベーションを保てる(40代・女性)

・周りが皆目標高く勉強しているので、感化される(40代・女性)

・ひとりで頑張るのも不安になるので誰かがマネジメントしてくれると安心して勉強に専念できる(40代・女性)

【勉強する習慣/生活リズムを身に付けられる】【自習室を利用できる】

・自宅では他の誘惑があり決められた時間に勉強できないので勉強する環境が整うことは大切。(40代・女性)

・自分が自宅で勉強ができなかったので(勉強ができるいい環境ではなかった)、勉強に専念できるという点が大きなメリットだと思う。(30代・女性)

・家ではなかなか自発的に勉強できないので、半ば強制的に勉強する時間を取れる。辛いのは自分だけじゃないと思えて、受験へのモチベーションを保つことができる。(20代・女性)

【同レベルの大学を志望する友人・仲間ができる】【学校の外部にも友人・仲間ができる】

・自分と学力が似通った友達ができる。(30代・男性)

・一緒に勉強する仲間出来、モチベーションを保つことができる点。難しい内容を分かりやすく教えてくれる講師に会える点。(20代・男性)

・同じような状況の仲間が近くにいることで、刺激を受けたり切磋琢磨したりできること。せっかく勉強するためにお金を払っているのだから勉強しないともったいないという気持ちになること。(30代・女性)

・他校の友人もできるので、そこも楽しい。(40代・女性)

【その他】

・自力では考えつかなったような学習方法に気付ける(40代・女性)

・高校の授業では教わらない受験のテクニックを教えてもらえる(40代・男性)

・公立高校ではカバーできない問題の対処が出来る(40代・女性)

・基礎学力だけでなく、独学だけではできないであろう応用について教えてもらえる。効率よく問題をおしえてもらえる(30代・女性)

予備校やオンライン学習で受験勉強すると、将来の年収や仕事満足度にも好影響!?

予備校で学び、大学へ入学していった卒業生には、大学を卒業して社会へ出てからも成功を収めている人がたくさんいます。実際のところ、予備校へ通って受験勉強したことと、社会人としての成功には、何らかのつながりがあるのでしょうか。

現在の年収や仕事への満足度といったデータと、大学受験時の勉強方法をクロス集計してみた結果が次のグラフです。

Q3-あなたの現在の年収について、教えてください。(n=1266)

受験勉強法と現在の年収との関係を見ると、「塾・予備校(集団授業型)」「塾・予備校(映像授業型)」「通信教育」「家庭教師」「オンライン学習」の利用者において、年収800万円以上の比率が高くなっていました。

年功序列で年収が高くなる傾向があることを考えると、若年層になるほど利用率が高かった「塾・予備校(映像授業型)」「オンライン学習」については、さらに高年収を得やすくなるのかもしれません。

Q4-あなたの現在のお仕事に対する満足度について、教えてください。(n=1266)

また、現在の仕事に対する満足度と大学受験時の勉強方法の関係性を調べたところ、こちらのグラフのようになりました。

“満足している”(「非常に満足している」と「ある程度は満足している」の合計値)が高かったのは、「オンライン学習」(66.7%)、「塾・予備校(映像授業型)」(60.4%)、「塾・予備校(個別指導型)」(55.4%)、「学校の特別講座・補習授業」(53.6%)という順でした。

こちらの結果を見ても、特に「塾・予備校(映像授業型)」「オンライン学習」で受験勉強をしてきた人は、社会に出てから成功を収めやすいと言うことができるのかもしれません。

予備校で学んだことで、社会に出てからも「何が必要なのか見定めることができるように」「様々な視点から考えるようになった」

最後に、社会人になってからも役立つかもしれない「塾・予備校に通うメリット」について、アンケート調査にて寄せられたご意見の一部をご紹介します。

[忍耐力や困難を乗り越える力がついた]

・忍耐力がついたので、社会人になってから困難にぶち当たっても乗り越えられる力がついた(20代・女性)

・ぎりぎりの所での踏ん張り方を思い出せる(40代・男性)

[人間関係が広がった]

・得た友人と交流が続くことにより人間関係の広がりが持てるところはメリット(30代・女性)

・今でも塾でできた友人と食事をすることがある(30代・男性)

[計画的に動けるようになった]

・計画的に物事に取り組めるようになっていると思う(20代・男性)

・目標に対して計画を立てたり戦略的に考えることが大切と感じられる(30代・女性)

[課題・要点をつかみやすくなった]

・自分に今何が必要なのか、何をすべきなのか見定めることができるようになった(40代・女性)

・物事の要点をつかみやすくなった(40代・男性)

・今何をすべきかを自発的に考えて行動できている(30代・男性)

[多角的な視点の重要性に気が付いた]

・色々な先生から色々な教え方を受けて、どういったスタイルが自分に合っているか発見できた(20代・男性)

・多角的な面で物事が考えられるようになった(30代・男性)

・学校の教師とはまた違う角度から、塾の講師に教えていただけました。多角的に知識を得ることの大切さを体感しました。その後、社会に出て、何かプロジェクトに取り組む際、様々な視点から考えるようになりました(30代・女性)

[その他]

・特定の分野に特化して勉強することを前もって体験できた(40代・男性)

・多くの人に伝わり、人を惹きつける話し方は、非常に役に立っています(30代・女性)

調査手法

  • 調査期間:2020年3月26日~4月2日
  • 調査対象:大学・大学院を卒業・修了した25歳から44歳の社会人(公務員・経営者・会社員・自営業)
  • 調査方法:インターネット調査

まとめ

今回のアンケート調査の中で、「(塾・予備校に)行かなくても大学に入れる学力があるに越したことはない」という意見も寄せられていました。20年以上前、筆者が大学受験を控えていたときにも、高校3年生になる前から部活をやめて塾・予備校に通う級友に対して「かっこ悪い」「ガリ勉」といった見方をする友人もいました。

けれど、塾・予備校に通うことで、今後の人生を大きく左右する「志望校合格の可能性」を高めることができます。実際、東進ハイスクール・東進衛星予備などの「塾・予備校(映像授業型)」や「オンライン学習」の利用者には、「志望校合格」を勝ち取れたからなのでしょうか、高年収者が比較的多くなり、仕事満足度も高めになっていました。

また、筆者の恩師が語ったように、2人に1人以上が塾・予備校ならではの出会い、「友人・仲間ができる」経験をしていました。塾・予備校に通うことで「忍耐力や困難を乗り越える力がついた」「計画的に動けるようになった」「多角的な視点の重要性に気が付いた」といった声が集まったように、大学受験に必要な学力のみならず、社会人になってからも役立つ力が身につくというメリットもあるようです。