難関大志望なら高1~2の夏から塾・予備校へ――通学率で約2倍の開きがあった

サマリー

  • 難関大合格者の高1~高2夏休み、塾・予備校の通学率は約2倍
  • 難関大合格者は高1で1時間半、高2で2時間、高3で4時間半弱の勉強時間
  • 高1~高2の夏休みは勉強だけじゃない。難関大学合格者は、部活も学校行事も軽んじない

調査概要

夏休みが近付いてきました。大学受験を控える高校生のみなさんは、この夏休みをどのように過ごす予定でしょうか。

大学受験に関する格言の中に、「夏を制する者が受験​を制する」という言葉があります。本当に夏休みの過ごし方は、大学受験の成否に影響を与えるものなのでしょうか。

塾・予備校比較ナビでは、難関大学※に合格した先輩たちが夏休みにどうやって、どのくらい勉強したのかを調査。アンケート結果を比較・分析することで、難関大学に合格するために、この夏休みをどう過ごすべきなのか、考えてみました。

※この場合の「難関校」とは、旧帝大、早慶上智、MARCH、関関同立か、それらと入試難度が同等の大学群を指します。

調査結果

難関大合格者の高1~高2夏休み、塾・予備校の通学率は約2倍

19~22歳の大学生1572人を対象に、「在学中の大学は、『難関校』と言われる大学である」か、尋ねてみました。

「当てはまる」と回答した大学生(以下、難関大学合格者)は23.5%でした。本レポートではこの後、「当てはまる」回答者と「当てはまらない」回答者の回答を比較していきます。

Q1.在学中の大学は、「難関校」と言われる大学ですか?(n=1,572)

難関大学合格者かどうかで、夏休みの勉強方法に違いはあるのでしょうか。高1、高2、高3の夏休みに、それぞれどんな手段で勉強したかを聞いたところ、次のような結果になりました。

Q2.あなたは高校1年、高校2年、高校3年の夏休み、それぞれどんな手段で勉強しましたか。(n=369/892)

高校1年の夏休み、どんな手段で勉強したか(複数回答可)

高1の夏休みを見ると、難関大学合格者かどうかで最も差がついたのは「市販の参考書・問題集」の利用率。難関大学合格者が22.0%だったのに対して、そうでないグループでは11.3%と10.6%ポイントの差がありました。次いで、「塾・予備校」で8.9%ポイントの差が開いていました。

高校2年の夏休み、どんな手段で勉強したか(複数回答可)

それが高2の夏休みでは、「塾・予備校」の利用率で最も差が開き、難関大学合格者が30.1%に対して、そうでないグループは15.8%と14.3%ポイントの差。高1の夏休み同様、塾・予備校への通学率は、約2倍の差となっていました。

高校3年の夏休み、どんな手段で勉強したか(複数回答可)

高3の夏休みになると、難関大学合格者の「塾・予備校」通学率が48.0%に。そうでないグループとは19.5%ポイントの差が付き、こちらも通学率が1.7倍ほども高いことが明らかになりました。

さらに「塾・予備校」の中でも夏期講習に通っていたかどうかを調べてみました。

高校1~3年の夏休み、どんな手段で勉強したか(複数回答可)
「夏期講習-新規」( 初めての塾・予備校に通った)
「夏期講習-継続」(もともと通っていた塾・予備校に通った)
と答えた割合を難関大学合格者かどうかで比較

高1の夏休みに初めて塾・予備校に通い、夏期講習に参加した割合は、難関大学合格者で11.4%、そうでないグループで3.9%。高2の夏休みでは難関大学合格者で15.7%、そうでないグループで7.0%。高3の夏休みでは難関大学合格者で26.3%、そうでないグループで14.1%でした。

もともと通っていた塾・予備校の夏期講習に参加した割合は、難関大学合格者は高1の夏休みで8.1%、高2の夏休みで10.8%、高3の夏休みで18.2%となっていました。

難関大合格者は高1で1時間半、高2で2時間、高3で4時間半弱の勉強時間

前問から、難関大学合格者が夏休みの勉強方法として、「高校の宿題・教材」だけでなく「塾・予備校」や「市販の参考書・問題集」も活用していることが分かりました。そうした勉強方法も採り入れることで、勉強時間にどのくらいの差が付いているのでしょうか。

難関大学合格者かどうかでそれぞれ集計したところ、次のグラフのような結果となりました。

Q3.あなたは高校1年、高校2年、高校3年の夏休み、それぞれ毎日どのくらいの時間、勉強しましたか。(n=369/892)

高校1年の夏休みの勉強時間
高校2年の夏休みの勉強時間
高校3年の夏休みの勉強時間

難関大学合格者は、受験直前の高3の夏休みはもちろん、高1~高2の夏休みも「ほぼ勉強していない」の割合は比較的低く、コンスタントに勉強する習慣が身についていると考えられます。

以上のデータを基に、夏休み中の毎日の勉強時間が平均で何時間くらいか、平均値を算出してみたのが次のグラフです。

高校1~3年の夏休みの勉強時間の平均値
(難関大学合格者かどうかで比較)

難関大学合格者は、そうでないグループと比べて、夏休み中も毎日おおむね1.5倍ほど勉強時間が長くなっていました。高校3年の夏休みには毎日4.4時間ほど勉強しているようです。

受験でライバルたちに差をつけるためには、高校生活の早い段階から予備校に通っておいた方がいいでしょう。具体的にいつごろから予備校に通い始めるとライバルに差を付けられるのか、気になる人は予備校に通い始める時期について解説するこちらの記事も読んでください。

高1~高2の夏休みは勉強だけじゃない。難関大学合格者は、部活も学校行事も軽んじない

最後に、これから夏休みを迎える後輩の高校生たちに向けて、高1、高2、高3の夏休み、それぞれどんな活動をがんばるべきか、アドバイスを求めてみました。

難関大学の合格者は、高1~高2の夏休みから受験勉強漬けになっているわけではなく、「部活動」や「学校行事/学級活動」、「アルバイト」などにも力を入れて取り組んでいることが分かります。

Q4.あなたは高校1年、高校2年、高校3年の夏休み、それぞれどんな活動をがんばった方がいいと思いますか。(n=369/892)

高校1年の夏休み、がんばった方がいいと思う活動
高校2年の夏休み、がんばった方がいいと思う活動
高校3年の夏休み、がんばった方がいいと思う活動

調査手法

  • 調査期間:2021年6月22日~27日
  • 調査対象:19~22歳の大学生 1572人
  • 調査方法:インターネット調査

まとめ

「夏を制する者が受験​を制する」という格言どおりと言うべきか、難関大学合格者はそうでないグループと比べて、夏休みに「塾・予備校」や「市販の参考書・問題集」も活用し、1.5倍ほど長い時間、勉強していることが今回の調査から分かりました。

ただ、より詳しく見てみると、難関大学合格者とそうでないグループでは、高3だけでなく高1~2の夏休みから両者に差が生じているように感じられます。「”高1~2”の夏も軽視しない者が受験​を制する」と言った方がより正確なのかもしれません。