サマリー
- 新型コロナの影響で約3割が志望大学を変更
- 安定志向が強まる? 志望大学を変更した理由とは
- 4人に1人がコロナ禍の影響で、志望大学のエリアを変更
- 新型コロナは「入学後のキャンパスライフ」にも影響あり?
- コロナ禍の影響で学部系統を変えた受験生は1割強
- 「夢が変わったから」。コロナ禍で変わる受験生の未来像
調査概要
新型コロナウイルスは私たちの暮らしを大きく変えました。2021年度大学入試も例外ではなく、授業の遅れや行事の中止、大学の方針変更なども組み合わさり、受験生の進路選択に影響を与えています。
具体的に、新型コロナが受験生の心境にどのような影響を与えたのでしょうか?塾・予備校比較ナビは大学受験を控える現役受験生に、コロナ禍の影響によって進路選択を変えた点やその理由について調査。自由回答に寄せられたコメントから、受験生の内面の一部が見えてきました。
調査結果
新型コロナの影響で約3割が志望大学を変更
まずは志望大学の変化から見ていきましょう。コロナ禍によって、もともと想定していた志望大学を変更した受験生は28.5%と3割近くに上りました。新型コロナウイルスが受験生に与えた影響の大きさが分かります。
Q1.あなたはコロナ禍によってもともと想定していた第一志望を変更しましたか?(n=165)
安定志向が強まる? 志望大学を変更した理由とは
それではコロナ禍の影響で志望大学を変更した背景には、どのような理由があるのでしょうか? 自由回答で寄せられたコメントを抜粋します。
Q2.あなたが想定していた第一志望を変更した理由について、できるだけ具体的にお聞かせください。(出題範囲が変更になった、学習時間が十分とれなかったなど)(n=93)
○予定が変わった
学習時間があまり確保できなかったと感じたから
志望校のオープンキャンパスに行けなかったから
もともと想定してたボランティアができなかったから
○将来像が変わった
卒業や将来の仕事面を考えて
親元で生活したいと考えはじめたから
コロナにより休学することにしたため、入学した時から休学可能なところを選んだ
○受験の戦略を変えた
東京を敬遠する傾向から、レベルを下げた地元大学にした
安全に合格を狙う人がまわりで増えたから
まわりが安全志向になったから
大きく分けると「予定が変わった」「将来像が変わった」「受験戦略を変えた」の3つに分けられます。受験戦略を変更した受験生のコメントを見ると、安定志向が強まっている様子もうかがえます。
4人に1人がコロナ禍の影響で、志望大学のエリアを変更
地元や都市部など、志望大学のエリアはどうでしょうか。調査では25.5%の受験生が、もともと想定していた志望大学のエリアを変えたと回答しています。およそ4人に1人です。感染リスクに配慮して、というのも考えられますが、他にはどのような理由があるのでしょう?
Q3.あなたはコロナ禍によってもともと想定していた受験大学のエリアを変更しましたか?(地元や都市部など)(n=165)
新型コロナは「入学後のキャンパスライフ」にも影響あり?
受験大学のエリアを変更した理由について、自由回答で聞いてみました。いくつかコメントを抜粋します。
Q4.あなたが受験する大学のエリアを変更した理由について、できるだけ具体的にお聞かせください。(感染リスクを避けたいから、地元での就職に有利だからなど)(n=93)
○感染リスク
都内を希望していたが、感染リスクを考え地元に変更した
感染リスクが怖かったから
地元の方が安心だから
県外に出るより、県内の方が安全だし、家から通えるから
○入学後や将来像の変化
より就職率が高いところに変えた
学びたい授業を受けられる場所が地方にはなかったから
東京の大学に合格したとしても、オンライン授業が続くと思い、友人もできなくなると思うので楽しくないと思ったから
回答としては感染リスクに関するものが多くなりました。またそれだけでなく、大学入学後のキャンパスライフの変化を想像したり、将来を考え直したりといった理由も見受けられます。
コロナ禍の影響で学部系統を変えた受験生は1割強
学部系統を変更した人はどれくらいいるのでしょうか。調査では15.2%と約1割強がコロナ禍によって志望する学部系統を変更していました。
Q5.あなたはコロナ禍によって志望する大学の学部系統を変更しましたか?(n=165)
「夢が変わったから」。コロナ禍で変わる受験生の未来像
その後の大学生活や就職にも影響のある学部系統。受験生はどのような理由で学部を変えたのでしょうか。コロナ禍の影響で志望する学部系統を変えた受験生に、その理由を聞いてみました。自由回答形式の回答をいくつかご紹介します。
Q6.あなたが志望する大学の学部系統を変更した理由について、できるだけ具体的にお聞かせください。(景気の悪化を想定して、人気の高まりそうな学部を避けてなど)(n=93)
将来の夢が変わったから
苦手な教科の授業が遅れているため、独学は無理だと判断したから
オンライン授業とかに対応できる情報系にした
コロナの自粛期間中に様々なことを調べて思想が変わった
コロナの影響で人々の行動が今までと一気に変わり、この変化が興味深く、人間の行動について研究したくなった
学習の状況などによるものもありますが、将来の夢や考え方が変わったという回答も多く寄せられました。社会情勢の急激な変化によって、受験生の将来像も変わり、大学や学部などの「選択」にそれが現れているようです。
調査手法
- 調査期間:2020年9月8日~15日
- 調査対象:2021年度に大学受験をする高校3年生
- 調査方法:インターネット調査
まとめ
今回の調査では、新型コロナウイルスによって受験生がどのような理由で志望大学などを変えたのかを聞きました。自由回答に寄せられたコメントを見ると、21年度の大学受験をどう乗り越えるかだけでなく、その後のキャンパスライフや将来の夢についても、真剣に悩み、向き合って進路を考えている様子が伝わってきます。
21年度入試においては、将来に対する安定志向はより強まり、就職に強い学部や地方の人気は高まるかもしれません。見据える未来像と、刻々と変化する状況の変化を両にらみし、柔軟に受験プランを組み立てていく必要があるでしょう。