岡山県津山市にある美作大学は、学生減少が続いている状態から公立化への検討を重ねている。同市が設置した「美作大学の公立化に関する有識者会議」の第5回が11月5日に開かれ、公立化を市長に提言する最終報告をまとめた。
大学を運営する学校法人からの要請を受けて発足した会議には、県内外の公立大学関係者や経済団体代表などが参加した。西山修会長は「公立化を持続可能なまちづくりの未来への布石と位置づけ、広い視野で総合的に検討すべきだ」と述べた。
報告では、美作大学の志願者数が少子化の影響で2023年度以降大きく減少し、入学定員を下回る状況が続いている現状を指摘。そのうえで、公立化すれば大学への関心を持つ高校生が2倍に増え、地域人口の維持や増加にもつながることが期待されている。
なお、第2回会合で実施されたアンケートでは、公立化後に「進学先として関心がある」と回答した高校生は全体の約20%にのぼる。新学部の希望分野としては、「工学」「情報・データサイエンス」が多く挙げられた。
第5回会合の一次資料によると、美作大学の立地による津山市への経済波及効果は、年間で約19.1億円に達すると見込んでいる。内訳は大学運営支出による2.0億円、学生・教職員の消費による6.8億円、施設整備による4.1億円などで、地域経済に与える影響は大きいとされる。
提言書は11月中に谷口圭三市長へ提出され、市ホームページでも公開される予定だ。