東京理科大学は1881年に創設された「東京物理学講習所」を前身とし、私立の理系学校として最も長い歴史を持つ難関校です。
7学部に加え、大学卒業者向けの夜間学科「理学専攻科」や文系の「経営学部」も設置し、理工系総合大学として幅広い学びの場を提供しています。教育方針としては「実力主義」を掲げ、卒業生からはノーベル賞受賞者も輩出するなど、その学問水準の高さは国内トップクラスです。
この記事では、東京理科大学の入試制度や難易度、出題傾向と対策方法を詳しく解説するとともに、東京理科大学志望者におすすめの塾・予備校10選をご紹介します。ぜひ参考にしてください。
東京理科大学の入試制度と注意点

まずは、東京理科大学で採用されている入試方法と、受験生が注意すべき点をお伝えします。
東京理科大学は学部・学科の再編成を実施中
東京理科大学を受験するにあたり、まずはアドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)を確認しておきましょう。大学全体のアドミッション・ポリシーに加え、学部・学科ごとに異なる方針が設けられているため、ホームページにアクセスして自分が志望する学科の方針をチェックすることが大切です。
2025年現在、東京理科大学には以下の7つの学部があります。
- 理学部第一部
- 工学部
- 薬学部
- 創域理工学部
- 先進工学部
- 経営学部
- 理学部第二部
理工系の私立大学としては最大規模で学部を展開しており、教育や研究において充実した環境を用意しています。さらに、2026年4月には以下2つの新学部・新学科が創設される予定です。
- 創域情報学部 情報理⼯学科
- 理学部第一部 科学コミュニケーション学科
東京理科大学の8つ目の学部となる創域情報学部では、情報系分野の再統合、そしてまったく新しい発想の創出を目指します。情報技術の最先端を学べるコース構成と、学習内容の主体的な選択が可能なカリキュラムがその特色となっています。
東京理科大学の一般選抜には3つの方式がある
東京理科大学の2026年度一般選抜には、以下の3つの入試方式が用意されています。
| 方式 | 内容 |
| A方式 | 大学入学共通テストを利用する方式 全学部対象 |
| B方式 | 東京理科大学独自の入学試験 募集人数が最も多い 全学部対象 |
| S方式 | 東京理科大学独自の入学試験 創域理工学部の一部学科のみ対象 |
それぞれの方式は併願も可能です。ただし「同一試験日におけるB方式とS方式の併願は不可」といったルールもあるため、東京理科大学ホームページの一般選抜ページで確認しておきましょう。
最も受験者数の多い「B方式」では、同一試験日で3つの受験科目が同じであれば、2学科まで併願が可能です。通常、1学科あたりの受験料は3万5,000円ですが、併願する場合は2学科合わせて5万5,000円となります。
なお、異なる試験日の学科を併願する場合は、「3万5,000円×出願学科数」の受験料を納めます。
また、大学入学共通テストを利用するA方式の場合、入学検定料は1学科につき1万9,000円、S方式は1学科につき3万5,000円です。
東京理科大学では、一般選抜のほかにも以下のような入試制度を採用しています。
- 学校推薦型選抜
- 帰国生入学者選抜
- 外国人留学生入学試験
- 国際バカロレア入学者選抜
それぞれ出願資格や受験方法が異なるため、条件に当てはまるものがあれば受験を検討してみましょう。
東京理科大学の難易度・偏差値は?
東進のデータによると、東京理科大学の偏差値は64~70です。一般的にはGMARCHと同水準、学部によってはそれ以上の難易度とされているため、合格を目指す受験生は十分な準備と入念な対策を行なったうえで試験に臨む必要があります。
なお、東京理科大学の受験に関する各種データは以下のとおりです。
| 学部 | 偏差値 | 実質倍率(B方式) | 合格最低点(B方式) |
| 理学部第一部 | 68~70 | 3.0 | 152(応用数学科) |
| 工学部 | 67~69 | 3.7 | 168(工業化学科) |
| 薬学部 | 68~69 | 3.8 | 199(薬学科・生命創薬化学科) |
| 創域理工学部 | 64~69 | 2.8 | 186(社会基盤工学科) |
| 先進工学部 | 68~69 | 2.9 | 194(電子システム工学科・物理工学科) |
| 経営学部 | 65~66 | 3.9 | 175(ビジネスエコノミクス学科) |
| 理学部第二部 | 68~70 | 1.8 | 136(物理学科) |
※実質倍率:受験者数÷合格者数で算出(小数点第2位を四捨五入)
参考: 東京理科大学 偏差値一覧・ランキング|大学案内|大学受験の予備校・塾 東進
東京理科大学の入試傾向と対策

東京理科大学に合格するためには、入試問題の傾向と対策を理解しておくことが不可欠です。
最も受験者数の多い「B方式」の基本科目は「数学・英語・理科(科目選択)」の組み合わせです。ただし、一部異なる学部・学科もあります。例えば、経営学部の一部の学科は国語が必須、薬学部では化学が必須で物理は選択できません。まずは志望する学部の受験科目をチェックしてみてください。
さらに、同じ科目であっても学部・学科ごとに異なる問題が出題されます。複数の学科を併願する場合は、それぞれの学科別に対策が必要です。
ここでは例として、学部全体に共通する英語・数学・理科の傾向と対策をご紹介します。
英語は長文読解に慣れて論理展開を読み解こう
英語は長文読解が中心です。マーク式解答が多いものの、年度や学部によって記述問題も出題されます。近年は設問文が英語で提示されることもあるため、問われている内容を正確に理解するための語彙力と読解力が必要です。
長文の内容は理系大学らしく理系分野の文章が多めで、構造も理論的に把握しやすいものが多い傾向にあります。接続詞や文章の展開に注意すると、より読み解きやすくなります。まずは単語・熟語・文法の基礎をしっかりと固め、そのうえで長文読解の演習を重ねるとよいでしょう。
数学は微分・積分が頻出 標準問題で得点を!
理系数学は数Ⅲ範囲から幅広く出題され、基礎から応用まで対応が必要です。特に重要なのは微分・積分で、膨大な計算量が求められるため、ケアレスミスには十分注意してください。
例年、難問は全体の2~3割ほどを占めますが、難問にこだわりすぎないことも大切です。標準レベルの問題を確実に得点できるようにすることが合格への近道です。
理科は正確な計算とスピードが重要
理科(化学・物理)も計算量が多い傾向にあります。数学だけでなく理科科目でも計算力を意識し、基礎トレーニングをしっかりと行ないましょう。設問数が多いため、テンポ良く問題を解いていくスピードも必要です。
物理はどの学部でも、力学と熱力学の分野が頻出します。高度な知識が問われるため、難関大学レベルの問題集を活用して対策すると効果的です。
化学は理論・無機・有機の各分野から幅広く出題される傾向にあります。どれか一分野が得意であっても、不得意分野があると得点を伸ばしにくいため、早めに学習に取りかかり、バランス良くカバーして苦手を克服しておきましょう。
東京理科大学対策で塾・予備校を選ぶときのポイント

東京理科大学の入試は数学や理科のレベルが高く、独学での対策は難しい傾向にあります。そのため、塾や予備校を利用して受験対策を行なうのがおすすめです。塾や予備校に通えば、プロ講師のサポートを受けながら最新の入試情報も得ることができます。
塾・予備校を選ぶ際は、東京理科大学に特化したカリキュラムを提供しているかどうかをまず確認しましょう。
集団指導や個別指導などの指導形式は、どのスタイルが自分に合っているのかをよく考えることが大切です。ほかの生徒と切磋琢磨したい場合は集団指導が、自分のペースで学習を進めたい場合は個別指導が向いています。
また、確認テストなどでこまめに学力を測り、レベルに応じた指導を行なってくれる塾を選ぶとよいでしょう。
東京理科大学を目指す方へおすすめの塾・予備校10選

最後に、東京理科大学を目指す方におすすめの10の塾・予備校をピックアップしてご紹介します。講座ラインアップや料金、サポート体制などを総合的に考え、どこに通うか決めましょう。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は、合格実績を伸ばし続けている注目の予備校です。2025年度の東京理科大学合格者数は2,935名(現役生のみ、講習生は含まず)でした。
東進では、日本全国から各教科のエース講師が集結し、質の高い授業を提供しています。授業は生徒それぞれのペースで映像受講が可能で、担任による「熱誠指導」によってやる気を引き出す仕組みも備えています。
さらに、東進の特徴として質の高い演習システムが挙げられます。「志望校別単元ジャンル演習講座」では、AIによる学力診断をもとに10万問以上のデータベースから選び出された問題での演習が可能です。加えて、東京理科大学の工学部・理工学部に関しては「過去問演習講座」が開講されており、プロの採点と解説授業を受けられます。
また、東進では入試本番レベルの模試も実施しているため、ぜひ活用しましょう。東京理科大学志望者には「早慶上理・難関国公立大模試」がおすすめです。年5回と実施回数も多く、定期的に受検することで学力の伸びを確認し、強み・弱みを踏まえた戦略を立てやすくなります。
駿台予備学校
駿台予備学校(以下、駿台)は、特に理系志望者から人気の高い予備校です。2025年度は東京理科大学に4,362名もの合格者を輩出しています(駿台グループ関連法人の在籍生および各講習受講生の実績で、現役・浪人の両者を含む)。
駿台の講座は細かくレベル分けされており、自分の学力に合った授業を選べます。各科目の得意・不得意を考慮して講座を組み合わせることで、着実に学力を伸ばすことが可能です。
また、駿台は細やかなサポート体制にも定評があります。授業でわからなかった部分を講師に質問できることはもちろん、苦手分野はAI教材を活用して補強することができます。
四谷学院
東京理科大学の入試では基礎的な計算力が重要であり、特に化学は苦手分野をしっかりと克服する必要があります。苦手を確実に潰したい方や、自分のレベルに合わせた講座を受講したい方には四谷学院がおすすめです。
四谷学院では「科目別能力別授業」と「55段階個別指導」のダブル指導により、理解力と解答力を高めていきます。「科目別能力別授業」では毎月レベル診断テストを行なうため、常に自分に合ったクラスで受講することが可能です。
「55段階個別指導」では、プロ講師による個別指導で理解度を細かくチェックします。東京理科大学に特化した専用講座はありませんが、このような指導体系によって得意科目はさらに伸ばし、苦手科目はじっくりと理解を深めることができます。
河合塾
河合塾は日本三大予備校の一つで、2025年度における東京理科大学の合格者数は5,144名でした。全国的に難関大学の合格者を多数輩出しており、教材の品質や模試判定の正確さに定評があります。
受験に関する情報を豊富に提供しており、生徒一人ひとりに合わせた柔軟な指導形態も魅力の一つです。担任チューター制度を通じて学業以外の悩みも相談でき、受験期に精神的な支えを得られる特徴もあります。
また、難関大学合格を目指す受験生のために充実したプログラムを用意しており、多彩な形で受験を応援してくれることも大きな魅力です。万全のサポート体制で東京理科大学の受験に臨みたい方は、河合塾を検討してみるとよいでしょう。
Z会の教室
Z会の教室は、通信教育で知られるZ会が運営する塾で、首都圏や関西圏で教室を展開しています。精鋭講師陣による質の高い授業を通じて、学びの楽しさを実感しながら体系的な知識を身に付けられます。
Z会の教室の特徴は、志望校合格をゴールとするのではなく「人として成長してほしい」という願いを込めて指導を行なっていることです。生徒の自主的な学習姿勢を育成することに注力し、将来にわたって役立つ優れた記述力や論理力を養成しています。
授業は少人数制または個別指導で行なわれ、質問や自習がしやすい環境が整っています。受験に必要な答案作成力を伸ばしたい方には、Z会の教室の受講がおすすめです。
鬼管理専門塾
鬼管理専門塾では、東京理科大学をはじめとする志望校の入試に特化した指導を行なっています。東京理科大学、またはそれ以上の大学に合格した経験を持つ講師が担当となり、自己管理に自信のない生徒を手厚くサポートします。
鬼管理専門塾の特徴は、1日・1週・1ヵ月ごとにやるべきことが組み込まれた志望校特化型のカリキュラムです。生徒は毎日の学習内容に迷うことなく、効率的な学力向上を目指せます。
さらに、最大週7回の確認テストやオンライン自習室(Zoom利用)を用意しており、最短距離で東京理科大学合格を目指すための学習習慣を身に付けられます。徹底的に学習を管理してほしい方、最短最速で東京理科大学合格に近づきたい方には鬼管理専門塾がおすすめです。
早稲田アカデミー
早稲田アカデミーはおもに関東地方で教室を展開する学習塾で、2025年度における東京理科大学の合格実績は131名でした。
少人数制のライブ授業で生徒の集中力を高め、毎回実施される確認テストで習熟度をチェックするのが特徴です。また、学力別・志望校別のクラス編成により、自分の力に合った指導を受けられる点も大きな魅力です。
東京理科大学に特化したカリキュラムとしては「難関大必勝コース」を用意しています。これは120分×4コマのスケジュールで東京理科大学やGMARCH合格に必要な学力を身に付ける集中特訓コースで、校舎での対面授業とオンライン双方向Web授業のいずれかを選択可能です。
関東地方の塾を利用し、熱意を持って受験に取り組みたい方は、早稲田アカデミーを検討してみるとよいでしょう。
臨海セミナー
創立50年以上の歴史を誇る臨海セミナーは、東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪に教室を構えています。2025年度は275名の東京理科大学合格者を輩出しました。
臨海セミナーは、講師の指導技術の高さや徹底的なサポート体制に定評があります。「授業が学習塾の根幹である」という考えのもと、講師の授業スキルを点数化して定量的に評価し、指導技術の向上を図っています。授業以外の場面における「面倒見」の姿勢も重視し、生徒が安心して受験に臨めるよう工夫を凝らしています。
また、「臨海方式」と呼ばれる独自の授業スタイルによって生徒の集中力を高め、学習効率の向上を目指しています。首都圏や大阪でサポートの手厚い塾を探している方には、臨海セミナーがおすすめです。
坪田塾
坪田塾は、心理学を用いた独自の指導で受験をサポートする学習塾です。生徒を9つの性格タイプに分類し、それぞれに合わせた声かけでモチベーションの維持を図っています。
勉強を「教える」ことよりも「支える」ことを重視し、効率的な勉強法を丁寧に伝えるのも坪田塾の特徴です。正しい調べ方や考え方を理解することで、生徒は自宅でも主体的に学習を進められるようになります。
さらに、生徒の学力やスケジュールに合わせた個別カリキュラムや、アウトプット重視の「反転学習」なども坪田塾ならではの工夫です。反転学習では、生徒が自宅で学んだことを講師に説明してもらい、ただ教えられるよりも深い理解を促します。
受験期を楽しく乗り切って東京理科大学合格を目指したい方は、坪田塾を検討するのがおすすめです。
武田塾
武田塾は「授業をしない」ことで知られる学習塾です。授業の無駄を排した独自のスタイルで、生徒の効率的な成績アップを目指しています。
武田塾で採用しているのは、生徒のレベルに合った参考書を選定し、1冊ずつ完璧に仕上げていく方法です。カウンセリングを通して志望校別に個別カリキュラムを組み、合格のためのステップを綿密に計画します。「人は忘れるもの」という前提に立ち、参考書を活用した復習で記憶の定着を図ります。
習慣コーチングや365日課題指定により、生徒が勉強をサボれない環境を整えていることも武田塾の強みです。東京理科大学合格を目指し、自学自習で劇的に成績を伸ばしたい方は武田塾を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
「実力主義」を掲げる東京理科大学は、MARCHに並ぶ偏差値の難関校です。理工系総合大学として幅広い学部・学科を展開しているため、まずは目指す学科を見極めることが大切です。
入試の対策を行なう際には、塾や予備校を活用するのが効率的な方法といえます。集団指導や個別指導など、塾ごとの特徴を理解したうえで、自分の学力を伸ばしてくれる環境を選ぶとよいでしょう。