大学受験で選択できる社会の科目は、地理歴史・公民に分かれています。ただし、公民を選ぶ受験生は地理や歴史に比べて少ない傾向 にあります。周りに公民選択の人が少なく、科目の選び方や成績を伸ばすための勉強法がわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、公民科目の特徴や科目の選び方、公民の成績を伸ばせる塾・予備校についてご紹介します。
共通テストにおける「社会」分野の出題科目

公民科目について解説する前に、大学入学共通テストで出題される社会分野の科目についてご紹介します。大学入学共通テストで受験できる社会分野の科目は、以下の6つです。
- 「地理総合、地理探究 」
- 「歴史総合、日本史探究 」
- 「歴史総合、世界史探究」
- 「公共、倫理」
- 「公共、政治・経済」
- 「地理総合/歴史総合/公共(3つのうちいずれか2分野を選択し解答)」
公民で受験したい方は、④「公共、倫理」、⑤「公共、政治・経済」、⑥「地理総合/歴史総合/公共」のいずれかを選ぶことになります。
なお、大学によっては社会分野の科目を2科目選択して受験する必要があります。その場合、「地理総合」「歴史総合」「公共」が入った科目を重複して受けることはできません。例えば、④「公共、倫理」と⑤「公共、政治・経済」の組み合わせは、「公共」が重複しているため不可となります。
また、⑥「地理総合/歴史総合/公共」の選択を認めていない大学もあるため、志望大学の募集要項を早めに確認しておきましょう。
公民科目の特徴

3つの公民科目「倫理」「政治・経済」「公共」ではそれぞれどのようなことを学ぶのでしょうか?学習内容と高得点を取るために求められる力についてご紹介します。
倫理で学ぶ内容
倫理とは、哲学や宗教、思想、心理学、倫理学などから人間の内面を知ろうとする科目です。思想家が追求してきた人間の内面に関する事象を知り、そこから人間社会の秩序やルールについて深く学びます。
倫理では、歴史的な思想家の名前と、その思想や哲学を合わせて覚える必要があります 。高得点を取るには、丸暗記ではなく、その思想や哲学が生まれた理由や背景まで深く理解しなければなりません。そのため、現代文などが得意な人に向いている科目といえるでしょう。
政治・経済で学ぶ内容
政治・経済は、現代の日本や世界の出来事を、政治や経済の仕組みを学ぶことで理解しようとする科目です。
中学で習った公民がベースになっているため、倫理より抵抗なく学習をはじめられる方も多いかもしれません。ただし、中学と比べてより深く専門的な内容が問われ、また政治・経済の2分野を学ぶことから、学習量は多めです。
政治・経済で学ぶ内容は実生活にかかわるものが多いため、日頃から政治や経済に関するニュースをよく見たり、時事問題に興味を持ったりすることで、予備知識が増えて理解しやすくなります。知識を丸暗記で詰め込むというよりも、制度や理論を深く掘り下げて理解する力が求められます。
公共で学ぶ内容
公共は、大学入学共通テストが新課程になった2025年度に、これまでの「現代社会」に代わって新設された科目です。現代社会と同様、倫理と政治・経済で学ぶ基本的な内容を融合したような科目といえます。
公共が現代社会と異なる点は、「主体性」や「解決力」の教育を重視していることです。そのため、社会保障、金融教育、地球環境、資源・エネルギー問題など、現代を生きるために必要な知識が問われ、それらの課題を解決するための思考力が求められます。
公共で高得点を取るには、これまでのような用語の暗記にとどまらず、制度の社会的意義や背景などをより深く理解する必要があるでしょう。また、資料やグラフを素早く読み解く分析力も重要です。
公民の科目はどれを選ぶべき?

公民の3つの科目の特徴についてご紹介しました。倫理では哲学や宗教から人間の内面を学び、政治・経済では政治や経済に関する情報や時事問題などを学びます 。そして、これらを融合させた科目が公共 です。
これらの3科目は求められる力がそれぞれ異なり、人によって向き不向きがあるため、どれを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。ここからは、公民の科目を選ぶ際にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
志望校で必要となる科目を選ぶ
初めに、受験する大学・学部の入試情報を確認し、必要となる科目をチェックしてください。
私立大学の場合、一般選抜で政治・経済は選択できますが、倫理は選択できないというケースもあります。 第一志望だけでなく、併願する可能性のある大学もできるだけ確認しておきましょう。
興味のある科目を選ぶ
志望校で必要となる科目を確認したら、そのなかから自分が好きな科目や興味がある科目を選びましょう。
先輩や友人から「政治・経済は暗記量が少ないから簡単」「倫理は覚えるだけでいいから楽」などの話を聞いて選ぶ人もいるかもしれません。しかし、そもそもその科目自体に興味がないと、どれを選んでも勉強が苦痛で、学力は伸びにくいでしょう。
自分が好きな科目であれば、興味を持って楽しく取り組むことができるため、学力もアップしやすいといえます。公民科目に絞らず、歴史や地理も選択肢に入れたうえで、勉強が苦にならない科目を選ぶことをおすすめします。
志望学部に近い科目を選ぶ
文系の人は、大学に入ったあとも公民の知識を活かせる機会がたくさんあります 。公民は受験であまり重視されない科目ですが、将来を見据えると、受験生のうちからしっかり学んでおいて損はありません。
ここでポイントとなるのが、入りたい学部の内容に近い科目を選ぶことです。例えば文学部などの人文系では、哲学や心理学の範囲を扱うことがありま すが、これは大学受験の倫理の範囲に含まれます。人文系志望の場合は「倫理」を学んでおくとよい でしょう。
一方で、法学部や経済学部、商学部などを志望する人には「公共」または「政治・経済」をおすすめ します。公共や政治・経済で学んだ社会の仕組みや情勢などの知識は、大学に入ったあと、さらには社会人になったあとにも役に立ちます。
学習効率重視なら「公共、政治・経済」を選ぶ
「公共は倫理と政治・経済を合わせた科目」とお伝えしましたが、正確には政治・経済の分野のほうが多く含まれています。そのため、「公共、倫理」と「公共、政治・経済」のどちらかで迷っている方は「公共、政治・経済」を選んだほうが学習効率の点で有利といえるでしょう。
ただし、楽をしたいという理由だけで「公共、政治・経済」を選ぶのはおすすめできません。先ほどもお伝えしたように、興味がなければどの科目を選んでも頭に入らず、勉強が苦痛となってしまいます。
自分の好きな科目や興味のある科目、大学で学びたい分野を深められる科目から選ぶことを優先し、どうしても迷ったときに学習効率の観点から考えてみましょう。
公民の成績を伸ばせる塾・予備校を選ぶポイント

公民は暗記科目と思われることが多いですが、独学でただ参考書を読んだり一問一答を解いたりするだけでは、内容をあまり理解できないまま受験本番を迎えてしまう可能性があります。
しっかりと知識を定着させたいのであれば、塾や予備校に通い、プロの講師から教わるのがおすすめです。ここでは、塾・予備校で公民を学びたい人に向けて、どのようなポイントに注目して塾・予備校を選べばいいのかをお伝えします。
理論や最新情報の解説がわかりやすい講師を探そう
公民の倫理、政治・経済、公共では、それぞれ勉強のコツが異なります。科目ごとのポイントを押さえ、的確に解説してくれる講師を選んでください。
倫理は、哲学者の名前と思想をはじめ、心理学の理論の名前などが多く出てきます 。人名と思想の名前を結び付けて覚えることはもちろん、どのような思想なのか、どのような理論なのかを知っておかなければなりません。ですので、図を使ったり、語呂合わせを教えてくれたりするなど、わかりやすく教えてくれる講師を探しましょう。
政治・経済や公共では、最新の時事問題も扱います 。良い講師は最新ニュースのなかから入試で出そうなものをいち早く教えてくれます。
予備校のホームページなどでは、授業風景のサンプル映像を見られることがあります。いろいろな授業映像を見たり体験授業に参加したりして、良い講師を探しましょう。
論述対策がしたい場合は個別指導も視野に入れよう
一般入試で公民を受ける場合は、記述問題が出されることがあります 。その場合は、論述対策ができる講座を受けることをおすすめします。論述問題は自己採点しにくいので、プロの講師の目線で添削やアドバイスをしてもらうとよいでしょう。
ただし、大手予備校でも公民の論述対策に特化している講座はほとんどありません 。論述対策をしたい場合は、自分だけのカリキュラムを組める個別指導も検討してみてください。
公民の勉強時間がない場合は、長期休みの特別講座を活用しよう
「毎日授業や部活動が忙しい」「数学や英語、地理や歴史を優先したい」などの理由で、公民を学習する時間がなかなか取れずお悩みの方もいるでしょう。そんな方には、塾や予備校で長期休みに開講される特別講座がおすすめです。
大手予備校では、夏期講習や冬期講習で公民分野の集中講義や実戦演習が行なわれています。公民の基礎固めや弱点克服に集中して取り組むことで、短期間で一気に仕上げることができます。普段公民まで手が回らない方や、苦手意識があるという方は、特別講座を活用して得点源に変えましょう。
【口コミあり】大手予備校の公民講座の特徴

ここからは、東進ハイスクールや河合塾などの大手予備校でどのような公民の講座があるのかご紹介します。また、当サイトが行なったアンケート調査のなかから、実際に予備校に通った先輩たちの口コミもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
公民を選ぶ受験生は多くないため、公民の講座は全体的に少ない傾向にあります。公民の学力を伸ばしたい人は、オンライン予備校なども併せて活用しましょう。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校では、約1万種類の映像授業から必要な授業を選んで学習を進めます 。授業の豊富さは大手でもトップレベルで、公民についてもほかの予備校と比べて充実 しています。
各科目の共通テスト対策はもちろん、政治・経済の一般入試対策もできます 。「政治編」と「経済編」に分かれ、さらに、政治・経済を複数の単元に分けて段階的に学べる講座もあるため、苦手な部分だけ克服することも可能です。
[公共]
現代社会の授業としては、①政治、②経済、③倫理、の3つに大きく分けられると思う。
①の政治についてはもともとあまり興味がなかったと言うこともあって成績が全く伸びずに困っていたが、予備校の授業で政治について歴史から政治家の関係などを面白く授業で教えてもらうことで、だんだんと興味が上がり、それに応じて成績も少しずつ上がっていった。
②の経済については、現代社会の中で最も苦手であり興味もわかず最後の最後までてこずった。授業で最低限覚えておいた方が良い点について集中的に教えてくれたので、何とか一定レベルの点数を取れるようになった。
③倫理については、有名な人物などの歴史の変遷が極めて重要なため、世界における倫理の考え方が時代とともにどのように変わっていったか、あるいは変わらなかったかを歴史的に授業で説明してもらうことで、点での理解ではなく、一連の線のような流れで全体を理解することが容易になった。
この予備校では、生徒の得意な点と苦手な点に応じて柔軟に授業でメリハリを付けてくれたところがよかった。
[倫理]
東進のテキストは本当に丁寧で、よく作り込まれていました。私も先生の口頭での説明まで真剣にノートを取ったので、恐らくテキストのままよりもさらにわかりやすくなったと思います。
授業の進度はテキストに対してすごく早いけど、そのかわりテキストが分厚くフォローがしっかりしている。このテキストを完ぺきにこなせばセンターで80点は行けると思う。資料がとにかく豊富で素晴らしい。
河合塾
河合塾の高3生・関東エリア向けの公民講座では、政治・経済のみ対面授業があります。ほかにも共通テスト対策として、倫理と政治・経済の映像授業が用意 されています。
対面授業の「政経」は講義と演習を組み合わせた総合的な授業 で、着実に力を付けていくことができます。口コミを見ると、雑談のなかでも最新の時事に関する豆知識を得られるなど、講師の質も高いようです。
[公共]
参考書や授業では学ぶことのできない部分の話が、教員の余談等も通じて学ぶことができた。
また、現代社会の知識自体はそれぞれバラバラに覚えてしまうことが多いので、それらの記憶を海外の政治のシステムや日本の政治システムの違いなど、いろいろな形で関連させることによって、知識がまんべんなく得られ、単純暗記だけではない知識量を得ることができた。
また、演習もオリジナルのテキストでかなりできた。現代社会自体、参考書は多いものの問題集自体は少ないため、便利ではあった。
ただ、授業の開講数としては少なかったため、スケジュール調整がなかなか難しかった。
[公共]
教師の教え方は良かったのですが、セットで他の教科の授業もいくつか取らねばならず、自分の自習の時間が持ちにくかったです。復習や自分で見返す時間があまり取れず、成績はあまり変わらずでした。
しかしそれも受験が終わった今だから気付けたことで、当時は周りも同様に授業をいくつもとっていたので、なぜ成績が上がらないのだろう、どうしてこんなに時間がないのだろう、、、とモヤモヤしていました。
大学生のチューターさんもいましたが、1人のチューターに対して受け持っている生徒が多すぎて個人的にたよれる存在ではなかったです。
[倫理]
倫理では、多くの登場人物が出てくるだけでなく、イデアなど、聞いただけでは想像しにくい用語が多いです。また、参考書の説明のみでは深くまで理解することはできないので、応用問題に対応するのが難しかったです。
しかし、河合塾の先生は、教科書をベースにするのではなくオリジナルプリントを作成したうえで、さまざまな例を交えて教えてくれたので、非常に楽しみながら学ぶことができました。丁寧な授業のおかげで、深くまで理解することができ、よくあるひっかけ問題や応用問題に対応できるようになりました。
倫理が好きな人にはもちろん、興味がないもしくは苦手な人にも河合塾大阪校の先生の倫理の授業は非常におすすめします。
駿台予備校
駿台は講師の質が良いといわれており 、公民についても効率的に学力を上げられるノウハウを持っています 。
しかし、駿台の公民講座をチェックしてみると、高3生を対象とした共通テスト対策用の映像講座があるのみ となっています。公民だけを取りたいのであれば、同じく映像授業で学べる東進も比較候補となるでしょう。
[公共]
駿台予備校で現代社会の週1回の通常授業、直前の対策講座を受講していました。
現代社会は覚えることが多いと思いますが、あまり勉強時間をかけられない科目であるかと思います。自分で学習するよりかは、予備校の授業を受けることで出題されるポイントを知ることができるため、的を絞って効率良く暗記することができると思います。
授業料はかかってしまいますが、効率良く学習したい人には、予備校の授業を受けることをおすすめします。
[倫理]
私は理系だったため、倫理はセンター試験での社会科科目のために勉強しました。
駿台予備校は理系に強い予備校だったため通っていましたが、選択授業で倫理科目があったので受講しました。私の担当の先生はエピソードをふまえて説明してくださったため、単なる単純暗記よりも理解しやすく記憶に定着しやすかったです。男の先生でしたが、オネエみたいな方で講義は面白かったです。
学校の授業では倫理はなかったため、予備校に通うことで参考書を読むだけでは理解できない奥深いことを学ぶことができました。
代々木ゼミナール
代々木ゼミナールの本部校では、大学入学共通テスト対策や、基礎・標準レベルの大学を目指す人のための講義、さらにハイレベルな大学を目指す人のための演習講座が開講 されています。政治・経済の講義が多く、倫理や公共は共通テスト対策向けの講座のみ開講されています。
代々木ゼミナールの公民講座は、対面授業または映像授業を選択可能です。都合に合わせて選べるから、学校行事や部活動とも両立しやすいでしょう。
[公共]
新聞に掲載されている時事的な問題を扱う教科だが、根底にある事柄についてしっかり理解することを予備校講師から学びました。
受験科目という意味合いで授業を選択しましたが、国際社会の実情を学ぶにつれ、英語や国語で扱われる読解の把握まで役立ったような気がしています。
世界情勢を理解すれば、あらゆる科目で必要とする基礎的な内容が把握できることから、現代社会の正しい学び方を身に付けるためにも、夏期講習の単科でもよいので受講すべきだと思いました。
秀英予備校
秀英予備校のどの校舎においても、公民に関する集団授業の開講は明記されていません。
ただし、秀英予備校は集団授業のほかに「1対1個別指導」も用意されています。1対1個別指導の特徴は、大学受験を専門とするプロの講師が、受験生一人ひとりに合わせた指導を行なうことです。大学別の傾向に合わせた個別試験対策から、大学入学共通テスト対策、推薦入試対策、面接対策まで、志望校合格のために必要な対策をトータルで提供 します。
受験で公民科目を利用したい方、公民の指導を希望する方は、1対1個別指導で対応してもらえないか、一度相談してみてください。
[公共]
現代社会という授業は好きではありませんが、受験に必要だったので予備校で勉強することになりました。秀英予備校を選んだ理由は、「他の科目を受講しているから」「塾の雰囲気を知っていて安心感があるから」です。偏差値がすごく伸びた訳ではありませんが、私が覚えが悪いことを理解しつつ、授業後、私の質問に遅い時間まで丁寧に、嫌な顔をしないで答えてくださいました。先生方の誠意に感謝しましたし、勉強を頑張ろうという意識が高まりました。
武田塾
武田塾は授業を実施しないことが特徴です。多くの塾や大手予備校では、その塾や予備校オリジナルのテキストを使用して授業を進めますが、武田塾にはオリジナルテキストもありません 。
武田塾では、市販の参考書を指定した順番で使用し、生徒が自学自習する学習スタイルを取っています。週に1回、担当講師が進捗や定着度をチェックし、学習をサポートします。
そのため、公民についても、市販の参考書を使って自学自習を進めるためのサポートを受けられる可能性があるでしょう。詳細については各校舎に問い合わせることをおすすめします。
まとめ
大学受験における公民科目の特徴や科目選択で気を付けたいこと、公民の成績を伸ばせる塾・予備校の選び方などをご紹介してきました。
公民科目は「倫理」「政治・経済」「公共」の3つがあり 、勉強するうえで気を付けるポイントや受験で求められる力が異なります。それぞれの特徴を知り、志望大学の入試情報を確認したうえで、自分の興味や進学先に合った科目を選びましょう。
受験に必要な力を伸ばすために、予備校や塾の公民に関する講座を受講するのもおすすめです。本記事でご紹介した先輩たちの口コミもぜひ参考にしてください。