大学受験で利用できる社会の科目は、地歴公民(地理・歴史・公民)に分かれています。このうち、歴史を必須とする大学はたくさんありますが、公民と地理が必須の大学は多くありません。早稲田の政治経済学部や慶應の経済学部でさえ、公民なしで受けられます。
しかし、国公立大学を受ける人は大学入学共通テストで社会の試験を2科目受けなければなりません。その際、歴史と公民という組み合わせで受験する方もおられるでしょう。
公民を選んだ人は、大学入学共通テストで取りこぼしのないようしっかり対策しなければなりません。そこで今回は、公民の成績を伸ばせる塾・予備校の選び方をご紹介します。公民科目の選び方も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
公民の科目はどれを選ぶべき?
一口に公民と言っても、科目は「倫理」「政治・経済」「現代社会」という3科目に分かれています。大学入学共通テストでは、倫理と政治・経済を合わせた「倫理、政治・経済」という科目も加わり、4種類となっています。
これらの科目を大まかに説明すると、倫理は哲学や道徳を扱い、論理的思考も問われる科目です。政治経済(政経)は政治と経済に関する情報と時事問題などを扱います。現代社会(現社)は政経と似ていますが、そこに倫理的な内容も加わったものです。ですので、最も総合的な科目が「現代社会」だと言えます。
このように、公民の3科目は違いが分かりづらく、どれを選べばいいのか迷う人も少なくないでしょう。まずは簡単に、公民科目の決め方からお伝えします。
志望校の必要科目は要チェック
初めに、受験する大学・学部の入試情報を確認し、必要となる科目をチェックしてください。公民で受験できない大学も少なくありませんが、中には公民で一般入試を受けられるところもあります。第一志望だけでなく、併願する可能性のある大学もできるだけ確認しておきましょう。
また、大学入学共通テスト利用入試で私立大学を受験する場合に注意しなければならないのが、倫理と政治経済を利用できる大学が少ないということです。大学入学共通テスト利用入試を受けるなら、「現代社会」あるいは「倫理、政治・経済」を選ぶのが無難です。
志望学部に近い科目を選ぶ
文系の人は、大学に入った後も公民の知識を生かせる機会がたくさんあります。公民は受験であまり重視されない教科ですが、将来を見据えると、受験生のうちからしっかり学んでおいて損はありません。
ここでポイントとなるのが、入りたい学部の内容に近い科目を選ぶことです。例えば文学部などの人文系では、哲学や心理学の範囲を扱うことがありますが、これは大学受験の倫理の範囲に含まれます。人文系志望の場合は「倫理」を学んでおくとよいでしょう。
一方で、法学部や経済学部、商学部などを受ける人は「現代社会」または「政治経済」をおすすめします。現社や政経を学んでいく上で得た社会の仕組みや情勢などの知識は、大学に入った後、さらには社会人になった後にも役に立ちます。
公民の成績を伸ばせる塾・予備校を探すには?
公民は暗記科目と思われることが多いですが、独学でただ参考書を読んだり一問一答をしたりするだけでは、内容をあまり理解できずに受験本番を迎えてしまう可能性があります。
しっかりと知識を定着させたいのであれば、塾や予備校に通い、プロ講師から教わるのがおすすめです。ここでは、塾・予備校で公民を学びたい人に向けて、どんなポイントを見て塾・予備校を選べばいいのかをお伝えします。
公民の塾・予備校講師は、理論や最新情報を分かりやすく解説してくれる人を探そう
公民は「倫理」と「現社」「政経」で勉強のコツが異なります。科目ごとのポイントを押さえ、的確に解説してくれる講師を選んでください。
倫理は、哲学者の名前と思想をはじめ、心理学の理論の名前などが多く出てきます。人名と思想の名前を結び付けて覚えることはもちろん、どんな思想なのか、どんな理論なのかを知っておかなければなりません。ですので、図を使ったり、語呂合わせを教えてくれたりするなど、分かりやすく教えてくれる講師を探しましょう。
一方で現社や政経では、最新の時事問題も扱います。良い講師は最新ニュースの中から入試で出そうなものをいち早く教えてくれます。
予備校のホームページなどでは、授業風景のサンプル映像を見られることがあります。いろいろな授業映像を見たり体験授業に参加したりして、良い講師を探してみましょう。
論述対策がしたい場合は個別指導も視野に入れよう
一般入試で公民を受ける場合は、記述問題が出されることがあります。その場合は、論述対策ができる講座を受けることをおすすめします。論述問題は自己採点しにくいので、プロの講師の目線で添削やアドバイスをしてもらうとよいでしょう。
ただし、大手予備校でも公民の論述対策に特化している講座はほとんどありません。論述を対策したい場合は、自分だけのカリキュラムを組める個別指導も検討してみてください。
大手予備校の公民講座の特徴とは? 実際の口コミもあわせてチェック!
東進ハイスクールや河合塾といった有名な予備校には、毎年数万人という受験生が通っています。これらの大手予備校にはどのような公民の講座があるのでしょうか。
当サイトでは、実際に予備校で倫理や現社、政経を習った人にアンケート調査を実施しました。先輩たちの口コミもぜひ参考にしてください。
しかし、公民を使う受験生は多くないので、全体的に公民の講座は少ない傾向にあります。公民の学力を伸ばしたい人は、オンライン予備校などもあわせて活用しましょう。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校では、約1万種の映像授業の中から必要な講座を選んで受講し、学習を進めます。授業の豊富さは大手でもトップレベルで、公民についても他の予備校と比べて充実しています。
各科目の共通テスト対策はもちろん、「政治経済」の一般入試対策もできます。「政治編」と「経済編」に分かれ、さらに、政治・経済をそれぞれ4つの単元に分けて5回ずつ学べる講座もあるため、苦手な部分だけ克服することも可能です。
[現代社会]
現代社会の授業としては、①政治、②経済、③倫理、の3つに大きく分けられると思う。①の政治についてはもともとあまり興味がなかったと言うこともあって成績が全く伸びずに困っていたが、予備校の授業で政治について歴史から政治家の関係などを面白く授業で教えてもらうことで、だんだんと興味が上がり、それに応じて成績も少しずつ上がっていった。
②の経済については、現代社会の中で最も苦手であり興味もわかず最後の最後までてこずった。授業で最低限覚えておいた方が良い点について集中的に教えてくれたので、何とか一定レベルの点数を取れるようになった。
③倫理については、有名な人物などの歴史の変遷が極めて重要なため、世界における倫理の考え方が時代とともにどのように変わっていったか、あるいは変わらなかったかを歴史的に授業で説明してもらうことで、点での理解ではなく、一連の線のような流れで全体を理解することが容易になった。
この予備校では、生徒の得意な、と苦手な店に応じて柔軟に授業でメリハリをつけてくれたところがよかった。
[倫理]
東進のテキストは本当に丁寧で、よく作り込まれていました。私も先生の口頭での説明まで真剣にノートを取ったので、恐らくテキストのままよりもさらに分かりやすくなったと思います。授業の進度はテキストに対してすごく早いけど、そのかわりテキストが分厚くフォローがしっかりしている。このテキストを完ぺきにこなせばセンター80点は行けると思う。資料がとにかく豊富で素晴らしい。
河合塾
河合塾の高3生・関東の講座を見てみると、「政経」のみ対面授業がありました。その他は共通テスト対策として、「倫理」と「政治・経済」の映像授業が用意されています。「現社」と「倫理,政治・経済」の講座はないので、少々不便かもしれません。
しかし、対面授業の「政経」は講義と演習を組み合わせた総合的な授業で、着実に力を付けていくことができます。口コミを見ると、雑談の中でも最新の時事に関する豆知識を得られるなど、講師の質も高いようです。
[現代社会]
参考書や授業では学ぶことのできない部分の話が、教員の余談等も通じて学ぶことができた。また、現代社会の知識自体はそれぞれバラバラに覚えてしまうことが多いので、それらの記憶を海外の政治のシステムや日本の政治システムの違いなど、いろいろな形で関連させることによって、知識がまんべんなく得られ、単純暗記だけではない知識量を得ることができた。
また、演習もオリジナルのテキストでかなりできた。現代社会自体、なかなか参考書は多いものの問題集自体は少ないため、便利ではあった。
ただ、授業の開講数としては少なかったため、スケジュール調整がなかなか難しかった。
[現代社会]
教師の教え方は良かったのですが、セットで他の教科の授業もいくつか取らねばならず、自分の自習の時間が持ちにくかったです。復習や自分で見返す時間があまりとれず、成績はあまり変わらずでした。しかしそれも受験が終わった今だから気付けたことで、当時は周りも同様に授業をいくつもとっていたので、なぜ成績が上がらないのだろう、どうしてこんなに時間がないのだろう、、、とモヤモヤしていました。
大学生のチューターさんもいましたが、1人のチューターに対して持っている生徒が多すぎて個人的にたよれる存在ではなかったです。
[倫理]
倫理では、多くの登場人物が出てくるだけでなく、イデアなど、聞いただけでは想像しにくい用語が多いです。また、参考書の説明のみでは深くまで理解することはできないので、応用問題に対応するのが難しかったです。しかし、河合塾の先生は、教科書をベースにするのではなくオリジナルプリントを作成した上で、様々な例を交えて教えてくれたので、非常に楽しみながら学ぶことができました。丁寧な授業のおかげで、深くまで理解することができ、よくあるひっかけ問題や応用問題に対応できるようになりました。
倫理が好きな人にはもちろん、興味がないもしくは苦手な人にも河合塾大阪校の先生の倫理の授業は非常におすすめします。
駿台予備校
駿台は講師の質が良いと言われており、公民についても効率的に学力を上げられるノウハウを持っています。
しかし、駿台の公民講座をチェックしてみると、共通テスト対策用の映像講座があるのみとなっています(高3生・首都圏)。公民だけを取りたいのであれば、同じく映像授業で学べる東進のほうが充実しているので、わざわざ駿台を選ぶ必要はないかもしれません。
[現代社会]
駿台予備校で現代社会の週1回の通常授業、直前の対策講座を受講していました。現代社会は覚えることが多いと思いますが、あまり勉強時間をかけられない科目であるかと思います。自分で学習するよりかは、予備校の授業を受けることで出題されるポイントを知ることができるため、的を絞って効率良く暗記することができると思います。
授業料はかかってしまいますがら効率良く学習したい人には、予備校の授業を受けることをおすすめします。
[倫理]
私は理系だったため、倫理はセンター試験での社会科科目のために勉強しました。駿台予備校は理系に強い予備校だったため通っていましたが、選択授業で倫理科目があったので受講しました。私の担当の先生はエピソードをふまえて説明してくださったため、単なる単純暗記よりも理解しやすく記憶に定着しやすかったです。男の先生でしたが、オネエみたいな方で講義は面白かったです。
学校の授業では倫理はなかったため、予備校に通うことで参考書を読むだけでは理解できない奥深いことを学ぶことができました。
その他、主要な予備校の公民講座に対する口コミは?
代々木ゼミナール
[現代社会]
新聞に掲載されている時事的な問題を扱う教科だが、根底にある事柄についてしっかり理解することを予備校講師から学びました。受験科目という意味合いで授業を選択しましたが、国際社会の実情を学ぶにつれ、英語や国語で扱われる読解の把握まで役立ったような気がしています。
世界情勢を理解すれば、あらゆる科目で必要とする基礎的な内容が把握できることから、現代社会の正しい方法を夏期講習の単科でもよいので、受講すべきだと思いました。
秀英予備校
[現代社会]
現代社会という授業は好きではありませんが、受験に必要だったので予備校で勉強することになりました。秀英予備校を選んだ理由は、「他の科目を受講しているから」「塾の雰囲気を知っていて安心感があるから」です。偏差値が凄く伸びた訳ではありませんが、私が覚えが悪いことを理解しつつ、授業後、私の質問に遅い時間まで丁寧に、嫌な顔をしないで答えて下さいました。先生方の誠意に感謝しましたし、勉強を頑張ろうと意識向上しました。