コロナ禍の休校中、大学受験生の学習時間はどうなった? 約4割が十分な学習時間を「確保できなかった」

サマリー

  • 現役受験生の約8割、コロナ禍で1ヶ月以上の休校を体験
  • 約4割が休校中に十分な学習時間を「確保できなかった」
  • 7割以上で夏休みが1週間以上短縮
  • 夏休み、十分な学習時間を確保できたのは1割強
  • 現役受験生の約4割、夏休みに塾・予備校を活用

調査概要

新型コロナウイルスの影響でほとんどの高校が休校となり、多くの受験生が授業の遅れに悩まされることになりました。授業の遅れを取り戻すため、夏休み短縮などの措置もとられています。果たして2021年度の大学入試に臨む受験生は、十分な学習時間をとれているのでしょうか?

塾・予備校比較ナビは、現役受験生299名に調査を実施。受験に向けた学習時間の確保について聞いてみました。

調査結果

現役受験生の約8割、コロナ禍で1ヶ月以上の休校を体験

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、多くの高校で休校措置がとられました。4月以降、どのくらいの期間、休校になったのでしょうか。

21年度大学受験を控えた高校3年生に聞いてみると、「1ヶ月~2ヶ月未満」という答えが40.8%と最も多くなりました。しかし「2ヶ月~3ヶ月未満」(29.4%)、「3ヶ月以上」(14.4%)という回答もありました。合計すると、1ヶ月以上休校した割合は84.6%にも上ります。

高校側が用意した課題やオンライン授業に取り組むだけでなく、塾や予備校などを使って空いた時間を自習にあてた受験生も多いと思います。それでも1ヶ月以上に及ぶ休校の影響は、かなり大きかったのではないでしょうか。

Q1.新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、4月1日以降に学校が休校になった期間を教えてください。(n=299)

約4割が休校中に十分な学習時間を「確保できなかった」

続いては、休校中にどの程度の学習時間を確保できたのか、調べてみました。

調査では「十分確保できた」は16.4%にとどまり、「まあまあ確保できた」も27.1%となっています。一方で「あまり確保できなかった」(24.7%)と「確保できなかった」(12.4%)を足し合わせると37.1%となり、4割近くが十分な学習時間を確保できなかったことが分かります。

Q2.あなたは休校中に十分な学習時間を確保できましたか?(n=299)

7割以上で夏休みが1週間以上短縮

休校による授業の遅れを取り戻すために、夏休みの短縮措置がとられた高校もあると聞きます。短縮になった期間はどのくらいだったのでしょうか。

質問してみると「1週間~2週間未満」が34.8%で最も多くなっています。「2週間~3週間未満」は26.8%、「3週間以上」も13.4%となりました。これらを足すと74.9%で1週間以上の短縮となったようです。

例年なら夏休みを活用し、塾や予備校の夏期講習などで集中的に弱点の克服や志望校対策をする受験生も多いことでしょう。今年はそうした学習計画が狂い、受験勉強に遅れが出ている受験生も少なくないと思います。

Q3.あなたの学校では夏休みはどの程度短縮されましたか?(n=299)

夏休み、十分な学習時間を確保できたのは1割強

さらに掘り下げて調べてみると、やはり夏休み中に十分な学習時間を確保できた受験生はそう多くないことが分かりました。夏休み中に学習時間を「十分確保できた」という受験生はわずか12.0%となっています。

「あまり確保できなかった」は26.1%、「確保できなかった」は13.0%となっていて、合わせると39.1%が学習時間をしっかりとれなかったと感じています。これから入試本番までのラストスパートをどう過ごすかが、例年以上に重要になってきそうです。

Q4.あなたは夏休み中に十分な学習時間を確保できましたか?(n=299)

現役受験生の約4割、夏休みに塾・予備校を活用

限られた時間の中で学習時間を確保するために、夏休み中に塾や予備校を活用したという受験生は37.8%でした。

Q5.あなたはこの夏休み期間中に、学習時間を確保するため、塾や予備校を活用しましたか?(n=299)

塾・予備校にはオンライン授業を提供するところが増えてきていますし、感染対策をしっかりと施した上で自習室を使えるようにしているところもあります。学習する環境を整えることで、時間が限られた中でも効率よく学習を進められます。受験勉強の遅れに悩んでいるようであれば、塾・予備校の利用を検討してみるのもいいかもしれません。

調査手法

  • 調査期間:2020年9月11日~18日
  • 調査対象:2021年度に大学受験をする高校3年生
  • 調査方法:インターネット調査

まとめ

今回の調査結果から、この春から夏にかけて、新型コロナウイルスの影響によって受験生が十分な学習時間を確保できていなかったことが鮮明に浮かび上がりました。

夏の遅れは秋冬で取り返すしかありません。限られた時間の中で、効率よく学習を進めるために、オンライン授業や教材、学習環境のある塾や予備校をフル活用することも、有効な手だてと言えるのではないでしょうか。