日本の大学のなかでも、最難関の大学として知られているのが東京大学(以下、東大)です。長い歴史を持ち、研究・教育機関として国内最高峰のレベルを誇る大学であり、日本各地から優秀な学生が集まってきます。
東大に合格するためには塾や予備校に通って人一倍勉強することが大切です。しかし、すべての塾や予備校が東大受験に対応できるわけではありません。東大を目指すなら、東大の入試対策に特化した教室を選び、効率的に学力を高めるのがおすすめです。
この記事では、東大を目指す人が塾・予備校に通うべき理由や、予備校選びのポイントなどについて解説します。おすすめの塾・予備校も紹介しているので、東大志望の人はぜひ参考にしてください。
東大合格はなぜ難しい? 塾・予備校に通うべき理由

東大合格を勝ち取るには、効果的な学習戦略が必須です。そこで、東大を目指す人が塾・予備校に通うべき4つの理由をご紹介します。
入試科目数が非常に多いから
まず、入試科目数の多さが挙げられます。例えば、文系の場合、大学入学共通テストで6教科8科目または7教科8科目を受験する必要があります。それに加え、二次試験では4教科の試験を受けなければなりません。
また、大学入学共通テストと二次試験では問題の形式や解答方法も異なります。よって、同じ「国語」でも、大学入学共通テスト用の対策と二次試験用の対策が必要です。
そのため、限られた時間のなかでいかに効率的に多くの科目を仕上げるかが重要になります。このような観点からも、受験のプロである予備校で、フォローやサポートをしてもらいながら勉強を進めるとよいでしょう。
基礎を疎かにしていると解けない問題が多いから
受験勉強に着手するのが遅れた受験生は、基礎を疎かにし、難しい問題の対策ばかりをしがちです。しかし、東大の入試問題は、すべてが高難易度というわけではありません。意外にも、基礎をもとに考えさせるものが多く出題されています。そのため、難易度の高い問題ばかり対策していると、盲点ともいえる基礎的な問題が出されたとき、解法に困ってしまうことがあります。
こうした事態を避けるためには、徹底した基礎の習得が必要です。塾や予備校では、東大入試の傾向に基づいた授業を受けられるため、受験生が見落としがちな基礎的な問題もしっかりと勉強できます。基礎力に不安がある人は特に、塾や予備校へ通って基礎固めをしましょう。
ライバルのレベルが高く、合格には偏差値70以上が必要だから
東大は、国内最難関の大学です。入学するには、どの科類であっても偏差値70以上が必要だといわれています。
そのため、東大を目指す人は名門中高一貫校の学生や有名進学校の学生などが多く、レベルが非常に高いのが特徴です。東大に行けるようにと、幼いころから英才教育を受けてきたライバルもいるのです。
そのような状況で合格を勝ち取るためには、やはり高度な学力を身に付ける必要があります。とはいえ、がむしゃらに勉強しても学力が上がるとは限りません。時間が限られている以上、そのなかで質の良い学習をし、効率的に学力を伸ばす必要があります。
塾や予備校の講師は、受験指導のプロです。各大学合格のために、どのような勉強をすれば良いかを熟知しています。
東大対策講座を受け持っている講師は、東大の過去問を徹底的に研究しており、東大に合格するために必要な知識や問題の解き方について精通しているのです。したがって、効率良く学習してライバルに打ち勝つためには、塾・予備校でそのような講師に学ぶのが最善の選択となるでしょう。
時間内で正確に回答する力が必要だから
東大入試の特徴の一つに、解答時間の圧倒的な短さが挙げられます。例えば、東大の英語は試験時間120分、120点満点の試験です。その時間内で解かなければならない問題は、要約、英作文、リスニング、文法問題、英文和訳、長文読解など多岐にわたります。出題形式もさまざまで問題の量が多く、時間配分を考えながら解答する必要があります。
このような観点から、東大に合格するためには、短時間で正確な答えを導き出す訓練が不可欠です。その点、塾・予備校では、東大入試に特化した対策講義があり、時間配分の仕方や注意点などを教えてくれます。こうした独学ではなかなか対策がしにくい点をフォローするためにも、塾や予備校で学ぶのが良いと考えられます。
東大合格に強い塾選び・予備校選びのポイント

東大に合格するためには、6教科8科目または7教科8科目という多くの教科・科目を、基礎から徹底的に学習しなければなりません。しかも、単に基礎を押さえるだけではなく、「基礎から考えさせる問題」の解き方も身に付けなくてはなりません。ライバルのレベルも高いので1日当たりの勉強時間を増やさなければなりませんが、現役合格しようと思うと効率の良さも求められます。
そこで、東大合格を目指して塾選び・予備校選びをする際に最も気にすべきなのは、東大受験に精通した一流講師が所属しており、「東大コース」や「東大対策講座」を受け持っているかどうかです。
このようなコースや講座では通常、東大受験に必要な知識や問題の解き方を基礎から応用までポイントを押さえて講義しています。ですので、偏差値70以上クラスのライバルに太刀打ちできる学力を効率良く習得することが可能です。
そのほか、合格実績や授業の質、サポート体制なども塾や予備校を選ぶ際のポイントとなります。
東大の合格実績が豊富な塾は、それに見合うハイレベルな指導とノウハウを備えていると考えられます。各大学の合格実績はホームページなどで公開されているため、検討している塾や予備校があればチェックしてみてください。
授業やカリキュラムの質を確かめたい場合は、体験授業に参加してみるのがおすすめです。ホームページや資料の内容を踏まえ、東大受験でどのような対策を講じているのか、講師などに直接聞いてみましょう。
勉強方法に関する相談に乗ってくれるか、自習スペースはあるかといったサポート体制も事前に確認しておきたいところです。サポート体制が充実していれば、安心して学習に取り組めます。また、受験の最新情報に精通している塾や予備校なら、入試対策を有利に進められるでしょう。
東大コースや東大対策講座がある塾・予備校11選

ここからは、先述した「東大に強い塾選び・予備校選びのポイント」を押さえ、東大コースや東大入試対策講座を設置している塾・予備校を紹介します。
東進ハイスクール・東進衛星予備校

東進ハイスクール・東進衛星予備校は、現役東大合格者数No.1の実績を持つ大手予備校です。テレビでもおなじみの林修先生をはじめ、有名な実力派講師が多数在籍していることでも知られています。
東進の強みは、質・量ともに最高峰の講座がそろっていること。東大志望者向けには「東大対策英語」「東大対策数学」「東大対策文系数学」「東大対策理系数学」「東大対策国語」「東大古文」「東大対策物理」「東大対策化学」といった具合に、科目ごとに東進の誇る実力派講師が担当する講座が用意されていて、必要な講座を選んで受講できます。どれも東大合格に必要な基礎知識から高いレベルの内容まで、幅広くカバーしています。
また、東進ではAI(ビックデータ)を最大限活用し、一人ひとりに最適な志望校対策を実現する日本初の学習システム「志望校別単元ジャンル演習講座」も開催しています。
これは東進が長年積み上げてきた学習データを元に、難関大学の過去問を徹底分析。
生徒個人の学習履歴と合わせて「今」学習すべき単元をAIが「必勝必達演習セット」として提案します。
さらに、東進の授業は映像授業がメインなので、何度も見返しながら復習できます。自分のペースで勉強できるのも大きなメリットです。
東進は、年4回も「東大本番レベル模試」を実施。出題範囲は東大二次試験本番と同じで、解答用紙も本番と同じような用紙を使用します。
東大本番レベル模試を受けると、合格に必要な学力と現在の学力との差を具体的な点数で示してくれて、「共通テスト本番レベル模試」も受けていれば、本番同様に両者の総合評価によって東大合格の可能性を総合的に判定してくれます。
東進は、現役東大合格を目指す人には、最適な予備校の一つです。ぜひ公式サイトをチェックしてみましょう。
河合塾

全国に展開されている河合塾は、難関大学合格者を多数輩出している大手予備校の一つです。豊富なカリキュラムや独自のテキストで、現役生から浪人生まで広くサポートしています。
河合塾には現役合格を目指す「高校グリーンコース」が設置されており、「ONE WEX東大英語」や「ONE WEX東大理系数学」など、東大を受験する学生向けに多数の講座を展開しています。また、共通テスト対策講座なども用意しています。
加えて、浪人生向けとして「大学受験科」を設置しています。こちらでは、「ハイパー東大理類数理演習コース」や「東大文類アドバンスコース」といった東大受験に特化したコースを受けることが可能です。
四谷学院

四谷学院は、40年以上にわたって大学受験の指導をしてきた予備校です。「科目別能力別授業」や「55段階個別指導」といった「ダブル教育」を取り入れており、多くの学生を合格に導いてきました。
四谷学院には、高校3年生を対象に「東大特選Vクラス」が設けられています。1クラス10人以下の徹底した少人数体制で、東大合格のために必要な「戦略的思考法」を身に付けられるクラスです。また、少人数であるため講師との距離が近いのもポイント。生徒一人ひとりの学力や特性などをもとに、「東大合格のために必要なこと」を講師が提示してくれます。
また、高卒生の場合、「東大文系コース」や「東大理系コース」が設置されています。ダブル授業に加えて、志望校別のコースを受講することで、効率良く東大対策ができるのが特徴です。
鉄緑会

鉄縁会は東大対策に特化した塾で、原則として開成や桜蔭などの指定校の生徒のみが入会可能です。東大卒の専任講師をそろえており、徹底的な精鋭主義で責任を持って生徒の学力を伸ばしてくれます。
1回3時間の授業時間が原則で難易度も高く、居残り授業が行なわれる場合もあります。余力のある生徒への個人指導や家庭学習のアドバイスなど、丁寧な指導体制が魅力です。
2025年度は540人の東大合格者を輩出しており、理科三類では定員97人のうち43人を鉄縁会の出身者が占めています。ハイレベルなライバルたちと切磋琢磨できる一方で、指導の厳しさについていけなくなる場合もあるかもしれません。
東大受験専門の鉄緑会は、本気で東大を目指す人におすすめの塾です。
早稲田アカデミー

早稲田アカデミーは、教師と生徒の密なコミュニケーションやきめ細やかな指導が特徴の塾です。大手でありながら地域の進学塾のように丁寧に面倒を見てくれるため、モチベーションを維持しながら学力向上に励めます。
早稲田アカデミーの授業は集団指導で、生徒は学力や志望校ごとに分けられたクラスで授業を受けます。対面ライブ授業にこだわっており、復習重視の学習スタイルで着実に学力を高めていけるのが特徴です。
早稲田アカデミーには「東大必勝コース」があり、東大入試突破を見据えた授業を展開しています。2025年度の東大合格者は88人と実績も豊富なので、東大現役合格を目指す人にはおすすめの塾です。
研伸館

関西地方で展開する研伸館は、現役生専門の大学受験予備校です。兵庫・大阪・京都・奈良に全部で13の校舎を構えています。
東大をはじめとした難関校の合格実績が豊富で、映像授業の講座もあるのが研伸館の特徴です。関西エリアの塾ながら、2025年度は52人の東大合格者を輩出しました。
複数の授業スタイルを組み合わせており、復習や補習の際はVODシステムを活用できます。プロ講師によるわかりやすい授業や、良問のみを取り扱うオリジナルテキストで、効率良く学力を引き上げてくれる予備校です。
研伸館では、東大を目指す高1・2年生に向けて「東大チャレンジ模試」を実施しています。東大の入試問題を分析して作ったオリジナルの試験で、高1・2年生の学習範囲で東大レベルの問題に挑戦できます。早い段階から東大受験の準備を進めたい人は、研伸館を検討するとよいでしょう。
STEP

大学受験STEPは神奈川県内に校舎を展開する現役高校生対象の集団指導塾です。双方向のライブ授業が魅力で、質問のしやすい雰囲気づくりを大切にしています。また、地域事情を熟知したスタッフが高校生活を応援してくれることも魅力の一つです。
クラス編成も多彩で、志望校別のクラスや部活と勉強の両立に配慮したクラスなどを用意しています。東京大学を目指す場合は、最もレベルの高いスーパークラスやチャレンジクラスを選ぶことになるでしょう。
集団授業ではなくマンツーマンで指導してほしい場合、個別指導の「K-STEP」も選べます。また、映像授業の「e-STEP」を利用すれば、好きなタイミングで苦手分野などの学習ができます。
神奈川県内の実績豊富な塾を探している人は、2025年度に21人の東大合格者を輩出したSTEPを検討してみてください。
佐鳴予備校

佐鳴予備校は東海地方の予備校で、難関大学への合格実績が豊富です。2025年度は17人の東大現役合格者を輩出しました。
佐鳴予備校の授業では、勉強をする理由などの本質にも焦点を当て、生徒が自主的に学習習慣を身に付けられるよう工夫しています。「真のエリート」を育成することを目標としており、指導者の人格形成にも力を入れているのが特徴です。
進路指導では志望校選定などを丁寧に行ない、学習カウンセリングで勉強方法に関して細かなアドバイスをしてくれます。東大を目指す生徒は「特進コース」の「最難関大クラス」に所属して学力を磨けるでしょう。
佐鳴予備校は、受験勉強を通して一生役立つ精神力を磨きたい人におすすめです。
駿台予備学校

駿台予備学校は100年以上の歴史を誇る大学受験専門予備校です。2024年度の東大合格実績は1,460人で、この50年で累計71,542人の東大合格者を輩出してきた歴史があります。
駿台は難易度の高い模試が有名で、高卒生向けに強力なカリキュラムを提供しています。授業は1回50分とほかの予備校に比べて短く、集中力を切らさずに受講できるのが特徴です。
駿台予備学校では、「EX東大文系演習」「東大理系」など、東大志望者に向けて多数のコースを用意しています。豊富な実績や安定感のある指導体制を重視する人は、駿台予備学校の利用を検討してみてください。
臨海セミナー

特に神奈川県内で多数の生徒を抱える進学塾で、2025年度の東大合格者は157人でした。少人数指導や無料補習が特徴で、面倒見の良さを大切にしています。課題管理や、やる気向上のためのコミュニケーションを重視し、授業以外でも実直に生徒と向き合っています。
高い講師力も臨海セミナーの魅力の一つです。授業スキルを点数化して講師の実力を評価しているほか、外部の教育関係者が教室を巡回して授業品質の維持に注力しています。
また、東大を目指す生徒に向けて「東大プロジェクト」を用意しており、教科を超えたプロジェクトチームが学力向上をあと押ししてくれます。臨海セミナーは、優れた講師陣にサポートしてもらいたい人におすすめです。
Z会の教室

Z会の教室は、通信教育で知られるZ会の運営する学習塾です。2024年度は76人の東大合格者を輩出しています。
少人数制、もしくはマンツーマンの授業で丁寧に指導を行なってくれるのがZ会の教室の特徴です。集団授業では適度な距離感と緊張感のなかで学習でき、プロ講師の指導を直接受けられます。個別指導の場合、一人ひとりの学習状況に応じて丁寧な指導を受けられるのが魅力です。
東大対策としては「Z会東大進学教室」「Z会東大個別指導教室プレアデス」などのクラスを首都圏で展開しています。首都圏で丁寧な指導に定評がある塾を探している人は、Z会の教室を検討するとよいでしょう。
東大合格を目指して予備校に通い始める時期の目安

塾や予備校に通い始める時期は、早ければ早いほど受験で有利になります。実際に、東大に合格した人の多くは高校1年生から受験勉強をスタートさせています。
東大は受験科目数が多く、求められる学力レベルも高いため、合格するためには膨大な勉強時間を確保しなくてはなりません。余裕をもって受験勉強に取り組むためにも、なるべく早い段階から予備校に通うのがおすすめです。苦手な科目がある場合も、早い段階から対策を進めることで本番までに克服しやすくなります。
なお、東大に合格した人の約2割は塾へ通わなかったという調査結果もあり、必ずしも塾や予備校を利用しなくてはならないわけではありません。自分にとって最適な選択肢を検討し、いつから予備校に通うべきかを考えるとよいでしょう。
まとめ
東大は入試科目数が多く、ライバルのレベルも高い日本最難関の大学です。合格するためには少しでも早く塾や予備校を選び、本番に向けて対策を始める必要があります。
塾や予備校を選ぶ際は、東大受験に精通した一流の講師がそろっているところがおすすめです。また、合格実績やサポート体制なども事前に確かめましょう。豊富にある選択肢のなかから、自分に合った教室を探してみてください。