成蹊大学は、成城大学・明治学院大学と並び「成成明学」と称されています。GMARCHと日東駒専の中間くらいに位置する、標準~難関レベルの私大です。
学部は経済・経営・法・文・理工の5学部に加え、2026年4月から「国際共創学部(仮称)」が新設される予定です。
また、成蹊大学は成成明学のなかで唯一理系学部があります。さらに、キャンパス内のケヤキ並木はドラマや映画のロケ地としても有名で、この景観に惹かれて成蹊大学を選んだ学生も少なくありません。
同レベルの大学のなかでも成蹊大学は人気が高いため、狙っている受験生はしっかりと対策をする必要があります。ここからは、入試の仕組みから偏差値、出題傾向、おすすめ塾・予備校まで、成蹊大学の対策法をお伝えします。
成蹊大学の一般選抜の仕組みとは?

成蹊大学では多くの人が受験しやすいよう、さまざまな入試方式を用意しています。一般選抜を大きく分けると「独自入試」「共通テスト利用入試」「共通テスト・独自併用入試」の3種類があり、それぞれがさらに細かく分かれています。
独自入試
独自入試は、成蹊大学の入試問題によって合否が決まる方式を指し、「3教科型学部個別入試(A方式)」と「2教科型全学部統一入試(E方式)」の2つがあります。
一般選抜「3教科型学部個別入試(A方式)」は、各学部が独自の日程で実施する入試方式で、3教科の合計点に基づいて合否が判定されます。全学部で実施され、受験生は1学部につき1学科(国際共創学部(仮称)は1専攻、理工学部は2専攻まで)に出願可能です。
学部・学科ごとに試験科目や配点が異なるため、志望する学部・学科の出題科目や配点を事前に確認し、それに合わせた対策を行なうことが重要です。
「2教科型全学部統一入試(E方式)」は、全学部共通の日程で実施する入試方式で、2教科の合計点に基づいて合否が決まります。全学部共通の試験問題が使用され、受験生は1回の試験で複数学部に併願することが可能です。
ただし、「国語」を課す学科と「数学」を課す学科・専攻の併願はできません。試験科目は、学部・学科によって異なります。
例えば、経済学部の経済数理学科や理工学部では「数学」と「英語」が課され、文学部や法学部では「国語」と「英語」が課されます。英語については、成蹊大学独自問題の英語試験を受験するか、英語外部検定試験のスコアを提出するかを選択可能です。
共通テスト利用入試
共通テスト利用入試は、共通テストのみで合否が決まります。「共通テスト利用3教科型入試(C方式)」と「共通テスト利用4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」の2つがあります。
「共通テスト利用3教科型入試(C方式)」は、大学入学共通テストの3教科の合計点に基づいて合否を判定する入試方式です。この方式は全学部で実施され、受験生は共通テストの結果をもとに出願できます。
「共通テスト利用4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」では、大学入学共通テストの成績を活用し、共通テスト6科目の合計点に基づいて合否を判定します。理工学部を対象とした入試方式です。
S方式では「成蹊大学入学試験特別奨学金」が入学者全員に給付される前提で、1年次の年間授業料の半額相当が支給されます。また、共通テスト受験後に出願が可能で、国公立大学との併願にも適したスケジュールとなっています。
S方式は共通テストの成績を活用し、経済的支援を受けながら理工学部での学びを目指す受験生にとって魅力的な入試制度です。
共通テスト・独自併用入試
成蹊大学の一般選抜「共通テスト・独自併用5科目型国公立併願アシスト入試(P方式)」は、経済学部、経営学部、文学部、法学部、国際共創学部(仮称)を対象に実施する入試方式です。
大学入学共通テストの5科目の得点と、成蹊大学独自の試験(E方式と共通)1科目の得点を合算して合否が判定されます。独自試験は「英語」が基本ですが、文学部日本文学科では「国語」が課されます。
P方式は、共通テスト受験後に出願が可能であり、国公立大学との併願に最適です。
また、独自入試の「2教科型全学部統一入試(E方式)」とP方式の2つは、成蹊大学(東京・吉祥寺)のほか、全国6会場(仙台・さいたま・千葉・横浜・静岡・福岡)で受験できます。成蹊大学は国公立大学志望者や地方の受験生などに幅広く門戸を開いており、他校との併願でもおすすめの大学です。
2教科型全学部統一入試(E方式)で利用できる英語外部検定試験の内容

E方式では英語外部検定試験のスコアを利用できます。利用できる英語外部検定試験は次のとおりです。
・ケンブリッジ英語検定 ・実用英語技能検定(英検S-CBT、英検S-Interviewを含む) ・GTEC(Advanced、Basic、CBT) ・TEAP ・TEAP CBT |
試験科目「外国語」では、「成蹊大学独自問題の外国語(英語)」と「検定試験別基礎換算点」のうち、より有利な得点が合否判定に採用されます。
成蹊大学の一般選抜以外のおもな入試方法は?

成蹊大学には一般選抜以外にも多様な入試制度があり、受験生一人ひとりの強みを活かせる選考方法があります。ここでは、成蹊大学の一般選抜以外のおもな2つの入試方法について解説します。
総合型選抜(AOマルデス入試)
総合型選抜「AOマルデス入試」は、受験生一人ひとりの個性や多様な能力を多角的に評価することを目的とした入試制度です。「マルデス」は「The Multi Dimensional Entrance Examination for Seikei University」の略称であり、従来の学力試験では測りきれない資質や能力を重視しています。
AOマルデス入試では、志願書、志願理由書、活動報告書のほか、各学部が独自の審査内容を設定しており、志望する学部・学科に応じた選考が行なわれます。
また、帰国生、社会人、外国人を対象とした受験枠も設けられており、多様な背景を持つ受験生がチャレンジできる仕組みです。
学校推薦型選抜(指定校推薦入学)
学校推薦型選抜(指定校推薦入学)は、学業成績や人物面で優れた生徒を対象に、高等学校長または中等教育学校長の推薦により入学を許可する制度です。この入試方式は全学部で実施され、各学部が独自に指定校を選定します。
指定校の選定基準は、過去数年間の入学者数や在学生の成績などを考慮して決定します。推薦入学基準も学部によって異なりますが、いずれも高校での成績および人物が優秀な生徒限定です。
成蹊大学の偏差値・難易度はどれくらい?

大手予備校である東進のデータを参照すると、成蹊大学の偏差値は62~65程度となっています。学部ごとの差はほとんどなく粒ぞろいで、全体的にレベルが高い大学といえるでしょう。以下は、学部ごとの偏差値です。
学部 | 偏差値 |
経済学部(経済数理) 文学部 理工学部(コンピューター・データ・応用化学・機械シス・電気電子) | 65 |
経営学部 経済学部(現代経済) | 64 |
法学部(政治) | 63 |
法学部(法律) | 62 |
また、成蹊大学が公表しているデータで倍率を調べてみると、学科や方式による差が大きいことがわかります。全体的に独自入試のA方式とE方式は倍率が高く、共通テスト利用入試のC方式は低い傾向があります。
一方で、国公立大学志望者向けのP方式はぐっと倍率が下がる傾向があります。2025年のデータによると、文学部国際文化学科のP方式では1.1倍という低倍率でした。国公立大学と併願する人にとって、成蹊大学は穴場の大学といえます。
成蹊大学の出題傾向と必要な対策は?

ここでは、成蹊大学の全学部統一入試(E方式)の出題傾向と、それに合わせた対策法をお伝えします。
英語は速読力・基礎力がカギに
E方式の英語は90分で、全問マーク式です。年度によってやや差がありますが、2024年度は以下のような問題構成でした。
大問1:空欄補充(長文読解) 大問2:空欄補充(会話文) 大問3・4・5:長文読解 |
大問1・2は空欄補充の形式ですが、文章量は多く、長文読解と同程度のボリュームがあります。さらに大問3・4・5では、内容理解などを問われる長文読解が3問連続しています。全体的に速読力が必要といえるでしょう。早いうちから過去問に取り組み、時間配分に注意して慣れておいてください。
速く読むだけではなく、熟語や文法をとらえ、1文ごとの内容を正確に理解して正しい選択肢を選ぶ必要があります。しかし、出題のレベルは標準的です。そのため、教科書レベルの基本的な知識を押さえておけば、十分得点できるでしょう。
E方式の英語試験では、長文読解を中心に、語彙力、文法力、読解力が総合的に問われます。日々の学習でこれらの力をバランス良く伸ばし、過去問演習を通じて試験形式に慣れることが合格への近道です。
国語は多様な出題ジャンルに慣れておこう
E方式の国語は75分で、全問マーク式です。
出題範囲は「現代の国語」「言語文化」など近代以降の文章が中心で、評論文や随筆、小説などが取り上げられます。大問は3題で、各大問に複数の設問が含まれます。
どのような問題が出されても動揺しないよう、過去問を5年分ほど解いておきましょう。
解答時間のわりに文章量・問題量が多いため、素早く情報をとらえて解答しなければなりません。これも時間を計りながら過去問や問題集を解き、慣れておきましょう。
漢字やことわざ・慣用句、対義語・同義語などの国語常識問題も、読解の中で出題されます。また、成蹊大学の国語では全体的に、高い語彙力が求められます。授業や演習中、テレビを観ているとき、街中などでわからない言葉が出てきたら、興味を持って調べるようにしましょう。
数学は標準レベルでマーク・記述式が混在
E方式の数学は75分で、出題範囲は数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列)C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)です。大問1・2が小問集合でマーク式、大問3が記述式となっています。
成蹊大学のE方式数学では、幅広い出題範囲とさまざまな問題形式に対応するため、基礎から応用までバランス良く学習を進めることが重要です。
成蹊大学を目指す受験生におすすめの塾・予備校3選

ここでは成蹊大学に強い予備校を3校厳選しました。ぜひ塾・予備校選びの参考にしてください。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は日本一の現役合格実績を持つ予備校です。東大・京大をはじめ、GMARCHや全国の国公立大学など幅広い大学に強く、2025年には成蹊大学に694人が合格しています(現役生のみ、講習生含まず)。
東進では映像授業を中心にさまざまな講座を組み合わせ、一人ひとりにぴったりの志望校対策が可能です。「志望校別単元ジャンル演習講座」ではAIを活用し、最適な演習問題セットを作成してくれます。「過去問演習講座」は受験のプロによる採点や添削、解説授業が受けられる講座です。2023年以降は、従来の101大学610学部から全767大学へ拡充されました。成蹊大学は採点のみですが、経済・経営・法・文学部に対応しています。
「共通テスト利用入試」または「共通テスト・独自併用入試」で受験する場合は、次の3つの講座が有効です。
1.共通テスト対策講座
共通テストの出題傾向を徹底分析し、思考力・判断力・表現力を問う問題に対応できる力を養成します。英語のリーディングとリスニングを含む全科目に対応しており、基礎から応用まで段階的に学習を進めることができます。
2.東進共通テスト対策講座 Listening
スマートフォンアプリ「東進Listening」により、通学時間などの隙間時間を利用した効率的な学習が可能です。共通テストのリスニング対策に特化しており、音声を活用して実践的なリスニング力を養成できます。
3.過去問演習講座(大学入学共通テスト対策)
共通テストの過去問や試行調査、東進の予想問題を活用して、実戦的な演習を行ないます。演習後には詳細な解説授業を受講でき、弱点の把握と克服に役立ちます。
また、東進は模試のクオリティーが高く、試験後のサポートも手厚いためおすすめです。成蹊大学志望の人は「上理・明青立法中レベル模試」を積極的に受験しましょう。
「上理・明青立法中レベル模試」は難関私立大学を目指す受験生のための模試で、成蹊大学のほか日東駒専、成城、学習院、ICUなどを第一志望とする生徒も対象です。
模試は年4回実施され、試験後、中9日で詳細な成績表が返却されるため、記憶が新しいうちに復習を行ない、次回の模試や本番に向けた学習戦略を立てることが可能です。
また、受験者全員が「合格指導解説授業」を受講でき、模試の復習を通じて大きな成績向上が期待できます。
河合塾
河合塾は全国トップレベルの実績を持つ大手予備校です。2024年度は1,639人を成蹊大学合格に導くなど、桁違いの合格実績を挙げています(河合塾グループ関連法人の在籍者および講習受講生の集計)。
現役生向けの「高校グリーンコース」では、学力や志望校に合わせた「レベル別講座」や、特定のテーマや分野を選んで学べる「セレクト講座」などの講座を自在に組み合わせ、自分にぴったりのカリキュラムを組むことができます。
河合塾では、難関私立大学を志望する受験生向けの模試が複数用意されています。
1.全統模試
河合塾の全統模試は、年間延べ約277.6万人(2021年度実績)が受験する、全国有数の規模を誇る高校生・高卒生対象の模試です。
長年にわたり蓄積された豊富なデータをもとに、独自の合格可能性評価システムを採用し、全国規模ならではの高い信頼性を持っています。受験生は自身の学力を客観的に把握できます。
2.全統記述模試
記述式の問題を中心に構成され、思考力や表現力を問う難関私立大学の入試に対応した模試です。
受験生の志望校に対する合格の可能性を、国公立大学は最大で第5志望まで、私立大学や短期大学を含めると最大で第9志望まで評価します。記述力や論述力のスキルアップを目指す受験生に適しています。
3.全統共通テスト模試
大学入学共通テストの形式に準拠した模試で、共通テストを利用する私立大学の入試対策に有効です。成蹊大学の「共通テスト利用入試」「共通テスト・独自併用入試」の受験を希望する方に適しています。
河合塾は、毎年の入試問題を分析して進化するテキストや、丁寧な採点・添削も特徴です。苦手分野を克服し、得意分野をさらに伸ばせる仕組みがあるため、着実に学力が身に付きます。
駿台予備学校
駿台予備学校(以下、駿台)は、オリジナルテキストや講師の質の高さに定評のある予備校です。毎年難関大学に多くの合格者を出しており、2024年度は成蹊大学に315人が合格しました(駿台グループ関連法人の在籍者および講習受講生の集計)。
駿台の受講スタイルは、通学型とオンライン型の2種類に分かれています。通学型は対面で集団授業を受け、周りの受験生たちと切磋琢磨できる環境です。オンライン型は映像講座を見て学習するスタイルです。駿台は校舎が少ないことが難点ですが、オンライン型なら全国どこからでも学習できます。
駿台の講座は「選抜・難関・標準・基礎」の4つのレベルに分かれており、成蹊大学志望なら基礎~標準レベルがおすすめです。
駿台では、ICT(情報通信技術)を活用した多彩な教材と学習支援システムを導入し、受験生一人ひとりの学習ニーズに対応した「個別最適学習」を実現しています。おもなICT教材には次のようなものがあります。
atama+
AIが受験生の学習履歴や解答傾向を詳細に分析し、個々の弱点や理解度に基づいて、基礎から応用までの学習内容を最適化します。
ELSA
英語の短文を用いた発声練習を通じて、記憶力の強化だけでなく、リスニングや英作文の能力向上にも役立つ革新的な学習ツールです。
Monoxer
AIを活用したアダプティブラーニングにより、記憶の定着度や忘却の速度を分析し、個々の学習者に最適な学習計画を提案します。
駿台で大学入試に向けた実力を測るなら模試を利用しましょう。駿台全国模試、大学別入試実戦模試、共通テスト対策模試、駿台atama+学力判定テストの4つが用意されています。
模試は、単なる成績の確認だけでなく、自分の学習状況を客観的に把握し、今後の学習戦略を立てるための重要な手段です。模試を受けたあとは結果を分析し、次の学習に活かすことが大切です。
まとめ
成蹊大学の合格を目指すには、まず自分に最適な入試方式を見極めることから始めましょう。成蹊大学には独自入試、共通テスト利用入試、共通テスト・独自併用入試など多様な入試方法があります。各方式の特色を理解して戦略を立てましょう。
成蹊大学は難易度の高い大学ですが、科目別の出題傾向を押さえた対策で合格の可能性を高められます。2教科型全学部統一入試(E方式)では、英語外部検定試験を利用できるため、事前に取得したスコアがある場合は積極的に活用するとよいでしょう。
効率的な受験対策を考えている方は、成蹊大学に強い塾や予備校の活用を検討してはいかがでしょうか。