国際基督教大学(ICU)の入試は特殊って本当? 出題方式から対策方法、おすすめの塾・予備校まで徹底解説!

国際基督教大学(以下、ICU)は、1949年、日本と北米のキリスト教指導者たちによって創立された大学です。多様な価値観を持つ世界中の人々との共生を実現するため、創立当初からリベラルアーツ教育を実践し、世界各地から学生を募集するとともに、グローバルな人材を輩出し続けています。

そんなICUは、入試方法が他大学と大きく異なることでも知られています。そのため、ICUに合格するためには少し特殊な対策が必要となります。

この記事ではICUの入試の特徴から、必要となる対策方法まで徹底解説。最後にはICUを目指せるおすすめの塾・予備校もご紹介しますので、ICUを志望している人はぜひ参考にしてください。

ICUの入試制度と偏差値・難易度

まずはICUという大学の特徴をご紹介し、入試の仕組みや難易度について解説します。

ICUの学部は1つだけ!

ICUの学部は「教養学部」の1つのみ。また、元は6つに分かれていた学科も2008年に統合され、「教養学部 アーツ・サイエンス学科」のみとなりました。

1~2年次は一般教育科目や基礎科目を通じてさまざまな学問に触れ、3年次からは31個の「メジャー」から専攻を選びます。メジャーは1つに絞ることも、2つを組みわせることも可能です。

また、ICUでは3学期制を採用しています。そのため、より多くの履修科目を選択できることも、学生としてはうれしいポイントでしょう。

教育方針や入学・卒業のタイミングも特徴的

日英バイリンガル教育を徹底していることも、ICUの特徴です。ICUでは、1年次の大半を費やし、英語力アップを目指す「リベラルアーツ英語プログラム(ELA:English for Liberal Arts Program)」を導入しています。

これは、ただ単に英語力を高めるだけでなく、「英語運用能力」と「批判的分析能力」を身につけるためのもの。約20名の少人数クラスに分かれ、学生それぞれの英語力やニーズに合わせた指導が受けられます。

さらに、ICUは世界25の国と地域・75の大学と協定を結び、独自の留学制度を持っています。留学中の単位はICUの成績に組み込めるので、卒業に響くこともありません。

また、さまざまな文化を持つ国から学生が集まることから、入学式は4月と9月、卒業式は3月と6月にそれぞれ2回行われます。

ICUのアドミッションポリシー

以上のような特徴のあるICUは、下記のアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)を掲げています。

・文系・理系にとらわれない広い領域への知的好奇心と創造力
・的確な判断力と論理的で批判的な思考力
・多様な文化との対話ができるグローバルなコミュニケーション能力
・主体的に問題を発見し、果敢に問題を解決してゆく強靭な精神力と実行力
引用元:https://www.icu.ac.jp/academics/undergraduate/

ICUは、他の大学のように理系・文系といった区切りを重視していません。むしろ、文理の枠にとらわれない多様な視点で、主体的に学ぶことができる学生を求めています。

ICUの一般選抜はA方式とB方式の2つ

ICUの一般選抜には「A方式・B方式」という2種類があります。2つの方式は併願も可能ですが、「A方式」選択者が多数を占めます。

2023年度の入試データから、2つの方式の主な違いをまとめました。


A方式B方式
概要
英語外部試験を利用する
試験科目1.人文・社会科学または自然科学
2.総合教養(ATLAS)
3.英語(リスニングを含む)
1.英語(外部試験の公式スコアを利用)
2.総合教養(ATLAS)
3.個人面接(第二次選考)
募集人数240人10人
出願条件次のいずれかの英語外部試験スコアを満たしていること
・IELTS 6.5以上
・TOEFL iBT 79以上
・Cambridge English Qualifications 175以上
・GTEC CBT 1300以上

またICUでは、一般選抜以外の入試方法にも力を入れています。2022年度の入試データによると、「学校推薦型選抜」では一般選抜とほぼ同じ243人、「総合型選抜」では89人が合格。また、海外で2年以上の教育を受けた人を対象とする「ユニヴァーサル・アドミッションズ」でも140人以上が合格しています。

多様な学びを目指すICUらしく、多岐にわたる選抜方法。条件に当てはまる人は、ぜひチャレンジしてみてください。

ICUの偏差値・難易度は?

東進のデータによると、ICUのA方式の偏差値は、74となっています。「早慶上理ICU」(早稲田・慶應義塾・上智・東京理科大)と並び称されるだけあり、私立大学としては最難関レベルと言えるでしょう。

実際に大学が発表している入試結果を見てみましょう。2022年度の入試では、1032人の志願者に対し合格者は288人で、倍率は約3.6倍。合格は決して簡単ではありません。

また、次の項目で詳しくお伝えしますが、ICUの入試問題はやや特殊です。通常と同じ受験対策ではカバーしきれない可能性があるので、ICUに特化した対策を練りましょう。

ICUの入試傾向と合格のために必要な対策とは?

では、ICUで出題される問題の特徴と、ICU合格のために有効と考えられる対策方法をご紹介します。

ICUの入試方式は特殊なので要注意!

ICUの入試科目は、他大学のように「英語・国語・歴史」「英語・数学・理科」のように分かれているわけではありません。

ICUのA方式では以下の3科目が実施されます。

  1. 人文・社会科学または自然科学
  2. 総合教養(ATLAS)
  3. 英語(リスニングを含む)

続いて、それぞれの試験内容と対策方法を詳しく解説します。

ICU入試問題の対策を科目別にチェック!

ICUの入試問題は、「自然科学」の一部の設問を除き、マーク式となっています。こう言うと「共通テストと同じか」と思って油断してしまう受験生も多いですが、ICUの場合は気が抜けません。

全体的に、学力を試しているのではなく、知力と思考センスを見ている傾向が強いのが特徴です。教科書通りの勉強をしても歯が立たない、と思っておきましょう。

何より、ICU独自の問題形式に慣れていないと本番に戸惑ってしまうので、特に過去問対策に力を入れましょう。前年度の過去問は、ICU公式ホームページから無料でダウンロードできます。

「人文・社会科学」は長文を理解するスピードが命

受験生は「人文・社会科学」または「自然科学」から1科目を選択します。

「人文・社会科学」では、最初に問題用紙10枚分ほどの論文が提示されます。しかし、この長い文章を丁寧に読んでいては、時間切れになってしまいます。そのため、読むスピードと、素早い理解力が必要です。

出題範囲は、文学・哲学・芸術・宗教・政治・経済・歴史・社会などさまざま。内容に関する専門知識は特に必要ありませんが、長文、特に堅い文章に慣れておくことで読むスピードを速められます。受験勉強の合間に、新書や批評文を読んでみましょう。

なかでもキリスト教絡みの問題が多く出題されるので、キリスト教の基礎知識があると有利になりやすいです。

「自然科学」は基礎問題を確実に取ろう

「自然科学」では、数学・物理・化学・生物の4分野から2分野を選択します。

応用問題はほとんど出ないため、それぞれの科目の基礎問題が確実に解ければ問題ありません。出題レベルは共通テストレベルですが、問題の中で表や図の読み取りが多く求められます。

問題を冷静に観察する力が必要になるため、選択する分野の過去問を解いたり、共通テスト対策をしておいたりすると良いでしょう。

「講義を聴く」試験! 専門の対策が必要な「総合教養(ATLAS)」

「総合教養(ATLAS)」は、最初に15分程度の短い講義を聴き、その後、講義に関連する内容の論文を読んで解答する科目です。模擬講義を受け、そこからどれだけ物事を考えられるかを測るのが目的で、ICUの入試で最も特殊な科目となっています。

扱うトピックは人文科学・社会科学・自然科学なので、1科目めで扱う範囲とほぼ同じです。ここでは、専門知識を問うのではなく、幅広い教養、迅速で的確な判断力、論理的な思考力が問われます。日ごろから新書や批評文を多く読んだり、ニュースを調べてみたりして、知識の土壌を作っておくと良いでしょう。

この科目は他に例を見ないような出題方法で、通常の予備校ではなかなか対応できません。1人で対策することも、非常に難しいでしょう。ICU専門塾に入る、ICUに精通した講師に習うなどの対策をおすすめします。

英語は語彙力強化と英語への慣れが重要

「英語」の試験は2部構成となり、リスニング(約30分)の後、リーディング(約60分)が行われます。入学後に高い英語力が求められるICUだけあって、内容はハイレベル。ただ英文が読めるだけでなく、「英語でものを考え、理解し、分析する能力」が求められますので、心して対策しましょう。

リスニングは、問題自体は難しくないものの、1度しか流れない点に注意。「シャドーイング」などを行い、1度聞けば内容が理解できる力を付けてください。また、洋画を観るときは吹き替えではなく字幕にするなど、普段から英語に耳を慣らしておきましょう。

リーディングは、他大学より難しい単語が出る傾向にありますので、語彙力の強化に力を入れましょう。また、問題文の全体像を把握して解くような構成になっているため、いちいち和訳していては時間がなくなってしまいます。「英文を和訳せず英文のまま答えられる」レベルまで英語力を付けておきましょう。

ICUを目指す学生におすすめの塾・予備校3選

最後に、ICUを目指すためにおすすめの塾・予備校をご紹介します。

ICUの入試はかなり特殊です。受験を希望する場合は、ICU専門塾やICUの合格実績が豊富な予備校のサポートを受けましょう。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

ICU受験生におすすめの塾・予備校の1つ目は、予備校大手の東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)です。

東進は例年、多くのICU合格者を輩出しているのが特徴です。たとえば2022年度入試では、90名が現役で合格(講習性は含まず)。ICUの一般選抜A方式での募集定員が240人であることから、東進生はICU合格者の非常に高い割合を占めていると考えられます。

これほどの実績を出せている理由のひとつは、「過去問演習講座」にあります。この講座は、過去問を解き、そのうえでプロによる採点や解説を受けられるというものです。ICUに関しては「自然科学」(数学・物理・化学・生物)で設置されています。第三者に採点してもらうことで、より正確に弱点を把握でき、取るべき対策が見えてくるでしょう。

過去問に慣れることが非常に重要なICU受験において、積極的に受講したい講座だと言えます。理系で「自然科学」を選択する人は、ぜひ活用しましょう。また、「志望校別単元ジャンル演習講座」では、AIが学力を診断して必要な学習課題を提案してくれますので、そちらも合わせてチェックしてみてください。

さらに、年に5回行われている「全国有名国公私大模試」は、ICU志望者も対象となっています。合格可能性を知り、その後の受験勉強に活かすためにも、積極的に受けるといいでしょう。

日曜講座

「ICU入試は日曜講座」と謳い、ICUに特化した対策を行って50年以上、のべ1300人以上のICU合格者を輩出している予備校です。東京都・新宿に校舎があり、授業は週1回・5時間のみ。並行して、他大学の対策もしやすいのが特徴です。

日曜講座では、ICU入試に精通した講師が、最新の入試傾向を取り入れてオリジナル教材を作成。また、年2回、オリジナルのICU模試も行っています。なかなか模試を受けづらいICU志望者にとって貴重な機会となりますので、ぜひチャレンジしましょう。

FORUM-ICU

FORUM-ICUは、高校生から「リベラルアーツ」を学べる塾です。定員は、毎年12人程度。少人数・対話型の授業を通じて、ICU対策が可能です。

講師にはICU卒業生も多く、TA(ティーチングアシスタント)も現役ICU生。ICUの受験を知り尽くしたプロと共に自由に学び、思考力を鍛えられます。

また、ICUから正式な許可を得て運営されている「国際基督教大学(ICU) 入試過去問題ライブラリー」も要チェック。塾生でなくても、3年分の過去問をオンライン上で解答・採点できます。さらに、無料でユーザー登録をすると1988年度からの過去問を閲覧できるのがポイントです。

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