志望校合格を目指す方にとって、塾や予備校をどこにするかは、受験の成功率を高めるうえで重要なポイントといっても過言ではありません。
だからこそ、自分(子ども)に合った塾・予備校を選びたい、塾・予備校選びで失敗したくないと考える方は多いのではないでしょうか。
本記事では、直近5年以内に塾・予備校に通っていた方500名を対象に、「塾・予備校比較ナビ(株式会社ジェイディーネット)」が実施した塾・予備校選びに関するアンケートをご紹介します。
実際に塾・予備校に通った方の意見を、ぜひ塾・予備校選びにお役立てください。
調査概要 調査概要:塾・予備校に関するアンケート 調査期間:2025年01月17日 ~ 2025年01月18日 調査方法:インターネット調査 回答数:500人 注意事項:本アンケートは複数回答となっており、回答数の合計は調査数を超えることがあるため、回答割合の合計は100%を超えることがあります。 |
Q1.どの塾・予備校に通っていましたか、もしくは通っていますか?(複数回答)

まずは、数々の塾・予備校が実績を重ねている昨今、どの塾・予備校が選ばれているのか見ていきましょう。
大手予備校が名を連ねるなか、上位3位を「河合塾・河合塾マナビス(19.5%)」「東進ハイスクール・東進衛星予備校(18.3%)」「個別指導のトライ(7.9%)」が占める結果となりました。
河合塾と河合塾マナビスは、どちらも河合塾グループの運営で、授業スタイルが異なります(河合塾:集団授業、河合塾マナビス:映像授業)。
一方、東進ハイスクールと東進衛星予備校は、授業スタイルは同じですが、東進衛星予備校はフランチャイズ経営です。
3位以降は極端な差がなく、全体的に偏りが見られないことから、何らかの理由で各々が自由に塾・予備校を選択していることがわかります。
Q2.Q1で回答した塾・予備校を選んだ理由は何ですか?(最大3つまで選択)
次に、Q1の上位3位(前述した河合塾マナビス・東進衛星予備校を含む)の塾・予備校が、どのような理由から選ばれているのか、具体的な理由を見ていきましょう。
河合塾・河合塾マナビスを選んだ理由

河合塾・河合塾マナビスを選んだ理由として「授業の質(40.3%)」が全体の約半数を占め、続く回答は「通学の利便性(27.3%)」「講師の質(23.4%)」という結果でした。
この結果からは、河合塾を選んだ方の多くが同塾の指導や学習環境に信頼を置いており、この信頼が塾・予備校選びの決め手となっていることがわかります。
ただし、以下2校よりも「大手」が理由上位に挙がっていることから、企業の規模=信頼度ととらえて同塾が選ばれている可能性もあります。
東進ハイスクール・東進衛星予備校を選んだ理由

東進ハイスクール・東進衛星予備校を選んだ理由として「授業の質(47.2%)」が全体の約半数を占める一方で、「講師の質(29.2%)」と「通学の利便性(25%)」がそれぞれ全体の約3割を占める結果となりました。
河合塾と比較すると、「講師の質」の割合が高いことが特徴的です。
東進ハイスクール・東進衛星予備校の場合、授業や講師のレベルに一定の評価がある一方で、通いやすい範囲に校舎が点在していることが塾・予備校選びの決め手となっている可能性があります。
個別指導のトライを選んだ理由

上位2校では「授業の質」に過半数の票が集まったのに対し、個別指導のトライを選んだ理由は「授業の質(29%)」「通学の利便性(26%)」「学習環境(23%)」で分散する結果となりました。
この結果からは、河合塾(河合塾マナビス)や東進ハイスクール(東進衛星予備校)を選んだ方の多くが学習面の質を重視しているのに対し、個別指導のトライを選んだ方はバランス重視で塾・予備校を選んでいることがうかがえます。
Q3.Q1で回答した塾・予備校に実際に通って良かったと思う要素は何ですか?(最大3つまで選択)
次に、実際に塾・予備校に通った方にとって、どのような点がプラスに感じられたのか見ていきましょう。
河合塾・河合塾マナビスを選んで良かった理由

河合塾・河合塾マナビスでは、Q2の理由と同順位で、「授業の質」「講師の質」「学習環境の充実」といった点に票が集まりました。
塾・予備校を選んだ理由と、実際に通ってから良かったと感じた理由に相違がない点では、河合塾・河合塾マナビスは満足度の高い塾といえるでしょう。
また、「カリキュラム・教材の良さ」「親身な進路指導・相談体制」が5位以内に入ってきていることから、入塾前に気付かなかった良さを実感している方も複数いることがわかります。
東進ハイスクール・東進衛星予備校を選んで良かった理由

東進ハイスクール・東進衛星予備校でも、Q2の理由と同順位で「授業の質」「講師の質」「カリキュラム」に良さが見出されており、塾・予備校を選んだ理由と実際に通った感想に相違がない点が好印象につながる結果となりました。
続く回答においても、Q2の理由と同じ理由がランクインしていることから、入塾前のイメージと入塾後の体感に大きな相違がないことがうかがえます。
つまり、塾・予備校選びでありがちな「実際に通ってみたらイメージと違った」といった失敗が起こりにくい塾といえるでしょう。
また、東進ハイスクール・東進衛星予備校は全国に校舎があるため、どんな生徒にとっても通学のしやすさが評価されています。
個別指導のトライを選んで良かった理由

個別指導のトライでは、Q2の同塾を選んだ理由と共通して、「授業の質」や「通学の利便性」に良さを感じる方が多い結果となりました。
注目したい点は、Q2で少数票だった「講師の質」が2位に、Q2でランクインしていなかった「親身な進路指導・相談体制」が5位にランクインしている点です。
また、コストパフォーマンスの良さを評価する声も他の予備校と比べて高いです。
ここから、ほかの2校に比べて、入塾前には気が付かなかった塾の良さを発見できている方が多いと考えられます。
Q4.Q1で回答した塾・予備校に通って、実際に体験出来た成果はありますか?(最大3つまで選択)
多くの場合、最終目標である志望校合格に向けて塾・予備校通いを検討しますが、塾選びでは、現在のレベルに応じて目的を明確にすることも大切です。
例えば、志望校の選択肢を広げるために成績向上を目指す場合と、難関校合格のために徹底した受験対策を行ないたい場合とでは、塾・予備校の選び方が変わってくるでしょう。
ここからは、Q1の上位3校に通った経験から、具体的にどのような成果が得られたのか見ていきましょう。
河合塾に通って実際に体験出来た成果

河合塾・河合塾マナビスでは、勉強習慣の定着や成績向上、モチベーションの維持を実感できている声が多く、塾での勉強が着実に実力となって身に付いていることがわかります。
また、モチベーションの維持が3位にランクインしていることから、無理なく勉強を続けやすい環境が整っていることがうかがえます。
河合塾は、集団授業形式が中心ですが、質の高い授業と講師陣、充実した学習環境が、生徒の成績向上を後押ししていると考えられます。
東進ハイスクール・東進衛星予備校に通って実際に体験出来た成果

東進ハイスクール・東進衛星予備校では、勉強習慣の定着や自分に合った学習方法の発見、モチベーション維持など、成績の向上だけでなく、勉強に対する姿勢において成果を感じている声が多く集まりました。
東進ハイスクール・東進衛星予備校は映像を活用した授業もあり、「自分に合った学習方法を見つけることができた」と回答した生徒も3割を超えています。
これは自分のペースで学習できる映像授業のメリットが表れていると言えるでしょう。
また、「仲間ができて切磋琢磨できた」点は、ほかの2校にない東進ハイスクール・東進衛星予備校ならではの魅力ともいえそうです。
個別指導のトライに通って実際に体験出来た成果

個別指導のトライでは、河合塾と同順位の結果となり、多くの方が成績向上を体感しているようです。
モチベーション維持や勉強習慣の定着、勉強のコツの習得など、勉強に対する姿勢の部分でも成果を感じている方が一定数いることから、生徒一人ひとりに合わせた指導が行われていることがうかがえます。
また、「勉強のコツが掴めた(精度が上がった)」と回答した生徒が2割を超え、個別指導ならではの、生徒一人ひとりに合わせた指導の効果が表れています。
Q5.Q1で回答した塾・予備校に通って悪かった点、改善してほしい点はありますか?(最大3つまで選択)
入塾後に「イメージと違った」「不満に感じる」といった事態になるのは、できる限り避けたいものです。
以下では、Q1の上位3校に通った経験から、どのような点に不満を感じることがあったのか見ていきましょう。
河合塾・河合塾マナビスに通って悪かった・改善してほしい点

河合塾・河合塾マナビスでは、1位に続く回答に進路指導に対するサポート不足やや、学習環境の悪さが挙がり、環境面の条件に不満を感じている方が多いことがわかります。
ただし、Q3にあるように学習環境やサポート体制にはポジティブな声もあることから、塾全体というよりは一部の校舎などで不満の種となっている可能性があります。
東進ハイスクール・東進衛星予備校に通って悪かった・改善してほしい点

東進ハイスクール・東進衛星予備校では、コストパフォーマンスの悪さに対する声が目立ちました。
次いで、カリキュラム・通学の不便さ、学習環境に対する不満、授業の質に対する不満などが挙がりました。
Q4の結果と照らし合わせるとわかるように、仲間と切磋琢磨できる環境は、人によってはメリットにもデメリットにもなるようです。
カリキュラムとの相性の悪さや学習環境に対する不満は、クラス授業や集団授業を実施する塾ならではのデメリットといえるでしょう。
個別指導のトライに通って悪かった・改善してほしい点

個別指導のトライは、Q2で通学の利便性に魅力が見出されている反面、実際に通った方によると通学の不便さが目立つ結果となりました。
続く回答では、学習環境の悪さのほか、講師の質や講師との相性に不満の声がありますが、Q3で講師の質が2位にランクインしていることから、校舎により講師の質にバラつきがありそうです。
一方で、授業の質やサポート体制への不満が挙がっていない点を見ると、塾全体で安定した水準の授業やサポートが行なわれていると予想できます。
Q6.塾・予備校を決める際、何を参考にしましたか?(最大3つまで選択)

初めての塾・予備校選びの場合、予備知識や経験に乏しいために、どれほど情報収集をしても比較検討が難しいケースもあるのではないでしょうか。
塾・予備校選びにおいて、どのような情報を参考にしたのかという質問に対する回答の上位は、「家族からの情報(21%)」「友人の情報(19%)」「予備校のホームページ(13%)」となりました。
とはいえ、いずれもリアルタイムで実際の環境を確認できる方法ではないため、信頼性があったとしても、真実味には欠けてしまいます。
塾・予備校の雰囲気を実際に目で見て確かめるには、説明会に参加するなどの方法があります。
しかし、ここでは「体験授業(9%)」、「説明会(3%)」という結果となり、多くの方が直接確認しないまま塾・予備校を選んでいることが明らかとなりました。
Q7.塾・予備校に使った学費(月額)はいくらですか?
最後に、塾・予備校に通う方々が、1ヵ月にどれほどの費用をかけているのか聞いてみました。

結果は、「3万円未満(38%)」に次いで、「5万円未満(29%)」「1万円未満(10%)」「7万円未満(9%)」「10万円以上(8%)」「10万円未満(7%)」となりました。
塾・予備校の月額の学費は、1~3万円に収まっている方が最も多く、次に3~5万円の金額帯が多いようです。
塾・予備校にかかる費用は、授業形式や科目数のほか、特別講習の有無などさまざまな要素で変動しますが、この結果を見ると、月額1万円~5万円未満なら一般的な範囲と判断できそうです。
まとめ
アンケート結果をまとめると、以下のような傾向が見えてきました。
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塾・予備校選ぶ際は、授業の質や講師の質など、勉強に直結する要素に目を向けがちですが、受験期に無理なく通い続けるためにも、通学の利便性や進路指導などのサポート体制まで確認しておくことが大切です。
実際に通い始めてから「自分には合わない」「思っていたのと違った」とマイナスなギャップを感じると、勉強のモチベーションが下がってしまう可能性があります。
こうした失敗を防ぐためにも、相談会などに参加し、入塾前に塾の実際の雰囲気を確かめることをおすすめします。