個別指導と集団指導どっちがいい?向いている人や料金相場を紹介

塾や予備校選びのなかで「個別指導と集団指導どっちがいい?」「個別指導と集団指導の違いがよくわからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

個別指導は1人の講師が個別ブースで1~3人の生徒を指導する形式、集団指導は教室に集まった複数の生徒に対して1人の講師が授業を行なう学校と同じような形式です。

どっちが向いているのか、成績を伸ばせるかは生徒の性格や学習状況などによって変わるため、まずはそれぞれの特徴を知ることが大切です。

そこで今回は、個別指導・集団指導の特徴やメリット・デメリット、料金相場などを解説します。それぞれの授業形式に向いている人の特徴も紹介しているため、塾・予備校選びに役立ててください。

個別指導・集団指導の特徴

まずは、個別指導と集団指導の特徴を紹介していきます。

個別指導の特徴

個別指導は、一人ひとりの学力や志望校に応じたカリキュラムを組み、講師が生徒の理解度を丁寧に確認しながら学習を進めていく指導形式です。

多くの個別指導塾では、仕切られた個別ブース内で生徒1人と講師1人のマンツーマンで指導が行なわれます。

そのほか、2~3人の生徒に対して講師1人が巡回するようにして指導を行なったり、映像授業を進めつつ困ったことがあれば担任やチューターがその都度サポートしたりするなど、塾・予備校によってさまざまなスタイルがあります。

講師1人につき生徒が2人以上いる場合は、1人が指導を受けているあいだ、ほかの生徒は問題演習などに取り組むのが一般的です。

集団指導の特徴

集団指導は、定められたカリキュラムに従い、複数の生徒が1つの教室に集まって一斉に同じ授業を受ける指導形式です。

10人前後の少人数制や数十人以上の多人数制、講師が一方的に授業を進める講義型、コミュニケーションを行ないながら授業を進めていく双方向型など、集団指導のスタイルは塾・予備校によって異なります。

実際に参加するクラスは、生徒自身の習熟度や学力レベル、目的、志望校などによって分けられるケースが一般的です。

また、塾・予備校に通わなくても、オンラインで自宅にいながら集団指導を受けられるところもあります。

個別指導のメリット/デメリット

個別指導のメリット/デメリットについて解説します。

個別指導のメリット

個別指導のメリットは、以下の3つがあります。

①個人に合わせて学習ペースを調整できる

得意な単元はスピーディーに、不得意な単元はじっくりと時間をかけて、生徒個人の理解度に応じてペースを調整しながら学習を進めてくれます。

お子さまの予定に合わせて通塾する曜日や時間帯を選ぶことができ、欠席した場合には振替授業を実施してくれる塾・予備校もあります。

②質問がしやすい

授業の流れを気にしたり、ほかの生徒に気を遣ったりする必要がないため、わからないところがあればすぐに質問できます。

③自分に合った講師を選べる

多くの個別指導塾では、生徒の学力や志望校、希望に合わせて講師を選べます。相性の良い講師から指導を受けることで、理解度もさらに向上するでしょう。相性が良くない場合は講師の変更も可能です。

個別指導のデメリット

個別指導のデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

①料金が高いことが多い

生徒一人ひとりにきめ細やかな指導をするためには、多くの労力と人件費が必要になります。そのため、集団指導塾と比べると料金が高めに設定されていることが一般的です。

②競争意識が薄れる可能性がある

講師とのマンツーマンが多いため、ほかの生徒の様子はほとんど見られません。集団指導のようにライバルと切磋琢磨しながらモチベーションを高めていくことは難しくなるでしょう。

集団指導のメリット/デメリット

続いて、集団指導のメリット/デメリットについて解説します。

集団指導のメリット

集団指導のメリットは、以下のように3つあります。

①計画的に学習を進められる

集団指導では、年間を通して組まれたカリキュラムに沿って授業が進められるため、一定のペースで学べます。いつ何を学ぶのかが明確に決められている分、スケジュールが立てやすく、学習計画も崩れにくいでしょう。網羅的に学習でき、特定の単元を取りこぼす心配もありません。

②競争心が刺激されてモチベーションにつながる

同じ教室でたくさんの生徒と一緒に授業を受けていると、一生懸命頑張るライバルたちの姿がよく見えます。「自分ももっと頑張ろう」という前向きな競争心が湧き上がってくるでしょう。定期的な模試によって自分の学習レベルを把握でき、適度な緊張感を持ちながら学習に取り組めるのも良い点です。

③料金が比較的安い

集団指導は個別指導に比べて、料金が安いのが一般的です。一人ひとりに専用のカリキュラムを組む労力がかからず、講師も生徒の人数分確保する必要がないためだと考えられます。

集団指導のデメリット

集団指導のデメリットは、以下のように3つあります。

①一人ひとりの理解度に合わせにくい

1人の講師が大勢の生徒を受け持つため、生徒一人ひとりの理解度を丁寧に確認する余裕はほとんどありません。融通を利かせることが難しく、十分に理解していない生徒がいても授業が進んでいってしまいます。

②学習レベルが合わない可能性がある

前もって決めたカリキュラムどおりに授業が進むのはメリットですが、デメリットにもなり得ます。お子さまの学習レベルに合わない場合もあるためです。

授業の難度が高すぎたり、十分に理解している内容をもう一度授業で学ぶことになったりする可能性があります。そのため年度途中からの入塾も、塾・予備校側のサポートがない限りは難しいでしょう。

③質問しづらい場合がある

授業が終わるまでは質問できず、わからないところがあってもそのまま授業が進んでいってしまう場合があります。

また、授業中に質問をすることが許されていても、大勢の生徒の前で手を挙げて質問するのは苦痛に感じる人もいるでしょう。

個別指導・集団指導の料金相場

個別指導・集団指導の1ヵ月当たりの料金相場は以下のとおりです。

個別指導の料金相場集団指導の料金相場
小学生1万5,000円~5万円程度2~4万円程度
中学生2~6万円程度3~5万円程度
高校生2~8万円程度3~6万円程度

ただし、塾・予備校にかかる料金は、1週間当たりの通塾回数や学年などによって大きく異なります。上記の表は、一つの目安程度にとらえておきましょう。

なお、塾・予備校の料金について知りたい人は「予備校と塾はどちらが安い?安くて大丈夫?料金比較から選び方まで徹底解説」も併せてご覧ください。

個別指導と集団指導向いているのはどっち?

個別指導と集団指導のどっちに通うほうが成績を伸ばせるかは、本人の特性や学習状況などによって変わります。以下の表のように、両者には大きな違いがあるためです。

項目個別指導集団指導
授業形式マンツーマンまたは少人数制多人数制
費用高め個別指導よりも安い傾向がある
授業日時自分の都合に合わせて設定可能あらかじめ決められている
カリキュラム一人ひとりのレベルや目的に合わせてカスタマイズできる年間を通したカリキュラムが決められている
学習環境・講師と自分で学習を進める
・競争相手はいない
・仲間と一緒に学習を進める
・競争相手がいる
教材個人のレベルに合った教材を使用クラス全員で同じ教材を使用

ここでは、個別指導・集団指導に向いている人を紹介します。

個別指導に向いている人

個別指導に向いているのは、次のようなタイプの人です。

・勉強の仕方がわからない人
・学校の授業についていけていない人
・自分のペースで学習を進めたい人
・学習習慣をつけたい人
・苦手科目を克服したい人
・部活動などで忙しく通塾できる時間が限られている人
・大人数がいるなかで質問できない人

個別指導では、一人ひとりの学力や理解度、得意・不得意を踏まえたカリキュラムを組んでもらえます。そのため勉強の仕方がよくわからない人や学習習慣がない人も、丁寧なサポートがあることで意欲的に勉強できるでしょう。

集団指導よりもスケジュールを調整しやすいため、部活や習い事で忙しい人にも向いています。

集団指導に向いている人

集団指導に向いているのは、以下のようなタイプの人です。

・一定のカリキュラムに沿って学習したい人
・基礎的な学力が身に付いている人
・ライバルがいると頑張れる人
・意欲的に取り組める人
・学校の授業内容を先取りしたい人
・難関校合格を目指している人
・全体の成績を上げたい人

自分で予習・復習ができる、わからない場合はしっかり質問できるなど、意欲的に取り組める人は、集団指導の授業ペースに問題なくついていけるでしょう。

ライバルの存在が勉強へのモチベーションアップにつながる人も、個別指導より集団指導のほうが向いているといえます。

個別指導と集団指導どっちにするか迷ったら

個別指導と集団指導のどっちを選んだらよいかで迷ったときに考えるべきことを解説します。

通塾する目的を明確にする

まずは、何のために通塾するのかを明確にします。「苦手単元を克服するため」「志望校に合格するため」など、通塾する目的によって個別指導と集団指導のどっちが適しているかが変わってきます。

例えば苦手単元の克服や学習習慣の定着を目的とするなら、自分に合ったカリキュラムが組める個別指導のほうが向いているでしょう。

レベルの高い学校への合格を目指すなら、受験・志望校合格をおもな目的とする集団指導のほうが向いているかもしれません。

お子さまの学力・性格・受講可能な日数を洗い出す

お子さまの学力・性格・受講可能な日数を洗い出してみるのもよいでしょう。

特定の教科だけ苦手な人やマイペースに頑張りたい人は、個別指導を選ぶことでストレスなく勉強できる可能性があります。

反対に、競争相手がいることでやる気がでる人や人目を気にせず質問できる人は、集団指導を選ぶと成績向上が期待できます。

個別指導と集団指導では選択できる授業日時の柔軟性も変わるため、受講可能な日数も考慮するのが大切です。

個別指導と集団指導の併用を検討する

個別指導と集団指導の併用を検討するのも一つの方法です。

集団指導でわからなかった部分を個別指導で詳しく説明してもらったり、苦手な単元を個別指導でカバーしたりなど、個別指導と集団指導をうまく併用している人も実際にいます。

ただし、2つの塾に通い続けるのはお子さまにかなりの負担がかかるものです。指導内容や使用している教材が塾・予備校によって異なり、かえって混乱してしまう可能性も考えられます。

そのため、まずはお子さまに個別指導と集団指導の併用についてどう思っているかを聞き、よく話し合うことが重要です。通塾するのはお子さま自身なので、本人の考えを聞いて判断しましょう。

合わなければ集団指導から個別指導へ変更するのもあり

集団指導で思うように成績が上がらないときは、個別指導へ変更するのもおすすめです。

個別指導と集団指導は授業の進め方が大きく異なります。
自分の学力や性格に合わない環境では、どれだけ頑張っても成績アップにつながりにくく、大きなストレスもかかるでしょう。

そのような人は、個別指導に変更することで理解力が深まり、テストや模試の成績が一気に伸びる可能性があります。

ただし、費用は集団指導よりも個別指導のほうが高くなるため、その点も踏まえて検討しましょう。

個別指導をしているおすすめの塾・予備校

個別指導と集団指導を比べてみると、「個別指導のほうが向いていそうだ」と感じた人も多いのではないでしょうか。

ひとえに個別指導といっても、先に述べたとおりさまざまなスタイルの塾・予備校があります。

大手の塾・予備校のなかには、基本は集団指導ですが、個別指導に対応している塾・予備校もあります。

「集団指導をメインで受けて、苦手な部分は個別指導を受ける」というように、集団指導と個別指導を組み合わせて受けている人もいます。

個別指導を受けたい場合には、さまざまな塾・予備校をチェックして自身の特性に合った個別指導を受けられる塾・予備校を選ぶことが大切です。以下より、個別指導をしているおすすめの塾・予備校を3つ紹介します。

東京個別指導学院

東京個別指導学院は、ベネッセグループの個別指導塾です。首都圏を中心に展開しています。

生徒一人ひとりの学習状況や志望大学に応じてオリジナルの学習プランを作成し、ベネッセグループならではの情報力を活かした指導を行なっています。

在籍している講師陣も粒ぞろいで、生徒は実際に授業を受けたうえで相性の良い講師を選べます。

受講科目はもちろん、通塾回数や通塾日も自由に調整可能です、当日の授業前までに連絡すれば、無料で授業の振替を行なえます。

自習スペースも使い放題となっており、授業がない日も気兼ねなく通えます。

個別教室のトライ

個別教室のトライは、トライグループの個別指導塾です。全国に約650の教室を展開しています。

個別教室のトライでは、生徒の悩みをしっかりと聞き取り、一人ひとりにピッタリなオーダーメイドカリキュラムを作成。完全マンツーマンで、生徒の理解度に合わせてじっくりと指導を行なっています。

講師は全国33万人から、生徒の要望や相性を考慮して選抜されます。万が一相性が合わなかった場合には、無料で講師の交代も可能です。また、料金はそのままで、教科別に講師を代えることも可能です。

開校時間内は自習スペースも開放されており、トライグループが誇る「トライ式AI教材」も使いながら効率的に自習を進められます。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

意外と知られていませんが、実力講師陣による映像授業で有名な大手予備校の東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)も個別指導に対応しています。

東進のカリキュラムは決して画一的なものではなく、それぞれに合わせた完全個別のものなのです。

その要となるのが、一人ひとりに担任と担任助手がついて行なう「担任指導」。まず、のべ100万人以上の東進生の学習データや入試の徹底分析データを活用して、一人ひとり異なる「合格設計図」を作成します。

入試本番から逆算して、長期・中期・短期の学習方針と具体的な学習計画を提案してくれるのです。

担任指導の「合格作戦打ち合わせ」では、受講状況や模試の結果からこの合格設計図を見直します。面談は1対1なので、不安や悩みの相談もできる有意義な時間になるでしょう。

また、登校・在校時に1日の学習内容を担任や担任助手と確認する「コーチングタイム」で、計画を微調整してもらうことも可能です。

さらに、5~6人程度の生徒を集めて担任・担任助手の指導のもと切磋琢磨する「チームミーティング」も週ごとに実施。ほどよく競争心が刺激され、モチベーションを高く維持できます。

AIを活用した「志望校別単元ジャンル演習講座」も個別対応カリキュラムの一つです。これは、AIが一人ひとりの学習課題や優先度を特定し、それぞれに最適な「必勝必達演習セット」を提案するというもの。

過去問の綿密な分析や30万問以上の演習データベースから導き出された演習に取り組むことで、効率的に苦手を克服し、成績を向上させられます。2022年度からはより楽しく続けられるスペシャルモードも導入されました。

自習室や模試なども利用し放題で、さまざまなサポートを受けながら積極的に学習に励むことができるでしょう。

さらに2024年3月からは、新高2生・高1生を対象とした「高校別対応の個別指導コース」を開講しました。高校の成績向上に特化しているコースで、普段使っている教科書・問題集に対応した指導を受けられます。従来の東進の授業よりも学習内容が細分化されているため、苦手な分野は中学校の範囲までさかのぼって学習できます。

途中で大学受験コースに変更したり、本コースを受講しながら大学受験コースの一部の講座を受講したりすることも可能です。

まとめ

個別指導は一人ひとりのレベルや目的に合ったカリキュラムを組めます。自分の都合に合わせて授業日時を決められるのもうれしいポイントです。

一方で集団指導は、一定のカリキュラムどおりに授業を進めるため、学習計画が崩れにくくなっています。料金が個別指導よりも安めなケースが多い点も特徴です。

個別指導と集団指導はそれぞれ特徴が大きく異なるため、お子さまの性格や学習状況に適したほうを選びましょう。体験授業に参加し、授業の進め方や教室の雰囲気を実際に体感してみるのもおすすめです。