大学受験に向けた学習において大切なことは「基礎固め」です。基礎をしっかりと理解することで、ひっかけ問題や応用問題への対応が可能になります。
では、いつまでにこの基礎固めを行なうべきなのでしょうか。また、どのような方法で進めるのが良いのでしょうか。
この記事では、基礎固めの方法や時期、必要性に加えて、科目別のポイントを解説します。これから受験勉強を始める方も、すでに始めているという方も、ぜひ学習の参考にしてください。
大学受験を成功させるための基礎固めとは?

大学受験を成功させるためには、どのように基礎固めを行なうべきなのでしょうか。以下にいくつかのポイントを解説します。
学校の授業や課題にしっかりと取り組む
まずは学校の授業をきちんと受けたうえで、中間・期末テストに向けてしっかりと勉強しましょう。学校から出される課題やテストは教科書に沿った基礎的な内容のため、大学受験に向けた基礎固めに最適です。
特に、高校1~2年生の時期から着実に勉強しておくことは、受験期のスムーズな勉強の進行と、成績の向上を支える大切なポイントになります。
基礎的な参考書・問題集を反復する
基礎的な参考書や問題集のほか、予備校や塾のテキストを完璧に解けるようになるまで反復することも大切です。繰り返し同じ問題を解き、解答を導き出すまでの道のりを自分のものにしていきましょう。
プロ(塾や予備校の講師)に相談する
上記に解説したポイントに加えて、塾や予備校の講師など、大学受験に精通した受験のプロに相談することが大切です。
また、基礎の固め方や、勉強への取り組み方を教えてもらうだけでも成績が大きく伸びる場合もあります。
特に、勉強量を多くこなしていても成績が伸び悩んでいるという方は、勉強方法そのものに問題があることも多いため、一度プロに相談してみるとよいでしょう。
大学受験に向けた基礎固めはいつまでにやる?

では、大学受験に向けた基礎固めは、いつまでにするのが良いのでしょうか。
基礎固めが終わったあとには、過去問の演習や大学別の対策を行なう必要があります。これらのような入試本番に向けた調整には、少なくとも数ヵ月~半年程度の時間が必要です。
そのため、基礎固めはできれば高校1~2年生の間、遅くとも受験の年の夏までにしておくとよいでしょう。早めに基礎固めを行なうことで、余裕を持って入試本番に臨むことができます。
大学受験に向けた基礎固めの具体的な範囲

基礎固めをどこまでやれば良いのかは志望校により異なります。これは、入試の出題範囲や難易度が大学や学部・学科によって異なるためです。
基礎固めができているか判断するには、志望校の過去の入試問題(過去問)を解いてみましょう。
すんなり解けるのがベストですが、仮に解けなくても解答を読んですぐに理解でき、考え方や解答を導き出すための方向性が自分で考えたものと合致していれば、ある程度基礎固めはできていると考えられます。
また、学校の教科書レベルの問題であれば、応用問題も含めて自分の力だけで何も見ずに正しく解答できることも、基礎固めができているかどうかの目安となります。
基礎固めができていると判断できた場合は、さらに難易度の高い応用問題や入試の予想問題に挑戦するなど、次のステップに進みましょう。
科目別の基礎固めのポイントとは?

基礎固めでは、どのような内容をどのレベルまで身に付けるべきなのでしょうか。ここでは、科目別の基礎固めのポイントについて具体的に解説します。
英語の基礎固めのポイント
英語は苦手意識を持つ人が多いと思います。
英語の基礎固めは以下のポイントを意識しましょう。
基本的な単語の暗記と文法の理解
まずは、基本的な単語の暗記と文法の理解に取り組みましょう。基本的な単語の暗記と文法の理解は、より発展的な問題を解くためにも必要不可欠な要素です。
繰り返し反復することで記憶が定着し、理解できる英文の幅が広がっていくため、毎日少しずつでも良いので学習を進めていくことが大切です。
また、文法の問題集を活用して、英文の構造(文型)の理解を深めていきましょう。学習の最初の段階で文型をしっかりと理解しておくことは、その後の学習の大きな支えになるほか、長文読解への事前準備としても効果的です。
実際に英文を読む際には主語(S)や述語(V)、目的語(O)、補語(C)など、それぞれの役割を意識しましょう。
リスニング力を鍛える
リスニング力を鍛えることも大切です。大学受験では、英作文や英文読解と同様に、リスニングも重視されます。
しかし、リスニング力はすぐに身に付くものではなく、長い時間が必要になります。そのため、まずは毎日継続して英語を聴き、耳を慣らしていくことが大切です。
日本語と英語の言い換えのパターンを覚える
入試問題でよく出題される英作文に対応するためには、日本語と英語の言い換えのパターンを覚えることが重要です。基本的な和文英訳の問題集で、実際に手を動かして書いていきましょう。そして、学校の先生や予備校の講師に添削してもらいながら、英語を使った表現の方法を学ぶことが大切です。
数学の基礎固めのポイント
数学の基礎固めのコツについて解説します。
定理や公式を覚える
まずは、教科書に載っている定理や公式をしっかりと覚えましょう。ただ丸暗記するのではなく、簡単な問題や例題を解きながら、使い方を理解することが大切です。
そのあと、問題集などを活用してさまざまなパターンの類題を解き、数学的な考え方や公式の当てはめ方に慣れていきましょう。
適切な問題集を選ぶ
問題集を活用する際には、適切な難易度のものを選びましょう。基礎固めの段階では、各単元の基礎事項がまとめられている問題集を使うのがおすすめです。自分の苦手な単元が明確になり、効率的に対策を行なうことができます。
国語の基礎固めのポイント
ここでは、現代文、古文、漢文の基礎固めのポイントについてそれぞれ解説します。
現代文は「読解力」を養う
現代文の問題を解く際のポイントは、単に文章を読むだけではなく、筆者の主張・意図を把握することです。このような「読解力」を養うための効果的な方法として、文章を要約する練習が挙げられます。要約の練習を重ねるうちに、長い文章の全体を理解する力が身に付きます。
古文は単語と文法を覚えることが先決
古文の場合は、単語と文法を覚えることが先決です。英語と同じく、単語や文法がわからなければ、文章を理解できません。単語帳や参考書を繰り返し使って、単語や文法を確実に覚えましょう。
また、古典の世界では現代とはまったく異なる考え方やしきたりがあり、基礎知識がなければ混乱してしまう場合があります。そのため、教科書や便覧、参考書に書かれている古典世界の基礎知識にも目を通しておくことが大切です。
漢文は基本的な句法をしっかり覚える
漢文は、特別難しい問題よりも基本的な問題が多く出題されるため、まずは基本的な句法をしっかりと覚えることが大切です。基本的な句法を覚えたあとは、実際に問題を解いてみましょう。今まで覚えた句法や、重要な語句、よく出題される作品などを確認します。
理科の基礎固めのポイント
ここでは、物理、化学、生物の基礎固めのポイントについてそれぞれ解説します。
物理は使用する場面や方法を瞬時にイメージできるように
物理といえば、たくさんの公式が出てくるといったイメージが強いでしょう。しかし、公式を丸暗記するだけでは基礎固めとして不十分です。公式を言葉や図を使って説明するなどして、使用する場面や方法が瞬時にイメージできる状態にしておく必要があります。具体的な事象がたくさん取りあげられている参考書を活用し、効率的に基礎固めを進めていくとよいでしょう。
化学は基礎用語・基本事項をマスターする
化学では、まず基礎用語や基本事項をマスターしましょう。公式や原理を自分で説明できるようになるのが理想です。公式や原理と物質の性質を関連付けたり、構造式を何度も手で書いたりすると覚えやすいでしょう。
生物は基礎的な用語や事項を流れ・仕組みと併せて暗記
生物は、より多くの基礎用語・基本事項を、流れや仕組み、イメージと併せて暗記する必要があります。イラストが豊富な参考書を活用すれば、効率よく知識を吸収できるでしょう。
社会の基礎固めのポイント
ここでは、世界史・日本史、地理、公民の基礎固めのポイントについてそれぞれ解説します。
世界史・日本史は時代の流れを押さえる
世界史・日本史の基礎固めをする際には、何よりもまず時代の流れを押さえることが大切です。学習に漫画を活用する方法も、視覚的に理解を深めることができるためおすすめです。時代の流れをひととおり理解できたら、用語をそれぞれの時代背景と紐付けて暗記しましょう。問題集を使って繰り返しアウトプットしていくと、より効率的に暗記できます。
地理は用語を地形・気候・産業・年代などと紐付けながら最新の知識を暗記
地理は、用語を地形や気候、産業、年代などと紐付けながら暗記していく必要があります。参考書を選ぶ際は、用語に関する背景知識が豊富に掲載されているかチェックしましょう。また、地理は時事問題の影響を受けやすいため、参考書が出版された日付を確認し、最新の知識を習得することも重要です。
公民は背景・相関関係・因果関係をしっかり押さえる
公民には政治・経済と倫理がありますが、いずれの科目においても用語についての深い理解が求められます。
政治・経済では、背景や資料などとともに用語の定義を押さえ、物事の相関関係や因果関係をしっかりと理解できるようにしておきましょう。倫理では、まず思想の歴史や流れを押さえ、そのあとに思想家の名前と立場や主張、キーワードなどを結び付けて覚えましょう。
大学受験の勉強において基礎固めが大切な理由

国公立大学の一般選抜では、一次試験として基礎学力が十分に身に付いているかを問う「大学入学共通テスト」が課されています。
また、多くの私立大学においても、大学入学共通テスト利用入試が採用されています。こうした大学入学共通テストの趣旨からも、志望する大学に合格するためには、基礎固めが非常に重要だといえるでしょう。
また、基礎固めは大学入学共通テストの対策になるだけでなく、二次試験などで出題される応用問題を解くための土台となります。
入試において数多く出題される難易度の高い問題を解くためには、基礎が不可欠なのはいうまでもありません。
応用問題で正しい解答に至らなくても、基礎ができていれば途中までは解くことができ、問題を解く過程での加点を得られる場合もあるでしょう。
もちろん加点だけでなく、基礎知識を組み合わせることで問題の糸口をつかみ、正しい解答にたどり着くことができる場合も少なくありません。
大学受験に必要な応用力を身に付けるためには、実際に応用問題を解くことが不可欠です。そのステップに進むためにも、基礎固めをしっかり行なうことが大切です。
大学受験に向けた基礎固めが夏までに終わりそうもない場合は?

高3の夏までにどうしても基礎固めが終わりそうもない場合は、遅くとも高3の10月末までには基礎固めを終わらせるよう、以下のように対策しましょう。
間に合いそうもないと感じた時点でプランを見直す
まず、高3の夏までに基礎固めが終わりそうにもないと感じた時点でプランを見直しましょう。時間がなくても焦らず、受験科目の基礎をひととおり押さえることを目標にすることが大切です。
時間を確保し、できるだけ効率的に学習を進め、遅くとも高3の10月末基礎固めが終えられるようプランを再構築します。
自力でプランを立てるのが難しい場合は、塾・予備校の講師などプロに相談するのもおすすめです。
時間がないからといって、基礎固めをおろそかにして次のステップに進むのはやめましょう。
学力の土台がしっかりしていなければ科目の真の理解につながらないため、志望校に合格するのは難しくなります。必ず基礎固めを終えてから応用問題に挑戦しましょう。
学習環境を整える
立てたプランに対して学習の進捗が遅い場合は、学習環境を整えることも大切です。特に、高3の夏までに基礎固めが終わりそうにない場合は、プランの見直しと同時に、勉強に集中できる環境も整えましょう。
勉強をさぼりがちで、どうしてもモチベーションが保てない場合は、塾や予備校の自習室に通うのもおすすめです。
長時間勉強して結果を出している受験生は、塾や予備校の自習室を上手に利用しています。
塾や予備校の自習室は勉強に集中できる環境であり、勉強に励む周りの生徒からも刺激をもらえるため、「自分も頑張らなければいけない」と必然的にやる気がわいてきます。
自力では難しい場合は学校・塾・予備校をフル活用する
基礎固めをしていくなかで自力では難しいと感じた場合は、学校・塾・予備校をフル活用するのがおすすめです。
学校の先生にわからない部分を質問するほか、塾・予備校の講師によるマンツーマン指導を利用したり、塾・予備校での受講時間を増やしたりするなどして、疑問点や苦手な分野をなるべく早く解消・克服しましょう。
時間がないなかで基礎固めを終えるには、効率的な学習が必要です。学校・塾・予備校などを存分に活用して学習を進めましょう。
大学受験に向けた基礎固めが終わったあとの学習

基礎固めが終わったあとは、各志望校に合わせて、より具体的な対策を行ないます。やるべきことは、「応用問題に取り組む」「時間を計って過去問や予想問題に挑戦する」「できなかった箇所や苦手分野を復習する」の3つです。
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
応用問題に取り組む
基礎固めがひととおり終わったら、応用問題にチャレンジしてみましょう。
数学や理科では、応用問題の演習で、解答を導き出す道筋をしっかり意識するようにすると理解が深まり、さまざまなパターンの問題に対応しやすくなります。
英語や国語では読解力や記述力を鍛えるため、時間を計って長文問題に挑戦しましょう。
長文の読解は必要な語彙力が身に付いていることに加え、時間内に問題文を読み解くスピードが必要です。演習を繰り返し、時間内に解答できるようにしましょう。
記述式の問題では、模範解答と自分の解答を見比べて、改善すべき点を意識したり、学校の先生や塾・予備校の講師に添削してもらったりするのもおすすめです。
社会では、ボリュームのある論述問題に備えて、用語が抜けもれなく暗記できているか確認します。流れや関連性を意識しながら、覚えるべきことを網羅しましょう。
時間を計って過去問や予想問題に挑戦
大学受験対策として、過去問や予想問題に挑戦することはとても重要です。
とはいえ、最初から難易度の高い問題に挑戦すると自信喪失してしまうため、難易度の低い問題からトライして徐々にステップアップしましょう。
最初から時間内に解けなくても落ち込まず、間違えたところや時間内に解けなかったところをしっかり復習します。復習後、また過去問や予想問題へ挑戦し、根気よく演習を繰り返しましょう。
模擬試験や塾・予備校の対策講座・夏期講習などを利用するのもおすすめです。
できなかった箇所や苦手分野の復習
いずれの科目も、応用問題を解いていくなかで理解できない部分は、基礎に戻って復習します。
過去問や予想問題を解いたあとも、できなかった箇所や苦手分野の取り残しがないよう、一つずつ確実に克服し、最終的に時間内に正解を導けるようにしましょう。
また、応用問題・過去問・予想問題など、いずれの場合もつまずいた箇所がどうしても理解できないときはそのままにせず、必ず解決しておくようにします。
自分の力でどうにもならない場合は、学校の先生や塾・予備校の講師に質問するなど周りの力を借りて理解できるまで指導してもらいましょう。
学校の先生や塾・予備校の講師によるマンツーマン指導などを利用するのは、苦手分野の克服には効果的な方法です。
まとめ
大学受験に向けた学習で基礎固めをしっかり行なうことは、合格への第一歩です。学校の授業や課題にしっかりと取り組んだうえで、基礎的な参考書・問題集を反復し、正解を導くまでの考え方も含めてものにしましょう。
基礎固めを行なう際は、塾や予備校の講師など、大学受験に精通した受験のプロに相談することも大切です。
勉強の具体的な取り組み方を教えてもらうだけでも、正しい方法で効率的に学習できるようになり、成績が向上するケースもあります。
「基礎固めが高3の夏までに終わりそうもない」「成績が伸び悩んでいる」「苦手分野を克服できない」など、受験勉強に関する悩みを抱えている方は、塾や予備校で受験のプロに相談してみてはいかがでしょうか。