国公立大学や私立大学文学部系学部の試験を突破するためには漢文が必須です。にもかかわらず、漢文が苦手で困っているという人は少なくないでしょう。
確かに、漢字だけが羅列されている文章は日本語というよりも中国語であり、英語よりも遠い存在のように感じられます。しかし、漢文は現代文や古文と比べると、システマチックで覚えることが少ないため、しっかり学べば安定した得点源となります。
漢文の力を伸ばすには、どうすればいいのでしょうか。さまざまな方法がありますが、その一つは、漢文に特化した大学受験参考書を活用することです。
そこで今回は、大学受験の漢文対策におすすめの参考書を「句法・句形」「演習」「読解」といった三つの分野別に紹介します。
漢文の句法・句形をマスターしたい人におすすめの参考書
漢文を読み解くためには、句法・句形をしっかりと覚える必要があります。
しかし、漢文の句法・句形はなじみのないものが多いため、なかなか覚えられずに困っているという人は多いでしょう。
そのような人でも、漢文の句法・句形に特化した大学受験参考書を活用すれば、効率良く句法・句形を覚えられます。
漢文の句法・句形をマスターしたい人には、以下の2冊の参考書がおすすめです。
寺師の漢文をはじめからていねいに
寺師貴憲「寺師の漢文をはじめからていねいに」(東進ブックス、2017年)は、句形の基礎知識から、副詞や基本単語、覚えておきたい漢文の常識まで学べる大学受験参考書です。
同書の著者である寺師先生は、東進が誇る実力派漢文講師。ユーモア溢れる物語仕立ての講義が特徴で、先生の講義を聞けば、「語彙力」「書き下し力」「解釈力」「漢文常識」「応用力」といった漢文に欠かせない五つの力を高められます。
本書では、過去10年分の大学入試センター試験と国公立大学・私立大学の過去問から厳選された句形のマスターを目指します。より楽しく、より効率よく漢文の句形を習得したい人におすすめの一冊です。
三羽の漢文 基本ポイントこれだけ!
三羽邦美「三羽の漢文 基本ポイントこれだけ!」(東進ブックス、2000年)は、大学受験に臨む上で必ず抑えておきたい漢文の句法と知識を身に付けられる参考書です。
同書では、東進きっての人気漢文講師である三羽先生による15の講義を掲載。これらの講義を通して、必要な返り点をスムーズに解く技術、重要句法の知識、漢字の用法、古典文法、文学史などを徹底的に学ぶことができます。
加えて、練習問題も収録されているため、学んだことが身に付いたかどうかを確かめながら学習を進められます。漢文の句法を基礎の基礎からじっくり学びたいと考えている人は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
漢文の演習にしっかり取り組みたい人におすすめの参考書
句法・句形の知識は一通り身に付いているはずなのに、漢文の得点力がなかなか上がらないという人もいます。
そのような人は、演習不足で得点が伸び悩んでいるのかもしれません。
基礎知識が備わっている人は、漢文の演習問題が多く収録されている参考書を活用すれば、安定して高得点を取れるようになります。
漢文の演習問題にしっかり取り組みたい人には、次の3冊の参考書をおすすめします。
ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習
高橋健一、寺田るり子、藤堂光順「ステップアップノート10 漢文句形ドリルと演習」(河合出版、2001年)は、スモールステップで漢文の基礎固めができる大学受験参考書です。
同書は、「ポイント」「ドリル」「基本問題・練習問題」といった3ステップを順に踏むことで、漢文を解くために必要な基本知識を着実に身に付けられるようになっています。練習問題が実際の入試問題に近い形式で出題されており、解説も大変丁寧なのでため、本格的な大学受験対策に取り組む前の肩慣らしにうってつけです。
シンプルな黒一色刷であるため、書き込みをするなどして自由にカスタマイズしやすい点も、好印象な一冊です。
漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版
三羽邦美「漢文ヤマのヤマ 共通テスト対応版」(学研プラス、2020年)は、大学受験を突破するために必要な漢文を解く力を効率良く培える参考書です。
同書は、大学入試に頻出する66の重要句法を厳選。一つの句法に見開き1ページの紙幅を費やしており、例文と丁寧な解説のほか、単純ながら大学入試によく出る形式の問題に取り組める「演習ドリル」を収録しています。
本書には大学入学共通テストの試行調査問題と大学入試センター試験の過去問も収録されているため、より実践的な力を磨くことができます。演習を通して漢文の力を基礎から大学入学共通テストに対応できるレベルまで伸ばしたいと考えている人は、ぜひ手に取ってみてください。
漢文一問一答 【完全版】
三羽邦美「漢文一問一答 【完全版】」(東進ブックス、2012年)は、その名の通り一問一答の演習問題を通して漢文の得点アップを目指せる大学受験参考書です。
同書は、大学入学共通テストレベルから国公立大学の二次試験レベル、難関私立大学レベルまで、大学受験に出る訓読・句法・重要語・漢詩などの知識を完全収録。基礎固めができる「基本事項の確認」と実際の入試問題を模した「実践問題」によって着実に漢文の力を伸ばせます。
気軽に多くの演習問題をこなし、要領よく漢文の得点を高めていきたいと考えている人におすすめの一冊です。
漢文の読解力を高めたい人におすすめの参考書
大学入学共通テストレベルであれば、句法・句形さえマスターすれば、高得点を狙うことができるでしょう。
しかし、国立大学の二次試験や難関私立大学の入試で高得点を採るためには、読解力もしっかり高めておく必要があります。
漢文の読解力を短期間で高めたいのであれば、漢文読解に特化した参考書を活用することをおすすめします。
以下より、漢文の演習にしっかり取り組みたい人におすすめの参考書を3冊紹介します。
岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本
岡本梨奈「岡本梨奈の 1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本」(KADOKAWA、2019年)は、語順などの基礎知識から漢文の読解方法を学べる大学受験参考書です。
同書の著者である岡本先生は、低価格で質の高い授業を受けられると話題のスタディサプリで教鞭を執る人気講師。生徒と先生による問答形式により、送り仮名・返り点・振り仮名・語順などの初歩の初歩から漢文の読み方・解き方までを丁寧に解説します。
GMARCHや関関同立などの上位私立大学や中堅の国立大学合格を目指している人は、ぜひ同書を手に取ってみてください。
文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード
原安宏「文脈で学ぶ 漢文句形とキーワード」(Z会、2008年)は、大学入学共通テストはもちろん、国公立大学の二次試験や私立大学の入試にも対応できる読解力を基礎から培える参考書です。
同書は、句形の構造やニュアンスなどを解説する「文法・句形」、頻出度が高いキーワードをグループ分けして紹介する「重要単語」、ジャンルごとに読解のコツを伝授する「ジャンル別文章読解」の三部構成。赤シートを使っての学習が可能であるため、スキマ時間を活用して受験漢文のAtoZを習得できます。
同書をフル活用すれば、単純な知識のみならず、大学受験に役立つ読解の実践知を獲得できるでしょう。
漢文道場 入門から実戦まで
土屋裕「漢文道場 入門から実戦まで」(Z会、1993年)は、難関大学の受験を突破するために必要な漢文読解の力を鍛え上げられる参考書です。
第1部の「基礎編」では漢文読解に必要な句法・句形などを押さえ、第2部の「練成編」ではさまざまな分野からピックアップされた20の文章を読み解く創作問題に挑戦します。そして、第3部の「実践編」では、私立大学の過去問10題と国立大学の過去問8題、大学入試センター試験の追試験2題に取り組み、読解力を磨きます。
オーソドックスな問題から、一風変わった問題まで、さまざまな問題に対応できる読解力を身に付けたい人におすすめの一冊です。