信州大学は長野県トップの偏差値を誇る国立大学です。レベルの高い学びを提供しながら、地域に根差した教育を行なっていることが特徴で、日本経済新聞社が全国の国公私立大学に実施した「大学の地域貢献度調査2023」では、全国2位にランクインしました。長野県内に5つのキャンパスを持ち、自然豊かな環境で学べることも信州大学の魅力です。
また信州大学といえば、全国でも非常に珍しい「繊維学部」があることでも有名です。機械工学から生物、ものづくり、ファッション分野まで学べるユニークな学部となっています。
長野県内で高い人気を誇る信州大学に合格するためには、入念な対策が必要となります。この記事では、信州大学の概要や入試の仕組み、出題傾向と対策方法、受験勉強のポイント、おすすめ塾・予備校まで徹底解説しました。信州大学を目指している人はぜひ参考にしてください。
信州大学の概要

信州大学は1949年設立の国立大学で、学部学生数は8,910人です(2025年5月時点)。また、以下に挙げる8つの学部を擁しています。
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長野県内に構えた5つのキャンパスのうち、1年生は全員松本キャンパスで学び、2年生以降は学部ごとに各地のキャンパスで学びます。
信州大学では以下のアドミッション・ポリシーを掲げています。
信州大学は、かけがえのない自然を愛し、人類文化・思想の多様性を受容し、豊かなコミュニケーション能力を持つ教養人であり、自ら具体的な課題を見出しその解決に果敢に挑戦する精神と高度の専門知識・能力を備えた個性を育てることを教育に関する目標にしています。
引用:入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)│信州大学
信州大学は、この教育に関する目標に基づき、信州大学「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)で定めた知識・能力等を信州大学「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)で定める教育内容・方法等により卒業までに身につけるため、これらの教育に必要な高等学校修了段階の学力を有する人を求めています。
信州大学のアドミッション・ポリシーは学部ごとにも設定されているため、受験したい学部の方針は事前に確かめておくとよいでしょう。
信州大学の入試制度はどうなっている?偏差値・倍率もチェック

まずは、信州大入試の基本情報を見ていきましょう。
信州大学の入試制度
信州大学の一般選抜には前期と後期があります。後期の募集人数は、経法学部と理学部を除き、前期の6分の1~3分の1ほどなので、信州大学志望の人は前期での合格を目指しましょう。同じ日程内の併願は不可で、1つの学部・学科のみ受験可能なので注意してください。
信州大学入試では、配点の高い共通テストをしっかり対策しましょう。信州大学は国立大学のため、受験には大学入学共通テストで7~9科目が必要です。二次試験は学部によって差がありますが、1~2科目のみの場合が多いです。例えば前期日程だと、人文学部は「総合問題」、経法学部は国・数・英から1科目選択となっています。
ただし、医学部 医学科は数学と英語、理科2科目の計4科目が必須です。加えて配点は二次試験の方が高いため、注意して対策してください。また、教育学部はコースによって実技試験が含まれます。
その他、信州大学では総合型選抜、学校推薦型選抜などさまざまな入試を行なっています。それぞれ実施学部が異なるので、一度チェックしてみてください。
信州大学の入試に関するデータ
信州大学の一般選抜における出願資格は以下のとおりです。
次の各号のいずれかに該当し、かつ、志望する学部・学科等が指定する令和8年度大学入学共通テストの教科・科目を受験した者とします。
(1)高等学校(中等教育学校及び特別支援学校の高等部を含みます。以下「Ⅳ 一般選抜」の項において単に「高等学校」といいます。)を卒業した者又は令和8年3月卒業見込みの者
引用:信州大学 令和8(2026)年度入学者選抜要項
(2)通常の課程による12年の学校教育を修了した者又は令和8年3月修了見込みの者
(3)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第150条第1号から第5号の2までの規定により高等学校卒業者と同等以上の学力があると認められる者又は令和8年3月31日までにこれに該当する見込みの者
(4)学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第150条第7号の規定により、本学において、個別の入学資格審査により高等学校卒業者と同等以上の学力があると認められる者又は令和8年3月31日までにこれに該当する見込みの者で、令和8年3月31日までに18歳に達するもの
次に、例として経法学部(前期日程)の入試科目と配点を紹介します。
| 教科 | 地理歴史 | 公民 | 理科 | 国語 | 数学 | 外国語 | 情報 | 調査書 | 合計 | ||
| 配点 | 共通テスト | 200 | 200 | 200 | 200 | 100 | – | 900 | 1150 | ||
| 個別試験 | – | 200 | – | 50 | 250 | ||||||
2025年度入試の志願者数や合格者数は以下のとおりです。
| 学部 | 募集人員 | 志願者数 | 志願倍率 | 合格者数 |
| 人文 | 155 | 625 | 4.0 | 186 |
| 教育 | 240 | 835 | 3.5 | 258 |
| 経法 | 180 | 572 | 3.2 | 209 |
| 理 | 205 | 788 | 3.8 | 239 |
| 医 | 263 | 1130 | 4.3 | 279 |
| 工 | 485 | 1531 | 3.2 | 527 |
| 農 | 170 | 569 | 3.3 | 190 |
| 繊維 | 280 | 823 | 2.9 | 325 |
信州大学の偏差値・倍率
大手予備校グループである東進のデータを参照すると、信州大学(前期)の偏差値は文系の最高値が人文学部の64、理系が医学部 医学科の67でした。
たしかに全体的に見ればレベルは高いですが、学部によって大きく差があります。例えば教育学部は、コースによっては偏差値55程度です。
また、信州大学が発表している2025年度の実質倍率を見てみると、こちらもやはり学部や学科によって差が開いています。特に人気の教育学部 学校教育教員養成課程 心理支援教育コースや、医学部 保健学科 検査技術科学専攻は5.0倍に迫る高倍率ですが、一方で2.0倍を切る学科も散見されます。自分の志望する学科はどのくらいのレベルか、確認してみてください。
信州大学の出題傾向と対策方法

ここでは信州大学の出題傾向と、必要となる対策をお伝えします。また、信州大学のホームページには過去問や出題意図が掲載されているので、必ず確認しておいてください。
【英語】長文の読解力+教育学部は英作文の対策を
教育学部は大問2題、経法学部や医学部は大問4題など、学部ごとに差がありますが、いずれも記述式です。経法学部や医学部は日本語で答えさせる問題が多く、レベルはそこまで高くありません。しかし、長文を正確に読み取る読解力が必要なので、演習問題で対策しましょう。
一方で、教育学部は英語で解答させる問題が多いため、長文読解とともに英作文の対策が必須です。2023年度の出題意図には「正確に内容を捉えた上で、自分の経験を示しながら理由とともに説明することができているか」というものがありました。実体験を織り交ぜつつ、自分の言葉で英作文が書けるように目指しましょう。その際、学校や予備校の先生に添削してもらうのがおすすめです。
【国語】教育学部は幅広い科目、経法学部は評論文対策を徹底的に
国語も学部によって大問数や出題範囲に差があります。教育学部は、漢字などの国語常識、評論文、小説、古文、漢文と幅広く出題されます。レベルはいずれも基礎~標準ですが、漢字の誤字訂正など珍しい出題形式も。過去問を数年分、解いて対策しましょう。
経法学部は評論文が3題という、こちらも珍しい問題構成です。文章量が多くボリュームが大きいので、素早く正確に文章を理解する力が求められます。評論文に焦点を当て、実践演習を積み重ねてください。特に、2023年度は「150字以内で説明」という長めの解答が3問出題されていました。通常の問題集ではなかなか見ない文字数なので、過去問演習に力を入れましょう。
【数学】融合問題とケアレスミスに注意しよう
経法学部・医学部・工学部の数学は共通で、大問は全部で7題ありますが、学部によって解くべき4~5題が指定されています。2023年度は多項式の微分、絶対値を含む方程式、ベクトル、対数関数、整数の性質、数列、順列、組み合わせ、積分から出題されました。出題分野が幅広いうえに融合問題も出されるため、早いうちに過去問を解いて特徴をつかみましょう。
理学部 数学科は大問5題で、2023年度は微分と関数、ベクトル、数列、区分求積法、微分積分から出題されました。2021年度までは大問が7題ありましたが、5題に減ったことで1問ごとの正確性が求められるようになったといえます。過去問はもちろん、頻出分野について問題集を解き進め、ケアレスミスを減らしましょう。
信州大学合格を目指す学習のポイント

長野県内で高い人気を誇る信州大学の入試を突破するためには、効率的な学習方法を身に付けることが重要です。ここからは、信州大学の試験対策を進めるときに意識すべき3つのポイントを紹介します。
学力レベルに合わせて学習を進める
入試対策をするときは、手当たり次第に勉強するのではなく、まず自分の学力レベルを把握したうえで何から学ぶべきなのかを見極めることが大切です。現在のレベルに応じて段階を踏んで学習を進めることで、効率的に学力を高められるでしょう。
苦手意識のある科目ほど、基礎力を身に付けてから応用問題に挑戦という基本的な流れを意識することが欠かせません。模試などで自分の学力を試し、現状に合わせて取り組む問題のレベルを調整してみてください。
具体的な学習計画を立てる
着実に学力を高めるうえで、受験までのスケジュールを逆算して具体的な学習計画を立てることも重要です。
目標が漠然としていると、なかなか勉強に身が入らず、成績にも努力が反映されないおそれがあります。受験期の各時期にやるべきことを可視化することで、学習のモチベーションも維持しやすくなるでしょう。
いつまでに苦手科目を克服するかを決める、模試で本番の雰囲気に慣れるといったポイントを考慮し、細かい計画を立てておくのが成功の秘訣です。
自分に合った塾・予備校を選ぶ
信州大学の入試対策を効率重視で進めたい場合は、塾や予備校を活用する方法がおすすめです。
塾や予備校に通えば、受験のプロが豊富な経験やノウハウに基づいて学習計画の立案などもサポートしてくれます。受験勉強を手探りで進める無駄を省き、最短ルートでの合格を目指したいなら、受験のプロに頼るのが賢明だといえます。
塾や予備校を選ぶ際は、まず「個別指導」と「集団授業」のどちらが自分に向いているかを見極めましょう。個別指導のメリットは、自分の学力や目標に応じた柔軟な指導が受けられることです。一方、費用が高めである点や競争意識が生まれにくい点などはデメリットだといえます。
集団授業には、仲間から刺激を受けやすい、プロの高品質な授業を受けられるといったメリットがあります。ただし、授業についていけなかったり、自分のタイミングで質問ができなかったりする側面もあるので注意が必要です。
学習相談などのサポート体制や、自習室などの設備面も確かめながら、自分に合った塾や予備校を見つけてみてください。
信州大学を目指せるおすすめ塾・予備校7選

続いて、信州大学への合格を目指せる塾・予備校を7校、厳選してご紹介します。ぜひ参考にしてください。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は予備校最大手の一つで、長野県内には東進衛星予備校が多数あります。東進は国公立大学受験にも強く、2025年度は信州大学に197人が合格しています。そのうち医学部 医学科の合格者は、19人でした(現役生のみ、講習生含まず)。
東進では多彩な講座を組み合わせ、弱点は克服して強みはさらに伸ばし、第一志望合格を狙うことができます。特におすすめは、AIが最適な演習問題セットを作ってくれる「志望校別単元ジャンル演習講座」と、大学受験のプロによる採点・添削指導が受けられる「過去問演習講座」です。過去問演習講座は、信州大学の7学部に対応しています。
また、東進は模試の精度も高いため、定期的に受験しましょう。信州大学志望の人には「全国有名国公私大模試」と「共通テスト本番レベル模試」がおすすめです。
信学会
信学会は、長野県内に多くの校舎を持つ地元密着型の予備校です。駿台予備学校と教務提携しており、駿台のテキストを最大限に活かせる講師陣が指導しています。その結果、難関大学への合格数も長野県No.1の実績を誇っており、2025年度は信州大学に75人が合格。また2022~2024年の3年間で66人が医学部 医学科に合格しました。
信学会の講座は標準~発展レベルが充実しています。共通テスト対策はもちろん、国公立大学の二次試験対策も網羅されており、理系・文系ともにおすすめです。さらに、英・数・国は記述解答力を高められる講座が多いため、信州大学対策にぴったりです。
メディカルラボ
メディカルラボは河合塾グループの医系専門予備校で、全国に26校あります。2025年度は信州大学に4人、全国の国公立大医学部に200人以上を合格に導きました。
メディカルラボの大きなメリットは、医学部入試に特化しているため、無駄なく学習できることです。メディカルラボには、各大学の医学部入試に詳しいプロ講師が約1100人在籍しており、「プロジェクトチーム」を組んで受験生一人ひとりの合格戦略を練ります。カリキュラムも1人ずつ異なる完全オーダーメイド。そのため、学力や志望校のレベル、苦手・得意科目に合わせて最適な対策ができます。
1科目から受講できる単科制の「医学部科目選択コース」のほか、個別授業と演習授業、模試を組み合わせた「医学部総合コース」が選べます。
Z会の教室
Z会の教室は、難関大学合格に必要な記述力などを、添削指導を通して養う学習塾です。生徒の自主的な学習姿勢を育むことに重きを置いており、主体的な学習を奨励しています。大学生講師を採用せず、指導の品質を保つことに力を入れている点も大きな特徴です。
少人数のクラス授業できめ細やかな指導を行なっており、進路指導のプロによる手厚いフォロー体制も魅力的です。学習に集中できる静かな自習室を完備しており、講師との距離が近いのでわからない部分も気軽に質問できます。
新しい入試で求められる思考力を身に付けたい人や、質の高い授業で信州大学合格に近づきたい人は、Z会の教室を検討してみるとよいでしょう。
四谷学院
四谷学院は「科目別能力別授業」と「55段階個別指導」のダブル教育が特徴の学習塾です。ダブル教育は簡単にいうと、科目や能力ごとにクラス分けをして理解力を養い、個別指導で解答力を高めるシステムです。
四谷学院では学力を測るレベル診断テストを毎月実施しているため、生徒は常に最適な授業を受講できます。豊富なクラス編成によって、授業の進捗についていけない生徒が出ないように工夫しているのです。集団授業も先生との距離が近く、熱意を持って受験に取り組める環境が整っています。
個別指導ではまずテストで習熟度を確認し、間違えた問題をプロ講師が指導する体制です。独自の55段階学習プログラムにしたがって徐々にレベルを上げられるため、能率的な学力向上が実現します。
自分の学力レベルに応じた指導を受け、着実に成績を向上させたい人には四谷学院がおすすめです。
じゅけラボ予備校
じゅけラボ予備校は、志望校に合格するためのオーダーメイドカリキュラムが特徴の、自宅学習に特化した予備校です。学習の理解度に合わせた徹底的なスケジュール管理によって、コストを抑えながら志望校合格を目指すことができます。
じゅけラボ予備校の特徴の一つが、定期的に実施される定着テストです。チェックテストでこまめに学力を測り、学習計画をその都度見直すことで、最短ルートでの学力向上を目指します。
自分専用に作成された学習計画表には毎日の学習内容が示されており、「今日は何をやろうか」と迷う必要がありません。なるべくコストをかけず、効率重視で信州大学に合格したい人はじゅけラボ予備校を検討するとよいでしょう。
信州大学専門塾
信州大学専門塾は徹底的なスケジュール管理で信州大学合格を目指せる特化塾です。志望大学に特化したプログラムを用意しており、生徒一人ひとりの希望や能力に応じた指導が受けられます。
信州大学専門塾の特徴は、1日単位の「鬼管理」でやるべきことを明確にしてくれることです。毎週のテストで学習の進捗状況も管理し、絶対にサボれない環境作りで劇的な学力向上をサポートします。
また、信州大学専門塾では生徒1人につき最大4~7人の講師が徹底指導を行ないます。採用率0.6%の厳選された講師陣が目標実現まで生徒に寄り添い、伴走してくれることも魅力の一つです。
一般的な学習塾に比べて料金は高めに設定されていますが、勉強をサボる習慣から抜け出し、本気で信州大学を目指したい人には信州大学専門塾がおすすめです。
まとめ
学部や学科の選択肢が豊富な信州大学に合格するためには、具体的な学習計画を立てたうえで受験期を過ごすことが重要です。テストなどで自分の現在地を把握し、段階を踏んで学力レベルを高めていくとよいでしょう。
また、塾や予備校を活用すると受験のプロのアドバイスを受けながら効率的に信州大学の入試対策を進められます。個別指導と集団授業の違いなどを確認しながら、相性の良い指導スタイルの塾や予備校を探してみてください。