今、日本では各地で新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を振るっています。デルタ株は従来の新型コロナウイルスとは異なり、子供にも感染しやすいウイルスです。そのため、10代の若者の感染が増えています。
10代の感染経路は、家庭内がほとんどだと言われています。しかし、学習塾でのクラスター発生が大きなニュースとなったことから、塾・予備校に通うことを不安に思っている人もいるでしょう。
実のところ、ほとんどの塾・予備校はきちんと対策した上で、感染者を出すことなく営業を継続しています。現在はオンライン授業をはじめ、オンラインで講師に相談することができるシステムも増えているので、通学しなくても塾・予備校で学べるようになっています。
今回は、コロナ禍でも安心して塾・予備校に通えるよう、各予備校のコロナ対策について調べました。ぜひ、塾・予備校選びの参考にしてください。
どこもやっている基本的な感染対策
ほとんどの塾・予備校は、公益社団法人全国学習塾協会が発信している「学習塾事業者における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に基づいて新型コロナウイルス感染症対策を実施しています。
基本的な感染症対策として、ガイドラインでは以下の事項を挙げています。
・教室入室前の検温 ・37.5度以上の熱がある人、咳などの風邪症状がある人、濃厚接触者などの入室禁止 ・手洗い・手指のアルコール消毒の徹底 ・マスク着用の義務づけ ・ソーシャルディスタンスの確保 ・パーテーション・ビニールカーテンなどの設置 ・机・椅子・PC・タブレットなど、高頻度接触部位のこまめな清掃・消毒 ・こまめな換気 |
これらの感染症対策を実施している塾・予備校は、及第点には達していると言って良いのではないでしょうか。
ガイドラインよりも厳しく対策する予備校も。オンラインでのサポートも充実
新型コロナウイルス感染症対策を徹底している塾・予備校は、ガイドラインよりも厳しい独自の対策を実施しています。校舎・教室の閉鎖などによって生じる学習への悪影響を最小限に抑えられるよう、オンラインでのサポートを充実させている塾・予備校も少なくありません。
ここでは、「東進ハイスクール・東進衛星予備校」「河合塾」「駿台予備校」「代々木ゼミナール」「四谷学院」「明光義塾」といった主要な塾・予備校の特徴的な感染症対策と、オンラインでのサポート体制を紹介します。
東進ハイスクール・東進衛星予備校
東進ハイスクール・東進衛星予備校は、入室禁止の基準とする体温を37.5度ではなく37度に設定したり、マスクを着用していても咳・くしゃみが重なる人は退室させたりするなど、厳しい感染症対策を実施しています。また、空気の入れ替えを重視しており、開放可能な窓や扉を常時開放し、換気に力を入れています。
大手予備校であるため、校舎に集まる人数は他の予備校と比べても多いですが、個別の受講ブースに設けられている左右の仕切りが10cmほど飛び出していて、隣の人の顔が見えないようになっています。そのため、感染の心配をせずに集中して学習に取り組めます。
体調が悪い場合や校舎が開いていない場合には、「自宅受講システム」を利用して授業を受けたり演習を進めたりすることも可能です。
河合塾
河合塾は、講師に37.5度以上の熱や風邪のような症状がある場合には授業を休校としたり、手洗いや手指消毒に加えてうがいもすることを推奨したりするなど、感染症対策の徹底を心掛けています。
学校が休校・学年閉鎖・学級閉鎖し、外出自粛を指示されている生徒の通塾を断っていることからも、河合塾の感染対策への意識の高さがうかがえるでしょう。
質の高い対面授業が強みの河合塾ですが、自宅での受講を希望する生徒のため、実力派講師による講義をWebでも配信しています。また「YouTube河合塾チャンネル」を開設し、学習コンテンツや共通テスト対策講座、難関大学対策講座などを無料配信しています。
駿台予備校
駿台予備校は、空調・換気装置を最大能力にして運転し、扉や窓を開放して常時換気しています。濃厚接触者はもちろん、濃厚接触が疑われる人の登校も断ったりするなど、同校の感染症対策は非常に厳格です。学校から休校や外出禁止の指示が出されている生徒の登校を断ったり、大声での談笑や対面での食事を禁止したりもしています。
かねてよりICT学習環境の強化に努めている駿台予備校は、オンラインサービスも提供しています。それを利用すれば、自宅に居ながらライブ配信授業を受講したり、アプリを利用してその場で質問をしたりできます。また、習熟度に合わせた専用カリキュラムを作ってくれるAI教材「atama+」を利用したり、駿台予備校出身の現役大学生による遠隔サポートを受けたりすることも可能です。
代々木ゼミナール
代々木ゼミナールは、校舎・教室内の換気を十分に行うと同時に、適切な温度・湿度管理を徹底しています。
学校から休校や外出自粛の指示が出されている生徒や濃厚接触が疑われる生徒の登校を断ったり、大声での談笑や食事中の対面での会話を禁止したりするなどの対策も実施中です。
代々木ゼミナールの授業を映像で受講できるシステム「フレックス・サテライン」を利用すれば、校舎に通わずいつでもどこでもスキマ時間を利用して志望校合格を目指せます。
代々木ゼミナールの新型コロナウイルス感染症対策は、模試においても万全です。37.5度以上の熱がある人はもちろん、37.5度の熱がなくても風邪の諸症状がある人の受験は断っています。
四谷学院
四谷学院は、自宅での検温と検温値申請書の提出を義務付けています。また、37.5度以上の発熱がある生徒はもちろん、平熱より1度以上高い生徒の登校も断っており、平熱に戻っても最低3日間は自宅で安静するように指示しています。
学校から休校や外出自粛の指示が出されている生徒の登校を断ったり、咳などの症状が見られる生徒に退出を求めたりしています。加えて、机や椅子用の消毒液を置いて、生徒自身に消毒の徹底を求めてもいます。
なお、四谷学院は1対1の対話指導を受けられるオンライン学習サポートを提供しています。生徒と講師がリアルタイムで双方向のコミュニケーションを取ることができるため、実際に塾・予備校に通うのと遜色のない個別指導を受けることが可能です。
明光義塾
個別指導のパイオニアである明光義塾は、授業入れ替え時の密閉・密集・密接を避けるため、前の授業と後の授業の間に空き時間を設けています。また、時間割を増やして1授業当たりの生徒数を制限したり、教室内での自習人数や自習時間、食事を制限したりしています。
しかし、どれほど手厚い感染症対策が行われていても、生徒と講師の距離が近い個別指導を受けることに抵抗感を抱く人もいるでしょう。そのような人のために、明光義塾は「オンライン個別指導」サービスを提供しています。
オンライン個別指導では、校舎に通って受ける対面授業と変わらない対話型授業を受けることが可能です。また、状況に応じてオンライン授業と対面授業を切り替えることもできます。
まとめ
塾・予備校がどれほど厳しい新型コロナウイルス感染症対策を行っていても、感染の可能性がゼロになることはありません。
新型コロナウイルス感染症にかからないためには、自分自身も感染症対策に最善を尽くす必要があります。
新型コロナウイルス感染症にかかる不安をできるだけなくしたい人は、オンライン授業やオンライン面談などを活用して人との接触を減らしたり、可能であればワクチンを接種したりして、身の安全を守りながら受験勉強を進めていってください。