模試の正しい受け方とは?当日の持ち物や前日までにやること、模試別の特徴も紹介

大学受験の本番で実力を発揮するためには、模試で経験を積んでおくことが重要です。ただし、むやみに模試を受けてもそのメリットを最大限に活かすことはできません。正しい模試の受け方や選び方を知り、志望校合格を目指しましょう。

この記事では、受験生が模試を受けるべき理由や受験する模試の選び方、正しい模試の受け方などについて解説します。代表的な大学受験模試も紹介しているので、受験を控えている人はぜひ参考にしてください。

受験生が模試を受けるべき理由4選

受験生は予備校などが主催する模試を受けることで、モチベーションが上がる、本番の練習になるといったメリットを得られます。ここでは、受験生が模試を受けるべき4つの理由を紹介します。

1.本番の練習になるから

大学受験の際は、広い講堂などで多くの学生と一緒に試験を受けます。このとき、試験の雰囲気に慣れていないと、本来の実力を発揮できなくなるかもしれません。入試本番で平常心を保ち、勉強の成果を十分に発揮するためには、模試を通して会場の雰囲気に慣れておくことが重要です。

多くの模試では、制限時間や問題の構成などを受験本番に準じて設計しています。そのため、模試を受けると、長い試験時間のなかでどのように解答を進めていくかなど、本番のイメージを練りやすくなります。

また、マークシート式や記述式などの試験形式にもそれぞれ特徴があるため、模試で練習を重ねておくのが賢明です。このように、模試には本番の予行演習の意味合いがあり、数をこなすことでそれだけ集中して本番に臨めるようになります。

2.自分のポジションがわかるから

模試の結果から、その時点における合格可能性、つまり自分のポジションを把握できます。同じ大学を目指すライバルたちと自分の学力差がわかり、学力向上のための計画を立てやすくなることもメリットの一つです。

高校受験でのライバルは学区内や県内の学生に限られるケースが一般的なため、通っている中学校内の成績から志望校に合格できるかどうかがある程度予想できたでしょう。一方、大学受験では全国からライバルが集まるため、通学している高校内の成績だけで志望校合格の可能性を見極めるのは困難です。

その点、模試を受けるとライバルたちと比べたときの自分のポジションを客観的に確かめられます。模試の結果を受け、志望校合格に向けてどの程度勉強すればよいのか、目途が立ちやすくなるでしょう。

3.自分の苦手を把握できるから

模試を受けると、得点や偏差値、問題ごとの分析結果などの細かいデータが提供されます。その結果を確認し、自分の苦手な分野や出題形式を客観的なデータとして把握できることも模試のメリットの一つです。

模試で正答率の高い問題を間違えている場合、受験では非常に不利になります。教科書に書いてあるような基本の問題を取りこぼさないことが、受験成功の重要なポイントとなるためです。

模試を受ければ早期に苦手分野を把握でき、克服するための対策を本番までに講じられます。分析結果から得点が取れていない分野を知り、重点的に対策することで本番での得点力を高められるでしょう。

4.受験の本気度が高まるから

模試を受けると、想定より成績が良くても悪くても気持ちが動くものです。思っていたよりも成績が良ければモチベーションが高まり、悪ければ気持ちが引き締まるでしょう。

受験に向けて淡々と勉強するだけの日々が続くと、「大学に合格したい」という熱意が薄れてしまうことがあります。本番を模した試験を受けることには、単調な日常に刺激を与える効果もあるのです。

勉強の成果が客観的なデータとして返ってくることで、志望校合格への意思も固まりやすくなるでしょう。

大学模試は3種類に分けられる

大学模試は、大きく3種類に分けられます。模試を選ぶ際は、自分の目的に合った種類の試験を探すことが重要です。ここでは、3種類の模試の特徴について解説します。

共通テスト対策模試

共通テスト対策模試は、毎年1月実施の共通テストに準じて行なわれる、マークシート形式の模擬試験です。問題数や出題傾向、難易度などは共通テストに合わせて設定されています。

マークシート形式なので、問題はすべて選択式です。また、時間内に多くの問題を解かなくてはなりません。そのため、解答するスピードを重視しつつ、正答率を高めることが求められます。マークミスを防ぐためにも、制限時間までに余裕を持って問題を解き終わるようにし、解答用紙を見直すようにしましょう。

大学別模試

大学ごとの傾向に沿った問題が出される模試で、「冠模試」とも呼ばれます。共通テスト対策模試に比べ、大学別模試は受験する母集団が限定されます。そのため、自分のポジションが正確にわかりやすいのが特徴です。

大学別模試は実施される回数が少ないため、受験する機会を逃さないことが重要です。なるべく多くの大学別模試を受験し、本番でも実力を発揮できるよう準備しておくとよいでしょう。

大学別模試の例として、日本最多の実施回数を誇る東進の大学別模試が挙げられます。東進の模試の特徴は、学力を測るだけでなく、学力を伸ばすことに力を入れている点です。

模試の受験者には詳細なデータが記載された成績表が素早く返却されるため、特に対策すべき分野をすぐに把握できます。

総合型模試

総合型模試は、記述式で広範な問題が出題されるタイプの試験です。共通テスト対策模試に比べて問題の難易度が高く、解答のスピード以上に論理的な思考力が求められます。

大学受験に必要な知識が幅広く問われるため、自分の弱点を把握したいときに受けることをおすすめします。同時に大学別模試を受けることで、大学ごとの出題傾向も押さえられるでしょう。

受験する模試の選び方

合格判定の精度や信頼性を重視する場合、受験者数が多い模試を受けるのがおすすめです。現役生と浪人生の比率などによっても偏差値が変わってくるため、申し込む前に前年までの受験者データをチェックしておくとよいでしょう。

一般的に、現役生が多く受ける模試では偏差値が高くなりやすく、浪人生が多く受ける場合は低くなりやすい傾向にあります。ただし偏差値はあくまでも相対的な数値なので、鵜呑みにしないことが大切です。

なお、模試を受けるときはその成績から合格判定を受ける志望校も選択します。志望校を選ぶときは、「目標校」「実力相応校」「合格確保校」を均等に選ぶと自分の実力を見極めやすくなるでしょう。

代表的な大学受験模試4選

東進や河合塾などの大手予備校では、例年多数の模試を主宰しています。各予備校の模試の特徴を知り、自分に合った試験を受けて本番の準備をするとよいでしょう。ここでは、代表的な大学受験模試4つの特徴を紹介します。

東進模試

東進模試は「学力を測るだけでなく、学力を伸ばすための模試」を目標としています。
受講後は、偏差値だけではなく、どの単元を重点的に対策すべきか書かれた詳細な資料も送られてくるので、必ず一度は受けるといいでしょう。

東進では大学別模試を多く実施しており、自分の志望校に合わせて受験しやすいのが特徴です。
ほかの予備校では2回程度が一般的なところを、東進では1年間で12大学のべ69回様々な模試を開催しています。これは他の予備校と比べても日本最多の開催数となります。

模試の結果は最短3日で届くため、受験回数を重ねることで志望校合格に近づけます。
高校1・2年生が対象の模試も充実しており、早くから受験対策を進められることも魅力です。

また、東進の「共通テスト同日体験受験」では、共通テストの本番当日に同じ問題で受験できます。高校1・2年生が共通テスト本番の雰囲気を知るには絶好の機会だといえるでしょう。

「共通テスト同日体験受験」は全国1,100以上の会場で一斉に実施され、受験者数は日本最大です。受験者は厳正な環境で試験に取り組むことができ、自分の成績を志望校に合格した先輩の得点とも比べられます。

さらに、模試の返却も模試受講日から最短で3日ほどで詳細な資料と戻ってくるスピード返却のため「今何をすべきなのか」がすぐに分かるになっています。

全統模試

河合塾主催の全統模試は、最新の入試傾向に基づいて作成されたオリジナル問題が出題される試験です。受験者数が多く、偏差値や合格可能性の信頼性が高いことが特徴です。

全統模試には、共通テストに準拠したレベルから難関大の試験に対応した記述式まで、多彩なラインナップがあります。最難関大学を目指す場合は大学別模試を併用しつつ、全統模試で自分の学力を把握するとよいでしょう。

駿台模試

駿台の模試には「駿台全国模試」や「駿台・ベネッセ模試」などの種類があります。

なかでも記述式の駿台全国模試は難度が高く、難関大を目指す人に人気が高い試験です。偏差値が低めに出る傾向があるため、ほかの予備校の模試と併用しながら自分の成績や現在の立ち位置を確認するのがおすすめです。

「駿台・ベネッセ模試」は基礎的な問題が多く、難易度は低めに設定されています。

進研模試

進研模試は学校単位で受験することが多く、難易度は全体的にやさしめです。全国で約45万人が受験する母数の大きい模試ですが、個人では申し込めません。

進研模試の特徴は、大学受験をしない生徒も参加する点です。ほかの模試に比べて偏差値が高めに出るため、受験後に受け取った成績データ上の偏差値からは10~15ほど引いて考えるとよいでしょう。

模試の前日までにやること

ここからは、模試の前日までにやっておくべきことをまとめて紹介します。

受験当日を想定して行動しよう

模試は今の実力を知るためのものでもありますが、受験本番の予行練習でもあります。ですから、受験当日を想定して動くことが大切です。

まずは、試験実施日や試験開始時間、試験会場などを確認しましょう。特に、会場までの行き方は必ず確認しておくべきです。公共交通機関を利用する場合は、電車の発着時刻だけでなく、降りる駅や乗換駅、路線なども頭に入れておきましょう。

次に、模試で記入する志望校リストも決めておきます。志望校に加え、自分のレベルと同じくらいの実力相応校、もう少しランクを下げた安全校と、幅広くリストアップしておくとよいでしょう。

目標点数や時間配分も考えておこう

模試を受けるうえで大切なのは、各科目の具体的な目標を立てることです。志望校に合格するためには何点くらい取れている必要があるかを調べておきましょう。そうしておけば、模試の結果が返ってきたときに、学習が順調に進んでいるのかどうかがすぐわかります。

また時間配分などを事前にシミュレーションしておくのも、模試の受け方として大切なポイントです。時間制限のあるなかでどうやって解答していくべきか、受験本番を想定しながら考えておきましょう。

事前の目標設定や時間配分などについては、下記の記事も参考にしてください。

実は服装も大切! どんな服を着ていくべき?

模試を受ける目的の一つは、試験の雰囲気に慣れることです。ですから、受験当日の雰囲気に少しでも近づけて場慣れするためにも、入試当日に着用する予定の服装で模試に臨みましょう。温度調節できるように、上着なども用意しておくと安心です。

また注意点として、漢字や英単語、地図などがプリントされている服は着用できないことがあります。その服に問題の答えが載っている恐れがあるからです。そのため、私服の場合は試験に関係のない柄や無地の服にしておくとよいでしょう。

持ち物の準備は念入りに!

模試当日に忘れ物をしてしまうと、試験に集中できず力を出し切れないこともあります。焦ることのないよう、模試の受験に必要な持ち物は必ず前日までに準備しておきましょう。

持ち物の具体的な例は次の章で紹介しますので、ぜひ目を通しておいてください。

当日の持ち物 ~必須のもの~

当日に必ず持っていくべきものを紹介します。

【受験票(または受験番号をメモしたもの)】

受験票には一般的に、氏名や受験番号、試験会場や時間割などが書かれています。特に、試験会場や時間割については再度確認しておきましょう。

模試によっては、受験票ではなく、受験番号をメモしたものが必要になることがあります。

【鉛筆・消しゴム】

鉛筆と消しゴムは、模試に欠かせない必需品です。普段使っているものを持っていくとよいでしょう。試験中にトラブルがあっても対応できるよう、鉛筆・消しゴムともに複数用意しておくと安心です。鉛筆については濃さや硬さが指定されることがありますので、事前に確認しておきましょう。

ちなみに大学によっては、入試本番でシャープペンシルが使えない場合があります。そのような大学を受験する場合は、早いうちに鉛筆に使い慣れておくことをおすすめします。

【腕時計】

時間配分に必須なのが腕時計です。アナログでもデジタルでも構いませんが、文字盤が見やすいものを選びます。試験当日は、アラームなどの音が鳴らないように設定しておいてください。

通常、試験ではスマートフォンを時計代わりにすることは禁止されています。スマートフォンは電源を切り、鞄のなかにしまっておきましょう。

【昼食・飲み物】

模試は試験時間が長く、朝食をしっかり食べていたとしてもお腹が空いてしまいます。そうなると、最後の科目まで集中できないこともあります。

試験会場によっては周辺に飲食店やコンビニエンスストアがないケースも少なくありません。昼食を食べそびれないよう、必ず食べるものを用意しておきましょう。

食事だけでなく、水分補給も忘れてはいけません。お腹を下しやすい冷たい飲み物ではなく、常温の飲み物を持っていくことをおすすめします。試験中は鞄のなかにしまっておけるように、ペットボトルや水筒などふたの閉まる容器のものを選びましょう。

【お財布・現金】

試験当日は何が起こるかわかりません。何かトラブルがあったときに対応できるよう、お財布には少し多めに現金を入れておきましょう。

【ハンカチ・ティッシュ・ウエットティッシュなど】

忘れがちなハンカチやティッシュですが、手を拭いたり鼻をかんだりするために必要です。特に体調を崩しがちな季節の変わり目や花粉症の季節などは、多めにティッシュを持っていくことをおすすめします。

当日の持ち物 ~あると便利なもの~

ここからは、あると便利な当日の持ち物を紹介します。

【鉛筆削り】

鉛筆を複数本用意するのに加えて、鉛筆削りがあると便利です。持っていく場合は、手動式のコンパクトなものをおすすめします。

【常備薬・目薬・メガネ・コンタクトレンズケース・カイロ】

頭痛薬や下痢止めなど、常備薬は日ごろから使っているものを持っていきましょう。

普段コンタクトレンズを使用している人は、外れてしまって問題用紙が見えない事態にならないように、予備のメガネを持参しておいてください。目薬やコンタクトレンズケースがあると、目の不調を感じたときにも対応できるので安心です。

冬の模試は、会場が寒く体が冷え切ってしまったり、手がかじかんでしまったりすることがあります。念のため、カイロを準備しておきましょう。

【マスク】

試験会場で風邪などへの感染を防ぎたいなら、マスクを着用しておくと安心です。替えのマスクを数枚用意しておくとよいでしょう。

【勉強道具】

会場までの移動中や模試の休み時間など、模試当日にも空き時間はあります。そうした時間に復習ができるよう、単語帳・熟語帳・参考書・授業のプリント・リスニング教材などを準備しましょう。ただ、荷物が増えすぎることのないように、何を持っていくかは厳選する必要があります。

【おやつ】

模試は試験時間が長く、途中でお腹が空いたり、普段以上に疲れが出たりします。そのようなときに手軽に食べられてエネルギーを摂取できるのがお菓子です。特にラムネやチョコレートなどの甘いお菓子であれば、頭を使って疲れた脳への糖分補給に最適です。

【心が落ち着くもの】

本試験の予行練習だとわかっていても、模試は緊張するものです。心を落ち着かせ、普段どおりの状態で受験ができるように、自分の緊張を和らげるものがあると安心です。

また、そういった心の安定につながるものは、受験本番にも持っていくとよいでしょう。

模試の正しい活用法

志望大学への合格を実現するためには、模試を最大限活用することが大切です。模試の正しい活用方法を知り、成績を大きく伸ばしましょう。ここでは、模試の正しい受け方について解説します。

まずは一度受けてみる

一般的に、模試を受ける時期は早いほどよいとされています。最初に受けるのはどの模試でも構わないため、申し込みが間に合う試験を試しに受けてみるとよいでしょう。「どの模試を受ければよいのか」と悩んでいると、スタートを切るチャンスをいつまでも逃してしまいます。

試しに受けた模試で現在の自分の学力を客観的に把握してから、受験の準備を始めるのがおすすめです。本番までの期間が長いほど、学力を伸ばすための対策も多く講じられます。

定期的に受ける

次に、模試は期間を空けすぎずに定期的に受けることが重要です。模試を定期的に受けると、日常の学習が成績の向上につながっているかどうかを確認できます。勉強の成果が模試の結果に表れれば、モチベーションが高まって日々の学習に臨めるようになるでしょう。

勉強しているのに成績が上がっていない場合には、勉強法を見直すなどの対策を講じることが志望校合格に欠かせません。自分の苦手分野などをこまめにチェックしながら、本番に向けて得点力を高めていきましょう。

終わったあとも大事! 復習も忘れずに

模試の受け方で最も大事なポイントは、復習して受験に活かすことです。模試を受けっぱなしにせず、間違えた問題・解けなかった問題を解き直してみましょう。その日のうちに復習することで記憶が定着し、学力の向上につながります。当日に見直せない場合も、3日以内には復習しておくとよいでしょう。

また、問題が解けなかった理由を知ることも大切です。試験結果が返却されたら、解けなかった問題の解説を確認して間違えた理由を分析し、類似の問題演習で苦手を克服してください。

事前に立てた目標を達成できているかを確認し、自分の勉強方針や勉強方法をあらためて見直すことが重要です。

模試の受け方で大切な復習については、下記の記事も参考にしてください。

まとめ

受験生にとって模試は大学受験本番の練習であり、自分の苦手を知るチャンスでもあります。モチベーション向上にもつながるため、共通テスト対策模試や大学別模試は積極的に受けるようにしましょう。

模試を受ける際は、目標点数や時間配分をあらかじめ考えておくことが大切です。そして、模試を受けたあとは必ず復習を行なって間違えた問題、解けなかった問題を解けるようにすることが学力を向上させるポイントです。