大学入試の1次試験として長年続いた大学入試センター試験が廃止になり、2021年度から大学入学共通テストが導入されました。
高校の定期試験などと比べると、会話形式で出題される問題があるなど、大学入学共通テストは独特な出題形式になっています。また、解答用紙がマークシート形式だというのも一般的なテストと違うところ。正しく塗りつぶすことに慣れておかないと、正解を選んだはずなのに加点されず、第一段階選抜で足切りとなって2次試験へ進めなくなる恐れもあります。
本来の実力を十全に発揮できるようにするには、大学入学共通テストの対策ができる模試を早い段階から受験しておくべきでしょう。この記事では、大学入学共通テストの対策におすすめの模試などを説明していきます。
共通テスト対策に模試は受けるべき? 模試の違い、選び方は?
大学入学共通テストの点数は、国公立大学などの第一段階選抜に使われますし、共通テストの点数を調整(傾斜配点)した上で2次試験の点数と合算して合否判定に利用する大学も多いです。早稲田大学や上智大学など、一部の私立大学では、大学入学共通テストの点数のみ、あるいは共通テストの点数に面接や調査書などの評価を加味して選抜する合格者枠もあります。共通テストでより高得点を取れるようになれば、大学受験でより多くの選択肢を得られることは間違いないでしょう。
しかし、高校の定期試験や記述式の模試、志望校別の模試など、高校生活の中でさまざまなテストを受けることになります。模試を受け過ぎると、土台となる学力を養うための勉強時間を十分に確保できなくなる恐れがあります。
ですから、共通テスト対策の模試を受けるのなら、目的を持って、適切な模試に絞って受けた方がいいでしょう。ここからは、共通テスト対策の模試はどんな目的を持って受ければいいのか/どんなメリットがあるのか、いくつか共通テスト対策の模試がある中でどんな模試がおすすめなのか、説明していきます。
共通テスト対策模試を受けるメリットは?
一般的に、模試を受けることで次のようなメリットがあると言われています。受験する際にはこうした点を意識しておくと、模試の効果を十分に得られることでしょう。
・テスト本番に似た雰囲気や状況を経験できる
模試を受けると、テスト本番と同じ時間の中で問題を解くことになります。高校や予備校の教室などで真剣なライバルたちに囲まれて受験すれば、本番に近い緊張感あふれる雰囲気を経験できるでしょう。
特に大学入学共通テストに向けた対策模試の場合、本番と同程度の問題数を同じ時間内で解くことで、「大問1つあたりにどのくらいの時間をかけていいのか」「テスト開始から何分の時点でどの程度の問題を解いておくべきなのか」といった問題を解くペースをつかむことができます。
また、高校の定期試験ではほとんど使わないマークシートという解答用紙に慣れることも大切です。ケアレスミスを防げるように「しっかりと楕円の中を塗りつぶせているか」「解答欄の塗り忘れがあって途中からズレていないか」といったことを確認するクセも身につけられるといいでしょう。
・苦手分野が分かる
模試の結果が返ってくると、自分が得点できた分野、点数を稼げなかった分野が分かります。例えば英語なら「文法は得意だが、長文は苦手」といった自分の得意不得意を理解することで、どんなところに時間をかけて勉強していけばいいのか、本番に向けて対策を練ることができるようになります。
大学入学共通テストの模試について言えば、対話・会話形式で出題される問題、さまざまな資料や情報を読み解いて解答を選ぶ問題など、学校の定期試験ではあまり見掛けない出題形式の問題もあります。科目や学習分野だけでなく、出題形式別の得意不得意も把握できることも共通テスト対策模試を受験するメリットです。苦手なタイプの出題形式であっても点数を稼げるように、模試の結果を踏まえて事前に十分な量の演習問題を解いておきましょう。
・今の学力、ライバルたちと比べた偏差値/順位が分かる
模試の点数を全国のライバルたちと比べることで、自分の学力がどんな位置にあるのか、はっきり分かることも模試を受けるメリットの1つです。
大学入学共通テストで何点取れば志望校の2次試験に進めるのか、過去のデータを見れば目安となる点数が分かります。模試の難易度によって変動もありますが、志望校に合格できるレベルの点数を取れるのか、共通テスト対策の模試を受けて試してみることも大切でしょう。
共通テスト対策模試の選び方は?
大学入学共通テスト対策模試を受けることにはこのようなメリットがあるわけですが、さまざまな予備校が共通テスト対策の模試を実施しています。数ある模試の中から、あなたが受ける模試を選ぶときには、次のような点に注意して比較するようにしてください。
・より本番に近い環境で受験できる模試を選ぶ
模試を受ける会場として、塾・予備校の校舎、高校の教室、自宅などがあります。
前述のとおり、模試を受けるメリットの1つは、テスト本番に似た雰囲気を経験できることです。真剣に問題を解くライバルたちに囲まれることでストレスを感じる人もいますし、長い時間をかけてテストに取り組むことによる疲れもあります。そうしたマイナス要因を抱えながらも問題を解くことに慣れておくためには、テスト本番の受験環境に近い会場を使える模試を選ぶことをおすすめします。
・本番の出題範囲、同程度の難易度の模試を選ぶ
模試によって、問題の難易度に差があります。模試が開催される時期の学習進度に合わせて、出題範囲も調整されます。
模試を受けるメリットには、前述のように「問題を解くペースをつかめる」「自分の得意な学習分野/苦手な学習分野が分かる」といったものがあります。テスト本番のレベルよりも明らかに簡単な問題に慣れてしまうと、本番で想定よりも難しい問題が出てきてしまうとペースが乱され、時間が足りなくなってしまうかもしれません。また学習進度の関係で、あなたの苦手な学習分野が含まれない模試を受けても、本番に向けて十分な対策にはなりません。
模試を選ぶときには、難易度や出題範囲にも注目してください。
・成績表の精度や充実度に注目して選ぶ
模試を受験すると後日、成績表が返ってきます。成績表が届くまでに時間がかかり過ぎてしまうと、どんな問題だったか記憶が薄れますし、本番対策に充てられる時間も少なくなってしまいます。
模試の成績表の中には、教科・科目別の点数や偏差値を示すだけでなく、設問ごとの点数や、その設問をどの単元・ジャンルから出題したのか教えてくれるものもあります。そうした模試を受験すれば、よりはっきりと自分の苦手分野を突き止めることができるでしょう。
また、入試本番に大学入学共通テストと2次試験があるように、共通テスト対策の模試の中には、別日程で実施する記述式模試も受けていれば、2つの模試の結果を合算して志望校の合格判定を出してくれるものもあります。
なお、模試の中には指定された日ではなく、一定の期間内であればいつでも受けられる模試もあります。受験日が決められていないと好きなときに受験できて便利ではありますが、ライバルたちの学力は日進月歩で伸びていきます。初日に受けるのと最終日に受けるのを比べれば、少しでも勉強時間が長くなる後者の成績の方がより高得点になると考えるのが自然でしょう。
このように考えると、模試の成績表が届くまでのスケジュール、テスト結果の分析の詳しさ、合否判定の正確性、成績の信頼性・精度も、模試によって違ってきます。こうした点にも注意しながら、あなたが受ける模試を選ぶようにしてください。
共通テストの対策になるおすすめ模試は?
最後に、今から大学入学共通テストの本番を迎えるまでに受験できるおすすめの共通テスト対策模試をいくつかご紹介します。
ここまでに説明してきた点を踏まえながら、あなたの受験する模試を選んでください。
共通テスト本番レベル模試|東進ハイスクール・東進衛星予備校
「共通テスト本番レベル模試」は、共通テスト本番と同程度の難易度・設問数・試験時間を経験できる本番のリハーサルに最適な模試です。開催日から中5日で成績表が返却されるので、受験生にとっては共通テスト本番に向けた最後の追い込みに役立てられることでしょう。
開催日は12月11日のみ、受験会場は東進ハイスクールなどの予備校校舎に限られていますので、試験結果の信頼性も高くなっています。他校のライバルたちと一緒に同じ部屋で受験できる貴重な機会になるでしょう。
開催日 :2022年12月11日(日)
申込締切日:2022年12月7日(水)
受験料 :5500円(税込)
対象 :中学3年生、高校1年生、高校2年生、大学受験生(高卒1年目まで)
全国統一高校生テスト|東進ハイスクール・東進衛星予備校
「全国統一高校生テスト」は、無料で受験できる共通テストの形式に準拠した模試です。同じく東進が実施する共通テスト本番レベル模試と同様、本番と同程度の難易度・出題傾向・出題範囲で出題されます。
全学年統一部門・高2生部門・高1生部門の3部門があります。全学年統一部門は本番と同じ教科・科目、出題範囲になりまして、高2生部門と高1生部門は英語・数学・国語の3科目に絞られて各学年の履修範囲から出題されます。
さらに全国統一高校生テストには、成績優秀者に返済不要の給付金で留学を支援してくれる制度もあります。毎年、各学年から最大10人まで、4年間累計38万ドル(約5600万円)を受け取れるチャンスがあることも魅力です。
開催日 :2022年11月6日(日)
申込締切日:2022年11月3日(木・祝)
受験料 :無料
対象 :高校0年生(高校生レベルの学力を持った中学生)、高校1年生、高校2年生、高校3年生
全統プレ共通テスト(マーク式)|河合塾・河合塾マナビス
「全統プレ共通テスト(マーク式)」は、大学入学共通テストに準拠した模試です。実際の入試と同様に、第3回全統記述模試の点数と合わせ、総合評価で「共通テスト+2次試験」の合格判定を出してくれます。
会場受験に加えて、自宅受験を選択できるのも全統プレ共通テスト(マーク式)の特徴でしょう。個人で会場受験を希望される方は、かなり早い時期に会場が埋まってしまいますから、できるだけ早めに申し込みするようにしてください。
開催日(会場受験):2022年11月20日(日)
申込締切日(会場受験):2022年11月11日(金)15時
開催日(自宅受験):12月3日(土)~12月4日(日)
申込締切日(自宅受験):2022年11月24日(金)15時
受験料 :自宅受験6100円(税込)
対象 :高校3年生、高卒生
大学入学共通テスト トライアル|河合塾・河合塾マナビス
「大学入学共通テスト トライアル」は、河合塾が高校1年生・2年生を対象に開催している模試です。2022年度分は終了してしまいましたが、受験料は無料、1教科からでも参加できて、すべて自宅で受験します。
受験後は、河合塾講師による解説講義の動画を、オンラインで視聴できます。学習進度に沿った出題範囲となっており、難易度はやや簡単だという評判です。
開催日 :2022年10月2日(日)
申込締切日:2022年9月22日(木)15時
受験料 :無料
対象 :高校1年生、高校2年生
駿台atama+プレ共通テスト|駿台予備学校
「駿台atama+プレ共通テスト」も、共通テスト対策になる模試です。
こちらは駿台予備学校が開催する模試になります。駿台の模試は難易度が高くなる傾向があり、本番よりも高難度の問題が出題されているのではないか、と評価する人もいます。
会場受験に加えて、オンラインでの受験も可能です。2022年に実施される主要な共通テスト対策模試の中では、一番最後の模試となりますので、対策に不安がある受験生は忘れずに受験してください。
開催日 :2022年12月11日(日)
申込締切日:2022年12月1日(木)
受験料 :会場受験5900円、オンライン受験2000円
対象 :高校3年生、高卒生