予備校の特待生になりたい! どんな成績ならなれる? 授業料はいくら免除される?

大学受験は人生の1つのターニングポイントですから、絶対失敗したくないという方が多いのではないでしょうか。そのような生徒さんは、ぜひ予備校に通いましょう。独学よりも、大学受験のプロに教わる方が、志望校合格の可能性は高まるはずです。

しかし、予備校の学費は決して安くなく、おおむね年60万円以上はかかります。多くの講義を受ければそれだけ学費もかさみ、人によっては年100万円を超える場合もあるのです。

そこで予備校では、学費を安く抑えられるように、さまざまな制度を用意しています。その1つが「特待生制度」です。この記事では、特待生制度について解説するとともに、各予備校で利用できる制度を具体的にご紹介します。

予備校の特待生制度とは? 金額や選考方法について解説

予備校の特待生制度とは、選考を通過した生徒に対して、入学金や授業料の全額もしくは一部を免除したり、決まった金額を給付したりする制度のことです。生徒側と予備校側に、それぞれ次のようなメリットがあります。

生徒側のメリット

  • 学費を稼ぐためにアルバイトなどをせずに済み、勉強に集中できる
  • 浮いた予備校費用を大学の受験料や学費に回せる

予備校側のメリット

  • 成績優秀な生徒に通ってもらうことで、合格実績を上げられる

特待生というと、飛び抜けて偏差値が高い人しか選ばれないイメージがあるかもしれません。しかし、特待生の基準は予備校によって異なります。

確かに、全額免除などの大きなサポートを受けられるのはトップクラスの生徒のみの場合がほとんどでしょう。ですが、授業料の4分の1や入学金の5分の1を免除されるケースなど、特待生制度の中には比較的選考を通過しやすいものもあるのです。

選考の方法もさまざまです。入学テストや模試の成績で決まるものもあれば、学校の成績表の提出や面接を受けることで特待生として認められることもあります。

また、現役生向けや浪人生向けに、それぞれ別の特待生制度が用意されていることもあります。特待生制度は予備校ごとに一つ一つ内容が異なるので、自分にぴったりのものを探さなければなりません。

では次から、主要な予備校の特待生制度を確認していきましょう。

【現役生向け】東進の特待生制度――理系難関校を目指す人は要チェック!

東進では、「数学特待制度」という特待生制度を設けています。

この特待生制度は、東進に週3日以上登校して前倒し学習を進め、高校1年生のうちに数学Ⅲ・Cの修了を目指すというものです。2024年度は新中学3年生・新2年生を対象に特待生の募集がかけられています。

金額については後述しますが、通常3万3000円の入学金が1万1000円に割引されるのに加えて、受講する講座数にかかわらず数学通期講座が年間3万3000円で受講できます。

選考方法

数学特待制度の特待生になるには、次の2つの基準のどちらか一方を満たすことが求められます。

1)通知表(通信簿)の直近の評価で数学が5段階評価の「5」であること。加えて、入学時学力診断テストの数学の成績が優秀であること。

2)「全国統一中学生テスト」「中学学力判定テスト」などの模試において、数学の成績が優秀であること。

ただし、2)についてですが、「全国統一中学生テスト」の場合は「全学年統一部門」の数学のテスト受験者だけが審査の対象となります。「中2生部門」「中1生部門」の受験者は対象外です。

金額(特待受講料)

数学特待制度の特待生になった場合、学習にかかる費用は次の通りです。

1)入学金(通常3万3000円)→1万1000円

2)数学通期講座(90分×20回ほか)(通常1講座あたり7万7000円以上)→年間3万3000円(講座数に関わらず定額)

3)高速マスター基礎力養成講座「数学計算演習」(通常7万7000円)→無料

4)担任指導費・模試費(通常最大5万6650円)→無料

このように、入学金は3分の1に割引され、それ以外については年間3万3000円で済みます。東進の数学特待制度は、高校1年生を終えるまでに数学Ⅲ・Cの履修を終えたいという非常に学習意欲の高い学生向けのものですが、東京大学や京都大学、医学部・医学科、難関国立・私立大学の理系学部を目指す方にはおすすめです。

東進では、この数学特待制度のほかに東大特進コース特待生という制度も存在します。東大志望者の方は、こちらも狙ってみてはいかがでしょうか。

【高卒生向け】河合塾のスカラシップ制度――校舎ごとに募集か?

河合塾では大学受験科(高卒生向け)のコースの場合、公式サイトでは公表されていませんが、地区や校舎によってスカラシップ生を募集することがあるようです。

以前は多くの校舎でスカラシップ制度を実施していたようですが、現在のところ公式サイトから記載が削除されています。通いたい校舎にこの制度があるか、問い合わせてみるとてもよいでしょう。

選考方法

「河合塾が実施した模試成績による認定」か「特別奨学生選考試験成績(受験料無料)による認定」を受けて成績優秀と認められた場合、特別奨学生として認定されることがあるようです。

【高卒生向け】駿台の特待生制度――授業料が最大半額になるチャンスあり

現在、駿台の公式サイトに特待生制度などの案内は載っていませんが、実際は高卒生を対象としたスカラシップ制度があるようです。また、やはり非公開であるものの、現役生向けの特待生制度があるという情報もありました。詳しい基準は公表されていませんので、現役生の方も一度問い合わせてみてください。

選考方法

学業成績や出席状況に加え、生活態度などによって選考されるそうです。チャンスは前期・後期の2回だということです。

金額(給付)

スカラシップ生は、ランクによって以下のような奨学金を受け取れるようです。

  • 授業料の約2分の1相当額
  • 授業料の約4分の1相当額
  • 入学金の約2分の1相当額

【高卒生向け】代々木ゼミナールのスカラシップ制度――入学コース診断テストで認定

代々木ゼミナールでは、大学受験科(高卒生向け)でスカラシップ生を選考しています。公式サイトに、「スカラシップ生制度とは、入学コース診断テストにおいて、特に成績優秀な方をスカラシップ生として認定し、大学受験科学費の一部を減額する制度です」「入学コース診断テストはスカラシップ生選考試験を兼ねます」と記載されています。代々木ゼミナールのスカラシップ制度は以下のようになっています。

選考方法

大学受験科に入る際に受ける「入学コース診断テスト」の成績が優秀な生徒が選ばれます。入学コース診断テストは、1人2回まで受験できます。

金額(免除・減額)

年間学費の全額または一部が減額されます。

【高3生向け】Z会の特待生制度――大学入学後、給付型の奨学金が受けられる!

Z会は、高3生のみが対象の「Z会奨学金」という制度を設けています。これは、選考に通った生徒がZ会指定の15大学のいずれかに合格し、入学した時点から奨学金を支給する制度です。採用数は5名と狭き門ですが、チャレンジしてみる価値はあります。

選考方法

まず、この2点の条件を満たしている必要があります。

  • Z会が指定する15大学への進学を希望する高校3年生
  • 真に経済的援助を必要としており、学業・人物ともに優秀である者

指定の大学は次の15大学です。

  • 北海道大学
  • 東北大学
  • 国際教養大学
  • 筑波大学
  • 千葉大学
  • 東京大学
  • 東京工業大学
  • お茶の水女子大学
  • 一橋大学
  • 横浜国立大学
  • 名古屋大学
  • 京都大学
  • 大阪大学
  • 神戸大学
  • 九州大学

応募に際しては、課題にそってエントリーシートも執筆しなければなりません。分量はA4サイズ1ページ分で、二次Web面接に選考が進んだ際は、この内容をもとにプレゼンテーションが求められます。専用の願書、高校2年次までの成績証明書、父母または扶養者の収入を証明する所得証明書、エントリーシートなどを同封し、提出します。書類選考を通過すると、一次、二次のWeb面接が行われます。通過者は高3時点では「内定」という形で、指定の15大学のいずれかに入学することで正式採用となります。

金額(給付)

奨学生は、以下の金額の給付を受けられます。

  • 大学1年次は年額126万円(入学一時金30万円と月額8万円)
  • 大学2年次以降は年額96万円(月額8万円)

【高卒生向け】北九州予備校の特待生制度――共通テストや模試の成績などから利用可能

北九州予備校では高卒生が入学する際に、希望するコース(プログラム)によっては「コース(プログラム)への入学認定」を取得する必要があります。入学認定を取得する際の審査で、成績優秀と認められれば、特待生として学費の減免を受けられる特待生制度を利用できます。

選考方法

特待生への切符となるコース(プログラム)入学認定は、次の5つのいずれかの方法で取得できます。2024年現在も1)と2)の制度は続いているようですが、3)〜5)については2022年時点の情報ですので、詳細は問い合わせる必要があります。

1)共通テストの成績

前年度に実施された共通テストの自己採点結果を提出します。

2)全国模試の成績

前年度1年間に受験した全国模試のうち、最も成績の良かった全国模試の成績を提出します。

3)認定試験

北九州予備校が2~3月に校舎および地方特設会場で実施する認定試験を受験します。

4)高校推薦

出身高校の先生から推薦を受けます。

5)自己推薦

高校時代のクラブ活動もしくはボランティア活動についての作文(400字以内)を提出し、学習意欲をアピールします。

金額(給付)

特待生になることができれば、入学金・年間授業料の全額免除、もしくは年間授業料の一部免除を受けられます。

【高卒生向け】野田クルゼの特待生制度――模試の成績や医学部1次試験合格で学費優待

野田クルゼは、高卒生を対象として、集団授業の学費の一部を免除する「学費優待制度」を設けています。

選考方法

学費優待制度を利用するためには、次に挙げる3つの選抜方法のうち、いずれかで野田クルゼが定める基準を満たす必要があります。

1)優待試験の成績

2)前年度の9月以降に受験した大手模試の偏差値

3)医学部1次試験の合格

各コースの学費優待基準は、下表のようになっています。

コース学費優待基準
国立医進コース【1と2、もしくは3を満たすこと】
1)英数理国5科目マーク式の大手模試において総合偏差値65以上
2)英数理4科目記述式の大手模試において総合偏差値64以上、
もしくは英数2科目の偏差値67以上
3)国立医進コースの優待試験合格
スーパー選抜コース模擬試験の英数理4科目の総合成績優秀者で
当校が定める基準に達している者
総合コース・A優待認定【1、2、3のいずれかを満たすこと】
1)英数理3科目記述式の大手模試の総合偏差値59以上、
もしくは英数2科目の偏差値60以上
2)総合コースの優待試験のA優待合格
3)医学部1次試験合格
総合コース・B優待認定【1もしくは2を満たすこと】
1)英数理3科目記述式の大手模試の偏差値55以上、
もしくは英数2科目の偏差値56以上
2)総合コースの優待試験のB優待合格

学費優待の受付期間は、毎年2月1日から新学期の開講まで。学費優待枠が埋まり次第終了となっています。なお、優待試験は1回だけでなく複数回受験できて、受験料は無料でチャレンジできます。

金額(給付)

野田クルゼの優待料金は、次のとおりです。

コース料金(入学時総額)
国立医進コース96万5000円
スーパー選抜コース143万1000円
総合コース A認定232万5000円
総合コース B認定282万3000円

※本記事に記載の情報は、2024年1月時点で確認したものになります。