大学受験におすすめの数学参考書は? 基礎固め・共通テスト対策・難関大学対策とレベル別に紹介

大学受験に必要な教科の中でも、数学を苦手としている人は多いでしょう。

大学受験を突破するために高校で習う数学の公式は、複雑であることが多く、上手く使いこなせない人も多くいます。

また、公式を覚えたとしても、設問に対してどの公式を当てはめて解いていけばいいか、思いつけないことも増えてきます。計算量も多くなり、問題を1つ解くのにも四苦八苦してしまいます。

しかし、数学がチンプンカンプンだという人も、解き方のパターンやコツを覚えてしまえば、ある程度のところまでは点数を取れるようになっていきます。数学の公式を覚えるコツや問題を解くテクニックが詰まった良質な参考書を活用すれば、より短期間で数学の力を伸ばすことができるでしょう。

そこで今回は、大学受験の数学対策におすすめの参考書を「基礎固め向け」「大学入学共通テスト向け」「国公立大学2次試験・難関私立大学受験向け」という3つのレベル別に紹介します。

自分に合うレベルの参考書を探している人はもちろん、さまざまなレベルの参考書をチェックしたいと考えている人も、ぜひ参考にしてください。

数学の基礎固めをしたい人におすすめの参考書

志望大学の入試で数学が課せられるのに、数学の基礎すら理解できずに困り果てているという人は少なくないでしょう。

そのような人には、数学を基礎中の基礎から1歩ずつ丁寧に学ぶことができる参考書を活用することをおすすめします。

次に、数学の基礎固めをしたい人におすすめの参考書を4冊(シリーズ)紹介します。

沖田の数学Ⅰ・Aをはじめからていねいに

沖田一希「沖田の数学Ⅰ・Aをはじめからていねいに」(東進ブックス、2014年)は、「場合の数と確率 データの分析 整数の性質編」「図形と計量 図形の性質編」「数と式 集合と論証 2次関数編」の3冊から成る参考書シリーズです。

視覚に強く訴えかける授業が評判で、東進きっての数学講師である沖田先生。数学Ⅰ・Aの難解な問題も、やさしい言葉と分かりやすい図を駆使して丁寧に解説します。

これから数学Ⅰ・Aを学ぶ高校生や数学Ⅰ・Aに強い苦手意識を持っている受験生は、ぜひ本書を活用してみてください。

志田の数学Ⅱ スモールステップ完全講義

志田晶「志田の数学Ⅱ スモールステップ完全講義」(東進ブックス、2016年)は、数学Ⅱの力を教科書レベルから入試レベルに伸ばすことができる参考書です。

同書の著者である志田先生は、数学を本質から理解できる授業が人気の東進が誇る数学講師です。「式と証明・複素数と方程式」「図形と方程式」「三角関数」「指数関数・対数関数」「微分と積分」といった単元について、公式の確認や問題の解き方のほか、入試に通用する考え方を丁寧に説明します。

数学Ⅱを基礎の基礎からじっくり学びたい人におすすめの1冊です。

志田の数学B スモールステップ完全講義

志田晶「志田の数学B スモールステップ完全講義」(東進ブックス、2017年)は、数学Bの基礎固めにうってつけの参考書です。

同書を活用すれば、「数列」「ベクトル」を学ぶために必要な「記号の定義や意味」「証明を含む教科書の基本公式」「基本例題の解法」といった3つの知識を習得できます。さらに、問題を解く上で欠かせない「考えつく力」を無理なく無駄なく培うことができます。

数学Bのどのような問題にも対応できる基礎力を身に付けたいと考えている人は、ぜひ同書を手に取ってみてください。

初めから始める数学Ⅲ 改定7

馬場敬之「初めから始める数学Ⅲ 改定7」(マセマ出版社、2020年)は、「part1」「part2」の2冊から成る参考書シリーズです。

「part1」では「複素数平面」「式と曲線」「関数」「数列の極限」を学習できます。「part2」では「関数の極限」「微分法」「微分法の応用」「積分法」「積分法の応用」を、たくさんの図と親切な解説によってしっかりと学ぶことが可能です。

同書を2~3回ほどしっかり読み込んで理解できれば、偏差値40前後の人であっても、数学Ⅲの基礎的な問題は解けるようになるでしょう。

大学入学共通テストレベルの数学対策におすすめの参考書

2022年1月に実施された大学入学共通テストの数学は、以前の大学入試センター試験が行われていた期間も含め、「数学I・A」が過去最低の平均点になりました。センター試験のころと比べて、大幅に難化している状況です。

大学入学共通テストの数学で目標とする点数を取る力を効率良く培いたいのであれば数学の基礎を理解するだけでなく、大学入学共通テストレベルに対応している参考書を活用し、演習問題を解くなどして「テストで得点を取る力」を伸ばしていった方がいいでしょう。

ただ、闇雲に問題を解くよりも、良問が集められた参考書・問題集を活用した方が、より短期間に大学入学共通テストレベルの問題に対応できるようになっていきます。ここからは、大学入学共通テストレベルの数学対策におすすめの参考書を5冊(シリーズ)紹介します。

松田の数学Ⅰ・A/Ⅱ・B 典型問題Type100

松田聡平「松田の数学Ⅰ・A/Ⅱ・B 典型問題Type100」(東進ブックス、2014年)は、よく出る問題だけを集めて、簡潔に説明してくれる大学受験参考書です。必要最小限の努力で大学入学共通テストに通じる力を身に付けられるでしょう。

東進の数学講師であり、本質を突いた授業が高い評価を得ている松田先生が、大学入試によく出る数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・Bの問題を100問厳選し、問題へのアプローチの仕方や解法などを簡潔に解説しています。

大学入学共通テストで高得点を取るために必要な数学の力を、最短ルートで身に付けたいと考えている人におすすめの1冊です。

数学 基礎問題精講

上園信武「数学Ⅰ・A基礎問題精講 五訂版」「数学Ⅱ・B基礎問題精講 五訂版」(旺文社、2020年)は、大学入学共通テストに対応できる力を基礎から養うことができる参考書シリーズです。

「数学Ⅰ・A」では145+4題、「数学Ⅱ・B」では167+3題の例題を通し、数学の基礎力を身に付けられます。

なお、旺文社のホームページでは「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B」の演習問題の解答および「数学Ⅰ・A」の音声講義をダウンロードできます。ぜひ同書と合わせて活用してください。

チャート式 解法と演習 数学 

チャート研究所「チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A」「チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B」(数研出版、2019年)は、「黄チャート」と呼ばれて親しまれている大学受験参考書です。

「基本例題」「重要例題」「補充例題」の中から自身のレベルに合う例題を解いていけば、より効率的に数学を学ぶことができます。

同書を2~3回ほど通して学習すれば、大学入学共通テストレベルの数学Ⅰ・Aおよび数学Ⅱ・Bの問題は、スムーズに解けるようになるでしょう。

共通テスト過去問研究 数学Ⅰ・A/Ⅱ・B(2023年版共通テスト赤本シリーズ)

教学社編集部「共通テスト過去問研究 数学Ⅰ・A/Ⅱ・B」(教学社、2022年)は、大学入学共通テストの過去問集です。

数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・Bについて、大学入学共通テスト本試験を各3回分、オリジナル実践模試を各1回分、大学入学共通テスト施行調査を各2回分、センター試験過去問を各7回分、数学Ⅰ/Ⅱの大学入学共通テスト本試験各2回分、計30回分の試験が収録されています。ある程度の数学力が身に付いてきたところで、本番の試験でどの程度の点数が取れそうか、自分の実力を確かめて弱点を把握するのに役立つ1冊です。

大学入学共通テストの効果的な勉強方法が丁寧に解説されている「共通テスト対策講座」も必見です。

2023-大学入学共通テスト実戦問題集(駿台大学入試完全対策シリーズ)

駿台文庫「2023-大学入学共通テスト実戦問題集 数学Ⅰ・A」「2023-大学入学共通テスト実戦問題集 数学Ⅱ・B」(駿台文庫、2022年)は、質の高い大学入学共通テストの予想問題に取り組める実践問題集です。

大学入学共通テストの過去問2回分に加え、駿台予備学校の講師陣が総力をあげて作成したオリジナル予想問題5回分が収録されています。オリジナル予想問題が充実していますから、先に紹介した「共通テスト過去問研究 数学Ⅰ・A/Ⅱ・B」を終えてしまい、もっと大学入学共通テストの対策をしたい人に、もってこいの1冊でしょう。

詳細な解答・解説に加え、重要事項が端的にまとめられた「共通テスト攻略のポイント」や「直前チェック総整理」も収録されているため、大学入学共通テストで高得点を取るためのコツも効率的に学べます。

国公立大学2次試験・難関私立大学受験レベルの数学対策におすすめの参考書

国公立大学の2次試験や難関と称される私立大学の受験に挑戦するのであれば、よりレベルの高い数学力を身に付ける必要があります。

難問と言われる問題であっても、ある程度は解き方のパターンやコツがあります。難問をどのように解けばいいのか、分かりやすく解説してくれる大学受験参考書を選び、何度も演習問題に取り組んでいきましょう。公式を当てはめようとしても上手くいかずこれまで解けなかった難問であっても、トレーニングを積むことで、解き方をどうやって見つけ出せばいいか、少しずつコツがつかめるようになっていくはずです。

ここでは、国公立大学2次試験・難関私立大学受験レベルの数学対策におすすめの参考書を5冊(シリーズ)紹介します。

数学I・A/II・B 最高の演習160

松田聡平「数学I・A/II・B 最高の演習160」(東進ブックス、2016年)は、文系・理系を問わず難関大学を志望する人に向けて編まれた数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの参考書です。

同書は、東京大学や京都大学といった難関国立大学や、早稲田大学や慶應義塾大学といった難関私立大学レベルの入試問題を160題ピックアップ。別解や注・発展事項が充実しているため、多角的に思考する力を鍛えることができます。

先に紹介した「松田の数学I・A/II・B 典型問題Type100」を解き終えて、より高難度の問題に取り組める準備が整った人におすすめの1冊です。

数学III 最高の演習90

松田聡平「数学III 最高の演習90」(東進ブックス、2017年)は、難関大学の理系を志す人のために編まれた数学Ⅲの参考書です。

東京大学や京都大学をはじめとする難関・有名大学レベルの入試問題90題をじっくりと解くことにより、「複素数平面」「2次曲線」「極限」「微分法」「積分法」をマスターできます。

同書のみでも十分な学習効果を期待できますが、先に松田聡平「松田の数学Ⅲ 典型問題Type60」(東進ブックス、2017年)に取り組 み、基礎的な問題を解く力が身に付いたことを確認してから着手した方が着実に数学力を伸ばすことができるでしょう。

チャート式 基礎からの数学

チャート研究所「チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A」「チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B」「チャート式 基礎からの数学Ⅲ」(数研出版、2019年)は、「青チャート」の名で広く知られている大学受験参考書です。先ほどご紹介した「チャート式 解法と演習」、いわゆる黄チャートよりも、レベルの高い問題が集められています。

数学を解くために必要不可欠な解法のポイントや方針の立て方などが詳しく掲載されているため、応用問題にも通用する思考力・判断力・ 答案作成力をじっくり培うことができます。

なお、難関と言われる大学の中でも最難関の大学を目指しており、同書だけでは物足りないと感じる場合には、青チャートよりもさらにレベルが高い「赤チャート」と呼ばれるチャート研究所「チャート式 数学Ⅰ+A」「チャート式 数学Ⅱ+B」「チャート式 数学Ⅲ」(数研出版、2017年)も、ぜひ手に取ってみてください。

合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B(大学受験 合格る)

広瀬和之「合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B」(文英堂、2014年)は、「解き方はわかっているのに、計算する時間が足りない……」と悩む人に活用してほしい計算練習問題集です。

河合塾で医学部、東京大学、東京工業大学などの難関大クラスを中心に教鞭を執る広瀬先生が、正しい計算法を丁寧に解説。「正しい方法」のみならず、「いまいちな方法」「へたな方法」なども紹介されているため、正しい方法の優位性がはっきりとわかります。

同書の高校指導要領の枠に縛られずに編まれた問題に毎日1項目ずつ、20分取り組み続ければ、速く正確に問題を解く力が身に付くでしょう。

数学の真髄 ―論理・写像―

青木純二「数学の真髄 ―論理・写像―」(ナガセ、2022年)は、難関私立大学や国公立大学の2次試験、最難関学部に挑戦する人におすすめの参考書です。論理の基本を学べる講義、論理的な答案を作成する力を養う実践問題が掲載されています。

著者の青木先生は、東京大学や京都大学、医学部などの難関大学合格を目指す生徒への指導実績が豊富な東進ハイスクール・東進衛星予備校の講師。東京大学や京都大学をはじめとする難関大学の入試では、これまで目にしたことがないタイプの難問であっても、初見で解けるかどうかで大きな差が付きます。そのために必要なのは、難問の「解き方」を覚えるのではなく、「考え方」が思い浮かぶように論理的思考力を培うこと。この1冊は、基礎的な問題を解けても難問になると歯が立たないという人を、「考えて解く」ことができるように導いてくれる内容になっています。

同書の内容を十分に理解できるようになれば、公式の丸暗記から脱却し、公式を自作して使えるほどにまで、数学力を高められるでしょう。