模試の前は勉強するべき?大学受験で模試を受ける意義とおすすめの勉強法・復習法を解説

受験生にとって避けては通れない「模擬試験(模試)」。受験本番を迎える前に、模試を受けて試験に慣れておくのはとても大事なことです。

模試を受ける前に勉強しておくべきなのか、気になる人もいるでしょう。結論から伝えると、模試の前も勉強はするべきです。

この記事では、模試を受ける意義や模試前日までの準備と心構え、試験直前の勉強方法を紹介します。受験生はもちろん、高校1・2年生もぜひ参考にしてください。

模試を受ける意味を理解して心構えをしておこう

模試は何のためにある?

模試には、学校の定期テストと異なるメリットがあります。ここでは、模試を受ける3つの意義について紹介します。

現状の実力がわかる

模試では、現状の学力を図ることが可能です。現状の実力がわかれば、志望校の検討や苦手な単元の補強など、受験対策の戦略を考えるのに役立ちます。

また、規模の大きな模試を受ければ、全国の受験生と比較して、学力レベルの位置を客観的に把握できるでしょう。

入試本番の雰囲気に慣れることができる

試験会場の雰囲気に慣れることができるのも、模試を受ける意義の一つです。

試験の雰囲気に慣れていない状態で本番を迎えると、緊張や不安から、実力を出せなくなることもあります。

会場で受験する模試は、入試本番と同じような環境で試験を行なうため、特有の緊張感や雰囲気を体験できるのが特徴です。

繰り返し模試を受けて会場の雰囲気に慣れておくと、本番で実力を発揮しやすくなるでしょう。

弱点に気付ける

模試の成績表には、教科ごとの点数だけでなく、設問別の正答率も掲載されることが多いため、分野や問題形式における弱点に気付けます。

弱点がわかれば、具体的に対策を講じることができるので、本番の試験で得点を伸ばせるでしょう。

模試は普段の学習に活かすことが大切

模試は、普段の勉強方法が正しいのかどうかを確認できる機会です。そのため、模試の対策に注力しすぎず、あくまで受験対策の延長線上にあると考えておきましょう。
 
志望校の判定や点数に一喜一憂するのではなく、模試の結果を普段の勉強に活かす意識が大切です。

模試前日までの準備と心構え

大学受験に向けて模試を最大限に活用するには、事前の行動も大切です。ここでは、模試の前日までに行なっておくと良い準備と心構えを紹介します。

目標を立ててモチベーションをアップさせる

普段の勉強のモチベーションをアップさせるために、模試を受ける際には目標を立てましょう。

目標を立てる際は、具体的な数値を決めることが大切です。目標を立てる項目としては、点数や偏差値、順位、志望校の判定などがあります。以下は一例ですが、目標を立てる際の参考としてください。

・得意科目は8割以上、苦手科目は6割以上の点を取る

・得意科目は65以上、苦手科目は55以上の偏差値を取る

・全国で4分の1以内の順位に入る

・第一志望校はC判定以上、滑り止めはA判定を取る

このように、立てた目標の達成をモチベーションにして、計画的に勉強を進めましょう。

本番前の気持ちで勉強する

翌日に向けて「体力を蓄えておこう」と考えて、模試前日は勉強を休んでしまう人もいるかもしれません。

しかし模試の前日も、試験本番前の気持ちで、普段どおり勉強することをおすすめします。

また、模試を通して試験前日から当日までのルーティンを作ることで、本番の入試も落ち着いて受けられるでしょう。

苦手な分野を復習する

模試の対策としては、苦手な分野の復習を優先的に取り組むことが大切です。

例えば、苦手な分野を絞り「この問題集の1~50まで」といったように、手持ちの教材から実現できる範囲の計画を立てるのもおすすめです。

模試の出題範囲は広いため、すべてを対策するのは難しいといえます。模試ごとに勉強する範囲を明確にして、苦手な分野を克服する機会として活用するとよいでしょう。

時間を計って問題演習をする

試験では、正確さだけでなく、時間内に解答することも重要です。

そのため問題演習をする際は、普段から時間を計ることをおすすめします。時間を計ることで、模試や受験本番に近い状況を意識して勉強できるためです。

また、模試の問題数や制限時間、解答形式を把握しておくと、ペース配分を身に付ける際に役立ちます。

時間内に解答しきれない分野は弱点として、重点的に勉強しましょう。

教科書や問題集の総まとめを解く

模試は広範囲から出題されます。知識の再確認と弱点の補強を効率的に行なうには、各教材にある単元ごとの総まとめを解くのがおすすめです。

なお、問題演習や総まとめをすべて解こうとすると、時間が足らなくなりがちです。目的に合わせて範囲を絞り、計画的に進めましょう。

前日のうちに持ち物や当日の流れを確認する

持ち物や当日の流れの確認といった試験の準備は、模試の前日までに行ないましょう。

当日の朝になって準備をすると、忘れ物の原因にもなります。受験票や筆記用具などを忘れると、動揺して実力を発揮できなくなることも考えられるでしょう。場合によっては、受験自体ができなくなる可能性もあります。

以下は、模試で最低限必要な持ち物です。このほか、持ち物を指定される場合もあるので、前日までに必ず準備しておきましょう。

・受験票

・アナログ時計

・筆記用具(マーク式試験の場合は指定の濃度の鉛筆)

・試験直前に見る問題集やノート

・温度調整用の上着

・休憩時間に食べるもの(糖分補給や空腹の防止に)

そのほか遅刻を防ぐためにも、時間や場所を把握しておくことが重要です。試験の開始時刻や会場までの移動時間、電車の路線、発着時刻なども調べておく必要があります。

電車が遅れるなどの不測の事態に備えて、30分ほど余裕を持って行動するとよいでしょう。

試験当日は緊張を和らげるために、普段から使っている問題集を持参してください。いつもは行なわない行動を控えて、普段どおり過ごすことを意識しましょう。

模試の本番直前にすべき勉強

ここでは、模試直前の勉強方法について解説します。

暗記ものを総復習する

模試直前の勉強としては、暗記ものを総復習することが効果的です。数学や理科の公式、英語や古文の単語、日本史・世界史の重要語などを一通りおさらいしましょう。

暗記ものを復習する際は、苦手なところをまとめた単語帳やノート、プリントを作っておくのがおすすめです。一度作っておけば、部活で忙しい人でも、スキマ時間を活用して復習しやすくなります。

またテスト中は、緊張によって暗記した内容を思い出せなくなることがあります。自信のある単元も含めて短時間で復習できるように、試験直前にも単語帳やノートを活用しましょう。

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模試の過去問を解く

規模の大きな模試は、過去の問題集を販売していることがあります。模試の過去問を解くことには、以下のようなメリットがあります。

・出題の形式や傾向がわかる

・問題量と時間配分がわかる

・出題される問題を予想できる

対策をせずに模試を受けると、慣れない出題形式に戸惑い、本来の実力を出せないことがあります。

また、過去問を数年分にわたって解いていくと「頻出問題」がわかります。そのため、出題されそうな問題を予想ができるようになるでしょう。

模試を通して出題傾向を自分なりに分析する経験は、大学入試対策においても大切です。

模試の当日・終了後の勉強

ここでは、模試当日とそれ以降の過ごし方を確認していきましょう。

模試当日の過ごし方

模試当日に勉強するかどうかに、決まりはありません。

直前まで追い込みたい人もいれば、当日まで勉強すると逆に焦ってしまう人もいます。何度も模試を受けるうちに、自分に合った当日の過ごし方がわかってくるでしょう。

直前まで勉強したい人には、次のような勉強法がおすすめです。

・要点をまとめたプリントを見る

・自分の弱点をまとめたノートや単語帳を見る

・英語の音声を聴いて耳を慣らす

模試が終わったあとは復習が大切

模試が終わったら、可能であれば自己採点して、事前に立てた目標を達成できたか確認します。

また、間違えたり解けなかったりした問題を洗い出して復習しましょう。

試験問題は、「解けた問題(○)」「理解はできているが解けなかった問題(△)」「全くわからなかった問題(×)」に分けて洗い出すのがおすすめです。振り分けたあとは復習ノートを作り、△と×の問題を書き出して、完璧になるまで解き直しましょう。

このような復習ノートを作ると、短時間で効率的に弱点を振り返ることができます。

また、間違えた理由や理解が不十分な部分の解説、つまずきやすいポイントを記入しておけば、入試直前の見直しにも役立ちます。

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模試の種類別】模試を受ける時に意識することを解説

模試の種類は、大きく分けて「マーク式模試」「記述式模試」「大学別模試」があります。これら模試は、それぞれ特徴や押さえるべきポイントが異なります。

ここでは、模試を受けるときに意識するべきポイントを種類別に解説します。

マーク式模試のポイント

一般的にマーク式模試は「大学入学共通テスト」を想定した問題が出題されます。

・時間配分をつかむ

大学入学共通テストは試験時間の割に問題数が多く、時間内に解き終われない人も少なくありません。

速く正確に解くためにも、マーク式模試を繰り返し受けて、時間配分に慣れておきたいところです。

・マーク式特有の解答方法に慣れる

受験の際にマーク式の試験を受ける人は、「解答欄を正しく塗り潰す」という動作にも慣れておく必要があります。

マーク式の試験は、記述式よりも簡単だと思われがちです。一方で「解答用紙にマークをし忘れた」「解答が1つずつずれていた」といった、ケアレスミスが起きやすい解答方法でもあります。

マーク式模試を受ける際は「解答方法に慣れる」ことも意識しましょう。

記述式模試のポイント

記述式模試では、私立大学の個別試験や国立大学の二次試験のような入試を想定した問題が出題されます。

・時間配分をつかむ

記述式模試では、一問一答だけでなく、数学の証明問題や国語の論述のように、記述量が多い問題も出題されます。

そのため記述式試験では、マーク式よりも時間配分への意識が重要です。記述量の多い問題に対して十分な解答時間を残すためには、一問一答のような基本問題は時間をかけずに解かなければなりません。

また、わからない問題が出てきたら長時間悩まず、後回しにするという決断も必要です。

・問題を解く順番に注意する

試験において、問題を解く順番には注意しましょう。

すべての問題に解答するのが理想的ですが、順番とおりに解いていて時間がなくなり、得意な分野の点数を取りこぼしては本末転倒です。

よって試験開始となったら、まずは問題に一通り目を通すとよいでしょう。得意な問題から解答して、苦手な問題にしっかり時間を残すといった工夫も大切です。

大学別模試のポイント

大学別模試は、各大学の傾向や特色をもとにした予想問題が記述式で出題されます。おもに、難関大学を対象に実施されているのが特徴です。

・出題傾向の「癖」に慣れる

一般入試の問題は各大学が作成します。そのため、出題傾向や難易度がそれぞれ異なり、大学ごとに「癖」のようなものがあります。

志望校の出題傾向に慣れることができる大学別模試は、可能な限り受けたほうがよいでしょう。

・ライバルの数や自分の順位を把握する

基本的に、大学別模試を受けるのは同じ大学を受験するライバルたちです。そのため、大学別模試を受けることで、倍率やライバルのなかにおける自分の順位を把握できます。

また、現役生と浪人生が交じった模試だと、より実際の入試に近いデータを得ることもできるでしょう。

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模試直前でも睡眠をしっかり取ることを忘れずに!

ここまで模試の前の勉強法についてお伝えしましたが、追い込みすぎは禁物です。模試直前に睡眠時間を削ってしまうと、寝不足で十分に力を発揮できない、または寝坊をする可能性も高まります。

模試前日だからといって夜遅くまで勉強せず、早めに就寝しましょう。

きちんと睡眠を取り普段の実力を出すことで正確なデータを取る

模試を受ける意義の一つは「今の学力を確認すること」です。しかし、睡眠不足で試験に集中できないと、本来の実力が発揮できず、正確な偏差値や判定を測れません。

受験勉強では、模試の結果から今後の対策方針を決めることが基本です。正確なデータを得られなければ、学力を伸ばすことが難しくなります。

普段の実力を発揮して正しいデータを取るためにも、前日はしっかり寝ましょう。

模試前日の睡眠時間の確保の仕方も、本番のシミュレーションになる

試験前日は緊張しやすく、寝付けない人も少なくありません。十分な睡眠時間を確保する方法も、模試の機会にシミュレーションしておきましょう。

リラックスするための方法は、人によって異なります。「心が落ち着く音楽を聴く」「目をつむって気持ちを整理する」など、自分なりの方法を見つけましょう。

まとめ

模試は、受験生にとって重要な機会です。模試を受けることで、現在の学力の把握や弱点に気付けるほか、入試本番の雰囲気に慣れることもできます。

模試は受験対策の延長線上にあるため、模試自体の対策に注力しすぎる必要はありません。結果だけに一喜一憂せず、普段の勉強に活かすことが大切です。

ただし、目標を立ててモチベーションアップに役立てたり、本番同様の気持ちで勉強したりするなどの心構えは必要です。持ち物や移動手段の確認といった準備も、怠らないようにしましょう。

模試直前には、単元ごとの総まとめを解いたり、要点をまとめたノートや単語帳を自作したりして、効率的に復習するのがおすすめです。

模試前夜に遅くまで勉強をすると「睡眠不足で試験に集中できない」となりかねません。普段の実力を出して正確なデータを得るためにも、早めの就寝を心がけましょう。

なお、緊張をほぐして睡眠時間を確保する方法も、模試の機会にシミュレーションしておくのがおすすめです。