模試の効果的な復習方法を伝授――模試をうまく活用し、学力アップを目指そう

学校や塾・予備校の先生から言われ、受験に向け定期的に模試を受験している人も多いのではないでしょうか。特に高校2・3年生になると、共通テストの模試や志望校別の模試など、模試の種類や受験回数も増えてくるでしょう。

ただ、模試を受験する学生の中には、「模試を受けっぱなしで、活用できていない」という人も多くいます。

実は、模試というものは、ただ受けただけではあまり意味がありません。もちろん、模試の結果を見て、自分の偏差値や全国での順位、志望校への合格可能性評価などを知ることはできます。しかし、より効果的に活用するために何よりも重要なのは「復習すること」です。

模試を受け復習をすることで、自分の弱点を見極めることができます。今の自分には何が足りないのかをきちんと把握することで、「今までの勉強方法で良かったのか」「勉強方針は正しいのか」を考え、今後の学習計画に反映させるられます。そうして苦手分野や弱点を克服していくことが、全体的な学力向上や志望校合格につながります。

それでは、模試の復習はいつすれば良いのでしょうか。復習はどのように、何回ほどすれば効果的なのでしょうか。本記事では、模試の復習の仕方について具体的に解説していきます。今まで模試の復習ができておらず、やり方がよく分からないという方は、ぜひ参考にして学力アップにつなげてください。

模試の復習は当日〜翌日中に!

模試の復習は、受けた当日または翌日には必ず取り組みましょう。なぜなら、模試を受けた直後は記憶が新しいので、問題を解いたときの状況や問題の内容を思い出すのが容易で復習がしやすいからです。ここで先延ばしにしてしまうと、復習することが負担になるだけでなく、復習の効果が薄れてしまいます。

具体的な方法としては、まず模試の受験後できるだけ早く、解けなかった問題を解いてみます。時間が足りなくて解けなかった問題も、しっかり時間をかけて自力で解きましょう。最初から解答を読むのではなく、自分で解き直すことが重要です。

その後で、自己採点をします。自分の解答と模範解答にどのような違いがあるのか、自分の考え方や解き方は正しかったのかをよく確認するようにしましょう。特に数学については問題を解く過程も大事ですから、途中式も詳しく見る必要があります。

自己採点後は、間違えた問題について、どうして不正解だったのかを分析します。ただ単なるケアレスミスなのか、理解不足なのか、間違えた理由を確かめることが重要です。

間違えた問題は解説を見ながら、「自分はどこが理解できていなかったのか」「足りなかった知識は何か」を意識しながら復習します。この時、自分の間違えた問題や間違えた理由、覚えるべき事項などをノートにまとめるのも効果的です。定期的にノートを見返して問題に再度取り組むことで、記憶に定着し、確実に自分の力にすることができるでしょう。

中には、ノートが増えるのが嫌で「ノートは作らない」という人もいます。しかし、人の記憶は薄れていくものですから、時間が経てば間違えた問題も忘れてしまうものです。そうなると、「前も似たような問題を間違えた気がするけど、思い出せない」という事態に陥ります。その点、自分が間違えた問題を1冊のノートにまとめておけば、そのノートを見返すだけで自分の足りない部分を意識することが可能ですし、模試や受験直前の復習にも役立ちます。

こうして、問題の解きなおし・自己採点・間違えた問題の分析・ノートへのまとめと、一連の流れで復習を終えたら、今後の学習計画を立てます。科目別に克服すべき分野や強化すべき内容を把握し、勉強の方針を決めて学習に取り組むことで、より効率的な学力向上が期待できます。

模試の成績が返ってきたときにすべきこと

模試の成績が返ってきたときにすべきこともお伝えします。

まず、事前に設定した目標点や目標偏差値に届いていたかを確認します。そして、分野別の得点レーダーチャートで、自分がよく得点できていた得意分野や出題形式、反対に得点できていなかった苦手分野や出題形式を確認します。

特に、受験生全体の平均に対し、得点が低くなっている教科や分野は要注意です。より力を入れて補強する必要があります。

例えば、英語の分野別成績で「語彙・文法」の得点が平均点を上回っていたとしましょう。この結果から、単語や文法についてはよく理解できているということが分かります。しかし、「長文読解」の得点が平均を下回っていた場合、現時点では全国の受験生と比べて遅れを取っていることになります。今後は、読解力や速読力を上げる訓練をし、長文読解に特化した対策を取る必要があるでしょう。

こうして受験生全体と自分の結果を比較し、苦手教科や分野を把握した後は、今後の学習計画を立てることが大切です。

そして、次の模試でどのくらいの点数を取るのか目標を定めましょう。ここで大切なのは、具体的な目標を立てるということです。例えば、数学の成績が良くなく、中でも「場合の数と確率」が配点20点のうち4点で、正答率が20%だったとします。この場合、ざっくりと「点数を上げる」という目標を立てるのではなく、「次は12点を取って、正答率60%にしよう」と明確な数値をもって目標を掲げましょう。こうすることで、模試の結果が返ってきた際に、どれくらいの学習効果があったのかが一目瞭然で分かります。

こうして、「目標を立てる(Plan)」「学習する(Do)」「目標が達成できたか確認する(Check)」「復習し対策する(Action)」といったPDCAサイクルを回しながら、苦手分野の克服に努めましょう。

また、多くの模試では受験してから成績表の返却まで1カ月ほどかかるため、成績が返ってくる頃には模試の問題を忘れかけていると思います。そのタイミングで、もう一度復習に取り組むとより効果的です。再度間違えた問題や理由を確認することで、しっかりと記憶に定着させることができます。

近年では、成績表の返却が早いところもあり、例えば東進による共通テスト本番レベル模試では中5日、記述式の東大本番レベル模試でも中8日でスピード返却されます。次の目標に向けた学習にいち早く取り組むことができるので、ありがたいシステムですね。とはいえ、忘れかけた頃の復習も大事なので、その場合は少し時間を空けてもう一度見返すなど、工夫をしてみてください。

自分一人の復習が難しいなら、学校や予備校の先生を頼ろう

模試の復習は、自分で取り組むことが大切です。しかし、解説を読んでもどうしても理解できない問題もあると思います。

また、自分が何を苦手としているのか、どのような内容を補強すべきなのか、今後の学習方針について確信が持てないこともあるでしょう。

そのようなときは自分一人で解決しようとするのではなく、学校や塾・予備校の先生を頼るのも大事です。問題の正しい解き方を教えてくれるだけでなく、模試の結果から克服すべき分野や復習すべき内容、今後力を入れて学ぶべき分野などを具体的にアドバイスしてくれます。

塾・予備校は受験に特化した学び場であり、講師の先生も受験のプロです。なぜ間違えたのか、どの分野に対しての理解が足りていないのかなど、プロの目線で得点できなかった理由の分析や克服するための手助けをしてくれます。

一人で模試の復習に取り組んでいると、どうしても不安になることが出てきたり、勉強に対するやる気が途切れてしまったりすることもあるでしょう。学校や塾・予備校の先生に相談すれば、学習面でのサポートだけでなく、精神面でのサポートも受けられます。そういった意味でも、学習に不安を感じたり一人で復習を進めるのが難しいと感じたりしたときは、迷わず学校や塾・予備校の先生に相談してみましょう。