「大学合格を目指して予備校に通おう!」と決めたはいいものの、一口に「予備校」と言ってもさまざまで、どこが良いのか迷ってしまうもの。資料を取り寄せたり、ネットで口コミを調べたりしてみても、自分に本当に合う予備校を選ぶのは簡単ではありません。
そこで各予備校では、入学を検討している学生に向けて、「説明会」「見学会」「体験授業」など、実際に足を運び雰囲気を体感してもらうための機会を作っています。すでに申し込んだ人や、新年度に向けて申し込みを検討している人もいるのではないでしょうか。
では、実際のところ、説明会や体験授業などに足を運び、予備校を見学する人はどのくらいいるのでしょうか? また、どのような点に注意して見学すればいいのでしょうか? 本記事では、予備校に入る前の見学について詳しくご紹介します。
予備校を見学するメリット
多くの予備校で開催されている説明会、見学会、体験授業ですが、一体何がこれらを受けておくメリットなのでしょうか?
メリット①自分に合う予備校かどうか分かる
大学受験の合否はある程度、自分に合った予備校を選べるかどうかに左右されます。また、予備校に通うためには入学金や授業料など、数十万円単位のお金を払うことになりますう。そう考えると、実際に予備校に通い始めてから「やっぱり合っていなかった」ということは避けなければなりません。そのため、通う予備校は慎重に選ぶ必要があります。
しかし、予備校の合う・合わないは人それぞれです。多くの学生が通っている大手予備校や口コミが良い予備校でも、必ずしも自分に合うとは限りません。そこで役に立つのが説明会、見学会、体験授業です。実際の校舎に足を運び、授業や雰囲気を体験することで、その予備校が自分にマッチしているかが分かります。そのため、予備校に入学する前に見学をしておけば、入学後に後悔するリスクを大きく減らせるでしょう。
カリキュラムや料金、口コミなどからある程度候補となる予備校を絞り込んだら、それぞれの予備校に見学を申し込んでみましょう。その中から一番「合っている」と思えるところを選ぶのがおすすめです。どんな点をチェックすればいいか、詳しくは後述します。
メリット②無料で雰囲気を体験できる
予備校の多くは、説明会や体験授業を無料で開催しています。交通費はかかるかもしれませんが、それ以外に余計な費用が発生することはありません。通常であれば数千円分の料金がかかるプロの授業をタダで受けられるため、それだけでも魅力的です。
また、予備校の説明会や体験授業では、最新の受験動向についても事細かに説明してくれます。説明会や個別相談に参加すれば、学校ではなかなか得られない最新情報を得られる場合があります。
メリット③特典が付くことも!
説明会や体験授業に参加すると、入学を決めた際に特典を受けられることがあります。
また予備校を決める際は、正式に入学する前に夏期講習や冬期講習などの短期講座だけ申し込み、授業を受けてみる方法もあります。この方法では、体験授業よりもリアルな空気を味わうことができ、通学している生徒塾生の雰囲気も肌で感じられます。数千~数万円の料金がかかりますが、併せて検討してみましょう。
どのくらいの人が予備校を見学しているの?
実際のところ、入学前に予備校を見学する人はどのくらいいるのでしょうか? 大学受験のために予備校に通った先輩とその保護者を対象に当サイトが実施したアンケートでは、以下のような結果になりました。
下記の調査結果(母数:30人。複数回答可)を紹介。

無料体験授業に参加した人は全体の6割、説明会に参加した人は5割、どれも参加せず予備校を決めたという人は2割という結果になりました。この結果を見ると、先輩たちの半数以上は事前に雰囲気を体験してから予備校を決めていることが分かります。多くの先輩がそうしてきたように、予備校に入る前には説明会、見学会、体験授業に参加しておくのがおすすめです。
予備校の見学では何をするの?
説明会や見学会、体験授業に参加したことがない方は、何をするのか分からず不安かもしれません。予備校の見学では具体的に何をするのでしょうか? 申し込みから見学後までの流れを確認しておきましょう。

①申し込み
説明会や体験授業には、電話や予備校のサイトから申し込めます。電話であれば多くの場合、そのまま申し込みを完了させられます。「説明会に申し込みたい」「体験授業を受けたい(子どもに受けさせたい)」という旨を伝えたら、案内に従って申し込みを進めましょう。
サイトから申し込んだ場合は、予備校側から電話がかかってきて、その電話をもって申し込み完了となることがあります。学校や部活の予定を踏まえて、都合の良い日時の候補をいくつか挙げておきましょう。土日でも見学を実施している予備校が多いため、平日が忙しいのであれば「土日がいい」という希望を伝えましょう。
また、保護者の方も予備校を見学したいと思うことが多いでしょう。生徒の親は、説明会や見学会であれば問題なく参加できます。むしろ、特に費用についての理解を深めるため積極的に参加することをおすすめします。一方でほとんどの場合、体験授業を見学することはできません。
②事前準備
説明会や体験授業に行く日時が決まったら、前日までに準備を済ませておくと安心です。特に、忘れ物がないよう持ち物をよく確認しておきましょう。以下に、主に必要となるものをまとめました。
■説明会・見学会の持ち物
- メモ帳やスケジュール帳
- 筆記用具
- クリアファイル
- 模試やテストなど直近の成績がわかるもの
説明を受けた内容は必ずメモしておきましょう。通学スケジュールをすぐに確認するために、スケジュール帳を持っていくと良いでしょう。また、聞いておきたい内容を事前にメモしておくと、質疑応答の際にスムーズに質問できます。
クリアファイルはもらった資料をまとめるために使用します。
模試やテストの成績は、個別相談の場合に役立つでしょう。生徒の成績に合わせて、適切なコースやカリキュラムを提案してくれるはずです。
■体験授業の持ち物
- 筆記用具
- クリアファイル
- 学校で使用している教科書・ノート
クリアファイルはプリント教材をまとめるために使用します。
教材は予備校側で用意していることが多いですが、普段使っている教科書やノートを持っていっても構いません。
その他、予備校側から用意するように言われたものがあれば、忘れずに準備しておきましょう。
③見学当日!
当日の服装は、生徒は普段通りの服装で構いませんし、もちろん学校の制服でも大丈夫です。一方、親はシャツやジャケットスタイルなど、ややフォーマルな服装をおすすめします。だらっとした服装で行くと、予備校スタッフからは「この親は礼儀がなくクレームを言いそうだ」と思われてしまう可能性があります。
当日は、予約した時間の5~10分前に校舎に着けると理想的です。初めて行く場所であれば、道に迷ってしまう可能性も考え、時間に余裕をもっておきましょう。校舎に着いたら、受付スタッフに「○時に説明会(見学会・体験授業)に申し込んでいる○○です」と名乗ってください。後はスタッフが教室まで案内してくれますので、指示に従いましょう。
④説明会・体験授業
いよいよ説明会・体験授業です。体験授業は基本的に、集中して授業を受ければOKです。説明会は以下のように進むことが多いでしょう。
- 予備校の特徴の説明
- 授業のコースやカリキュラムの説明
- 質疑応答
説明会に続いて子供のみ体験授業に入るケースもあります。より有意義な時間となるよう、予備校の特徴やある程度のカリキュラムについて、事前にホームページなどで確認しておきましょう。
⑤見学が終わったら
見学が終わったら、その予備校に入るかどうかを決めることになります。次の項からご紹介するチェックポイントをよく比較検討し、決定しましょう。
入学しないのであれば何も連絡しなくていい場合もありますが、予備校側から勧誘の電話がかかってくることもあります。もし入学の意思がないなら、「他の予備校と比較し、今回は入学を見送ることにしました」などと伝えましょう。まだ検討中であれば、「今は検討中で、入学を決めた際はこちらから連絡します」とはっきり伝えることをおすすめします。
予備校の見学でチェックすべきポイント
予備校の説明会、見学会、体験授業では、どんな点を確認すればいいのでしょうか? ポイントを押さえてしっかりと見極めることで、自分に合っている予備校を見つけやすくなります。入学後のミスマッチを防ぐため、チェックすべきポイントを知っておきましょう。

授業・講師の質
授業と講師の質は、学力アップを狙う上で最も重要なポイントです。体験授業は分かりやすかったか、テキストは使いやすいかについて確認しましょう。また、いくら授業が分かりやすくても、校風が肌に合わなければ通うのはおすすめできません。予備校には、淡々と授業を進めるところもあれば、熱血指導するところもあります。講義の雰囲気は講師によっても差が出ますが、「合わなそう」と感じたら無理は禁物です。
注意点として、以下の2点もよく確認しておきましょう。
- 入学後、実際に受ける授業か?
- 体験授業の講師の授業を実際に受けられるか?
体験授業で受けられる講座は限られています。実際に入学した後、体験授業と異なる授業を履修するのであれば、ミスマッチを感じる可能性があります。体験授業では、実際に申し込みたい授業となるべく同じものを受けましょう。
また、体験授業の講師に好感を抱いても、同じ人の授業を受けられるとは限りません。体験授業は、分かりやすくて評判の人気講師が担当することが多いのですが、そのような先生の授業は人気が高いため、実際に入学した後はすでに満席になっていて受けられなかいことも少なくありません。担当した講師の授業を実際に受けることができるか、入学前に必ずチェックしましょう。
校舎、スタッフ、生徒の雰囲気
校舎を訪れると、予備校の雰囲気を肌で感じることができます。スタッフの対応は適切か、教室や本棚は整理整頓されているか、通っている生徒は生き生きとしているかなどを見てみましょう。
さらに、騒音や雑音がないか、トイレの数は十分か、冷暖房の管理がしっかりされているかなど、確認すべきことはいろいろあります。予備校の見学の際は、「集中して学習できる環境かどうか」を念頭に置いてチェックしましょう。
自習室の有無と環境
自習室があるかどうか、必ず確認することをおすすめします。多くの予備校は自習室を完備していますが、席数が十分に確保されているか、静かな環境かどうかなどは実際に見学してみなければ分かりません。スタッフに頼めば、自習室の雰囲気を見せてもらえるかもしれません。
通いやすい場所かどうか
せっかく授業や設備が良くても、その校舎が通いやすい場所になければ通学が大変です。家や学校の近くにあったり、学校に通う際の乗り換え駅にあったりする校舎であれば、交通費を節約できるのでおすすめです。
また、予備校に通うとなれば帰宅が遅くなることも多いでしょう。「駅前にある」「大通りに面している」「通り道に街灯が多い」など、安全に通えることを重視しましょう。
そして、意外と忘れがちな注意点が「通うのは見学したところと同じ校舎か?」ということです。同じ系列の予備校であっても、校舎によって雰囲気や授業・講師の質はガラッと変わります。必ず、通おうと検討している校舎の見学に行くようにしましょう。
実際に見学が決まったら、大学受験の塾・予備校の選び方の記事を読んでから予備校の見学に行きましょう。
大手予備校の見学をするには?
それでは、各予備校ではどのように説明会、見学会、体験授業を開催しているのでしょうか? ここでは、「四大予備校」と呼ばれる大手予備校について調べました。

東進
東進では、1コマ90分の授業を2コマまで無料で体験できます。当日はガイダンスによって受ける授業を決定し、校舎を見学した後、体験授業を受けます。希望があれば個別相談も可能です。公式サイトの申し込みフォームから申し込みましょう。
河合塾
2020年12月現在、河合塾では入塾説明会を開いておらず、個別相談のみ対応しています。ただし、河合塾の大学受験科(浪人生向け)では、個別相談をした人は、通常の入塾金7万円のところ3万5000円となる特典が受けられます。こちらのページから予約することが可能です。
一方、体験授業は多く開講されています。こちらのページで学年と地域を選択し、受けたい講座を選びましょう。
駿台予備校
駿台で開催されている説明会や体験授業はこちらのページで検索でき、WEB配信によって授業を体験できるものもあります。インターネット、窓口、電話のいずれかから申し込みましょう。
また、公開体験授業を受けると通常の入塾金3万円のところ1万5000円となります。その他のイベントとは申し込みフォームが異なりますので、よく確認してこちらのページから申し込みましょう。
代々木ゼミナール
代ゼミの説明会などのイベントは、「セミナー・イベント一覧」ページから検索可能です。
しかし2020年12月現在、無料体験、入学説明会、体験入学を検索してみたところ、いずれの学年・校舎でもヒットしませんでした。現在、このようなイベントの開催は見送っているのかもしれません。
代ゼミの体験授業を受けるには、現在のところ各校舎に直接問い合わせる必要があります。こちらのページから、お近くの校舎に問い合わせてみましょう。
予備校の見学で先輩たちがチェックしたポイント
最後に、予備校の見学の際に先輩たちが気を付けたポイントを見ていきましょう。当サイトが実施したアンケート調査の結果から、回答をいくつかピックアップしました。予備校選びの際に、ぜひ参考にしてみてください。

私は無料体験で、数学の教え方が分かりやすいかどうかを一番重視しました。高校で理系に進み、数学が特に苦手だったので克服したいと思ったのが入塾を希望する一番の理由だったからです。分かりやすさと同じくらい授業の雰囲気も見たいなと思っていました。いろいろな学校の生徒が集まりますが、あまり活気がありすぎるのは苦手な方なので、落ち着いて授業に参加できるか見ました。それで大丈夫そうだったので申し込みを決めました。
無料体験に参加することで、予備校の雰囲気や、授業のレベル・内容・方法などが自分にあっているかどうかを確認しました。大学受験に向けて、専門的に勉強していくことになるので、授業内容がわかりやすいかどうか、勉強方法をアドバイスしてくれるのかどうかが特に気になりましたし、それらが自分に合っているかどうかも、受験勉強を長期間続けていく上で重要でした。複数の科目の授業を無料体験することで、それらを判断しました。
どんな先生がいて、生徒たちはどんな雰囲気の中で勉強をしているのかということを一番気にして体験に行きました。雰囲気が自分と合わない場合、どんなにいい授業を受けてもなかなか身につかないのではないかなと思っていたので、とにかく周りの雰囲気と授業の雰囲気を大切にしていました。また、先生がどれくらいわかりやすく授業を教えているか、レベルが自分とあっているかを確認しました。
無料体験では、講師の講義の進め方を特にチェックしました。理由は、説明重視か?演習重視か?という事を知ることで、演習重視の私に合う講義スタイルなのかどうかを判断したいと思ったからです。校舎見学では、校舎の清潔感をチェックしました。理由は、長く通うことになる予備校なので、もし校舎が不衛生だったら勉強にも集中できないと思ったからです。
合格実績と、講師の信頼度が決め手になりました。県内でもかなり名の知れた予備校だったため、国公立大学の合格者数が多かったことに魅力を感じました。また、地方の予備校であるにもかかわらず、東京の大手予備校に籍を置いている講師の方を数多く招聘して授業が行われていると知り、授業の質も申し分なさそうだと思いました。親からせっかく高いお金を出してもらうので、自分が頑張るのは当然のことですが、上記の2つは学力やモチベーションに直結すると考えたので重視しました。
まずは落ち着いた環境でしっかり学ぶことが出来るのかをしっかりチェックしました。授業の教室はもちろんですが、自習室などもチェックしました。また、無料体験会ではどんな授業をどういう風に進めていかれるのか、そして先生が生徒を置いていっていないかというところを見ました。私は、先生によってその教科が好きになったり嫌いになったり、得意になったり不得意になったりするタイプだったので、この先生の下で授業を受けて、頑張れるのかというのは重要なポイントだったと思います。
先生方の熱心さや教室の広さや数、貸し出している参考書や赤本の量や進路指導が充実しているかどうかを気にしました。特に重要視したのは自習室です。机の広さや照明の色、椅子が堅くないかなどもチェックしました。あとは、大学生のチューターさんが、分からない勉強を教えてくれるだけでなく大学生活についてや、近い目線で受験のアドバイスをしてくれたのでチューターさんがいるかどうかも気にして良かったと思います。
合格大学や、高校のOBOGがどの大学に受かっているか確認しました。それから、出身高校より低い偏差値の子がどのくらいの大学に受かっているかも確認し、伸び代がどのくらいあるか、確認しました。あとは、自習室がどのくらいあるか、スクールの立地、例えば近くに軽食を食べられるようなファストフード系のお店やスーパー、コンビニがあるかどうかも重要なポイントです。通っている生徒の質、チャラチャラした感じはないかもも見ました。