大学受験の勉強法はさまざまです。塾・予備校や塾に通う人もいれば、参考書・問題集を使って独学で合格する人もいるかと思います。そのため、実際に受験勉強を始めるとなると、「塾・予備校に通うべきか、参考書・問題集で勉強すべきか」「塾・予備校と参考書・問題集での独学、どっちが自分に合っているのだろうか」と、迷う方もおられるのではないでしょうか。
今回の記事では、塾・予備校での勉強と参考書・問題集を使った独学について、それぞれのメリット・デメリットを解説します。合わせて、塾・予備校比較ナビが調査した過去のアンケート結果や口コミなども紹介しますので、どのような方法で勉強を進めようか迷っている方はぜひ参考にしてください。
塾・予備校派と参考書・問題集派、どっちが多い?
塾・予備校に通う人と参考書で勉強する人は、どちらが多いのでしょうか。
塾・予備校比較ナビでは、大学・大学院を卒業・修了した25歳~44歳の社会人にアンケート調査を実施し、1266人の有効回答を得ました。
同調査では、「塾・予備校」と回答した人は43.3%でした。一方、「市販の問題集・参考書」と答えた人も約半数の44.5%となり、予備校に通っていた人とほぼ同じ割合でした。
ただし、このアンケートは複数回答可であったため、塾・予備校と参考書・問題集の両方を併用して勉強したという人が一定数いると思われます。
予備校や塾に通うメリット・デメリット
それでは、予備校や塾に通うメリットやデメリットはどのようなものでしょうか。
予備校や塾に通うメリット
まず、予備校や塾に通うメリットは、受験のプロによる授業・指導を受けられることです。志望校に合格するためには、短い準備期間で効率的に勉強し、学力を上げなければなりません。入試傾向も大学によって異なるため、志望校に合わせた勉強が必要となります。塾・予備校に通って受験のプロによる質の高い授業・指導を受ければ、志望校の合格に必要なノウハウを効率良く身に付けられ、短期間で学力を高めることができます。
次に、受験に向けて勉強のペースを保てることもメリットとして挙げられるでしょう。塾・予備校では、受験本番に向けてカリキュラムが組まれており、しっかりとした学習計画が立てられています。それに合わせて勉強することで、必要な内容を計画的に学べます。
さらに、進学や学習について相談できるのも大きなメリットです。受験生としては、「この志望校で良いのか?」「この勉強方法で良いのか?」と迷ってしまうことも少なくありません。塾・予備校に通っていれば、そういうときも受験のプロに相談し、意見を聞くことができます。プロのアドバイスは、精神的な支えにもなるでしょう。
加えて、自習室が使えるというメリットもあります。学校や自宅では勉強がはかどらないときや、気分を変えて勉強したいとき、自習室は最適な学習場所となります。静かな整った環境で、集中して勉強に取り組めます。同じ志をもった学生が勉強している姿を見て、刺激を得ることもできるでしょう。
予備校や塾に通うデメリット
それでは、何が予備校や塾に通うデメリットなのでしょうか。
まず、塾・予備校に通うデメリットの筆頭は、授業料が高いことです。塾・予備校にもよりますが、1年間塾・予備校に通う場合、約100万円の学費が必要です。家庭によっては、経済的に厳しくなることもあります。
また、時間や場所の制約があることもデメリットです。塾・予備校の授業は一般的に、「何時からどこで」と時間と場所が指定されています。つまり、その授業に合わせて1日の予定を決めなければなりません。そうすると、学校や部活が忙しくて通えなくなることもあります。
さらに、デメリットとして挙げられるのは、授業のレベルが合わないことがあるということです。授業が難しくてついていけなかったり、逆に簡単で時間を無駄にしてしまったりすることがあります。しっかりと自分のレベルと合うかどうかを見極め、予習復習を徹底して授業に望む姿勢が大切です。
加えて、質の高い授業やしっかりと組まれたカリキュラムのおかげで、積極的に勉強しない「受け身」な姿勢になる可能性があります。しかし、学力を上げるためには、積極的に受験勉強に取り組むことが求められます。ただ授業を受けるだけでなく、予習や復習をしたり、分からないことを聞きに行ったりする必要があるのです。
このように、塾・予備校に通うことにはさまざまなメリット・デメリットがあります。自分に合ったレベルの授業を選び、ある程度時間に余裕があって、受け身にならず積極的に学習を進められる人は、塾・予備校での勉強が向いていると言えるでしょう。
参考書や問題集を使うメリット・デメリット
次は、参考書を使って勉強するメリット・デメリットを紹介します。
参考書や問題集を使うメリット
まず、参考書を使って勉強する大きなメリットは、費用が安く済むことです。前述した通り、塾・予備校に通うと1年で100万円ほどの費用がかかります。しかし、自分で参考書を購入し勉強するのであれば、費用はそれほどかかりません。使用後の参考書を買取してくれるサービスもあるので、実質的な費用はさらに抑えられるでしょう。
次に、自分で学習進度を決められることがメリットとして挙げられます。塾や予備校であれば、講師の進める授業進度に合わせなければなりません。しかし、苦手科目や不得意分野などは、どうしても学習を進めるのに時間がかかることがあります。反対に、得意科目であれば学習時間をかける必要もありません。参考書で独学する場合、自分の学習進度に合わせて学習ペースを調節できるため、得意科目と苦手科目で学習時間のかけ方にメリハリを付けることができます。
最後に、自分の勉強しやすい時間・場所で勉強できるのもメリットです。例えば、朝一番に勉強したいという人や、部活の関係で夕方は勉強ができない人の場合、授業時間が決まっている塾・予備校に通うのは大変です。一方、参考書で学ぶのであれば、自分で勉強時間や場所を決めることができます。
参考書や問題集を使うデメリット
参考書で勉強するデメリットとしてはどんなことが挙げられるでしょうか。
まず、自分でスケジュールを立てて管理する必要があるということです。受験当日までに仕上げなければいけない科目を把握し、勉強スケジュールを自分で立てなければなりません。それだけでなく、受験本番まで自分で学習ペースを保つ必要があります。
次に、参考書で勉強するデメリットは、自分で学習環境を整えなければいけないということです。自宅で勉強がはかどらないという場合、図書館や月額制の自習室などを見つけて、集中して学べる環境を作らなければいけません。自分で参考書を比較検討しながら、自分に合った内容の本を選ばなければならないという負担もあります。
さらに、進路や学習進度について相談できる相手が少ないということもデメリットです。人間ですから、ふとやる気が出なくなったり、受験に不安を覚えることもあるでしょう。そのような状況になったとき、塾・予備校であれば受験のプロに相談して意見をもらうこともできます。しかし、参考書で勉強する場合は、何とか自分で解決したり相談相手を見つけたりするなどして、その状況を乗り越えなければなりません。受験という大変な時期に孤独感があると、より辛い気持ちになってしまうことがあります。
ですので、参考書での独学は、自分でスケジュール管理でき、学習環境が整っていて、精神的な辛さや孤独感を乗り越えて勉強に取り組める人におすすめです。
中には塾・予備校と参考書を併用しようと考えている人もいるかと思います。その場合は、塾・予備校と参考書の勉強がどちらも中途半端にならないよう、ペース配分を考えて取り組みましょう。
また、塾・予備校と参考書を併用する場合、塾・予備校の授業を単科で取るという方法もあります。つまり、必要な科目だけを塾・予備校で勉強することで、自習室やその他のサービスを利用できるようにするという方法です。詳しくは、こちらのリンクを参照してください。
みんなはどうしていた? 経験者の意見を聞いてみよう
実際、塾・予備校と参考書・問題集を併用して大学受験勉強をしていた先輩たちは、塾・予備校の方が勉強法として優れているのか、それとも参考書・問題集がいいのか、どのように感じていたのでしょうか。
30人にアンケート調査したところ、塾・予備校を重視した方がいいと考えている人が16人、参考書・問題集を重視した方がいいという人が8人、どちらも大事だと考えている人が6人という結果になりました。
塾・予備校と参考書・問題集、それぞれどのようなメリットがあるのか、経験者が語るおすすめ理由をいくつかご紹介していきます。
予備校おすすめ派の意見
断然予備校の方を重視します。その理由は、市販された参考書や問題集よりも綿密に作られているからです。
予備校では過去に出題された過去問を徹底的に調べた上で、一切無駄のない知識を盛り込んでいますので、その予備校で出された教材のみで済みます。これがメリットです。
また講師に分からないことがあれば、講義が終わった後に直接聞くことができる点もメリットが大きいです。自分で調べずに分からないことをすぐに講師に聞くことができるので、自分で調べる時間を省略することができます。
逆にデメリットは、お金がかかることです。予備校に通うとなればそれだけ余分にお金がかかりますので、その分家計負担が重く圧し掛かってくることがデメリットです。
受験する人の性格にもよると思いますが予備校に通う方が確実だと思います。参考書・問題集で勉強するだけでは「希望大学に合格する」といったモチベーションを保つことが難しいです。受け身の人ならば、塾・予備校で指導を受けながらの勉強方法の方が身に付きやすいと感じました。
また予備校などは効率よく受験勉強をするノウハウや志望校についての情報も沢山持っているので、ただ勉強を教えてもらうだけでない特典がたくさんあったと思います。やはり予備校に通って良かったと思います。
デメリットはもちろん金銭的な事です。大学の授業料1年間ほどの金額が必要なので負担にはなります。
塾や予備校を利用した方が優れている理由は二つあります。
まず一つ目は、塾や予備校は、それぞれの大学の入試問題の傾向やどのような勉強をしたら受かりやすいかなどといった対策方法などの大学受験についての情報量がとても多いです。
二つ目は、塾や予備校にはたくさん大学受験に向けて必死にがんばっている仲間がいるのでモチベーションがなかなか下がることがなく勉強を続けることができます。
塾や予備校のデメリットは、市販の参考書・問題集を利用するよりとても金額が高いということです。しかし、塾や予備校の方が合格率が高いので塾や予備校を利用する方がいいと思います。
私は、予備校の教材の方を重視して使っていました。
予備校は、講座でレベルが分かれていて、目標とする大学や、その時の自分のレベルに合っていると感じたからです。
予備校では復習テストがあったので、予備校テキストで、穴がなくなるように勉強できたのが良かったですし、先生にも予備校教材の方が質問しやすかったです。
デメリットとしては、市販の参考書・問題集の方が解説が文字になっているので読み返してゆっくり考えることができます。そこは参考書・問題集の方が良かったと思います。
塾や予備校の参考書や問題集は、過去の受験者のデータや大学の出題傾向を網羅している。一つの問題から数個の考え方に対する解説までついており、勉強の幅が広げられた印象があった。
また、塾の参考書はオリジナルであり、基礎問題から応用の難問までをしっかりと解説付きで記してある点が優れていると思った。
一方、市販の参考書及び問題集は最近の傾向や過去三年分程度の幅の解説や練習問題しかなく、応用をきかせた学びができなかったので、塾や予備校の方がいいと思った。
市販の参考書・問題集おすすめ派の意見
塾もいいと思いますが親への負担がかかるのでやめました。市販の参考書・問題集を買って過去問題を解いたりアプリでわからないところを聞いたりしていました。他にも電話で聞いたりできるものもあるので時代の流れに合っていると思いました。
市販のものはたくさん買っても塾よりは経済的に負担が減るのでいいかなと思ってます。わからない問題を重点的にやる問題集などを買うと、より自分の苦手分野を克服できると思います。いらなくなればフリマアプリで売ったりもできるし、いいと思います。
塾などに通うと、通う時間がかかるので、それが時間の無駄だと思い、市販の参考書や問題集を重視して1人で勉強していました。
ただ、塾だと効率のいい勉強の仕方を教えてもらえると思うので、勉強のやり方がわからない子は塾に行く方がいいと思います。しかし、自分のペースで好きな時間に勉強をしたい子は、市販の参考書や問題集でこつこつ勉強するといいと思います。
また、市販の参考書や問題集は多くある中から選べるので、自分に合ったものを使えると思います。
市販の参考書優先でした。予備校は当然専用のテキストを使って教えてくださるわけですが、予備校の授業は解説棒読み、それでも分かりやすいのでしょうが自分で見た方が早い。テキストの中身も予備校の授業を受けることが前提で、講師の板書やメモで補完することで使いものになる代物。だったら初めから市販の参考書でやるべきだったと思います。私は、学校の教師や友人と切磋琢磨し合いながらの受験勉強で、結果合格できました。
それと重要なのは教材もそうですが、その教材を使って誰が教えてくれるのか、過去問の添削は誰にしてもらうか、であるかと思います。学校の級友や先生が受験対策に親身であれば、学校教材や市販教材を利用しても十分だと思います。教材を介して添削を受けたり、分からない点を聞いたりすることは必須でしょう。予備校の方が人に聞きやすいなら予備校をお勧めします。
住んでいるのが田舎だったので塾までの通学がかなり難しく、市販の参考書、問題集で受験対策をしてきていました。
メリットとしては本を持っているだけで場所を選ばずに勉強することができることです。デメリットとしては、毎年とは言えないですが年々受験の傾向が変わっていき、自分の持っている参考書や問題集で追いきれないという場面もあることです。プロである塾や予備校の講師に教えてもらう方が良かったのではないかと思いました。
どちらもおすすめ派の意見
どちらが優れているというのはないと考えてます。しかしながら、両立することによって効率が上がるのかなと思ってます。
塾や予備校は先生がテキストを元にして教えてくれるのでそのメリットはあるし、わからないところは先生に聞くことができるのでそれもメリットです。
しかしながら、テキストは自分なりに勉強を進められるし先生では教えてくれない部分が記載されていたりするので、その点がメリットです。両立すると同時にメリットが受けられるので両立すべきです。
市販の参考書・問題集は、重要なポイントがまとめられていて、かなりわかりやすいので、基本は、市販の参考書・問題集を使って勉強していました。自分のわからない所を重点的に見直したり、自分のペースで勉強を進められるところがメリットだと思います。
しかし、自分のペースで進められることは、怠けやすくもなってしまうため、怠けないように、塾の自習室を積極的に利用していました。自習室には先生がおり、人の目がある中で集中しやすかったです。
また、市販の参考書・問題集でわからないところを、塾で質問したりしていました。対面で質問できるところも塾のメリットだと思います。
塾・予備校では、質の高い授業が受けられます。また、自分なりの解釈ではなく、受験のプロから教わるので試験のポイントを公平に理解することができます。ただ、質の高い授業(実績のある大手予備校など)ほど費用がかさむのがデメリットだと思います。
市販の参考書・問題集は、値段が格段に安いのがメリットです。そのため、試験での配分が少ない科目や、特に重点的に演習しておきたい分野には、市販の参考書・問題集が適しています。ただ、書いてあることのうち、どれが重要なのかを無意識に自分で選別してしまい、「ここも試験に出るの⁈」といった現象が生まれやすくなります。