予備校の単科講座って何? 通常コースとの違いや費用、自習室の利用について解説!

志望校合格に向け予備校へ通うとなると、やはり気になるのが費用です。予備校によっても異なりますが、1年間通学した場合、100万円前後かかるといわれています。決して安くない金額のため、無駄な費用は払いたくないといった人もいるでしょう。

そこで今回紹介するのが「単科」というシステムです。

予備校によっては通常のコースとは別に、単科と呼ばれる科目ごとに授業を選べるシステムがあります。単科は通常のコースに比べて費用が安く済むことなどから単科で授業を受講する受験生もいます。

今回は、単科で授業を受講する場合のメリットやデメリットを中心に、単科で授業を受けることのできるおすすめの予備校を紹介します。予備校にかかる料金をなるべく抑えたいという人はぜひ参考にしてください。

単科の意味・費用について

上記の通り、単科とは科目ごとに1つずつ授業を選んで受けることのできるシステムです。

予備校に入学すると、学生の実力や志望校に合わせた「コース」や「カリキュラム」に沿って勉強を進めるのが一般的です。つまり、受験に必要な複数の科目を自動的に受講することになります。

一方、単科であれば、苦手科目の克服といった目的に合わせて、特定の科目に絞って受講することができます。特に受験科目の少ない私立大学のみを志望する場合は、必要な科目のみを単科で受講するのもよいでしょう。

単科で受講すれば、当然、費用を大きく抑えることもできます。下記の表は、ある大手予備校でコースを受講した場合と単科のみを受講した場合の料金の比較です。


3講座コース単科
入学金1万6500円1万6500円
学費34万3000円8万4000円

この予備校の場合、コースでの受講には春期・夏期・冬期直前などの長期休み中の講習会受講料も含まれており、全体的には割安になるように料金設定されているようです。しかし総額で見ると、3講座コースで受講する場合は36万円近くかかるのに対して、単科で受講すれば10万円ほどで済みます。

このように、コースで学ぶ場合と単科で学ぶ場合では、総額に大きな差が出ることも珍しくありません。そのため、無駄な費用は払いたくない、費用を抑えたいといった場合には、単科での受講は有力な選択肢となるといえます。

単科で受講する場合のメリット・デメリット

単科で受講するメリット

先述した通り、単科で授業を受講する場合の最大のメリットは、費用を大幅に抑えることができる点でしょう。さらに費用面以外にも、以下のようなメリットがあります。

1. 講師を選ぶことができる

通常のコースの場合、基本的には授業がカリキュラム化されているため、受講できるのは決められた授業となり、講師を選ぶことはできません。一方単科であれば、どの講師の授業を受けるかを自分で決められます。また、必要に応じて同じ科目で複数の講師の授業を受けることも可能です。

2. 自分の学習進度に合わせて勉強しやすい

通常のコースの場合、受けることになる授業はあらかじめ決まっていることが多いでしょう。そのため、授業のレベルが自身の学力に合わないと感じても、決められた授業を受ける必要があります。一方、単科の場合は、さまざまなレベルの授業が用意されていることが多く、得意科目はハイレベル、苦手科目は基礎レベルといったように自分の学習進度に合わせて授業を選択することができます。

3. 単科生でも自習室を使える予備校がある

予備校によっては、通常のコースを受講していなくても自習室の利用ができる場合があります受験生にとって、快適な空間で勉強できることは大きなメリットです。また自分以外の受験生がいる場で勉強に取り組めることも精神的な助けになります。

4. 単科生でもさまざまなサポート・サービスを受けられる予備校もある

単科生は、通常のコースを受講する生徒、いわゆる本科生ほど手厚いサポート・サービスは受けられないことが一般的です。しかし、予備校によっては単科生であっても担任がついたり、個人面談や進路指導、ICT教材の利用などが可能な場合があります。受験に関する不安をできるだけ解消したい人は、サポート・サービスが充実している単科講座を設置している予備校を選ぶとよいでしょう。

5. 生活や勉強のリズムを整えることができる

特に浪人生などの場合、塾・予備校に通わず一定の生活リズムを保ちながら一定のペースで勉強を進めていくことは簡単ではありません。一方で、塾・予備校の通常コースを受講することが金銭的に難しい場合もあります。このような場合、単科で授業を受けることで勉強のリズムを整えながら、安い費用で学習を進めていくことができます。

単科で受講するデメリット

単科で受講することで前述したようなメリットを得ることができますが、その一方でデメリットがあるのも事実です。ここでは単科で受講する際のデメリットについて解説します。

1. 自分で受験全体のスケジュール管理を行う必要がある

通常のコースでは、既に受験までの全体スケジュールが組まれています。そのため、予備校のスケジュール通りに受講していれば受験に間に合うように学習を進めることができます。しかし、単科で受講する場合、予備校での受講科目は講座のスケジュールに沿って学習を進めることができますが、受講していない科目については自分で学習計画を立てて学習を進めていく必要があります。

2. 自習室が使えない場合がある

予備校によっては、本科生のみ自習室が利用できて、そのほかの単科生などは利用できない場合があります。また、単科生は受講日にしか自習室の利用ができないこともあるので注意が必要です。

3. 学割や通学定期が使えない場合がある

予備校によっては、単科生には学割や通学定期を発行していない場合があります。そのため、遠方から通学する場合には余分に交通費がかかってしまいます。

単科での受講が可能な予備校を紹介!

それでは、単科で授業を受けることのできる予備校をご紹介します。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

現役東大合格者数No.1の東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は、講師陣の高い実力と入試傾向を捉えた的確な授業で有名な予備校です。

東進では、志望校に合格するために必要な年間講座をセットで申し込む志望校通期ユニットのほかに、1講座ずつ申し込む通期講座(単科)があります。通期講座の特徴は、何といっても「高速学習」です。通常週1回の授業で1年かけて学ぶ内容を、最短2週間~3カ月以内で集中して学び終えるため、いち早く学力基盤を整えて志望校対策に取り組めます。

ここからは東進の入学料と授業料について解説します。

入学金3万3000円
通期講座費用(単科)
90分×全20回
7万7000円

このほか、東進では単科生に対しても担任・副担任による学習指導や模試を利用した学習計画の修正などのサポート体制が充実しており、こうしたサービス料として担任指導費と模試費を徴収しています。

担任指導費
(年度ごと)
高3生:7万7000円
高2生以下:4万4000円
模試費
(年度ごと)
受験生:2万9700円
高2生:1万4850円
高1生・高0生:1万2650円

また、単科しか受けていない学生でも自習室の利用が可能です。

自習室の設備は校舎によってさまざまで、全席にパソコンが設置されており1席ごとにパーテションで区切られている校舎もあれば、一般的な教室のように座席が並べられ、周囲の様子がよく見えるようになっている校舎もあります。また、音読をして勉強をしたい人のために音読部屋がある校舎もあります。

東進の自習室は、基本的には校舎の開館時間内であればいつでも利用可能です。ただし、各校舎によって開館時間やルールに違いがあります。自習室を利用したいと考えている人は、お近くの校舎に問い合わせてみましょう。

なお、浪人生の場合も単科の授業を受けることができますが、授業が開講している校舎が限られてくるため、あらかじめ公式ホームページなどで確認することをおすすめします。

代々木ゼミナール

大手予備校の1つである代々木ゼミナールは、バラエティに富んだ講座で人気の予備校です。さまざまなレベルや内容の授業を行っていることから、自分に合った内容の授業を選ぶことができます。

代々木ゼミナールでは、高校1~3年生および高卒生に向けた単科ゼミがあり、1講座から受講可能です。大学別・共通テスト対策や講師オリジナル講座など授業の種類が多いため、レベル別・志望大学別・目的別に自分に最適な講座を選べます。

代々木ゼミナールの単科ゼミにかかる主な料金は以下の通りです。

●入学金:1万6500円

●学費(高校1~3年生)

高校1・2年生
90分×週1回 
第1学期(全12回):4万8000円
第2学期(全12回):4万8000円
第3学期(全5回):2万円
高校3年生
90分×週1回
第1学期(全12回):4万2000円
第2学期(全12回):4万2000円
高校3年生
90分×週2回
第1学期(全12回):6万8400円
第2学期(全12回):6万8400円
高校3年生
60分×週1回
第1学期(全12回):2万8200円
第2学期(全12回):2万8200円
高校3年生
第3学期オプション
2万円

●学費(高卒生)

90分×週1回第1学期:4万2000円
第2学期:4万2000円
(大学受験科生 優待授業料:第1学期・第2学期 各2万1000円)
90分×週2回第1学期:6万8400円
第2学期:6万8400円
(大学受験科生 優待授業料:第1学期・第2学期 各3万4200円)
共通テスト理科基礎講座
(60分×週1回)
第1学期:2万8200円
第2学期:2万8200円
(大学受験科生 優待授業料:第1学期・第2学期 各1万4100円)

また、単科生であっても自習室を利用できるのが特徴です。利用可能日、時間帯は校舎によって異なりますが、基本的には開校時間帯であればいつでも利用できます。本部の代ゼミタワーにある専用自習室は私語厳禁で、前面と左右に仕切りが設けられた個別ブースがズラリと並んでおり、適度な緊張感を感じながら集中して学習に取り組める環境となっています。

専用自習室のほかに開放自習室も設けられており、開放自習室が満員の場合には空き教室の追加開放も行われます。「家で勉強が進まない」「静かな環境で勉強したい」といった方には抜群のサポート体制だといえます。

さらに、学習・進路相談のサポートもあります。一人で勉強に行き詰まったときや志望校について相談したいときには、チューターが相談に乗ってくれます。

ただし、高卒生が単科で受講する場合は、現役生と違って自習室は受講日にしか使えないという制約があるようです。また、自習室の図書の貸出や閲覧ができないという点にも注意が必要です。

駿台予備学校

大手予備校の駿台予備学校は、塾・予備校比較ナビの2022年現・浪計合格者数ランキングにおいて、東大合格者数トップに輝いた実績を持つ実力派予備校です。集中力を切らさず授業に取り組めるよう、1限50分の短時間集中型の授業を行うことでも知られています。

そんな駿台予備学校では、一人ひとりに合わせた分野・レベル・志望校別集中授業として、特設単科講座が設置されています。2次・私大対策や論述対策、志望校別の対策講座まで幅広く設置されており、目的に合った講座を選択できるのが特徴です。また、丁寧な添削・個別指導を受けることもできます。

それでは、駿台の特設単科講座にかかる料金を見てみましょう。

オリジナル講座
(入試デッサン講座を除く)
50分×44回
13万5000円
オリジナル講座
(入試デッサン講座)
50分×24回
7万3600円
論文対策講座
50分×48回
17万5200円
(演習テスト添削料込)

駿台予備学校には、授業で使用しない部屋を自習室としている開放自習室と、個別ブースが設置されている専用自習室があります。特設単科講座を受講する場合、開放自習室は講座受講期間中いつでも、専用自習室は講習受講日のみ利用できます。利用可能時間は、多くの校舎で朝8時10分から21時までとなっています。詳しくは、各校舎に問い合わせてみましょう。

ただし、特設単科講座は基本的には高卒生向けで、基本的にはコース制を推奨しているため、講座数はあまり多くないようです。

四谷学院

「科目別能力別授業」と「55段階個別指導」という独自の指導法を持つ四谷学院。これによって、一人ひとりの学力に合わせて理解力・解答力を高めていくことができます。

四谷学院では、高卒(浪人)生コースのみ「特設ゼミ・単科ゼミ・55オプション」というオプションが用意されています。単科で取ることができるゼミには、「小論文単科ゼミ」「55医系小論文」「ゼロからゼミ(英語)」「基礎からの理数演習ゼミ(数学・物理・化学・生物)」があります。

ただし、これらはあくまでオプションです。単科ゼミだけで1教科のみを受講することはできません。高卒生コースのうちいずれかのコースを受講したうえで、追加で取ることができる仕組みです。そのため、四谷学院で単科ゼミを取るためには、次のような料金がかかります。

●入学金:10万円

●高卒生コース 授業料
(4月から年間で受講、一括で全納し、交通費補助金5万円引きが適用された場合)

国公立64万7000円〜68万8000円
私立63万8000円〜65万9000円

●諸経費

国公立8万4800円
私立7万9800円

●単科ゼミ 授業料

小論文単科ゼミ全20回(週1コマ)5万9400円
55医系小論文全22回(週1コマ)5万9400円
ゼロからゼミ(英語)全36回(週2コマ)7万9200円
基礎からの理数演習ゼミ数学総合(数ⅡB中心)全14回(週2コマ)3万6400円
基礎からの理数演習ゼミ数Ⅲ全14回(週2コマ)3万6400円
基礎からの理数演習ゼミ物理(理系用)全22回(週1コマ)5万7200円
基礎からの理数演習ゼミ化学(理系用)全22回(週1コマ)5万7200円
基礎からの理数演習ゼミ生物(理系用)全22回(週1コマ)5万7200円

四谷学院で単科ゼミを受けようとする場合、単科の授業料以外に最低でも80万円以上かかります。料金を抑える目的で単科講座を探している方は注意が必要です。

なお、四谷学院に通うメリットとしては、机・椅子から照明・カーペットに至るまで、快適さを追求したホテルライクな自習室を利用できる点が挙げられます。平日・土曜は8時半から21時まで、日曜日は10時から18時半まで、待ち時間なしでいつでも利用できます。

また、サポートの手厚さも、四谷学院の大きな魅力の1つです。進路指導のプロである受験コンサルタント、科目別能力別授業と55段階個別指導のダブル・ティーチャーズのトライアングルサポートシステムにより、安心して受験勉強に励めます。

Z会の教室

Z会の教室は、Z会グループが運営する学習塾です。Z会グループには通信教育・教室・書籍といった手法を通じて90年にわたって積み上げてきた教育ノウハウがあります。特に通信教育教材には定評があり、難関大学の受験者から支持されてきました。

Z会の教室のWebサイトを見ると、「絶対、難関大学合格宣言」というキャッチコピーが記されています。Z会は思考力や論述力に重きを置いた指導を長年続けており、答案に対してしっかりと添削して指導することで、難関大学の試験を突破するための学力を育ててくれます。長年の指導経験が凝縮されたオリジナルテキストも、質の高さが高く評価されています。

そんなZ会の教室は、もともとコースが用意されておらず、1講座ずつ授業を取っていくスタイルです。そのため、単科で受講したいと考えている方におすすめの予備校だといえます。

受講料は1講座あたり・月度ごとに支払う仕組みです。学年や地域によって、受講料は異なります。以下に、例として、首都圏の高3生・受験生向けのZ会東大進学教室/Z会進学教室 大学受験部(2023年度「本科2期」)の料金を挙げます。

●入会金:1万7000円

●本科受講料(クラス授業・映像授業共通)

授業が3回の月授業が4回の月
120分講座1万5900円2万1000円
240分講座3万1800円4万2000円

本科の講座を2講座以上取ると、講座数に応じて割引され、お得になります。

単科での受講であっても、しっかりとしたサービスが受けられる点もうれしいポイントです。授業の空き時間には担当講師へ自由に質問できるのに加えて、定期的な「学習ガイダンス」や個別面談、大学別入試研究会を実施しており、受験をサポートしてくれます。

また、個別ブース型や教室型の自習室も完備しており、自習室が満席の場合は、空き教室を自習室として開放してもらえます。利用可能時間については、各校舎に問い合わせて確認してみましょう。

まとめ

「志望校合格に向けて予備校に通いたいけど費用は抑えたい」「自分の苦手な科目だけを受講したい」という方に向けて、単科で授業を受ける方法を紹介しました。

単価での受講は、費用を抑えることができる点や必要な科目だけを受けることができる点がメリットだといえます。その一方で、自身で受験本番に間に合うよう学習スケジュールを管理する必要があります。

今回解説したよい面と悪い面を考慮しながら、単科受講が自分に合うかどうか検討してみるとよいでしょう。

予備校の費用を抑える方法をほかにも知りたい場合は、予備校の費用のチェックポイントや費用の抑え方の記事も参照してください。