大学の学費ガイド! 必要な費用を把握して受験に挑もう

近年、多子世帯を対象とする「大学授業料の無償化」が話題になる一方、国立大学の学費値上げの是非が議論されるなど、大学の学費は大きな注目を集めています。決して安い金額ではないため、大学進学を考える高校生や保護者の多くは、費用面で不安を抱えているのではないでしょうか。

しかし、きちんと費用を把握して準備することで、その不安を軽減し安心して受験に挑みやすくなります。この記事では大学で必要となる費用の内訳から、学費を軽減する方法まで詳しく解説します。 

大学受験から卒業まで、大学にかかる費用の基本構造

では、大学に必要な費用とその内訳を見ていきましょう。

大学生活に必要な費用を把握しよう

大学受験から卒業まで、大学生活で必要となる主な費用は、以下の3つです。

  • 受験料:大学を受験する際に必要な費用
  • 入学金:入学時に一度だけ支払う費用
  • 年間授業料:毎年支払う必要がある費用

これらの費用は、大学や学部によって大きく異なります。特に、国立大学と私立大学では、費用の差が顕著です。

学費以外にかかる費用

学費だけでなく、大学生活を送る上で以下のような費用も必要となります。

  • 生活費(食費や家賃など)
  • 交通費(大学までの定期代など)
  • 教材費(授業で使用する教科書など)
  • 課外活動費用(部活やサークル、ゼミなど)
  • 留学費用(希望する場合)

こうした学費以外の費用も含めて総合的に考えることが、大学生活の計画を立てる上で重要です。

学費の内訳はどうなっている? 詳細に解説

大学の学費と一口に言っても、実はいくつかの費用に分けられます。ここからは、学費の内訳を見ていきましょう。

受験料と入学金

受験料について

大学を受験するには、試験ごとに受験料(入学検定料)を支払う必要があります。

国公立大学への進学を目指す場合、一般的に大学入学共通テストと各大学の2次試験の受験が必要です。そのため、大学入学共通テストの受験料として1万8000円(3教科以上受験の場合)、国公立大学の2次試験の受験料として1万7000円、計3万5000円の受験料が必要となります。

私立大学への進学を目指す場合、1試験あたりの受験料は3万円~3万5000円(医歯学部等除く)程度です。注意してほしいのは、併願で複数の学校・学部を受験する場合、その分受験料が必要だということです。たとえば併願校2校で計5つの試験を受験する場合は、受験料だけで15万円~17万5000円ほど用意しなければなりません。

入学金について

国立大学の入学金は文科省により標準額が定められており、28万2800円となっています。私立大学の入学金の平均は、26万円ほどです。ただし学部により異なり、医歯学部の入学金は100万円を超えることもあります。

授業料と施設費

授業料について

国立大学の授業料は、文科省により標準額が定められており、年間53万5800円です。ただし標準額の20%を上限に各大学の判断で授業料を決めることもできます。

2024年現在、以下の大学では標準額を上回る授業料が設定されています。

  • 東京工業大学
  • 東京藝術大学
  • 千葉大学
  • 一橋大学
  • 東京医科歯科大学
  • 東京農工大学

私立大学の授業料は、学部によって差が大きいのが特徴です。私立大学の授業料の平均は年間100万円ほどですが、その内訳を見ると、文系学部で約80~85万円、理系学部で約100~120万円、医歯系学部で約270~300万円となっています。

施設費

私立大学では、授業料とは別に施設費を徴収するケースが多くあります。金額は大学によって異なりますが、年間10万円〜30万円程度が一般的です。

学費の支払い期限は?

多くの大学では、学費の納付を前期と後期に分けて行っており、前期の納付期限を4月〜5月まで、後期を10月~11月ごろまでに設定しているところが多いです。

ただし、大学によって納付時期や回数が異なる場合もあるので、いつ払うものなのか、しっかりと確認しておきましょう。

その他の費用

  • 生活費

生活費については、実家暮らしか一人暮らしかでも大きく異なります。全国大学生活協同組合連合会が2024年に実施した「学生生活実態調査」では、大学生一人暮らしの生活費の月平均は約12万8000円でした。また、仕送りの月平均は約7万円という結果が出ています。

  • 交通費

学校内の寮に住む・徒歩圏内に住むといった場合を除いて、大学に通う電車・バス等の交通費がかかります。同じく「学生生活実態調査」によると、大学生の交通費の月平均は約4400円とのことです。

  • 教材費

授業で使用する教科書やパソコンを購入する必要があります。全国大学生活協同組合連合会が2024年に実施した実施した「保護者に聞く新入生調査」によると、入学までに約20~30万円の教科書・教材購入費用がかかったという結果が出ています。

大学の教科書は専門書であることが多く、1冊当たりの単価が高めです。加えてパソコンを必須とする大学も多いため、どうしても高額になりがちです。

  • 課外活動費用(部活やサークル、ゼミなど)

部活動やサークルに所属していると、物品購入や合宿参加費等に費用がかかることがあります。

  • 留学費用

留学先や期間によって大きく異なりますが、1ヶ月程度の短期留学で約50~60万円、1年ほどの語学留学では約200~300万円かかります。

学費を軽減する方法

大学の学費は決して安くなく、「まとまったお金を用意するのは難しい」という方もいるでしょう。こうした場合は、奨学金や授業料免除制度等の利用を検討しましょう。

奨学金

奨学金は、学生の学費負担を軽減する重要な支援制度です。主な奨学金には以下のようなものがあります。

  • 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金

返済不要の「給付型奨学金」や、貸与型の奨学金「第一種奨学金(無利子)」、「第二種奨学金(有利子)」などがあります。

  • 大学独自の奨学金

独自の奨学金制度を設けている大学もあります。多くの場合、成績優秀者や経済的に困難な学生を対象としています。進学希望の大学に奨学金制度があるか、一度調べてみてください。

  • 民間団体の奨学金

企業や財団が提供する奨学金もあります。奨学金は返済が必要なものと、返済不要なものがあります。

どの奨学金も、申し込み時期や条件をよく確認し、計画的に利用することが大切です。

学費免除や減額制度

2020年4月から始まった「高等教育の修学支援新制度」、いわゆる「大学の無償化」についても解説します。

同制度は、学ぶ意欲はあるものの経済的に困難な状況にある学生のために始まったものです。世帯収入の基準を満たしていれば、誰でも支援が受けられます。

支援内容は、入学料・授業料の免除・減額と給付型奨学金の支給です。この制度における大学別の支援内容は、下記の通りです。

大学の区分国公立大学私立大学
免除・減額される入学料・
授業料の上限(年額)
約82万円約96万円
支給される給付型奨学金(年額)約80万円
(自宅外生の場合)
年間約91万円
(自宅外生の場合)

同制度の他にも、多くの大学では学費の免除・減額制度があります。学費全額が免除される「全額免除」、学費の半額が免除される「半額免除」、学費の一部が免除される「一部免除」など、さまざまです。志望校の学費免除・減額制度についても、しっかりと調べておきましょう。

教育ローン

奨学金や学費免除制度を利用してもなお資金が不足する場合は、教育ローンを利用する手もあります。

主な教育ローンには以下のようなものがあります。

ローンの種類特徴
日本政策金融公庫の「教育一般貸付」・比較的低金利で借りられる
・学生本人ではなく保護者が借り入れる
民間金融機関の教育ローン・各銀行やクレジットカード会社が提供
・金利や返済期間が様々なので、比較検討が必要

ただし教育ローンを利用する際は、返済計画をしっかり立てることが重要です。

まとめ

大学での学びは、将来への重要な投資です。費用面での不安を解消し、充実した大学生活を送れるよう、しっかりと準備を整えましょう。そうすることで、安心して受験に挑み、夢の実現に向けて前進できるはずです。親子できちんと相談した上で、早めに学費を準備して、安心して受験できるようにしましょう。

関連記事