総合型選抜の合格率は? 本当に「ほぼ受からない」? 合格のための対策も解説

大学入試には、一般選抜、学校推薦型選抜(旧推薦入試)、総合型選抜(旧AO入試)があります。中でも総合型選抜は、多くの大学が積極的に募集枠を広げており、志願者数も増えているということで、今注目を集めている選抜方式です。

本記事では、総合型選抜の特徴や平均倍率、選ばれる基準、総合型選抜に向いている人、受かる人の特徴、受かるための対策方法について解説した上で、主要大学における総合型選抜の合格率を紹介します

総合型選抜の特徴は?

総合型選抜とは、面接などを通じて受験者の能力・適性や学習意欲などを総合的に評価する選抜方式のことです。一般選抜と比べると、学力試験の成績の比重は低くなります。また、高校の学業成績(評定平均)の提出を課す大学もありますが、学校推薦型選抜と比べると、評定平均は大きく影響せず、出身高校の校長の推薦も必要ありません。そして、基本的には専願制であることも総合型選抜の特色の1つに数えられます。

総合型選抜の選考方法は大学によってさまざまです。多くの大学は書類審査のほか、面接、小論文などを課します。模擬講義やセミナーへの参加後、筆記試験やグループディスカッションなどを実施する大学もあります。体育系や芸術系の学部は、実技試験を課すことが一般的です。

なお文部科学省の調査によると、2023年度に総合型選抜で大学に入学した人の割合は、全体の14.8%となっています。

総合型選抜と学校推薦型選抜の違い5つ

総合型選抜に似ている選抜方法として、学校推薦型選抜が取り上げられることがあります。しかし、総合型選抜と学校推薦型選抜を混同していると、適切な対策に乗り出すのが遅れてしまう恐れがあるため、両者の違いを押さえておく必要があります。

先ほど軽く触れましたが、総合型選抜と学校推薦型選抜の主な違いとしては、次の5点が挙げられます。

学校長の推薦が必要か否か

学校推薦型選抜には、条件を満たせば誰でも出願できる「公募推薦」と、大学が認めた高校の生徒だけが出願できる「指定校推薦」とがあります。いずれの場合も、学校長の推薦を得る必要があります。

一方、総合型選抜は、学校長の推薦を得なくても挑戦できることが一般的です。

評定を重視するか否か

学校推薦型選抜では、「評定平均4.0以上」など、出願資格として高レベルの評定を求められることが多いです。

一方、総合型選抜では、難関大学を除けば、評定はさほど重視されない傾向にあります。ただし、総合型選抜においても、一般的に評定が高い方が有利になるため、気を抜かない方がいいでしょう。

評価するポイント

学校推薦型選抜では、高校での学業成績や課外活動の実績などが評価される傾向にあります。

一方、総合型選抜では、大学が掲げるアドミッション・ポリシーにマッチする人物であるかどうかが総合的に評価されます。

選考方法は似ているけれど……

総合型選抜と学校推薦型選抜はいずれも、書類審査や小論文、面接を主な選考方法として採用しています。

しかし、総合型選抜の選考方法は学校推薦型選抜と比べてさらに特色が強く、グループディスカッションやグループワークなどを取り入れている大学もあります。

選考スケジュール

学校推薦型選抜の選考は、国公立大学では11~12月ごろ、私立大学では10~11月ごろに実施されることが多いです。

一方、総合型選抜の選考は、国公立大学、私立大学ともに10~11月ごろに実施されることが一般的です。

ただし、大学入学共通テストを利用するか、総合型選抜の出願前にエントリーが必要かどうかによって選考スケジュールは大きく左右されるため、注意してください。

総合型選抜の平均倍率はどれくらい?

旺文社の調査によると、2024年度の学校推薦型・総合型選抜の平均倍率は、国立大学では2.5倍、公立大学では2.1倍、私立大学では2.2倍となっています(国公立大学はセンター試験免除)。

同年度の一般選抜の平均倍率が、国公立大学が4.3倍であることと比べると、総合型選抜の平均倍率は低いと言えます。

総合型選抜で重視されるのは?

ほとんどの大学・学部は、総合型選抜の基準としてアドミッション・ポリシーを掲げています。

アドミッション・ポリシーとは、各大学・学部が入学者の受け入れ方針を記したものです。アドミッション・ポリシーを読むことで、大学が学生に求める資質や能力を知ることができます。

アドミッション・ポリシーを読む限り、総合型選抜では大抵の大学において、学力だけでなく、課外活動や資格、人間性などを含め、多面的に評価されます。とはいえ、相応の学力のある人物を求めていることは忘れてはいけません。

総合型選抜に向いている人の特徴

総合型選抜に向いているのは、大学・学部が掲げるアドミッション・ポリシーに深い理解があり、かつ、マッチしている人です。

ボランティアなどの課外活動や研究活動の実績がある人、大学の求める資格を取得している人、「これだけは誰にも負けない」と思える個性がある人、将来の明確なビジョンがある人などは、総合型選抜の対策もスムーズに進められるでしょう。

もちろん、大学・学部が設けた学力基準に達している必要もあります。

総合型選抜の対策、何をすべき?

総合型選抜を突破するための対策としてまず行うべきことは、自己分析です。アドミッション・ポリシーをよく読み、大学で学びたいことや志望理由などを明確にしておきましょう。

課外活動に積極的に参加したり、資格を取得したりするなど、大学が求める人物像に近づくための努力も必要です。また、どの教科のどの授業もおろそかにせず、定期テストで高得点を目指し、なるべく良い成績を修めることも大切です。

総合型選抜の2次試験で課される面接や小論文などの対策も、早いうちから取り組んでおくことをおすすめします。高校や予備校に相談し、協力してもらいましょう。

主要大学の総合型選抜の合格率は?

総合型選抜の合格率は、大学・学部によって異なります。当然ながら、人気の難関大学・学部の合格率は低めです。しかし、一般選抜の合格率と比べると、総合型選抜の合格率の方が高い大学・学部もあります。

ここでは、主要大学における総合型選抜の合格率を、一般選抜の合格率とともに紹介します。

国公立大学

文部科学省の資料によると、国公立大学では、総合型選抜を採用する大学が増えており、募集人員も年々増加しています。つまり、総合型選抜を選ぶことで合格により近づける大学が増えているのです。

次に、国公立大学で総合型選抜を採用している大学から、北海道大学・東北大学・東京工業大学・京都大学を取りあげ、それぞれ2つの学部について、2024年度の総合型選抜と一般選抜の合格率を紹介します。

なお、基本的に「合格者数÷受験者数×100」によって実質合格率を記載していますが、受験者数を公表していない大学については、「合格者数÷志願者数×100」で計算しています。

北海道大学


総合型選抜(フロンティア入試)の合格率一般選抜の合格率
理学部28.6%
(合格者数:40/志願者数:140
TYPEⅠとTYPEⅡの合算)
21.5%
(合格者数:55/受験者数:256
※後期日程)
医学部22.2%
(合格者数:6/志願者数:27
TYPEⅠ)
39.5%
(合格者数:260/受験者数:659
※前期日程)

※前期日程の「総合入試理系」の数は除く。

東北大学


総合型選抜(AO入試)の合格率一般選抜の合格率
薬学部33.8%
(合格者数:26/受験者数:77
AO入試Ⅲ期)
29.0%
(合格者数:60/受験者数:207)
工学部33.8%
(合格者数:240/受験者数:711
AO入試Ⅱ期・Ⅲ期合算)
40.4%
(合格者数:619/受験者数:1531)

東京工業大学


総合型選抜の合格率一般選抜の合格率
工学院50.7%
(合格者数:34/受験者数:67)
25.0%
(合格者数:317/受験者数:1266)
情報理工学院75.0%
(合格数:18/受験者数:24
一般枠・女子枠を合算)
20.7%
(合格者数:115/受験者数:555)

京都大学


総合型選抜(特色入試)の合格率一般選抜の合格率
総合人間学部9.8%
(合格者数:4/志願者数:41)
30.1%
(合格者数:119/受験者数:395
文系・理系を合算)
文学部23.8%
(合格者数:10/志願者数:42)
34.1%
(合格者数:211/受験者数:619)

私立大学

私立大学においても、学校推薦型選抜の募集人員を減らして総合型選抜の募集人員を増やす傾向が表れており、総合型選抜の拡大が続いています。そのため、私立大学を受験する場合は、総合型選抜での受験も視野に入れておいた方が得策でしょう。

ここでは、総合型選抜を採用している私立大学から、慶應義塾大学・早稲田大学・法政大学・順天堂大学・立命館大学を取りあげ、それぞれ2つの学部について、2024年度の総合型選抜と一般選抜の合格率を紹介します。

慶應義塾大学


総合型選抜の合格率
(夏秋AOの結果)
一般選抜の合格率
総合政策学部17.0%
(合格者数:121/志願者数:712)
16.8%
(合格者数:396/受験者数:2351)
環境情報学部22.2%
(合格者数:129/志願者数:582)
16.8%
(合格者数:344/受験者数:2048)

早稲田大学


総合型選抜の合格率一般選抜の合格率
人間科学部82.6%
(合格者数:19/志願者数:23
FACT選抜入試)
15.4%
(合格者数:816/受験者数:5307)
社会科学部17.6%
(合格者数:39/志願者数:222
全国自己推薦入試)
11.1%
(合格者数:869/受験者数:7833)

法政大学


総合型選抜の合格率一般選抜の合格率
経済学部45.5%
(合格者数:10/受験者数:22
英語外部試験利用自己推薦)
22.0%
(合格者数:1307/受験者数:5929
A方式)
国際文化学部38.7%
(合格者数:53/受験者数:137
分野優秀者・SA自己推薦の合算)
20.9%
(合格者数:350/受験者数:1671
A方式)

順天堂大学


総合型選抜の合格率一般選抜の合格率
保健看護学部37.7%
(合格者数:57/受験者数:151
A日程・B日程を合算)
56.1%
(合格者数:138/受験者数:246
A日程・B日程を合算)
保健医療学部20.1%
( 合格者数:53/受験者数:264)
23.1%
(合格者数:300/受験者数:1300
A日程・B日程を合算)

立命館大学


総合型選抜の合格率一般選抜の合格率
文学部44.0%
(合格者数:125/志願者数:284)
32.8%
(合格者数:2990/受験者数:9124)
経営学部30.3%
(合格者数:23/志願者数:76)
18.2%
(合格者数:2056/受験者数:1万1304)

このように見ると、一部の人気大学・学部では総合型選抜の合格率が一般選抜を下回るところもあります。そうしたデータを見て「総合型選抜で受験しても、合格できないのではないか」と心配する人もいるかもしれません。しかし、どうしても入りたい大学・学部があるのなら、総合型選抜で受験して不合格でも、一般選抜で受け直すという手もあります。

総合型選抜の合格率自体は、全体的に見ると高めになっています。あなたが志望する大学・学部に合格できる見込みがありそうなら、受験方法として真剣に検討してみてもいいのではないでしょうか。

総合型選抜の合格率を上げるには? おすすめの塾・予備校3選

総合型選抜の合格実績が豊富な塾・予備校に通えば、効率よく効果的な対策ができるため、合格率を高めることができるでしょう。

総合型選抜に挑戦したい人におすすめの塾・予備校としては、次の3校が挙げられます。

早稲田塾

総合型選抜に強い塾・予備校として、首都圏で大手予備校に引けを取らない存在感があるのが、早稲田塾です。

2024年度には、私立大学入試において1626人もの総合型選抜・学校推薦型選抜合格者を輩出。そのうち、79人を慶應義塾大学SFCのAO入試(帰国生入試含む)合格、65人を慶應義塾大学法学部のFIT入試合格、18人を早稲田大学国際教養学部のAO入試合格、7人を早稲田大学スポーツ科学部のスポーツ自己推薦入試合格に導いていることなどから、難関私立大学の総合型選抜に強い塾・予備校であることがうかがえます。

早稲田塾がこれほど多くの総合型選抜合格者を輩出できる秘訣は、他の塾・予備校にはない独創的なカリキュラムにあります。大学が求める人物になるための「総合型・学校推薦型選抜(AO・推薦入試)特別指導」、論文作成の力を磨く「論文系講座」、英語力を磨く「英語特訓道場」や「英語4技能資格試験系講座」、大学教授や有識者とフィールドワークに取り組む「未来発見プログラム」、プロの俳優から本物の表現力を学ぶ「表現力開発講座」、一般選抜への備えも万全にする「東進講座」といった多彩なカリキュラムを通し、総合型選抜に合格する上で必要な力を着実に伸ばすことができます。

大学受験ナビオ(栄光ゼミナール)

大学受験ナビオ(栄光ゼミナール)も、総合型選抜の合格実績が豊富な塾・予備校です。2024年度には、総合型選抜で573人の合格者を輩出しています。

ナビオでは、専任のナビゲーターが生徒一人ひとりの志望大学や学習状況に応じて適切な学習プランを提案してくれます。また、グループ指導、個別指導、映像指導、通信指導、自立学習、iPad学習から自分に合う受講形態を選ぶこともできます。

加えて、1)出願資格を得たり優遇措置を受けたりするための資格・検定取得対策、2)適性検査、口頭試問、プレゼンテーション、グループディスカッション、講義レポートなど、多様化する選抜方法に対応する力を身に付けるための小論文・面接対策、3)出願書類の添削、4)国公立大学の総合型選抜で課されることが多い大学入学共通テストで高得点を取るための対策など、総合型選抜に挑戦する生徒のためのプランが豊富に用意されています。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

東進ハイスクール・東進衛星予備校は、大手予備校としては珍しく、一般選抜のみならず総合型選抜においても高い合格実績を持つ塾・予備校です。2024年度には、国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜において、2051人を合格に導いています(現役生のみ、講習生含まず)。

東進ハイスクール・東進衛星予備校の強みは、担任による徹底的なサポートにあります。合格設計図の作成や、定期的なコーチングなどを通し、総合型選抜に向けて何をすべきか、その都度、的確なアドバイスをしてくれます。

また、総合型選抜に挑戦するためには、課外活動や資格試験、大学入学共通テスト対策など、一般選抜に挑戦する場合と比べると多くのことに取り組まなければなりません。東進ハイスクール・東進衛星予備校では、実力講師陣による映像授業を好きな時間に受講できるため、より効率的に学習を進めていくことができます。

さらに、旧帝大・東工大・一橋大などの国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜の対策に特化した「総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座」が設けられています。16回にわたる講座によって、総合型選抜に挑む上で押さえておきたいノウハウを学べる上、講座修了判定テストを3回受けることができます。国公立大学の総合型選抜に挑戦したいと考えている人は、ぜひチェックしてみてください。