【総合型選抜のスケジュール】いつから対策すればいい?併願可能な大学も紹介!

志望大学合格への近道として、総合型選抜(旧AO入試)が注目を集めています。総合型選抜のスケジュールは一般選抜をはじめとする他の選抜方法と比べると特殊で、うかうかしていると受験のチャンスを逃してしまう可能性があるため注意が必要です。

そこで、今回は総合型選抜のスケジュールと選考の流れ、ほかの入試制度との違い、スケジュール管理のコツ、時期や専願・併願についての注意点、他大学と併願できる大学などを解説します。総合型選抜に挑戦したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

総合型選抜のスケジュールと選考の流れ

総合型選抜に向けて余裕をもって対策をするためには、総合型選抜のスケジュールと他の選抜方法との違いや、どのような流れで行なわれるのかを押さえておくことが大切です。

ここでは、総合型選抜のスケジュールと選考の流れについてそれぞれ解説します。

総合型選抜のスケジュール

国公立大学・私立大学の各選抜方法における、大まかなスケジュールは下表のとおりです。

国公立大学


総合型選抜※一般選抜学校推薦型選抜※
9〜10月総合型選抜出願大学入学共通テスト出願
10〜11月試験

11~12月合格発表
学校推薦型選抜出願
試験
1月
大学入学共通テスト
一般選抜2次試験出願
合格発表
2月
前期試験
3月
中期試験
後期試験
合格発表

※大学入学共通テストを利用しない場合。総合型選抜の種類については後述。

私立大学


総合型選抜※1一般選抜大学入学共通テスト利用入試※2学校推薦型選抜
9〜10月総合型選抜出願
大学入学共通テスト出願
10〜11月試験
合格発表


学校推薦型選抜出願
試験
12~1月
一般選抜出願
合格発表
1月

大学入学共通テスト
大学入学共通テスト利用入試出願

1〜2月
試験

2〜3月合格発表合格発表

※1:2月あるいは3月まで試験を実施する大学もある。
※2:個別試験を2月に行なう大学もある。

国公立大学・私立大学ともに総合型選抜の出願時期は9月頃、試験は10月頃と、他の選抜方法と比べて早めのスケジュールとなっています。可能であれば高校1年生のうちから、遅くとも高校3年生になる前には志望大学の総合型選抜のスケジュールを確認し、対策に取り組みましょう。

総合型選抜の選考の流れ

総合型選抜は、「出願」「第1次選考」「第2次選考」「合格発表・入学」の大きく4ステップで構成されています。それぞれのステップについて、詳しく解説します。

出願

総合型選抜に挑戦するためには、各大学・学部が定める期間内に出願する必要があります。出願の際には、以下のような書類の提出を求められることが一般的です。

  • 入学志願書
  • 志願理由書
  • 活動報告書
  • 調査書
  • 学修計画書

総合型選抜は学校推薦型選抜と比べて出願条件が厳しくないことが多く、門戸の広い選抜方法ではあります。しかし出願条件としてオープンキャンパスへの参加や事前エントリーを求めている大学もあるため、注意してください。

第1次選考

第1次選考では、書類審査が一般的です。出願書類をもとに選考が行なわれ、合否が決定されます。中には、出願時に英検などの資格・検定試験の成績、課題論文、作品などの提出を求めて合否の判定材料にする大学や、個人面接を実施する大学もあります。

第2次選考

第2次選考では、小論文や面接、グループディスカッション、プレゼンテーションなどの試験が課されることが一般的です。中には、模擬講義の受講後に筆記試験や面接などを行なう大学や、独自の学科試験・実技試験を実施する大学、大学入学共通テストの成績提出を求める大学もあります。

合格発表・入学

総合型選抜を実施する大学の多くは、合格者に入学前教育として自習課題を課します。内容は大学によって異なりますが、基礎学力を固めるためのドリル形式課題や課題図書のレポートなどが挙げられます。

自習課題を提出しなければ、奨学金の選考対象外になったり、入学後の成績に影響が出たりする可能性があるため、手を抜かずにしっかりと取り組んでください。

そもそも総合型選抜(旧AO入試)とは?

総合型選抜(旧AO入試)とは、学力だけでなく、大学が求める学生像に合うかを学ぶ意欲や思考力、表現力、人間性などの観点から多面的に評価する入試方式です。従来の筆記試験だけでなく、書類審査や面接、小論文、プレゼンテーションなどの多様な方法で受験生の個性や能力が評価されます。

総合型選抜では、大学ごとに掲げる「アドミッション・ポリシー」(受け入れ方針)に合致しているかどうかが合否に大きく影響します。そのため、志望理由書や面接では、各大学のポリシーを踏まえた自己表現をすることが重要です。

2021年度からは旧AO入試から総合型選抜へ名称が変わり、学力の評価も重視されるようになりました。これにより、学力と人物評価のバランスのとれた総合的な選抜方法になっています。

総合型選抜とほかの入試制度との違い

大学入試は制度ごとに特徴や評価方法が異なるため、自分に合った制度を見極めることが重要です。総合型選抜を検討している方は、まずはほかの入試との違いを押さえておきましょう。

指定校推薦との違い

指定校推薦とは、大学が特定の高校に推薦枠を割り当て、高校が成績や人物評価をもとに生徒を推薦する制度です。推薦された生徒は厳しい校内基準と大学の出願資格をクリアしているため合格率が高く、受験勉強の負担は比較的軽くなります。

一方、総合型選抜は高校が推薦するのではなく、受験生自らが志望理由書の作成や面接、小論文などを通じて自己アピールを行ない、出願します。

そのため、自分の強みや意欲を具体的に示すことが求められます。倍率が高い大学も多く、準備や対策の難易度は指定校推薦よりも高いといえるでしょう。

一般選抜との違い

一般選抜は、おもに学力試験の成績によって合否が決まる入試制度です。試験の得点が重視されるため、受験対策は学力向上のための勉強が中心となります。試験は1~3月頃に実施されるのが一般的です。

これに対して、総合型選抜は学力だけでなく志望理由書や面接、小論文などを通じて、受験生の個性や学ぶ意欲、将来の目標などを多面的に評価します。

したがって、自己PRや書類作成、面接対策が重要です。選考は一般的に9~11月頃に行なわれ、一般選抜よりも早い時期となります。

総合型選抜に向けたスケジュール管理のコツ

総合型選抜は一般選抜より選考時期が早いうえ、書類作成や面接対策などやるべきことが多く、計画的な準備とスケジュール管理が欠かせません。ここでは、総合型選抜の対策を効率良く進めるためのコツをご紹介します。

日程を一覧化して受験順を最適化する

精神的・体力的な負担を軽減し効率良く受験するためには、受験する順序をしっかり計画することが重要です。

まずは、各大学の情報サイトを利用して、志望校のエントリー開始日、出願締切日、試験日、合格発表日といった重要な日程をExcelやスプレッドシートにまとめましょう。

日程を一覧化することで、複数大学のスケジュールを一目で比較・管理でき、日程の重複や試験の間隔なども把握できます。特に第一志望の大学の対策期間を十分に確保できるように、他大学の受験日の配置も工夫しましょう。こうした準備がスムーズな受験活動につながります。

提出書類は逆算して段階的に完成させる

総合型選抜は、出願から選考までの期間が非常に短いため、提出書類の準備は計画的に進めることが重要です。

まず、志望理由書や活動記録の初稿を提出予定日の大体2ヵ月前までに完成させ、教員や第三者からの添削やアドバイスを受けて内容の精度を高めていきます。

質の高い書類を作成するには、添削を受けて何度も修正と調整を繰り返しながら最終的な清書を仕上げることがポイントです。

また、複数の大学に出願する場合は、基本的な文章部分を共通化しつつ、各大学のアドミッション・ポリシーや特色に合わせて個別のカスタマイズを行なう工夫が求められます。効率的に進めながらも、クオリティーは落とさないように注意しましょう。

模擬面接とプレゼン練習を早期に組み込む

模擬面接やプレゼン練習は、総合型選抜の合格に向けて早期からスケジュールに組み込むことが重要です。まずは各大学の試験形式を事前に調べ、出願時点で必要な対策項目を把握しておきましょう。

練習は、教員や外部講師、同級生などさまざまな立場の人を相手に行ない、客観的なフィードバックを得て自身の課題を明確にする必要があります。複数回の練習機会を設けることで、回答の精度やプレゼンテーション力も向上します。

これらをスムーズに進めるには、本番の1ヵ月以上前から準備を始めることが必要です。面接やプレゼンの準備が十分にできているかどうかは合否に直結するため、計画表に明確に記入し優先的に進めましょう。

予備日を設定して不測の事態に備える

スケジュールを立てる際は、万が一のトラブルに備えて予備日を設定することが重要です。書類提出や模擬面接、プレゼン練習の日程には余裕を持たせ、体調不良や急な予定変更に柔軟に対応できるようにしましょう。

また、試験会場が遠いときは、天候不良や交通トラブルのリスクも考慮し、できるだけ前日に移動を終えておくことも大切です。

スマートフォンや手帳のスケジュールは常に最新のものに更新し、変更があった際は保護者や関係者と速やかに情報共有を行ない、連携して対応できる体制を整えておきましょう。こうした備えをしておくことで、当日の不安やトラブルのリスクが減り、実力を十分に発揮できます。

総合型選抜のスケジュールで注意したいこと

総合型選抜に挑戦する際は、対策を始める時期と併願の可否の2点に気を配りましょう。それぞれの注意点について解説します。

大学・学部によるスケジュールの違いを把握する

総合型選抜の細かなスケジュールは、大学・学部によって異なります。総合型選抜に挑戦したいのであれば、志望大学・学部のスケジュールをしっかりチェックし、逆算して対策に取り組まなければなりません。

国公立大学における総合型選抜の時期

国公立大学の総合型選抜の時期は、非共通テスト利用型と共通テスト利用型の2パターンがあります。さらに、共通テスト利用型は長期型・短期型に分けられます。

それぞれのおおよそのスケジュールは、下表のとおりです。


非共通テスト利用型共通テスト利用型(長期型)共通テスト利用型(短期型)
9〜10月総合型選抜出願
第1次選考
大学入学共通テスト出願
総合型選抜出願
第1次選考
大学入学共通テスト出願
10~11月第2次選考第2次選考
11〜12月合格発表合格発表
12〜1月

総合型選抜出願
1〜2月
大学入学共通テスト
成績提出
大学入学共通テスト
成績提出
2月
合格発表第1次選考
第2次選考
合格発表

非共通テスト利用型および共通テスト利用型(長期型)は、9月には選考が始まります。そのため、受験する場合は早いうちから総合型選抜に向けて対策を行なう必要があります。

一方、共通テスト利用型(短期型)の選考開始は2月頃と遅めです。しかしその分、共通テストから第2次選考までのスケジュールがタイトです。この場合も、やはり早めに総合型選抜に向けた対策を始めておいたほうがよいでしょう。

私立大学における総合型選抜の時期

私立大学の総合型選抜の時期は、要エントリー型とエントリー不要型の2パターンで異なります。

それぞれのおおよそのスケジュールは、下表のとおりです。


要エントリー型エントリー不要型
6~9月エントリー
9〜10月総合型選抜出願総合型選抜出願
9~11月第1次選考第1次選考
10~12月第2次選考
合格発表
第2次選考
合格発表

要エントリー型の場合、6月からエントリーの受付を開始する大学もあります。高校1~2年生のうちから総合型選抜の情報をリサーチし、対策をしておきたいものです。

また、要エントリー型・エントリー不要型のいずれにおいても、9月から選考を開始する大学もあれば、11月から選考を開始する大学もあります。時期をずらして2~3度選抜を行なうなど、独自の日程で総合型選抜を実施している大学もあります。しっかりとチェックしておきましょう。

併願ができるか確認する

総合型選抜に出願する場合、複数の大学に出願して合格した大学の中から進学先を選ぶ「併願」は認められているのかを確認することも大切です。

多くの大学は、総合型選抜の受験者に合格したら必ず入学すること、いわゆる「専願」での出願を求めています。そうでない場合でも、複数の大学への出願を禁じてはいないものの、あくまで第一志望であることを求めている大学がほとんどです。

なぜなら、総合型選抜の趣旨は、アドミッション・ポリシーにマッチする入学意欲の高い人物を採用することにあるためです。

ただし、同一大学内の他学部であれば、出願時期が異なる場合のみ併願可能とする大学もあります。チャンスを広げたい場合は、併願の可否をしっかりとチェックしておきましょう。

なお、総合型選抜と一般選抜は併願が可能です。総合型選抜が不合格だった場合、他の大学はもちろん、同じ大学の一般選抜に挑戦しても問題ありません。総合型選抜に挑戦する場合、一般選抜の対策も念入りに行なっておくことをおすすめします。

総合型選抜の併願が可能な主要な私立大学・学部

私立には、総合型選抜で他大学との併願を認める大学が各地にあります。ここでは、他大学との併願が可能な主要大学・学部をエリアごとに紹介します。

〈北海道・東北エリア〉

大学学部
盛岡大学文学部
東北工業大学工学部
ライフデザイン学部
建築学部
東北芸術工科大学芸術学部
デザイン工学部

〈関東エリア〉

大学学部
中央大学法学部
国際経営学部
商学部
文学部
経済学部
理工学部
明治大学商学部
文学部
農学部
国際日本学部
総合数理学部
理工学部
武蔵大学経済学部
人文学部
社会学部
国際教養学部
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部
データサイエンス学部
グローバル学部
法学部
経済学部
経営学部
教育学部
文学部
人間科学部
ウェルビーイング学部
看護学部
工学部
國學院大學文学部
神道文化学部
法学部
経済学部
人間開発学部
観光まちづくり学部
東京都市大学理工学部
建築都市デザイン学部
情報工学部
環境学部
メディア情報学部
都市生活学部
人間科学部
デザイン・データ科学部

〈中部エリア〉

大学学部
中京大学国際学部
文学部
心理学部
法学部
経済学部
経営学部
総合政策学部
現代社会学部
工学部
スポーツ科学部
名古屋学芸大学ヒューマンケア学部
メディア造形学部
名古屋外国語大学外国語学部
現代国際学部
世界教養学部
藤田医科大学医学部(国公立大学医学科の総合型選抜・
学校推薦型選抜または一般選抜前期日程に合格した場合のみ)
医療科学部
保健衛生学部
山梨学院大学法学部
経営学部
国際リベラルアーツ学部
スポーツ科学部

〈近畿エリア〉

大学学部
関西外国語大学国際共生学部
甲南大学文学部
経済学部
法学部
経営学部
マネジメント創造学部
理工学部
知能情報学部
フロンティアサイエンス学部
グローバル教養学環
畿央大学健康科学部
教育学部

〈中国・四国エリア〉

大学学部
就実大学人文科学部
教育学部
心理学部
経営学部
薬学部
人間環境大学心理学部
総合環境学部
松山看護学部
総合心理学部

〈九州・沖縄エリア〉

大学学部
立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部
国際経営学部
サステナビリティ観光学部
崇城大学工学部
情報学部
生物生命学部
芸術学部

※以上は2025年度時点における他大学との併願が可能な主要大学・学部です。変更の可能性があるため、上記大学の受験を希望する場合には、必ず当該年度の実施要綱を確認してください。

※また、上記の学部のうち、一部の学科・専攻のみが併願可能な場合や、志願・受験の段階では併願可能でも、合格した場合は必ず入学することが条件の学部もあるなど、詳細には注意が必要です。

オープンキャンパス・説明会への参加が出願要件になるか確認する

一部の大学では、オープンキャンパスや説明会への事前参加が総合型選抜の出願要件となっている場合があります。これらのイベントは出願開始前に開催されることが多く、参加を忘れると受験資格を失う可能性があるため、スケジュールの早期確認が必要です。

また、参加履歴の証明が必要になることもあるため、参加証の受け取りや保管も忘れずに行なうことが重要です。志望校が参加必須のイベントを設定している場合は、日程をしっかり把握し、余裕をもって参加しましょう。

総合型選抜のスケジュールに関するよくある質問

総合型選抜は一般選抜と選考方法や選考時期が異なるため、疑問や不安を抱えている学生は多いかもしれません。ここでは、総合型選抜のスケジュールに関するよくある質問とその回答をまとめました。

総合型選抜の出願開始時期と注意点は?

総合型選抜の出願時期は大学によって異なります。私立大学では多くの場合、5月中旬〜8月下旬にかけてエントリーが必要です。この審査に通過すると9月〜10月頃に正式な出願を行ないます。

一方、国公立大学の総合型選抜はおもに9月〜11月に出願期間が設定されることが多いです。各大学で締め切りや試験日が異なるため、受験日が重複しないよう注意しましょう。国公立大学は多くの場合、専願制ですが、併願が可能な大学も一部あるため確認が必要です。

面接や小論文の実施日はいつ頃になることが多い?

総合型選抜の面接や小論文の選考は、出願期間終了後の9月〜11月にかけて行なわれることが多いです。大学や学部によって日程は異なり、複数の実施日が設けられていることもあります。

合格発表は通常、試験後2週間から1ヵ月程度で行なわれるため、結果の確認も含めて余裕を持ったスケジューリングが必要です。志望校の具体的な日程は必ず大学の公式サイトなどで早めに確認し、準備計画を立てましょう。

出願直前の短期集中だけで総合型選抜に合格できますか?

総合型選抜は、志望理由書や小論文、面接など多面的に評価されるため、出願直前の短期集中だけで合格を狙うのは非常に難しいです。書類は複数回の添削を経て内容を練り上げる必要があり、面接やプレゼンテーションも練習と慣れが欠かせません。

そのため、高校3年の春頃から計画的に準備し、活動実績を積み重ね、自己PRをブラッシュアップしていくことが必要です。短期集中で合格を目指すよりは、早期から着実に準備するほうが合格への近道と考えておきましょう。

まとめ

総合型選抜は学力だけでなく、志望理由書や面接、小論文など多面的な評価が行なわれる選考方式のため、早期から計画的に準備を進めることが重要です。まずは各大学の出願資格や日程をしっかりと確認し、スケジュールを一覧化して管理しましょう。

書類作成や模擬面接の練習は段階的に行ない、複数回の添削やフィードバックを受けて質を高めることが合格に向けての鍵となります。余裕を持った準備期間を設け、万全の状態で本番に臨めるようにしっかり対策しましょう。