大学受験までの道のりは、長く厳しいものです。受験生だけでなく、その親である保護者にとっても、受験に立ち向かうには覚悟がいることでしょう。
しかし受験までのスケジュールをしっかり管理していれば、合格までの道のりは明確になり、不安も軽減されます。子どものためにも、そして親のためにも、大学受験までのスケジュールをしっかり把握し、二人三脚で合格を掴みましょう。
この記事では、大学受験までのスケジュールを詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
大学受験のスケジュール管理が重要な理由
大学受験のスケジュール管理は、大学合格への鍵といっても過言ではありません。スケジュールが適切に管理できていれば、受験当日から逆算して計画的に勉強を進められ、受験生本人の焦りやストレスは大幅に軽減されるでしょう。また、限られた時間を有効活用した効率的な勉強も可能となります。
さらに、スケジュール管理は、受験生と親のメンタル維持にも重要です。進捗状況を把握することで、適切なタイミングでのサポートが可能となり、家族全体で受験に向けた雰囲気を作り出せます。
受験スケジュールの全体像は? 試験の種類や日程を把握しよう
では、初めに大学受験における「大学入学共通テスト」や「一般選抜」といった試験の種類や出願時期、日程について説明します。
試験の種類もさまざまな上、出願時期や試験日程もバラバラです。各試験のスケジュールを把握し、出願手続きなどに不備がないようにしておきましょう。
また、親世代が大学受験をした頃とは、試験方式や名称が変わっていることもあります。例えば、「旧AO入試」と言われる「総合型選抜」は、AO入試よりも学力や思考力、判断力や表現力を求める内容となっています。
親世代とは試験の中身や難易度が違うということを前提に、スケジュールの全体像を掴みましょう。
総合型選抜(旧AO入試)
総合型選抜は、学生の総合的な力を評価する選抜方式です。
私立大学の総合型選抜は、9月~10月ごろに出願し、10月末ごろまでに試験を実施することが多いようです。
国立大学の総合型選抜も、多くの場合9月~10月ごろに出願します。ただし試験は10月~11月ごろに行われる傾向にあります。
とはいえ、各大学によって出願時期や試験時期はさまざまです。必ず志望校の募集要項などを熟読しておきましょう。
学校推薦型選抜(旧推薦入試)
学校推薦型選抜は、高校の推薦を受けることで出願できる試験です。国公立大学・私立大学のどちらでも実施されています。国公立大学では多くの場合、11月~12月に出願と試験があり、1月に合格発表となります。一方私立大学では多くの場合、10月~11月に出願と試験があり、早ければ12月には合格発表されます。
ただし、大学によって出願時期や試験時期はさまざまです。また、学校推薦型選抜のなかにも「指定校制推薦」と「公募制推薦」があります。受験する大学の募集要項などを必ず確認してください。
大学入学共通テスト(旧センター試験)
大学入学共通テストは、2021年度よりセンター試験に代わって実施されている試験です。一般選抜で国公立大学を目指す場合、原則として大学入学共通テストを受験する必要があります。
試験は、例年1月中旬の土日に本試験を、 1月下旬の土日に追・再試験を行います。なお、出願期間は例年9月下旬~10月上旬ごろまでです。
2025年度入試では、2025年1月18日(土)と19日(日)に本試験、1月25日(土)と26日(日)に追・再試験が行われます。出願期間は、9月25日(水)~10月7日(月)までです。
一般選抜(旧一般入試)
一般選抜とは、大まかに言えば総合型選抜や学校推薦型選抜以外の受験方式のことです。国公立大学・私立大学のどちらでも実施されますが、合否の判定方法はそれぞれ異なります。
国公立大学の一般選抜は、大学入学共通テストの成績と個別学力検査(2次試験)の成績をもとに、合否を判定します。一方、私立大学の場合は学校ごとに差があり、大学が独自に行う個別学力検査の結果に基づくものもあれば、大学入学共通テストの成績に基づいて合否を判定するものがあります。
国公立大学の個別学力検査は前期日程と後期日程に分かれており、前期日程は例年2月25日以降に、後期日程は例年3月12日以降に行われます。なお、出願期間は例年1月下旬~2月上旬ごろです。一部の公立大学では中期日程も行われます。
2025年度入試では、2025年2月25日(火)以降に前期日程の試験が、3月12日(水)以降に後期日程の試験が行われる予定です。出願期間は1月27日(月)~2月5日(水)で、前期日程の合格発表は3月6日(木)~10日(月)、後期日程の合格発表は3月20日(木)~24日(月)で予定されています。
私立大学の一般選抜の個別学力検査は、実施日が学校により異なります。そのため試験日が重ならなければ、何校でも出願可能です。大学入学共通テストの成績のみで判定する学校であればさらにチャンスが広がる上、大学別に対策をする必要もありません。
勝つための受験スケジュールの組み方は? いつまでに何をする?
合格をつかみ取るためには、受験スケジュールの組み方にも工夫しましょう。
まずは、第一志望の大学の受験日にコンディションを合わせていけるように、他の併願校の受験日程等を組みましょう。可能であれば第一志望の入試は、受験スケジュールの中でも後半に設定するのが良いでしょう。複数の受験をこなすことで試験に慣れ、本番でより実力を発揮しやすくなるためです。
同時に、合格のためには体力の管理も必要です。連日の受験で疲労が蓄積すると、本来の実力を出し切れなくなることもあります。適度に休みをとり、疲れすぎないスケジュールを心がけましょう。
高校3年生の1年間の流れは? 基礎の強化から出願、本番まで
高校3年生の1年間は、受験生にとって最も重要な期間です。1年間の大まかな流れを簡単にまとめると、次のようになります。
時期 | やるべきこと |
4月~7月 | ・志望校の決定 ・模試を受験して今の実力や苦手分野の把握と基礎学力の強化をする ・1年間の学習計画を立てる |
8月~10月 | ・集中的な学習、苦手分野の克服により、全体的な学力向上を狙う ・オープンキャンパスに参加し、大学の雰囲気を知る ・総合型選抜の出願や受験 |
11月~1月 | ・総仕上げの学習 ・大学入学共通テストの出願 ・学校推薦型選抜の出願や受験 ・私立大学の一般選抜の出願 ・大学入学共通テストの受験 |
2月~3月 | ・私立大学の一般選抜(個別学力検査)の受験 ・国公立大学の一般選抜(個別学力検査)の出願や受験 ・合格発表後の入学手続き |
以上が、一般的な高校3年生の1年間の流れです。常に入試情報をチェックしながら、適宜スケジュールを見直すようにしてください。
各時期の重要なポイント
では、春学期、夏休み、秋学期、冬学期それぞれの時期において、どのような学習や準備が重要なポイントとなるのかを解説します。
春学期(4月~7月)
この時期に重要なのは、志望校の決定、実力の把握、基礎力の強化、学習計画の作成です。
まずは文系・理系を問わず、志望校を決定しましょう。志望校を早く決められれば、早い段階で志望校に合わせた勉強計画を立てられます。文系なら国語や社会科目、理系なら数学や理科科目など、志望学部・学科における重点科目を見極めることも大切です。
また、基礎固めもこの時期に取り組むべきです。はじめに模試などで今の自分の実力を確認し、弱点を分析しましょう。その上で、これまでの復習も兼ねて基礎を再確認することが大切です。特に、国語・数学・英語は範囲も広く、基礎固めに時間がかかるため早めに取り組みましょう。
そして、1年間の勉強計画を立てます。計画は勉強を進めながら適宜修正していけば良いため、初めから完璧でなくても構いません。エクセルの表やアプリなどで、日々の学習状況を可視化できるようにしておきましょう。
夏休み(8月~10月)
夏休みは集中して学習できる貴重な期間。この時期に大切なのは、苦手分野を克服することです。まとまった時間で苦手な科目に向き合い、全体的な学力向上を狙います。日々の学習の進捗状況を確認し、春学期に立てた学習計画を適宜見直しながら勉強に取り組みましょう。
また、オープンキャンパスに行くことも大切です。大学の雰囲気を直接感じることで、志望校の最終決定を行いやすくなると同時に、モチベーションアップにも繋がります。
さらに総合型選抜に挑戦する人は、この時期に出願や試験も済ませることになります。
秋学期(11月~1月)
一般選抜を受験する人にとっては、追い込みの時期です。総仕上げの学習を進めながら、出願書類の準備と手続きを進めます。
また、学校推薦型選抜の出願や試験もあり、忙しくなる時期でもあります。
親にとっても受験の正念場。エクセルで表を作ったり、カレンダーアプリを活用するなどして、手続き漏れがないようにサポートしましょう。
冬学期(2月~3月)
受験も大詰めとなる時期です。1月下旬にあるところもありますが、私立大学の一般選抜(個別学力検査)が始まり、国公立大学の前期日程試験、後期日程試験と続きます。
さらに、これらの試験の合格発表も行われます。合格した場合は入学手続きを行いましょう。
まとめ
大学受験におけるスケジュール管理は、合格への重要な鍵です。高校3年生の1年間を通じて、各学期にやるべきことを把握し、適切な目標設定と学習計画を立てましょう。
また、定期的に計画を見直し、必要に応じて調整することも大切です。体調管理にも気を配り、焦らず着実に準備を進めていけば、必ず努力は実を結ぶはず。親と子の二人三脚で、志望校合格を目指しましょう。