高校生にもなると、卒業後の進路の選択肢はより一層広がります。就職を希望する人もいれば、大学・短期大学・専門学校などへの進学を希望する人もいるでしょう。
中でも、大学は全国に約800校もある上に学部・学科などの選択肢も多種多様です。入試も難しいイメージがあるため、進学したい大学を選ぶ際には何から考えていけば良いのか、まったく見当がつかないという人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、大学を受験するにあたって知っておくべきこと、いつまでに大学を決めるべきか、大学を決める際にはどのような点に注目するべきか、情報集めの仕方など、後悔しない大学選びの方法を徹底的に解説します。
大学の決め方がわからずに困っている高校生は、ぜひ参考にしてください。
大学を受験するにあたって、知っておくべきこととは?
大学を選ぶ際には、「どれほどブランド力があるか」「難易度はどのくらいか」「キャンパスはどこにあるのか」など、表面的な情報に目が行きがちです。しかし、それだけでは自分にピッタリな大学を選ぶことはできません。
将来、心から「この大学を選んで良かった」と思える大学選びをするためには、何よりも以下の3つの「知る」を実践することが必要不可欠です。
自分を知る
大学を選ぶ際にはまず、なぜ自分は大学に行きたいと考えているのか、しっかりと自己分析をしましょう。
以下のような内容をノートなどに整理して見える化しておくと、大学選びの際にはもちろん、受験の際に志望理由書を書くときなどにも役立ちます。
- 大学でやりたい勉強・研究
- 取りたい資格
- 取り組みたい活動
なお、この段階で「将来どのような職業に就きたいのか」も明確にしておけることがベストです。将来の目標がはっきりしていれば、自分に合う学部・学科を絞りやすく、より適切な大学を選べるようになります。
加えて、自分の学力を把握しておくことも欠かせません。大手予備校が実施する全国規模の模試を活用して自身の偏差値や得手・不得手を確認し、無理のない大学選びに役立てましょう。
自己分析の大切さは、『孫子』という古代中国の兵法書でも説かれています。「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という言葉がありますが、これは向かう相手のことのみならず、自分自身のことも正しく分析できれば、何度戦っても決して負けることはないという、大学受験にも通じる重要な思想です。
入試方法を知る
大学入試の主な方法としては、「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」の3つが挙げられます。
一般選抜は、基本的には学力試験によって合否を判定する入試方法です。国公立大学では一次試験として大学入学共通テスト、二次試験として大学独自の試験が課されます。私立大学には、以下の3パターンがあります。
- 大学独自の試験のみ
- 大学入学共通テストと大学独自の試験
- 大学入学共通テストのみ
一般的には、国公立大学では幅広い教科・科目の試験が課され、私立大学では専攻に関わる教科・科目が重視される傾向にあります。
学校推薦型選抜は高校の推薦を受けることで出願できる入試方法、総合型選抜は高校の推薦は必要なく、大学とのマッチ度が重視される入試方法です。国公立・私立ともに、多くの大学で書類審査や小論文、面接などが課されます。
一般選抜が1月中旬の大学入学共通テストから本格的にスタートする一方で、学校推薦型選抜は11月頃から、総合型選抜は10月頃からと、早い時期から選考を開始します。ただし、学校推薦型選抜の場合はさらにその前に校内選考を突破する必要があります。総合型選抜の場合はオープンキャンパスへの参加が条件とされる場合もあるため、一層早めの準備が必要です。
かかる費用を知る
大学に通うためには、多くのお金がかかる可能性があります。
大学を受験する際には、受験料がかかります。一般選抜に挑戦する場合にかかるおおよその受験料は、下表のとおりです。
大学入学共通テスト | 2教科以下 3教科以上 | 1万2000円 1万8000円 |
国公立大学 | 前期・中期・後期、各日程 | 約1万7000円 |
私立大学 | 個別 大学共通テスト利用 | 約3万5000円 約1万5000円 |
また、受験対策のために塾や予備校に通う場合には、現役生でも年間数十万円、浪人生の場合は年間100万円近くの費用がかかると言われています。
晴れて大学に合格すれば、今度は学費がかかります。国立・公立・私立それぞれの大学のおおよその学費は、下表のとおりです。
入学金 | 年間授業料 | |
国立大学 | 28万2000円 | 53万5800円 |
公立大学 | 約39万1000円 | 約53万6000円 |
私立大学 | 約24万6000円 | 約93万1000円 |
また、実家から通うか、一人暮らしをするかによってかかる生活費も変わります。一人暮らしをする場合、家賃や引っ越し費用、家具家電をそろえるための費用などが加わることを念頭に置く必要があります。
志望校はいつまでに決めるべき?
志望校は一般的には高校3年生の夏休みまでに決めれば良いとされていますが、学校推薦型選抜や総合型選抜はもちろん、一般選抜に挑戦する場合であっても、効率的に受験対策を進めていくためには早いうちから決めておくに越したことはありません。
大学入試で課される教科・科目は、文系と理系とで大きく異なります。そのため、まずは文系か理系かを選択し、受験対策を進めていく必要があります。
多くの高校では、2年生のときに文系クラスと理系クラスに分かれます。つまり、高校1年生のうちに文系に進むか、理系に進むかを決めておかなければなりません。
文系か理系かを選択した後は、いよいよ具体的に進みたい学部・学科、そして志望校を考えていきます。ただし最初から1つに絞るのではなく、多くの選択肢を持った上で徐々に絞っていくのが良いでしょう。
より早い段階で自分のやりたいことをじっくりと考え、しっかりと情報収集をした上で志望校を見定めてください。
大学、どんなところを見るべき?
自分に合った大学を選ぶためには、以下に挙げる3つのポイントをチェックすることが大切です。
- 偏差値
- カリキュラム
- 進路
偏差値
偏差値は、自身のレベルに合う大学かどうかを見極める上で重要な指標です。模試を受けて自身の偏差値を把握しておけば、手の届く大学を見つけやすくなります。
カリキュラム
納得のいく大学生活を送るためにも、カリキュラムは入念に調べ上げておく必要があります。
どのような授業や研究指導を受けられるのかはもちろん、留学やインターンシップなどの制度は充実しているかなども確認しておくと良いでしょう。
進路
卒業後の進路がどのようになっているのかを調べれば、その大学に入ることで自身が希望するキャリアを築けるかどうかをある程度予測できます。
就職率や取得できる資格、研究に力を入れたい場合には大学院の有無など、進路にまつわるデータはくまなくチェックしましょう。
情報集めの仕方
後悔しない大学選びをするためには、情報収集が欠かせません。効率的に生きた情報を手に入れるための方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 高校の先生に聞く
- インターネットで調べる
- オープンキャンパスに参加する
- 塾・予備校に通う
高校の先生に聞く
高校の先生は、身近で頼りになる存在です。毎年多くの生徒を大学に送り出している学校であれば、大学受験に関する情報も大量に蓄えているでしょう。
インターネットで調べる
大学の公式サイト、出版社や予備校などが運営する大学情報サイトを活用すれば、正確で役立つ情報を手に入れることができます。
大学選びに役立つ適性診断テストを受けられるWebサイトなどもあるので、ぜひチェックしてみてください。
オープンキャンパスに参加する
オープンキャンパスは、キャンパスの雰囲気や在学生の声など、パンフレットやWebサイトでは得られない情報を得られる絶好の機会です。
少しでも気になる大学のオープンキャンパスには、極力参加するように心がけましょう。
塾・予備校に通う
塾・予備校は、大学受験に関する情報の宝庫です。特に、全国に展開している大手の塾・予備校が持つ情報量は凄まじく、効率よく大量の情報を手に入れることができます。
また、在籍している講師のほとんどが大学受験のプロフェッショナルであるため、より的確なアドバイスを受けられます。
まとめ
最初から明確に大学受験のイメージを持っていたり、具体的な志望校が決まっていたりする人はごく少数でしょう。まずは以上のようなポイントを押さえて少しずつ情報を集め、知識を増やし、自分を見つめ直していけば、徐々に道が見えてくるはず。後悔のない大学選びができるよう、一歩ずつ進んでいってください。