東工大の入試対策は二次試験が重要! 難易度や対策、おすすめ予備校まで紹介

東京工業大学(以下、東工大)は、日本トップレベルの国立理工系総合大学です。英教育専門誌「Times Higher Education(THE)」が発表した「THE 日本大学ランキング2023」では、総合ランキング4位にランクインしています。

生命理工学から機械工学、電気・電子工学や地球惑星科学まで、あらゆる分野で最先端の研究活動をリードしており、さまざまな優れた研究結果を生み出していることでも有名です。

そんな高い教育力と研究力を持つ東工大の入試の難易度や偏差値はどの程度なのでしょうか。また、東工大の入試を突破するためにはどのような対策を講じるべきなのでしょうか。

本記事では、東工大の入試の仕組みや偏差値、入試対策のポイントに加えて、東工大を目指す学生におすすめの予備校を3校紹介します。東工大志望の学生は、ぜひ参考にしてください。

東京工業大学の入試の仕組みや偏差値は?

それでは、まず東工大の入試制度や偏差値についてご紹介します。

東工大は学部ではなく「学院」! 入試制度も特徴的

東工大は他大学と異なり、「学部」や「学科」ではなく、学部と大学院を合わせた「学院」が設置されています。そして、学院ごとに入試が実施されます。

一般選抜では、第1志望から第3志望まで3つの学院を志望でき、入試の成績順に希望の学院への入学が決まります。その後、1年生のうちは学院で学び、2年生になる際により専門的な内容を学ぶため「系」に所属します。また、大学院へ進学する場合は、続けて「コース」を選択し、さらに専門性を掘り下げて研究を進めます。このように、学部と大学院が一体となった専門教育体系が、東工大の大きな特徴です。

東京工業大学の「学院」は以下の通りです。

学院
理学院・数学系
・物理学系
・化学系
・地球惑星科学系
工学院・機械系
・システム制御系
・電気電子系
・情報通信系
・経営工学系
物質理工学院・材料系
・応用科学系
情報理工学院・数理・計算科学系
・情報工学系
生命理工学院・生命理工学系
環境・社会理工学院・建築学系
・土木・環境工学系
・融合理工学系

このように、どの学院に所属するかで学べる内容が大きく変わります。そのため、東工大に出願する際は、将来研究したい内容や学びたい分野を定めた上で志望学院を選ぶ必要があります。

東工大の一般選抜を受ける際の注意点は?

通常の国公立大学の一般選抜と同様に、東工大の一般選抜でも大学入学共通テストと2次試験を受ける必要があります。ただし、共通テストの成績は、2次試験には一切使用されません。そのため、共通テストに向けた試験勉強をおざなりにしてしまう人もいるかもしれません。

しかし、前期日程で志願者が募集人数の4倍を超えた場合、共通テストの成績をもとに第1段階選抜を実施するときがあることには注意が必要です。第1段階選抜は足切りのようなもので、合格者だけが2次試験を受けられます。実際に2023年度入試では、理学院、工学院、情報理工学院、環境・社会理工学院で4倍を超える志願倍率となりました。ですので、東工大に合格するためには、共通テストも油断せずに対策する必要があると言えるでしょう。

なお、2023年度の2次試験の合格最低点は、最も高い情報理工学院で445点、最も低い生命理工学院で357点でした。750点満点の試験ですので、合格するには約5~6割を取らなければならないということになります。共通テスト対策はもちろん、2次試験対策も怠ってはいけません。

東工大の偏差値や難易度はどのぐらい高い?

東工大は国立理系大学の中でもトップレベルの大学ですから、全体的に難易度が高いのは明らかです。では、実際に東工大の偏差値はどのくらいなのでしょうか?

大手予備校である東進の、2022年の入試データに基づく東工大の偏差値(合格可能性が50%となる偏差値)は、情報理工学院が67、理学院と環境・社会理工学院が66、物質理工学院、生命理工学院、工学院が65でした。東工大が最難関レベルであることは間違いありません。

東工大の一般選抜を攻略するポイントは?

これまで、東工大の入試制度や偏差値などについて紹介してきました。ここからは、東工大の一般選抜を攻略する大切なポイントについて解説していきます。

数学のポイントは「徹底した基礎と本質的な数学への理解」

東工大の2次試験の満点は750点です。そのうちの4割を占める300点が数学の配点であることから、数学が重要視されていることが分かります。

数学の攻略のポイントは、「徹底して基礎を固めること」「定理や公式について、その証明から本質的に理解すること」です。

東工大の数学試験は、例年180分で大問数は5題です。1題当たり36分と、じっくり考えて解かせる試験が出題されます。数Ⅲを中心とした高難度の問題が多い上に、解答への誘導もなく発想力が試される問題も多いのが特徴です。そのため、東工大の数学試験を攻略するためには、持っている知識を活用して答えを導き出す「応用力」や、数学への本質的な理解をもとに考える「深い思考力」を習得する必要があります。

そのような力を身に付けるには、やはり基礎固めが大切です。基礎なくして、応用はありえません。基礎力をもとに過去問や演習を繰り返すことで初めて、応用力が身につくのです。また、定理や公式をその本質から理解することで、高い発想力や深い思考力が養われ、多くの難問に対応できるようになります。

東工大の数学の試験は、複雑な計算を大量に必要とする問題も多く出題されます。数学は配点が高いため、ミスなく得点できるかどうかが合格のカギです。受験本番までに必ず力を付けられるよう、塾・予備校で基礎から学んで弱点分野をなくし、演習問題で応用力を身に付け、過去問で東工大の入試傾向をつかむようにしましょう。

「本質的な原理への理解」が物理攻略のカギ

東工大の物理は120分で3問、1問当たり40分とボリュームのある問題が出題されます。難易度は標準であっても、計算量が多く時間的な余裕はないため、時間配分を考えながら演習に取り組む必要があります。

また、典型的ではない設定の問題が多いため、あらゆるパターンに柔軟に対応できるよう、数学と同様に原理を本質的に理解しておくことも大切です。

塾・予備校で受験のプロのもと、基礎固めや演習問題、志望校対策をして、確実に得点できる力を付けましょう。

英語は長文攻略が必須! 「速読力」と「答案作成力」を鍛えよう

東工大の英語は、90分で大問2題という構成です。2題とも1000語以上の長文問題であるため、短い時間で正確に英文を読む力が試されます。

出題される問題は、主に和文英訳、英文和訳、内容説明などの記述問題です。速読と精読により、内容を正しく理解した上で、スムーズに解答を作る答案作成力が求められます。実際に演習問題や過去問を繰り返し、塾・予備校などで答案の添削をしてもらいましょう。第三者の目で確かめてもらうことで、自分の癖や不足点が分かり、答案を作る力をより効率的に伸ばすことができます。

東工大の一般選抜以外の入試は?

東工大は、一般選抜以外にも、総合型選抜や学校推薦型選抜も実施しています。ここでは、それぞれの入試制度について解説します。

総合型選抜

東工大では、学院ごとに総合型選抜の実施状況が異なり、実施していない学院もあります。選抜の方法や女子枠の有無、必要な提出書類などもそれぞれ違うので、必ず自分で受験する年の募集要項を確認しましょう。

基本的に、入学者の選抜は、大学入学共通テストと東工大が課す個別学力検査、志望理由書、調査書、各学院が指定する提出書類を用い、2段階で実施されます。

令和6年度(2024年度)の募集状況と選抜方法、女子枠の有無は以下のようになっています。

実施学院第一段階選抜方法第二段階選抜方法女子枠の有無
工学院一定の倍率を超えた場合のみ
大学入学共通テストの成績
筆記試験と面接なし
物質理工学院一定の倍率を超えた場合のみ
大学入学共通テストの成績
(女子枠も同様)
面接
※大学入学共通テストの得点も評価材料
あり
情報理工学院大学入学共通テストの成績と
出願書類
活動実績報告書の内容を重視
(女子枠も同様)
面接あり
生命理工学院一定の倍率を超えた場合のみ
大学入学共通テストの成績と出願書類
筆記試験と面接
※大学入学共通テストの得点も評価材料
なし
環境・社会理工学院 A(建築学系)大学入学共通テストの成績
女子枠:大学入学共通テストの成績と出願書類
造形課題あり
環境・社会理工学院 B(土木・環境工学系)大学入学共通テストの成績
女子枠:大学入学共通テストの成績と出願書類
筆記試験と面接あり
環境・社会理工学院 C(融合理工学系)大学入学共通テストの成績と出願書類
(女子枠も同様)
面接あり

学校推薦型選抜

理学院、生命理工学院の2つの学院で学校推薦型選抜を実施しています。生命理工学院には、一般枠のほかに女子枠があります。

優秀な成績や学修の熱意、優れた研究成果などが要件として求められています。また、学校長が責任をもって推薦できる人物と指定されており、合格した場合は必ず入学しなければなりません。

入学者の選抜は、大学入学共通テストの成績、推薦書、調査書、各学院が指定する提出書類を用いて行われます。いずれの学院、枠においても、個別学力検査は課されません。

東工大を目指す学生におすすめしたい塾・予備校は?

それでは、実際に東工大を目指す学生におすすめの塾・予備校を紹介します。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

東進ハイスクール・東進衛星予備校(以下、東進)は、現役東大合格者数No.1の実力をもつ大手予備校です。東大をはじめ、毎年数多くの難関大学合格者を輩出しています。

東進では、「過去問演習講座」や「志望校別単元ジャンル演習講座」で東工大受験に向けた指導を受けられます。過去問演習講座では、最大10年分の過去問を徹底的に演習します。充実した添削指導、実力講師陣による解説授業を通じて、問題の解き方・考え方が磨けます。復習後に解き直した答案の、再採点・再添削指導も受けられます。答案作成力をつける「記述型答案練習講座」でも、東工大のような難関大で重要となる記述・論述の対策が可能です。

「志望校別単元ジャンル演習講座」では、最新のAIによる学力診断が行われ、志望校別、単元別、ジャンル別に、10万問以上のデータベースから最適な問題をAIが提示。苦手分野を知り、提示された問題を演習して、苦手分野を効率的に克服することで、志望校合格を目指せます。

さらに東進では、東工大の2次試験の内容と形式に合わせた「東工大本番レベル模試」を年に2回開催しています。年2回、東工大専用の模試を受験できるのは東進だけとなっています。東工大の2次試験のシミュレーションとして欠かせない模試と言えるでしょう。

その他にも、東進は90分×20回で学力基盤をしっかりと固める通期講座を開講しており、「東工大対策数学」、「トップレベル物理Ⅰ・Ⅱ」、「難関国立総合英語」など、東工大を目指す学生にぴったりな講座が多数あります。約1万種類の映像授業の中から、自分に合ったレベルの講座を選んで、自分のペースで学習を進めることもできます。

駿台予備校

駿台予備校は、「第一志望は、ゆずれない。」のキャッチコピーで有名な予備校です。短い時間で集中して学ぶ50分授業やAI教材「atama+」の導入など、他予備校とは異なる独自の学習制度で多くの学生を合格に導いています。

駿台予備校で現役生向けに設置されているコースが「現役フロンティア」です。このコースには、「東工大数学演習プラス」といった東工大志望者のみを対象とした講座や、東大・京大・東工大・一橋大を目指す学生向けの「スーパーα総合英語」「スーパーα数学Ⅲ」「スーパーα物理」といった講座があります。東工大入試を知り尽くしたプロ講師が指導するため、合格に必要な実践力や応用力、思考力など幅広い力が効率よく身に付けられます。

浪人生は、「高卒クラス」に所属します。高卒クラスには「スーパー東工大コース」があり、総合的に学力を向上させるだけでなく、実践的な東工大対策ができるのが特徴です。合格に必要な思考力や答案作成力がしっかりと鍛えられます。

河合塾

河合塾は、日本全国に校舎を構える大手予備校の一つです。自分のレベルや志望大学に合わせて選ぶ「レベル講座」と、学習の目的に合わせて選ぶ「セレクト講座」を組み合わせることで、自分に最適なカリキュラムで学べます。

河合塾の現役生向けコースは「高校グリーンコース」です。難関大理系入試に対応した「トップレベル理系数学Ⅲ」や「トップレベル国立大英語」、「トップレベル物理」など、正確な知識と答案作成力を習得できるハイレベルな講座があります。また、共通テスト対策もあり、「共通テスト対策数学 I A I B」「共通テスト対策英語」などが受講可能です。

浪人生向けに設置された「大学受験科」には、「東工大コース」があります。「東工大数学」や「東工大英語」といった講座で東工大の傾向対策をすると同時に、「東工大チャレンジテスト」などの実践演習で実力をつけ合格を目指すコースです。その他にも、「東工大コース」に特別カリキュラム「個別添削指導(数学・物理・化学)」が付いた「東工大プラスコース」もあります。

早稲田塾

総合型選抜や学校推薦型選抜で東京工業大学を目指すのであれば、早稲田塾に通うことをおすすめします。

早稲田塾は、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策に特化した塾です。私立大学はもちろん、国公立大学にも対応しており、東京工業大学の総合型選抜・学校推薦型選抜合格者も輩出しています。

早稲田塾は、「総合型・学校推薦型選抜(AO・推薦入試)特別指導」「論文系講座」「英語特訓道場」「未来発見プログラム」「表現力開発講座」などの独自のカリキュラムにより、総合型選抜・学校推薦型選抜を突破する上で必要な本質的な学びを提供しています。

また、大学入学共通テスト対策や一般選抜対策として「東進講座」も受講できるため、満を持して受験に臨めます。