兵庫県立大学対策の予備校3選|試験方式や偏差値、個別テストの対策法を解説

兵庫県立大学は、神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3つの県立大学が統合して2004年に開学した大学です。そのため、国際商経学部・工学部・看護学部を含むバラエティー豊かな6学部があるほか、理系を中心とした9つの研究科を持ちます。阪神・淡路大震災の被災地であることから、減災・復興の研究を行なっていることも大きな特徴です。

そんな兵庫県立大学に合格するためには、どのような対策が必要なのでしょうか。この記事では兵庫県立大学の偏差値や倍率といった基本情報から、出題傾向と対策まで徹底解説。最後には、兵庫県立大学を目指す方におすすめの塾・予備校をご紹介します。

また、兵庫県の施策である、「授業料等無償化」も併せて参考にしてください。

兵庫県立大学の入試制度

まずは兵庫県立大学の入試の仕組みなど、基本的な入試情報をお伝えします。

一般選抜

兵庫県立大学の一般選抜は、前期・中期・後期の3期に分かれており、一般選抜で合計3回も受験できるチャンスがあります。ただし、中期日程を実施するのは、理学部、および社会情報科学部のみです。

公立大学のため、第1次学力試験として共通テストを受験します。また、共通テストのほかに、学部・学科別で課される、「教科・科目に係る個別テスト」を受験しなければなりません。

各学部・学科で指定されている、共通テスト、および個別テストの受験科目、配点は次のとおりです。

学部共通テスト(点数)個別テスト(点数)
国際商経学部6教科7科目(850点満点)
・国語(200)
・外国語(200)
・数学(200)
・情報(50)
・理科(100)
・地理歴史・公民(100)
前期(600点満点)
・外国語(300)
・数学(300)
後期(400点満点)
・外国語(200)
・数学(200)
社会情報科学部6教科7科目(1,000点満点)
・国語(200)
・外国語(200)
・数学(300)
・情報(100)
・理科(100)
・地理歴史・公民(100)
前期(600点満点)
・外国語(200)
・数学(400)
中期(600点満点)
・外国語(200)
・数学(400)
工学部6教科7科目(500点満点)
・国語(100)
・外国語(100)
・数学(100)
・情報(50)
・理科(100)
・地理歴史・公民(50)
前期(400点満点)
・理科(200)
・数学(200)
後期(200点満点)
・理科(200)
理学部5教科7科目(450点満点)
・国語(100)
・外国語(100)
・数学(100)
・情報(50)
・理科(100)
中期(600点満点)
・外国語(200)
・数学(200)
・理科(200)
環境人間学部
文系型
前期&後期
5~6教科6科目(750点満点)
・国語(200)
・外国語(200)
・数学(100)
・情報(50)
・理科または地理歴史・公民(200)
前期(300点満点)
・総合問題(300)
環境人間学部
理系型
前期&後期
6教科7科目(750点満点)
・国語(100)
・外国語(200)
・数学(200)
・情報(50)
・理科(100)
・地理歴史・公民(100)
前期(300点満点)
・総合問題(300)
後期は個別テストなし
看護学部
前期
6教科6科目(850点満点)
・国語(200)
・外国語(200)
・数学(200)
・情報(50)
・理科(100)
・地理歴史・公民(100)
前期(200点満点)
・小論文(200)
看護学部
後期
6教科6科目(650点満点)
・国語(100)
・外国語(200)
・数学(100)
・情報(50)
・理科(100)
・地理歴史・公民(100)
後期(100点満点)
・面接(100)

出典:大学入学共通テスト及び教科・科目に係る個別テスト等の配点一覧|兵庫県立大学

加えて兵庫県立大学では、学校推薦型選抜・総合型選抜・留学生特別選抜などの入試方法を取り入れています。これは、「受験生の能力や意欲等を多面的に評価し、多様な個性を受け入れたい」という意向があるためです。

学校推薦型選抜

学校推薦型選抜とは、普通科などの高等学校の現役生を対象にした選抜枠です。基本的に調査書と推薦書で書類審査し、さらに小論文と面接で合否を判定します。

また、商業科や工業科などの現役生に対し、専門的な知識や取得資格に応じた選抜も実施しています。

学部・推薦枠評価対象
国際商経学部 商業科推薦簿記資格を持つ、商業高校などの生徒が対象
工学部 工業科推薦工業高校での実績、面接など
工学部 女子学生特別選抜女子学生ならではの発想と視点を評価
適性検査・小論文・面接で選抜
環境人間学部高校在学中に取得した資格を評価
(英検等の英語資格、数検、各種言語検定、IT系資格)

特別選抜

兵庫県立大学では、特別選抜として以下の試験を実施しています。

  • 総合型選抜(対象学部:環境人間学部)
  • 社会人総合型選抜(対象学部:看護学部)
  • 帰国生選抜(対象学部:全学部)
  • 外国人留学生特別選抜(対象学部:全学部)

総合型選抜では環境人間学部を対象に、書類選考と面接、英語を含む小論文が課されます。

看護学部が対象の「社会人総合型選抜」では、25歳以上かつ社会人の経歴が3年以上ある方が対象です。小論文では、英文を読んで記述するスキルが求められます。

【兵庫県立大学】個別テストの出題傾向と必要な対策

続いて、兵庫県立大学の出題傾向と対策方法を教科ごとに解説します。なおここでは、個別学力検査で総合問題を採用していない、国際商経学部・社会情報科学部・工学部・理学部の4学部を中心に解説しています。

英語は基礎~標準レベルの単語・熟語・文法をしっかり固める

兵庫県立大学の英語は、長文読解の大問が3つほどと、英作文や会話文などを扱う大問が1つで構成されます。英語の試験時間は120分です。

長文読解問題の比重が大きいため、幅広いジャンルの問題を解いておき、どのような内容が出されても対応できるようにしましょう。基礎~標準レベルの単語・熟語・文法をいかに固めるかがポイントとなります。

和訳や英訳などの記述が苦手な人や、自由英作文を攻略したい人は、予備校講師などに添削してもらうのがおすすめです。

大問4で出題される「自由英作文」を攻略するには、日本語での表現を英語に書き換える勉強が必要です。自由英作文は記述量が多いうえに、根拠を述べる必要があるため、現役生では対策が追い付かないこともあります。

数学は過去問を解いたうえで数Ⅲ頻出分野の対策を

兵庫県立大学の数学は、学部ごとに内容が異なります。

国際商経学部の出題範囲は、数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B(数列)・数学C(ベクトル)です。工学部・理学部はこれに加え、数学Ⅲを含みます。社会情報科学部も数学Ⅲが含まれますが、選択問題の一つとしての出題のため、選ばなくても受験は可能です。

理系数学は数Ⅲの比重が大きく、大問5問のうち4問が数Ⅲ分野ということもあります。工学部では三角関数や複素数平面、微分・積分の応用、ベクトルなどが出題される傾向にあります。理学部では図形や指数関数・対数関数、微分・積分、数列などが出題され、数列や関数と極限の問題がやや難易度が高く設定されています。過去問を数年分解いたうえで、これらの分野を重点的に対策しましょう。

理科(物理・化学)は基礎固めが必須

工学部と理学部では、理科科目の物理、化学が個別テストで出題されます。いずれの科目も基礎的な学力が求められるうえに、単純な計算問題から記述式まで幅広い内容です。

物理の場合、計算や実験の過程、結果の理由を記述する問題もあります。化学も同様に計算問題の仮定や導入の記述が求められます。

一般選抜の試験時間は、前期が化学と合わせて120分、後期は物理のみで80分です。試験時間は長いとはいえないため、過去問を演習するときは、スピードを意識して問題を解くことが大切です。

環境人間学部の総合問題は数学対策がポイント

環境人間学部では、英語、数学、国語に関連する分野を範囲とする総合問題が課されます。なお、総合問題の試験時間は120分です。

総合問題では、環境人間学部での学習に必要な、語学力、論理的思考力を問われます。総合問題を攻略するには、「数学」に重点を置くことがポイントです。

文系数学の範囲は数学Ⅰ・Aですが、記述問題があることで共通テストより難易度が上がります。さらに、数学でありながら思考力も問われるため、問題が解けるだけでなく解説を読んで理解することが大切です。

兵庫県立大学を目指す受験生におすすめの塾・予備校3選

最後に、兵庫県立大学を受験する人におすすめの塾・予備校をご紹介します。

東進ハイスクール・東進衛星予備校

有名講師が出演するテレビCMなどでおなじみの東進ハイスクール・東進衛星予備校。ハイクオリティーな映像授業はもちろん、それ以外にもさまざまな講座を開講しています。その実績は確かなもので、2024年度には全国の国公立大学に1万5000人以上もの合格者を輩出。兵庫県立大学にも、現役生のみで227人(講習生含まず)が合格しています。兵庫県立大学の一般選抜の募集人数は900人ほどなので、圧倒的な実績といえるでしょう。

おすすめの講座は「志望校別単元ジャンル演習講座」と「過去問演習講座」です。「志望校別単元ジャンル演習講座」では志望校に合わせて、AIが最適な演習問題を選び出してくれます。「過去問演習講座」は2次試験の過去問の演習と、プロによる採点・添削が受けられる講座で、兵庫県立大学の国際商経学部・社会情報科学部・工学部に対応しています。効率良く過去問対策ができるので、ぜひ受講してください。

また、模試が充実していることも東進の特徴です。兵庫県立大学は共通テストの配点が大きいため、「共通テスト本番レベル模試」の受験がおすすめです。共通テスト本番と同じレベル・ボリューム・試験時間の模試が年4回行なわれるため、本番に向けて慣れておきましょう。

次に、兵庫県立大学に合格した、東進生の体験記を一部紹介します。

  • 公式や解き方をただ暗記するような、大学受験に焦点を当てた勉強法ではないのが東進の魅力だと思います。大学物理でも応用できる、頭をやわらかくするような授業がとても良かったです。
  • 早い時期から過去問の演習講座に取り組んだことで、自分の苦手分野を正確に把握できました。また、共通テストや二次試験の傾向も早めに把握できて、効率的に学習を進められたので、東進で良かったと思いました。
  • 東進に入学してよかったと思うのは、自分と同じ学年で勉強を頑張っている仲間がたくさんいたことです。東進に行くと、「自分も勉強頑張らないと」と思えて、勉強により力が入りました。

河合塾

河合塾は日本最大手の予備校の一つです。長い歴史のなかで培った独自のノウハウを活かし、国公立大学にも毎年多くの塾生が合格しています。

現役生向けの「高校グリーンコース」では、一人ひとりにチューター(進学アドバイザー)が付き、志望校や学習状況に合わせてぴったりの合格戦略を立ててくれます。どの科目をどのように勉強すればいいのか明確になるので、一人ではなかなか学習を進められない人にもおすすめです。

河合塾の講座は、基礎~発展の6段階に分けられています。兵庫県立大学志望なら、しっかりと基礎固めができる1~3レベルの講座を重点的に取りましょう。「スタンダード国公立大英語」や、数Ⅲが必要となる人は「スタンダード理系数学Ⅲ」などの講座がおすすめです。

武田塾

武田塾は、「授業を行わない塾」として知られています。自主学習が最も大切という考えのもとで受験生の自習を徹底的に管理し、効率的に偏差値を上げていきます。そのため、自分の偏差値やクラス分けに左右されずに合格を目指せるのです。授業を受けるだけではやる気が出ない人や、ダラダラと自習してしまう人におすすめの塾です。

武田塾では、塾生一人ひとりにじっくりカウンセリングを行ない、その時点での偏差値や得意科目・苦手科目を徹底的に分析。そのうえで必要となる参考書や学習方法を提案し、1年間のカリキュラムを組んでくれます。このような実績から、武田塾は全国に400校以上を持つ人気塾となりました。兵庫県内にも約20校あり、通いやすいことも魅力です。

兵庫県立大学の偏差値・倍率・授業料等無償化について

兵庫県立大学の学部・学科別の偏差値、一般選抜の倍率、授業料等無償化について解説します。

兵庫県立大学の偏差値・難易度

東進のデータによると、兵庫県立大学の偏差値は学部・日程を問わず58~61です。東進調べによる、各学部・学科の偏差値は次のとおりです。

学部:学科偏差値
国際商経学部:グローバルビジネス学科61
国際商経:経済・経営60
環境人間学部:文系60
環境人間学部:理系60
環境人間学部:食環境60
社会情報科学部:社会情報科60
理学部:生命科学科61
理学部:物質科学科60
看護学部:看護学科59
工学部:応用化学工、機械・材料工、電気電子情報工58

出典:兵庫県立大学 偏差値一覧・ランキング(入試難易度)|東進ハイスクール・東進衛星予備校

最も偏差値が高い学部は「理学部生命科学科」ですが、ほかと比べても大きな差はありません。

実質倍率は2倍以上となる学部が多く、全体的に人気のある大学だといえます。共通テスト得点率は7割以上が望ましいところです。

一般選抜の倍率

兵庫県立大学における、2024年度一般入試における出願倍率は全学部の合計で6.9倍です。各学部・学科の2024年度確定志願者数は次のとおりです。

区分 募集人員 志願者数 倍率
国際商経学部 前期 国際商経学科 経済学コース・経営学コース 180 554 3.1倍
後期 国際商経学科 経済学コース・経営学コース 40 456 11.4倍
前期 国際商経学科 グローバルビジネスコース 25 50 2.0倍
社会情報科学部 前期 社会情報科学科 60 135 2.3倍
中期 社会情報科学科 20 561 28.1倍
工学部 前期 電気電子情報工学科 43 167 3.9倍
機械・材料工学科 43 202 4.7倍
応用化学工学科 34 127 3.7倍
後期 電気電子情報工学科 50 338 6.8倍
機械・材料工学科 50 302 6.0倍
応用化学工学科 40 280 7.0倍
理学部 中期 物質科学科 70 1,092 15.6倍
生命科学科 65 1,105 17.0倍
環境人間学部 前期 環境人間学科 115 385 3.3倍
(うち食環境栄養課程) (35) (114) (3.3倍)
後期 環境人間学科 20 337 16.9倍
看護学部 前期 看護学科 59 140 2.4倍
後期 看護学科 11 188 17.1倍
925 6,419 6.9倍

出典:令和7年度(2025年度)一般選抜出願状況(学部)|兵庫県立大学

上記の表を見ると、出願倍率が2~3倍の学部がある一方、中期のみ試験を実施する理学部は15倍以上、中期の社会情報科学科は28.1倍と、学科によって倍率に大きな差があります。

しっかり対策をすれば十分合格が狙える難易度ですが、油断は禁物。特に中期や後期で倍率が上がる学科に関しては、前期で合格したいところです。

兵庫県立大学の授業料等無償化について

兵庫県における授業料等無償化とは、県内在住の学生を対象に、入学料と授業料が免除される施策のことです。

「Z世代」に対する支援対策の一つで、学費に対する不安をなくし、希望する教育を受けられることを目的としています。令和8年以降の入学生に関しては、入学時点で入学料と授業料が無償化の対象となります。

兵庫県立大学の授業料無償化の要件、支援内容は次のとおりです。

<無償化の要件(入学時)>

1.対象者

兵庫県立大学および芸術文化観光専門職大学の学部生、大学院生(博士前期(注)・後期課程)
ただし、「国籍・在留資格に関する要件」を満たす正規生に限る。

2.在住要件

入学者本人及び生計維持者(原則、父母)のいずれもが、入学日の3年以上前から引き続き兵庫県に在住

3.対象期間

修業年限の範囲内(学部4年、博士前期2年、博士後期3年)

4.年齢及び進学までの期間要件

〔学部〕 高校等卒業後2年を経過していないこと

<支援内容>

1.入学金の全額免除(282,000円)

(ただし、入学時の諸費等については別途必要)

2.授業料の全額免除(535,800円/年)

(ただし、在学中に必要となる諸費等は別途必要)

出典:県立大学の無償化|兵庫県

まとめ

兵庫県立大学の入試は、共通テストと学部別個別試験を組み合わせた多様な方式で実施されます。学部・学科により、試験内容や一般選抜の倍率が大きく異なります。共通テストのほかに学部・学科ごとの個別テストが課されるため、英語や数学、理科など重要科目を押さえた対策が必要です。
受験勉強を効率的に進めるうえでは、東進や河合塾、武田塾など実績豊富な予備校の利用も有効です。基礎をしっかり固めたあと、早い段階で過去問演習に取り組めます。

兵庫県立大学は授業料無償化の影響で人気が高まっているため、予備校のサポートで合格をつかみ取りましょう。