総合型選抜(旧AO入試)について分かりやすく解説!Q&A形式で基礎知識から

受験勉強を始めると、「一般選抜(旧一般入試)」や「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」、「総合型選抜(旧AO入試)」など、さまざまな入試制度を耳にすることがあると思います。

今回の記事では、その中から「総合型選抜(旧AO入試)」について分かりやすく解説!

「総合型選抜とAO入試の違いって?」「総合型選抜と一般選抜はどう違うの?」「総合型選抜のメリットって何?」など、総合型選抜の仕組みや試験対策、よくある疑問などをQ&A形式でまとめました。

総合型選抜について知りたい人や総合型選抜での受験を考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。

総合型選抜の基礎知識に関するQ&A

まずは、受験生なら知っておきたい総合型選抜の基礎知識について、以下の点から分かりやすく解説します。

  • 総合型選抜の仕組み
  • 一般選抜(旧一般入試)・学校推薦型選抜(旧推薦入試)との違い
  • 出願条件やスケジュール

総合型選抜についてあまり詳しくない人も、きっと概要を理解できるようになるはずです。

 総合型選抜ってそもそもなに?

   旧AO入試です。

「総合型選抜」は、旧AO入試のことです。文部科学省が取り組む「高大接続改革」の一環として、AO入試に代わり2021年度に導入されました。

なお、本記事で登場する一般選抜・学校推薦型選抜も、一般入試・推薦入試に代わって導入されたものです。

この高大接続改革で、従来の入試制度は、以下のように変更になりました。

変更前変更後
AO入試総合型選抜
一般入試一般選抜
推薦入試学校推薦型選抜

 AO入試と総合型選抜は名前が違うだけ?

    いいえ、選考・選抜方法も変わっています

AO入試とは、各大学が掲げる「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)」と学生とのマッチ度を重要視した試験方式です。「大学が求める人物像」と合致しているかが、合否を決める基準となります。

一方、総合型選抜は、こうしたアドミッション・ポリシーとのマッチ度に「学力評価」が加わった選抜方法です。大学とのマッチ度はもちろん、基礎的な学力があるかどうかも選考基準となります。

 総合型選抜の選考方法は?

   書類・面談・学力と多岐に渡ります。

総合型選抜は、さまざまな方法で学生を多面的・総合的に評価するのが特徴です。

そのため、選考方法は、従来のAO入試でも採用されていた書類選考や面接、小論文に加え、プレゼンテーションや資格・検定試験のスコア、大学独自の学科・実技試験など多岐にわたります。

中には、講師によるレクチャーを受講し、その内容に関するレクチャーレポートを作成するという珍しい方法を採用している大学も。選考方法は大学・学部により異なるため、事前に募集要項に目を通しておきましょう。

 総合型選抜と一般選抜(旧一般入試)の違いは?

   学力以外の点も合否の判断材料となっているかどうかです。

一般選抜(旧一般入試)とは、入学に必要な学力の有無が基準となる試験です。大学入学共通テストや各大学の個別試験などを受験し、そのテストの点数で合否が決まります。

一方、総合型選抜は、学力が高いだけでは合格できません。志望理由や入学後の学習意欲など、学力以外の点も含め総合的に評価されます。

 総合型選抜と学校推薦型選抜(旧推薦入試)の違いは?

   申し込みの入り口や出願基準が異なります。

学校推薦型選抜(旧推薦入試)には、「公募推薦(公募制)」と「指定校推薦(指定校制)」の2つがあります。

公募推薦は、大学の求める出願条件を満たし、高校の校長の推薦があれば出願が可能です。一方、指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のみが出願できます。

しかし、総合型選抜は、出願条件を満たせば、校長の推薦がなくても、どの高校に在籍していても出願が可能です。

このように総合型選抜と推薦入試では、申し込みの入り口や出願基準が異なります。総合型選抜は自分の意志で出願でき、学校推薦型選抜は自分の意志だけでは出願できないことがある、とも言えるでしょう。

 総合型選抜の出願条件ってなに?

   各大学で異なりますが、多く採用されているものを紹介します。

総合型選抜の出願条件はさまざまですが、多く採用されているものは以下の通りです。

  • 本大学・学部での学びを強く志望し、合格した場合は必ず入学する者
  • 高校での学習成績の状況(評定平均)が一定以上ある者
  • 志望学部・学科に関係する科目を高校で履修している者
  • 志望学部・学科が求める学生像に即した志望理由をもつ者
  • 指定した資格・検定試験において一定以上のスコアを持つ者
  • 大学入学共通テストにおいて、指定した教科・科目を受験する者

大学によって出願条件は異なるため、志望大学の募集要項を必ず確認しておきましょう。

 総合型選抜のスケジュールはどうなっているの?

   他の入試より早い開始~合格発表となっている場合が多いです。

一般的に、総合型選抜は他の入試よりも早いスタートとなります。

総合型選抜の出願開始は文部科学省によって定められており、9月1日以降となります。しかし、総合型選抜に出願するための前段階の手続きとして、6月頃からエントリーが必要な大学もあります。

試験日程は大学によりさまざまですが、9月~12月ごろに試験実施・合格発表をする大学が多いです。しかし、複数回にわたり選考する大学や、大学入学共通テストの結果を利用する大学もあります。その場合、選考が長期化し、合格発表が2月になることもあります。

 併願はできる?

   基本的には専願ですが、併願できる大学もあります。

総合型選抜では、「その大学に入学する意志・学ぶ意欲」も評価対象となるため、基本的には専願です。また、専願が基本である学校推薦型選抜との併願も認められていません。

ただし、私立の公募推薦では併願できる大学もあるため、志望大学の情報をしっかり確認しておきましょう。

なお、総合型選抜で不合格となってしまった場合、一般選抜で再度受験することは可能です。

総合型選抜の合格対策に関するQ&A

ここまで、総合型選抜の基本的な内容について、紹介してきました。

では、総合型選抜で受験するにあたって、どのような対策をするべきでしょうか?総合型選抜で志望校に合格する人はどんな人でしょうか?

ここでは、総合型選抜の受験対策について分かりやすくまとめました。「総合型選抜は、どんな人が向いているか」「合格するにはどうしたらいいか」を中心に紹介します。

 総合型選抜に向いている人っている?

   学力以外のアピールポイントがある人におすすめです。

総合型選抜は、学力以外で自分をPRできる人におすすめです。

総合型選抜では、学校での課外活動や資格・検定試験のスコア、その他の活動実績など、学力だけでは測れない能力なども評価されます。そのため、何か得意分野がある、特別なスキル・個性があるなど、学力以外で自分をPRできる人におすすめです。

また、以下のような人も有利だと言えるでしょう。

  • もともと学びたいテーマがあり、自分なりに知識を身につけてきた人
  • 入学後のビジョンがしっかりと描けている人
  • 明確な目標がある人

 総合型選抜で大学側が欲しいのはどんな人?

   アドミッションポリシーに適する人です。

大学側には「こんな人物が欲しい」「こんな能力を身につけていて欲しい」という思いがあります。それを具体的に示したものが、「アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)」です。

総合型選抜は大学とのマッチ度を測る試験です。そのため、アドミッション・ポリシーに適した人物かどうかは、特に重要視されます。

 総合型選抜で合格するにはどんなことをしておけばいい?

   自分を最大限アピールできるようにしておきましょう。

総合型選抜で求められるのは、アドミッション・ポリシーへの適性と、「なぜ、その大学で学びたいのか」という明確な理由です。「なんとなくこの大学で学びたい」といった気持ちでは、到底合格には届きません。

そのため、大学で研究したいことを明らかにし、そのテーマに対して自分なりに探求を深めましょう。そうすればおのずと熱意ある志望理由書になり、面接対策もスムーズに進むはずです。

また、志望理由を強化するために、資格の取得や特定の活動への参加が必要であれば早めに行動しましょう。一貫性のある志望理由や志望分野への深い知識、その他活動への参加実績などで、自分自身を最大限アピールできるようにすることが大切です。

 学力以外も見られるなら勉強しなくていい?

   いいえ。総合型選抜でも学業成績を高める努力をしましょう。

アドミッション・ポリシーへのマッチ度や入学後の学習意欲が重視されるとはいえ、総合型選抜では学力も評価対象です。

大学によっては、高校での評定平均がチェックされることや、大学入学共通テストの結果や大学独自の試験などで学力を測ることもあります。高校での授業を軽視せず、しっかりと学力向上・維持に努めましょう。

 面接が苦手…どう対策するべき?

   面接はとにかく実践し場数を踏みましょう。

面接対策は実践あるのみです。試験官に自分の思いを伝えられるよう、何度も練習しましょう。練習は高校の先生に頼むのも、総合型選抜対策に力を入れている塾・予備校に通うのもいい方法です。

面接で見られているのは、模範解答のような上手い受け答えではありません。また、試験官が知りたいのは、暗記してきた付け焼刃の志望理由ではありません。

「どうしてこの大学で学びたいのか?」「どうしてこのテーマについて学びたいのか」など、自分自身なりにしっかりと考え、自分の言葉で伝えられるようにしておくのが大切です。

総合型選抜でよくあるQ&A

ここからは、総合型選抜でよくある以下のQ&Aについて分かりやすく解説します。

  • どの大学にも総合型選抜はある?
  • 総合型選抜は大学だけ?
  • 総合型選抜で評定平均値は重視される?
  • 浪人しているけど、総合型選抜は受けられる?
  • 学力や目標があまりないから総合型選抜はやめたほうがいい?

いざ、総合型選抜を受けようと思っても、そもそも実施していない学校があったり、成績が重視されたりといったことも珍しくありません。事前によく確認し、万全の準備をしましょう。

 どの大学にも総合型選抜はある?

   いいえ。必ず事前に入試方法を調べておきましょう。

総合型選抜を実施している大学は増加しています。それに伴い、総合型選抜の募集定員や入学者数が増えているのも事実です。

とはいえ、総合型選抜はあくまで入試制度の一つであり、全ての大学で実施しているわけではありません。あらかじめ、志望大学の入試方法を確認しておくことが大切です。

 総合型選抜は大学だけ?

   いいえ。専門学校や短大でも採用しているところはあります。

総合型選抜は、4年制大学だけではなく、短期大学や専門学校でも実施している場合があります。

入試の方針は大学とほとんど同じで、アドミッション・ポリシーへのマッチ度や入学後の学習意欲などにより合否が判断されます。

 総合型選抜で評定平均値は重視される?

   出願条件に設定されているところもあります。

一般的に、高校での学業成績が大きく影響しない点が総合型選抜の特徴であり、メリットだとも言われます。

しかし大学によっては、「高校での評定平均4以上」といったように、出願時に一定以上の評定平均を求めることも。特に、学力を重視する大学では、評定平均を出願条件とする傾向が目立ちます。

 浪人しているけど、総合型選抜は受けられる?

   はい。浪人している人でも受験可能です。

総合型選抜は、浪人生でも受けられます。また、浪人生が不利だということもありません。

むしろ、自己PRに繋がるような実績作りに励んだり、面接・小論文対策をしたりと、時間のかかる受験対策に余裕を持って取り組めるという点では、現役生より有利かもしれません。

ただし、大学によっては浪人では出願できないところもあるので、確認する必要があります。

 学力や目標があまりないから総合型選抜はやめた方がいい?

   合否は他の出願者次第です。チャレンジする価値はあります。

高い学力や明確な目標がなく、総合型選抜で合格する自信がない人もいるでしょう。しかし、合格するかどうかは、その年の他の出願者次第です。

もし少し学力が足りなくても、他の出願者の成績があまりよくなければ合格することもあります。

反対に、例年であれば合格できるような学生でも、大学とのマッチ度や学力がより高い出願者がいれば、合格できないかもしれません。その時の運や他の出願者次第、という点はどの選抜方法にも言えることでしょう。

学びたいテーマや志望分野を見つけて学びを深め、入学後の目標を定めることができるのは自分だけです。過去の活動や実績に自信がないのであれば、「今後どうしたいか」に重きを置き、諦めずに受験対策に励みましょう。