塾と予備校は掛け持ちすべき? 効果やメリット・デメリットを解説

大学受験生の多くが、塾や予備校に通っています。1校だけに通う場合が多いですが、中には複数の塾・予備校を掛け持ちする受験生もいます。実際、当サイトが実施したアンケート調査では、予備校に通っていた655人のうち91人、約14%の受験生が複数の予備校に通っているという結果が出ています。

塾や予備校の掛け持ちは決して珍しいことではありません。複数の予備校をうまく活用すれば、効果的に成績を上げられるでしょう。その反面、予備校の掛け持ちには注意すべき欠点もあります。

そこでこの記事では、塾や予備校を掛け持ちするメリットとデメリットをお伝えします。良い面と悪い面をよく比較して、塾・予備校の掛け持ちを検討しましょう。

塾・予備校を掛け持ちするメリット

まずは、塾や予備校を掛け持ちするとどんなメリットがあるのかについて見てみましょう。

教科ごとにしっかり対策できる

塾・予備校を掛け持ちしようと考えているのなら、教科ごとに受講する塾・予備校を分けるのがおすすめです。

現在は数多くの予備校がありますが、それぞれ特徴が異なります。例えば業界最大手と言われる河合塾でも、英語・国語・数学の主要3教科はかなり多くの講座がありますが、理科・社会は科目によってはあまり充実しておらず、偏りが見られます。

一方、東進ハイスクール・東進衛星予備校は映像授業を見て学習を進めるというスタイルのため、理科・社会も単元やレベルごとに細かく分かれており、多くの授業を取り扱っています。

以上を踏まえて塾・予備校の掛け持ちの一例を挙げると、「英語と数学は河合塾、化学と物理は東進ハイスクール・東進衛星予備校といった講座の受け方が考えられるでしょう。

また、塾・予備校には特定の教科に特化したところもあります。代表的なところだと、英語専門予備校のLACOMSやトフルゼミナール、数学専門塾の数専フォーラム、国語専門塾の鶏鳴学園などが挙げられるでしょう。このような教科専門塾では、その教科の成績を徹底的に伸ばせる環境が整っています。特に、苦手な教科がある場合は、このような専門塾を掛け持ちすると効果的です。

他の塾・予備校の気になる授業を受けられる

予備校講師の中には、テレビに出演していたり、分かりやすいと評判の参考書を書いていたりする有名講師・人気講師が存在します。例えば、東進ハイスクール・東進衛星予備校の林修先生は最も人気のある予備校講師の一人でしょう。メインでは他の予備校に通っているとしても、このような有名講師の授業を受けたいと思ったら、予備校を掛け持ちすれば受講することが可能です。

また、映像授業を展開しているところでは、ホームページから授業のサンプル動画を見られることがあります。サンプル動画を見て講師を気に入ったら、その人の授業だけを単科で取ることもできます。

個別指導塾を掛け持ちして実践力を身に付ける

一般的に、予備校では集団授業を行っています。多くの場合は10人ほどですが、人気の授業なら100人近い受験生が一つの教室に集まるでしょう。集団授業では、分からないところがあってもすぐに質問できないというデメリットがあります。

そこで、個別指導塾を掛け持ちする方法もおすすめです。個別指導であれば、理解できなかった部分をすぐに質問できますし、自分だけのカリキュラムを組んでもらって苦手科目を集中的に学習して力を伸ばすことができます。

ですので、「集団授業で理論や解き方を学び、個別指導で実践問題を解いていく」といった掛け持ちの仕方が考えられます。

塾・予備校を掛け持ちするデメリット

塾や予備校を掛け持ちすると大きなメリットが得られる一方、デメリットも存在します。ここで解説する注意点もよく確認しておいてください。

予備校1校に通うよりも費用がかかる

予備校でしっかり受験対策をすると、1年間で100万円程度のお金がかかると言われています。複数の塾・予備校に通えば、当然ながらその分の費用がかかることになり、場合によっては合計で100万円を超えることもあるでしょう。あまりに費用がかさむと、受験生本人だけでなく親にも負担がかかってしまいます。受験が終わった後は大学の入学金や授業料を払わなければならないので、費用を残しておくためにもお金のことはしっかりと考えておきたいところです。

塾や予備校を掛け持ちする場合は、特に対策したい教科だけに絞って単科で取る(授業を一つずつ取る)ようにしましょう。また、自宅からパソコンやスマホ、タブレットを使って授業を受けるオンラインを活用した予備校であれば、格安で申し込めることがあります。映像授業であっても対面と同じクオリティーの授業を受けられることが多いので、検討してみてください。

暗記や問題集を解くための自習時間が減る

いくつもの塾や予備校に通うことになれば、それだけ授業時間と通学時間も増えることになります。しかし、塾・予備校に通う際に注意したいのは、必ずしもたくさん授業を取ればいいというわけではないということです。

いくら良い授業をたくさん受けても、自学自習の時間が減ってしまうと結局のところ学力は上がりません。授業を受ける前の予習、授業後の復習はとても重要です。また、意外と忘れがちな部分ですが、自分で問題集を解く時間はしっかり取るようにしてください。理論を理解できていても、自力で問題を解かなければ力は身に付きません。さらに言えば、公式や文法、単語などを暗記しなければ問題は解きようがないので、暗記の時間も必要です。塾や予備校を掛け持ちする場合は、自習時間もしっかり確保できるように注意しましょう。

違うことを言う塾・予備校講師がいて混乱する

掛け持ちをすると、何人もの講師に習うことになるでしょう。すると、講師によって指導方法が異なり混乱してしまうことがあります。例えば「小論文に書くネタは新書などを読んで少しは勉強した方がいい」と言う先生がいれば、「大学入試の小論文で求められているのは知識ではないので、本を読んでまでして勉強する必要はない。体験談を使うべき」と言う先生もいます。すると、何をどう勉強するのが正解なのかが分からず、頭が混乱してしまうかもしれません。

そこで「メリット」の部分でもお伝えしたように、塾・予備校を掛け持ちする場合は、教科ごとに分けるようにしましょう。教科で分ければ、1教科当たりの指導者が1人になるので、混乱することがなくなります。

塾・予備校を掛け持ちはこうすればOK、その仕方を伝授

それでは、ここまでご紹介したメリットとデメリットをまとめしょう。塾や予備校を掛け持ちする場合は、以下のポイントを押さえるようにしてください。

  • 教科ごとに塾・予備校を分ける
  • 自習時間をしっかり取る
  • 通うのは2校までにする

いくつかの塾や予備校に通う場合は、まず教科をはっきりと分けるようにしましょう。予備校にはそれぞれ強みと弱みがあります。対策したい教科に強い塾・予備校を選ぶようにしてください。一つの教科に特化した専門塾もありますので、併せて活用してみましょう。

志望校に合格できるかどうかは、最終的に「自力で問題を解けるか」によって決まります。塾や予備校にたくさん通ったからといって、必ず偏差値が上がるというわけではありません。塾や予備校の授業はあくまでも学習のサポートと考えて、自分で学習する時間を十分に取るようにしてください。

また、費用のことも考え、通う塾・予備校は2校までにしておくのが無難です。3校以上を掛け持ちしても構いませんが、その場合は慎重に時間とお金の配分を考えましょう。