塾と予備校は掛け持ちすべき?効果やメリット・デメリット・掛け持ち成功のポイントを解説

塾・予備校に通っている受験生のなかには、掛け持ちをするべきか悩んでいる人も少なくないでしょう。

当サイトが実施したアンケート調査では、予備校に通っていた655人のうち91人、約14%の受験生が複数の予備校に通っているという結果が出ています。

利用目的に合わせて塾・予備校を使い分ければ、効果的に成績を上げられるのが掛け持ちをする利点です。しかし、注意すべき欠点もあります。

この記事では、塾・予備校を掛け持ちするのに向いている人と向いていない人、メリットとデメリット、おすすめの掛け持ちパターンをお伝えします。

最後には、掛け持ちを成功させるポイントも紹介しているので、塾・予備校の掛け持ちをするべきか悩んでいる人は参考にしてください。

塾・予備校の掛け持ちが向いている人・向いていない人の特徴

塾・予備校の掛け持ちには向き・不向きがあり、無理をすると、かえって受験勉強に支障をきたす恐れもあります。

まずは、塾・予備校の掛け持ちを検討する前に、向き・不向きについて知っておきましょう。

塾・予備校の掛け持ちが向いている人

塾・予備校に通う目的が明確であり、目的を理解して学べる人は、掛け持ちに向いています。

ただし、複数の塾・予備校に同時に通うとスケジュール管理が複雑になることから、高い自己管理能力が必要だといえます。

また、塾・予備校によって指導方針が異なるため、さまざまな情報のなかから自分に必要なものを取捨選択するスキルも重要です。

複数の塾・予備校に通うと、疲れやストレスを感じやすくなります。ストレス耐性が高く、過密なスケジュールに耐えられる体力がある人も、塾・予備校の掛け持ちに向いているといえるでしょう。

塾・予備校の掛け持ちが向いていない人

自由時間が少ない状況に耐えられない人や、スケジュール管理が苦手な人には、塾・予備校の掛け持ちは向いていません。

また、受験生本人にやる気がない場合も、塾・予備校の掛け持ちには不向きです。保護者にすすめられて掛け持ちをしても、受験生本人が目的を持って学習に望まない限り、成績は上がらないでしょう。

受験生本人に掛け持ちの意欲がない場合は、相性の良い塾・予備校を見極め、1校に絞って通うことをおすすめします。

塾・予備校を掛け持ちするメリット

ここでは、塾・予備校を掛け持ちするメリットを3つ紹介します。

  • 教科ごとにしっかり対策できる
  • ほかの塾・予備校の気になる授業を受けられる
  • 個別指導塾を掛け持ちして実践力を身に付けられる

教科ごとにしっかり対策できる

「苦手な教科は塾で対面授業を受ける」「得意な教科はより点数を伸ばせるように予備校でコツを学ぶ」といったように、教科ごとで塾・予備校を通い分けると、効率的に対策できます。

また、英語専門予備校のLACOMSやトフルゼミナール、数学専門塾の数専フォーラム、国語専門塾の鶏鳴学園のような、特定の教科に特化した塾もあります。

このような教科専門塾では、その教科の成績を徹底的に伸ばすための環境が整っています。特に苦手な教科がある場合は、教科専門塾を掛け持ちするのが効果的です。

ほかの塾・予備校の気になる授業を受けられる

予備校の講師のなかには、テレビに出演していたり、わかりやすいと評判の参考書を出版したりする人気講師が存在します。

例えば、東進ハイスクール・東進衛星予備校の林修先生は、人気のある予備校講師の一人でしょう。予備校を掛け持ちすれば、このような有名講師の授業を受けることも可能です。

映像授業を展開している塾・予備校では、ホームページから授業のサンプル動画を見られることがあります。サンプル動画を見て気に入った講師がいたら、掛け持ちをしてその講師の授業だけを受講するのもよいでしょう。

個別指導塾を掛け持ちして実践力を身に付ける

予備校は集団で授業を行なうため、ほかの受験生と切磋琢磨できる反面、不明点をその場で質問しにくい特徴があります。

一方、個別指導塾であれば、不明点に対してすぐに質問できます。また、苦手科目に特化した授業を受けられるだけでなく、予備校で質問できなかった不明点の解決にも役立つでしょう。

予備校と個別指導塾を掛け持ちすれば、「予備校で理論や解き方を学び、個別指導塾で不明点を確認しながら実践問題を解いていく」といったように、効率的に実践力を身に付けられます

塾・予備校を掛け持ちするデメリット

ここからは、塾・予備校の掛け持ちにおける3つのデメリットについて解説します。

  • 予備校1校に通うよりも費用がかかる
  • 暗記や問題集を解くための自習時間が減る
  • 違うことを言う塾・予備校講師がいて混乱する

予備校1校に通うよりも費用がかかる

予備校でしっかり受験対策をすると、1年間で100万円程度の費用がかかると言われています。複数の塾・予備校に通えばさらに費用がかさむため、負担に感じる保護者も少なくないでしょう。

受験後にも大学の入学金や授業料などの支払いがあるので、塾・予備校にかかる費用は慎重に検討したいところです。

費用を抑えて塾・予備校を掛け持ちしたい場合は、特に対策したい教科に絞って単科で授業を受けるのがおすすめです。

また、パソコンやスマートフォンなどで講義を受けるオンラインを活用した予備校は、比較的安価な傾向があります。対面と同じクオリティーの授業を受けられるので、検討してみてください。

暗記や問題集を解くための自習時間が減る

塾・予備校を掛け持ちすると、その分授業や移動にかける時間が増えます。そのため、自習に割く時間が減るのがデメリットです。

予習や復習、暗記、演習を行なう時間は、必ず確保すべきといえます。複数の授業を受けて理論を理解できても、自力で問題を解かなければ知識の定着につながらないためです。

塾・予備校を掛け持ちする場合は、どの程度自習時間を確保できるのかも確認しましょう。

違うことを言う塾・予備校講師がいて混乱する

塾・予備校を掛け持ちすると、複数の講師に習うことになります。そのため、講師による指導方針の違いから、混乱を引き起こすケースがあります。

小論文を例に挙げると、「新書などを読んで勉強したほうがいい」「体験談を使うべきで、勉強する必要はない」といったように、講師によって意見が異なる場合があります。

こういった指導方針の違いは、どちらが正解なのか判断が難しく混乱するでしょう。

複数の講師の指導による混乱を防ぐためには、教科ごとに塾・予備校を分けるのがおすすめです。

掛け持ちは組み合わせが重要!おすすめの掛け持ちパターン

ここでは、塾・予備校の掛け持ちでおすすめの組み合わせ方を3つ紹介します。

  • 指導形態で塾・予備校を使い分ける
  • 科目で塾・予備校を使い分ける
  • 学習形態で塾・予備校を使い分ける

塾・予備校の比較・選び方|最初に読むべきチェックポイント15点

指導形態で塾・予備校を使い分ける

塾・予備校の指導形態には、集団指導と個別指導があります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

 メリットデメリット
集団指導・ほかの受験生から刺激を受けられる ・一定のペースで学習を進められる・カリキュラムが合わない可能性がある ・わからなくても先に進んでしまう
個別指導・一人ひとりの学習ペースに合わせて進められる ・不明点をその場で質問できる・競争心が生まれにくい ・集団指導塾と比べて費用が高い

指導形態で使い分ける場合は、「予備校や集団塾で刺激を受けつつ、不明点や苦手な単元を個別指導塾で穴埋めする」といった掛け持ち方がおすすめです。

また、塾の規模によっても指導方針の特徴が異なります。

大手の塾・予備校は、カリキュラムが豊富で試験に関するデータが蓄積されており、有名な講師も多く在籍している傾向があります。一方、中小規模の塾・予備校は、生徒に合わせて柔軟に指導をしているところが多いのが特徴です。

集団指導塾と個別指導塾の違いや規模別の特徴は、下記の記事で詳しく解説しています。

個別指導と集団指導どっちがいい?向いている人や料金相場を紹介

どんな特徴の塾・予備校を選ぶべき? 大手・中堅・特化型、大学受験予備校を一覧で紹介

科目で塾・予備校を使い分ける

科目の得意不得意によって、塾・予備校を使い分けるのもおすすめです。

例えば「基礎から丁寧に指導してほしい科目は個別指導塾」「受験対策に特化して教えてほしい科目は予備校」という組み合わせもよいでしょう。

また、科目の得意・不得意は、講師との相性によって変化することもあります。塾・予備校を検討する際は、指導実績や口コミも参考にしながら、講師と相性が良さそうかどうかも重要です。

学習形態で塾・予備校を使い分ける

通塾が必要な集団指導塾・個別指導塾と、自宅で授業を受けられる通信塾・予備校を組み合わせるのもおすすめです。

通信塾なら場所を選ばずに授業が受けられるため、移動に時間や体力を奪われることがありません。また、通信教育は施設の維持費が不要なため、教室に通う塾・予備校よりも費用が安価な傾向があります。

例としては「主要3教科は個別指導塾、そのほかの教科は通信塾を活用して安く抑える」という組み合わせが挙げられます。

自宅でいつでも受けられるネット予備校を徹底比較! 5校+αの口コミも紹介

塾・予備校の掛け持ちを成功させる4つのポイント

塾・予備校を掛け持ちする場合は、以下の4つのポイントを押さえましょう。

・目的に合わせて塾・予備校を選ぶ

・通う塾・予備校の数は2校までにする

・自由時間をしっかりとる

・費用をあらかじめチェックしておく

目的に合わせて塾・予備校を選ぶ

掛け持つ塾・予備校は、「苦手科目を克服したい」「塾の持つ受験情報を得たい」など、明確な目的に合わせて選びましょう。

なお、目的に合っていても期待する成果がなかなか得られない場合は、塾・予備校の変更も視野に入れてください。さまざまな塾・予備校を試しながら、自分に合った方法で学習を進めることが大切です。

通う塾・予備校の数は2校までにする

成績に不安があるからといって、掛け持つ塾・予備校を増やしても、得られる効果は少ないでしょう。また、通う数を増やすほど自由な時間は減っていき、心身や金銭的な負担も増えます。

塾・予備校を掛け持ちする際は、スケジュールや費用の面から、2校に留めることをおすすめします。

また、通塾が必要な場合は、移動時間もふまえて塾を選ぶ必要があります。スケジュール管理が難しい場合は、掛け持ち以外の方法を検討しましょう。

自由時間をしっかりとる

塾・予備校を掛け持ちすると、授業を受ける時間が増える分、自由な時間が失われます。

自由な時間がない状態が続くと、疲労やストレスが溜まって、モチベーションや体調にも悪影響を及ぼしかねません。

塾・予備校の授業はあくまでも学習のサポートと考えて、自習も含めた自由な時間を十分に確保するようにしてください。

費用をあらかじめチェックしておく

塾・予備校を掛け持ちする際は、総額をチェックしておきましょう。

塾・予備校では授業料だけでなく、模試や季節講習の受験費、教材費など、さまざまな費用がかかります。さらに大学に合格したら、入学金や授業料などの支払いもあるでしょう。よって、余裕を持った資金の確保が重要です。

予備校にかかる費用や学費を抑える方法などについては、下記の関連記事でも詳しく解説しています。

【2025年1月】予備校の費用は?内訳や実際にかかった額、大手の料金、抑え方を解説

まとめ

塾・予備校を掛け持ちするのに向いているのは、明確な通塾目的を持ち、スケジュール管理や情報の取捨選択ができる人です。そのほか、過密なスケジュールに対応できる体力や、ストレス耐性があることも重要だといえます。

逆に、スケジュール管理が苦手な人や、自由な時間が減ることに耐えられない人は、掛け持ちに向いていません。

塾・予備校を掛け持ちするメリットは、効率的に教科ごとの対策ができたり、人気講師の授業を受けられたりすることです。

一方で、費用がかさむうえに自習する時間が減ったり、複数の講師による指導方針の違いに混乱したりする可能性もあるので、慎重な検討が必要です。

また、塾・予備校にはそれぞれ特徴があります。目的に合った指導形態や科目、学習形態を組み合わせるように掛け持ちするのがおすすめです。

塾・予備校を掛け持つ際には、以下4つのポイントを意識しましょう。

・目的に合わせて塾・予備校を選ぶ

・通う塾・予備校の数は2校までにする

・自由時間をしっかりとる

・費用をあらかじめチェックしておく